JPS6458B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は内視鏡の鉗子チヤンネルを案内とし
て体腔内に導入し、胆石などの異物を把持して取
り出すためのバスケツト型把持鉗子に関する。

内視鏡下で体腔内の胆石などの異物を把持して
体腔内へ取り出すための把持鉗子には種々のもの
が知られているが、特に、バスケツト型の把持鉗
子はその把持力が強く、また操作がしやすいこと
から多く使用されている。

第１図は従来のバスケツト型把持鉗子を示すも
ので、ａは可撓性チユーブであり、この可撓性チ
ユーブａ内には操作ワイヤｂが進退自在に挿通さ
れている。この操作ワイヤｂの先端部には複数本
の弾性ワイヤｃ………をその先端と末端において
一体に集束固定して形成したバスケツトｄが連結
されている。そして、このバスケツトｄは常に開
状態になるように弾性力が付与されており、操作
ワイヤｂの進退操作によつて上記バスケツトｄが
可撓性チユーブａ内に出入してバスケツトｄを開
閉するようになつている。

しかしながら、上記可撓性チユーブａおよびこ
れに挿通された操作ワイヤｂは長尺であるととも
に、体腔内に挿入したとき途中で小さく曲げられ
たり、ループを形成するため、可撓性チユーブａ
と操作ワイヤｂとの摩擦抵抗によつて手元側の操
作力が先端側まで伝わらないことがある。したが
つて、バスケツトｄの開閉が思うようにならず、
仮にバスケツトｄの出入は可能であつても、狭い
管腔内では充分にバスケツトｄを開くことができ
ず、異物を確実に把持することができないという
不都合がある。

この発明は上記事情に着目してなされたもの
で、その目的とするところは、可撓性チユーブの
先端に設けた異物把持用バスケツトを容易に開閉
できるようにして異物の把持を確実に行うことが
できるバスケツト型把持鉗子を提供しようとする
ものである。

以下、この発明を図面に示す実施例にもとづい
て説明する。第２図ないし第４図は第１の実施例
を示すもので、１は合成樹脂材料からなる可撓性
チユーブである。この可撓性チユーブ１の末端に
は中空の口金２が固定されている。この口金２の
後端には上記可撓性チユーブ１と連通する送液口
３が形成され、この送液口３に注射筒等を接続
し、たとえば造影剤等の冷却液を可撓性チユーブ
１の先端まで送ることができるようになつてい
る。また、口金２の側部には端子４，５を内装し
たソケツト６が突設されている。

一方、上記可撓性チユーブ１の先端には異物把
持用バスケツト７が取付けられている。この異物
把持用バスケツト７は、複数のワイヤ状の形状記
憶合金８………と、これらの先端に設けられ形状
記憶合金８………を集束固定する先端チツプ９と
から構成され、これら形状記憶合金８………の後
端は上記可撓性チユーブ１の先端面に等間隔に固
定されている。さらに、上記形状記憶合金８……
…は全長にわたつて絶縁部材１０によつて被覆さ
れているとともに、これら形状記憶合金８………
は先端チツプ９内で電気的に接続されている。ま
た、これら形状記憶合金８………の後端は上記可
撓性チユーブ１の周壁に埋設されたリード線１１
………にそれぞれ接続されており、これらリード
線１１………は上記口金２に設けられたソケツト
６の端子４，５に電気的に接続されている。ま
た、この端子４，５はスイツチ１２、電源１３お
よび可変抵抗器１４からなる通電装置１５に接続
され回路を形成している。

一方、上記異物把持用バスケツト７を形成する
形状記憶合金８………はCu−Zn−Al系あるいは
Ti−Ni系等の合金で、最初の加工形状は第２図
および第４図に示すごとく異物把持用バスケツト
７を開いた状態で作られている。つまり、この状
態の結晶構造は母相（高温相）にあり、室温にて
この形状記憶合金８を塑性変形して第３図に示す
ごとく直線形状にする。この状態で形状記憶合金
８はマルテンサイト変態をおこしてマルテンサイ
ト相をなしている。なお、この形状記憶合金８の
マルテンサイト相から母相へと逆変態の開始する
温度As、終了する温度Afを体温（36〜37゜）以上
に設定するように形状記憶合金８を作成してお
く。

しかして、内視鏡の鉗子チヤンネル（図示しな
い。）あるいは胆管等へ挿入する場合には通電装
置１５のスイツチ１２をOFFにする。この場合、
異物把持用バスケツト７は第３図に示すように閉
じているため引掛ることなく鉗子チヤンネルや胆
管等に挿入することができる。つぎに、胆石等の
異物を把持する場合にはスイツチ１２をONにす
る。これによつて形状記憶合金８………に通電さ
れ、これら形状記憶合金８………は抵抗熱を発生
させ逆変態の終了する温度Afになる。したがつ
て、形状記憶合金８………はマルテンサイト相か
ら母相へともどり、最初の加工形状である第２図
および第４図の状態へと変形し、異物把持用バス
ケツト７は開状態となる。この状態において異物
を異物把持用バスケツト７内に入れてスイツチ１
２をOFFにすると、自然放熱によつて温度が下
がり形状記憶合金８は第３図の形状へもどり、異
物把持用バスケツト７は開状態となつて異物を確
実に把持することができる。また。異物把持用バ
スケツト７を急速に閉じさせたい場合には口金２
に設けた送液口３から低温の造影剤や水等の冷却
液を送液する。これによつて、冷却液は可撓性チ
ユーブ１内を通つてその先端から形状記憶合金８
………にかけられるため、形状記憶合金８………
を強制的に冷却することができる。

第５図は第２の実施例を示すもので、異物把持
用バスケツト７を構成する形状記憶合金８を強制
的に冷却するようにしたものである。すなわち、
１６は可撓性チユーブで、この可撓性チユーブ１
６には複数の送液路１７………が設けられてい
る。そして、これら送液路１７………の末端は口
金１８に設けられた送液口１９と排液口２０のい
ずれか一方に連動しているとともに、先端は異物
把持用バスケツト７に連通している。すなわち、
この異物把持用バスケツト７を構成する形状記憶
合金８………をこれと被覆する絶縁部材１０……
…との間には空間２１………が設けられ、これら
空間２１………の一端は上記送液路１７………に
連通し、他端は先端チツプ９内に設けた連絡路２
２と連通している。

しかして、異物を異物把持用バスケツト７内に
入れたのち、この異物把持用バスケツト７を閉じ
る場合には、送液口１９から低温の造影剤や水等
の冷却液を送液すると、冷却液は可撓性チユーブ
１６の送液路１７………を通つて空間２１………
に導びかれる。したがつて、形状記憶合金８……
…は冷却液によつて直接冷却され、異物把持用バ
スケツト７は閉状態となり、異物を把持すること
になる。また、空間２１………に導びかれた冷却
液は先端チツプ９内の連絡路２２を迂回し空間２
１………から送液路１７………を介して排液口２
０から排出される。したがつて、形状記憶合金８
………を冷却液によつて効率よく冷却することが
できるとともに冷却液が体腔内に入らないため人
体に害を与えることもない。

この発明は以上説明したように、可撓性チユー
ブの先端に、通電することによつて開状態となる
複数の形状記憶合金よりなる異物把持用バスケツ
トを設けたから、異物把持用バスケツトに対する
通断電によつて異物把持用バスケツトを開閉する
ことができ、異物の把持を容易かつ確実に行うこ
とができる。しかし、体腔内に挿入して可撓性チ
ユーブが小さく曲げられたり、ループを形成して
も異物把持用バスケツトの開閉に何ら影響を与え
ないからその操作性の容易化を図ることができる
という効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来のバスケツト型把持鉗子を示す縦
断側面図、第２図ないし第４図はこの発明の第１
の実施例を示すもので、第２図は一部省略したバ
スケツト型把持鉗子の斜視図、第３図は同じく閉
状態の縦断側面図、第４図は同じく開状態の縦断
側面図、第５図はこの発明の第２の実施例を示す
閉状態の縦断側面図である。 １……可撓性チユーブ、３……送液口、７……
異物把持用バスケツト、８……形状記憶合金、１
０……絶縁部材、１５……通電装置、１６……可
撓性チユーブ、１９……送液口、２１……空間。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 可撓性チユーブと、この可撓性チユーブの先
   端に設けられ通電することによつて開状態となる
   複数の形状記憶合金よりなる異物把持用バスケツ
   トと、上記形状記憶合金と電気的に接続された通
   電装置とを具備したことを特徴とするバスケツト
   型把持鉗子。 ２ 可撓性チユーブの手元側に、その可撓性チユ
   ーブと連通する送液口を設けたことを特徴とする
   特許請求の範囲第１項記載のバスケツト型把持鉗
   子。 ３ 形状記憶合金の外表面は、絶縁部材で覆われ
   ていることを特徴とする特許請求の範囲第１項ま
   たは第２項記載のバスケツト型把持鉗子。 ４ 形状記憶合金と絶縁部材との間に可撓性チユ
   ーブと連通する空間を設けたことを特徴とする特
   許請求の範囲第３項記載のバスケツト型把持鉗
   子。