JPS6243689B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は例えば体腔内の組織をクリツプする
クリツプ装置の改良に関する。

近時、クリツプを体腔内に導入し、体腔内の切
除すべき組織、出血部または開腹手術時における
目印地点等の目的部位に前記クリツプをクリツプ
させて、クリツプされた組織の除去、止血或いは
開腹手術を行なう等の治療法が開発されている。
この場合、クリツプの体腔内への導入およびクリ
ツプを開閉する操作は、例えば体腔内に挿入した
内視鏡の鉗子チヤンネルを介して体腔内へ導入さ
れる鉗子によつて行なわれているものがある。こ
の種のものとして従来、常にクリツプ口側が閉じ
る方向に付勢されているクリツプを使用するとと
もに、鉗子が挿通されている外被管の先端部に鉗
子ホルダの後端が連結され、先端側が常に開く方
向に付勢されている鉗子によつて把持された状態
で、クリツプが鉗子ホルダ内に装着され、前記鉗
子を鉗子ホルダの外部へ押出すことによつてクリ
ツプを目的部位にクリツプさせる構成のものがあ
つた。しかしながら、このような構成のものにあ
つては、鉗子の押出し操作、すなわち鉗子ホルダ
の軸方向に沿つてクリツプを移動させる動作にと
もないクリツプの開閉が行なわれていたので、鉗
子の操作が難しく、クリツプを目的部位に確実に
クリツプさせることが困難であり、正確な治療を
行なえない難点があつた。

また、常にクリツプ口側が開く方向に付勢され
ているクリツプを使用し、リング状の緊締具をク
リツプの後端側から嵌め込み、クリツプを閉じる
ような構成のものがあつた。しかしながら、この
ような構成のものにあつては、クリツプに緊締具
が嵌着されてしまうと、クリツプから緊締具を取
外すことは困難であり、誤まつて目的部位以外の
部位をクリツプした場合、クリツプ位置の修正が
難しい欠点があつた。

この発明は上記事情にもとづいてなされたもの
で、その目的は、操作が比較的容易で、誤まつて
目的部位以外の部位をクリツプした場合であつて
も、簡単にクリツプ位置の修正を行なうことがで
き、目的部位を確実にクリツプすることができる
クリツプ装置を提供することにある。

以下、この発明を図面を参照して説明する。第
１図乃至第５図はこの発明の一実施例を示すもの
である。第１図はクリツプ装置全体の外観を示す
もので、１はクリツプ本体、２はこのクリツプ本
体１を体腔内へ導入しクリツプ本体１を操作する
操作管である。前記クリツプ本体１には絶縁体に
よつて形成された円柱状の保持体３が設けられて
いる。この保持体３の先端部には板状の１対の操
作片４，４の各一端部が取着されている。これら
の操作片４，４の取付端はそれぞれ先端４ａ，４
ａが半円形状に形成されている。また、各操作片
４，４の他端部にはそれぞれ挾持片５，５が取着
されている。これらの挾持片５，５は略Ｌ字状に
折曲形成されたもので、先端折曲部５ａ，５ａが
内側に向けられた状態で相対向して配置され挾持
部６が形成されている。また、前記両操作片４，
４は例えばCu−Zn−Al系合金やTi−Ni系合金等
の可逆性をもつ形状記憶合金によつて形成されて
いる。そして、これらの操作片４，４は例えば形
状記憶合金の結晶構造が母相（高温相）の状態
で、第４図に示すように前記両挾持片５，５を離
間して挾持部６を開放状態に保持するように湾曲
させた形状に形成され、形状記憶合金の結晶構造
がマルテンサイト相（低温相）の状態で、第３図
に示すように両挾持片５，５を近接させて挾持部
６を挾持状態に保持するように塑性変形されて略
直線状に引延ばされている。なお、両操作片４，
４にはマルテンサイト相から母相に戻る逆変態を
開始する温度Ａ_sが体温以上となるように形成さ
れた形状記憶合金が用いられている。さらに、両
操作片４，４間はコイル状のリード線７によつて
電気的に接続されている。また、前記保持体３の
基端面には連結孔８を有する連結部９が突設され
ている。さらに、クリツプ本体１は後述する接点
１５，１５と接触する部分以外の外表面にテフロ
ンコートが施されて絶縁処理されている。

一方、前記操作管２は外管１０、内管１１、操
作ワイヤ１２、フツク１３および手元側操作部１
４によつて構成されている。前記外管１０および
内管１１はそれぞれ可撓性を有するもので、外管
１０の先端部は内管１１の先端部よりも突出して
設けられている。内管１１の先端部には前記クリ
ツプ本体１の両操作片４，４の各一端部を所定位
置に案内する１対の凹状案内部１６，１６が形成
されており、両凹状案内部１６，１６の底部には
それぞれ前記接点１５，１５が設けられている。
また、前記操作ワイヤ１２は内管１１内に配設さ
れており、先端部には前記フツク１３が取着され
ている。この操作ワイヤ１２の後端部は手元側操
作部１４の操作部材１７に連結されている。そし
て、この手元側操作部１４の操作部材１７をスラ
イド操作することによつて、操作ワイヤ１２を介
してフツク１３を進退させ、フツク１３にクリツ
プ本体１の連結部９を着脱する着脱位置と第３図
乃至第５図に示すようにフツク１３にクリツプ本
体１の連結部９を嵌着した状態でクリツプ本体１
を保持する保持位置とを適宜選択できるようにな
つている。この場合、前記着脱位置でフツク１３
に嵌着されたクリツプ本体１は保持位置まで移動
する際、内管１１の各凹状案内部１６，１６によ
つて各操作片４，４が案内されるので、保持位置
まで移動すると各操作片４，４の取付端の先端４
ａ，４ａが確実に前記接点１５，１５に接続され
るようになつている。これらの接点１５，１５は
外管１０と内管１１との間に配設された１対のリ
ード線１８，１８によつて手元側操作部１４を介
して外部の通電回路１９に接続されている。この
通電回路１９はスイツチ２０、電源２１および可
変抵抗２２を直列に接続してなるものであり、ケ
ース２３に収納されている。そして、前記両接点
１５，１５とこの通電回路１９とによつて温度調
節機構が構成されている。

そこで、上記構成のものにあつては、まず操作
管２のフツク１３を着脱位置まで突出させた状態
で、フツク１３にクリツプ本体１の連結部９を嵌
着し、その後フツク１３を第３図に示すように保
持位置まで移動してクリツプ本体１を操作管２の
先端部に装着する。このとき、通電回路１９のス
イツチ２０はOFF状態になつている。次に、体
腔内に挿入された内視鏡（図示せず）の嵌子チヤ
ンネル内に操作管２を挿通し、クリツプ本体１を
体腔内へ導入する。そして、この状態でスイツチ
２０をON操作する。スイツチ２０がON操作され
るとリード線１８，１８および接点１５，１５を
介して操作片４，４が通電される。操作片４，４
に電流が流れると通電抵抗によつて操作片４，４
自体が発熱する。そして、操作片４，４の温度が
逆変態を開始する温度Ａ_s以上に達すると操作片
４，４を形成している形状記憶合金の結晶構造が
マルテンサイト相から母相に戻る。そのため、操
作片４，４は第３図に示す略直線状に引延ばされ
た形状から第４図に示す湾曲形状に変形し、挾持
片５，５を挾持状態から開放状態まで移動操作す
ることができる。そして、この状態で内視鏡によ
つてクリツプ本体１の挾持片５，５を観察しなが
ら第４図に示すように体腔内の目的部位２４に挾
持片５，５を合わせたのち、スイツチ２０を
OFF操作する。スイツチ２０がOFFされると操
作片４，４への通電が断たれるので、操作片４，
４は自然放熱する。そのため、操作片４，４の温
度が下がり、操作片４，４を形成している形状記
憶合金がマルテンサイト変態を起こし、再び略直
線状に引延ばされた形状に変形するので、第５図
に示すように体腔内の目的部位２４を挾持片５，
５によつて挾持させることができる。このとき、
誤まつて目的部位２４以外の組織を挾持した場合
には、通電回路１９のスイツチ２０を再びON操
作し、操作片４，４に通電することにより、操作
片４，４は再び抵抗熱によつて加熱されて逆変態
を起こし、第４図に示すように挾持片５，５を挾
持状態から開放状態まで移動操作することができ
る。そして、挾持片５，５によつて体腔内の目的
部位２４を確実に挾持したことを内視鏡によつて
確認したのち、操作管２のフツク１３をスライド
操作し、保持位置から着脱位置まで移動すること
によつて、フツク１３からクリツプ本体１を脱抜
して、クリツプ操作を完了することができる。

かくして、上記構成のものにあつてはクリツプ
本体１を挾持状態から開放状態まで開閉する操作
は操作片４，４への通電のON、OFFによつて行
なうことができるので、クリツプ操作を容易に行
なうことができる。さらに、クリツプ本体１を操
作管２の保持位置に保持させた状態で挾持片５，
５の開閉を行なうことができるので、誤まつて目
的部位以外の組織をクリツプしたとしても簡単に
クリツプ位置の修正を行なうことができる。その
ため、確実に目的部位をクリツプすることがで
き、安全性の向上を図ることができる。

第６図乃至第８図は別の実施例を示すものであ
る。これは、前記実施例におけるクリツプ本体１
の１対の操作片４，４に代えて形状記憶合金以外
の導電材料によつて形成された１対のアーム３
１，３１を設けるとともに、両アーム３１，３１
を形状記憶合金からなるＶ字状の操作部材３２で
連結したものである。前記接作部材３２は例えば
形状記憶合金の結晶構造が母相の状態で、第７図
に示すように両挾持片５，５を離間して挾持部６
を開放状態にするようにＶ字を開いた形状に形成
され、形状記憶合金の結晶構造がマルテンサイト
相の状態で、第６図に示すように両挾持片５，５
を近接させて挾持部６を挾持状態を保持するよう
に塑性変形されてＶ字を閉じた形状に形成されて
いる。また、この場合も操作部材３２にはマルテ
ンサイト相から母相に戻る逆変態を開始する温度
Ａ_sが体温以上となるように形成された形状記憶
合金が用いられている。

このような構成のものであつても、クリツプ本
体１を操作管２の保持位置に装着した状態で通電
回路１９のスイツチ２０をON操作すれば、操作
部材３２が通電され、通電抵抗によつて操作部材
３２自体が発熱する。そして、操作部材３２が逆
変態を開始する温度Ａ_s以上に達すると形状記憶
合金の結晶構造がマルテンサイト相から母相に戻
り、操作部材３２は第６図に示すＶ字を閉じた形
状から第７図に示すＶ字を開いた形状を変形し、
挾持片５，５を開放状態に操作することができ
る。そして、この状態で両挾持片５，５を目的部
位に合わせたのち、スイツチ２０をOFF操作す
ることにより、操作部材３２の通電が断たれ、自
然放熱により操作部材３２の温度が下がり、操作
部材３２を形成している形状記憶合金の結晶構造
が母相からマルテンサイト相へマルテンサイト変
態を起こす。そのため、操作部材３２は第８図に
示すようにＶ字を閉じた形状に変形し、挾持片
５，５を挾持状態に操作して挾持片５，５によつ
て目的部位２４を挾持させることができる。した
がつて、このような構成のものでも前記実施例と
同様の効果を得ることができる。

第９図乃至第１１図はさらに別の実施例を示す
ものである。これは、温度調節機構として操作管
２の外管１０と内管１１との間に流体流通路４１
を形成するとともに、この流体流通路４１内に加
熱流体または冷却流体を供給する流体供給機構４
２を設けたものである。また、クリツプ本体１は
第１図乃至第５図に示すものからリード線７を除
いた構成になつている。さらに、前記流体供給機
構４２は操作管２に連結され操作管２内の流体流
通路４１に連通される流体供給管４３と、この流
体供給管４３の受入口４４に対して着脱自在に装
着される注射器（流体供給源）４５とから構成さ
れている。この注射器４５は操作片４，４を形成
している形状記憶合金が逆変態を開始する温度Ａ
_s以上の温水を供給するものと、形状記憶合金の
マルテンサイト変態を促進させる冷水を供給する
ものとが設けられている。

このような構成のものにあつては、クリツプ本
体１を操作管２の保持位置に装着した状態で、注
射器４５から温水を供給することにより、操作片
４，４は流体供給管４３および流体流通路４１を
介して導かれる温水によつて加熱される。そのた
め、操作片４，４を形成している形状記憶合金が
逆変態を起こし、操作片４，４は第１０図に示す
湾曲形状に変形し、挾持片５，５を開放状態に操
作することができる。また、この状態で、注射器
４５からの温水の供給に代えて、別の注射器４５
から冷水を供給することにより、各操作片４，４
を形成している形状記憶合金のマルテンサイト変
態を促進させ、両挾持片５，５を迅速に挾持状態
に偏位せるとができる。したがつて、このような
構成のものでも、前記各実施例と同様の効果を得
ることができる。なお、第１０図に示すように各
操作片４，４を形成している形状記憶合金の結晶
構造が母相になつている時点で注射器４５からの
温水の供給を停止し、自然放熱によつて各操作片
４，４の温度を下げ、マルテンサイト変態を起こ
させる構成であつてもよい。

なお、この発明は上記各実施例に限定されるも
のではない。例えばクリツプ本体全体を形状記憶
合金で形成してもよい。また、第１図乃至第５図
に示す実施例における操作片４，４がバイメタル
によつて形成する構成であつてもよい。さらに、
その他発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実
施できることは勿論である。

以上説明したように、この発明は先端部に挾持
状態から開放状態まで開閉自在な挾持部を有する
とともに、温度変化に応じて変形し前記挾持部を
前記挾持状態から開放状態まで開閉操作するクリ
ツプ本体を設け、このクリツプ本体を着脱する着
脱位置と前記クリツプ本体の保持する保持位置と
を適宜選択可能な操作者によつて前記クリツプ本
体を前記保持位置に装着した状態で、温度調節機
構によつて前記クリツプ本体の温度状態を調節す
ることにより、前記クリツプ本体の挾持部を開閉
操作するようにしたものである。したがつて、ク
リツプ本体の挾持部の開閉操作を比較的容易に行
なうことができ、誤まつて目的部位以外の組織を
クリツプした場合であつても、簡単にクリツプ位
置の修正を行なうことができる。そのため、目的
部位を確実にクリツプすることができ、安全性を
高めることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図乃至第５図はこの発明の一実施例を示す
もので、第１図は全体構成を示す斜視図、第２図
は要部構成を示す斜視図、第３図は要部構成を示
す縦断面図、第４図および第５図は動作を説明す
るための要部縦断面図、第６図乃至第８図は別の
実施例を示すもので、第６図は要部構成を示す縦
断面図、第７図および第８図は動作を説明するた
めの要部縦断面図、第９図乃至第１１図はさらに
別の実施例を示すもので、第９図は要部構成を示
す縦断面図、第１０図および第１１図は動作を説
明するための要部縦断面図である。 １……クリツプ本体、２……操作管、６……挾
持部、１５……接点（温度調節機構）、８……リ
ード線（温度調節機構）、１９……通電回路（温
度調節機構）、４１……流体流通路（温度調節機
構）、４２……流体供給機構（温度調節機構）。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 先端部に挾持状態から開放状態まで開閉自在
   な挾持部を有するとともに温度変化に応じて変形
   し前記挾持部を前記挾持状態から前記開放状態ま
   で開閉操作するクリツプ本体と、このクリツプ本
   体を先端部に着脱可能に装着し手元側からの操作
   によつて前記クリツプ本体を保持する保持位置と
   前記クリツプ本体を着脱する着脱位置とを適宜選
   択可能な操作管と、この操作管を通じて前記クリ
   ツプ本体の温度状態を調節し前記挾持部を開閉操
   作する温度調節機構とを具備したことを特徴とす
   るクリツプ装置。 ２ クリツプ本体は形状記憶合金によつて形成さ
   れたものであることを特徴とする特許請求の範囲
   第１項記載のクリツプ装置。 ３ クリツプ本体はバイメタルによつて形成され
   たものであることを特徴とする特許請求の範囲第
   １項記載のクリツプ装置。 ４ 温度調節機構は操作管の先端部に設けられ前
   記操作管がクリツプ本体を保持している状態で前
   記クリツプ本体に接続する接点と、この接点を介
   して前記クリツプ本体に通電する通電回路とから
   構成されていることを特徴とする特許請求の範囲
   第１項乃至第３項に記載したものの何れか１つで
   あるクリツプ装置。 ５ 温度調節機構は操作管内に形成された流体流
   通路と、この流体流通路内に加熱流体または冷却
   流体を供給する流体供給機構とから構成されてい
   ることを特徴とする特許請求の範囲第１項乃至第
   ３項に記載したものの何れか１つであるクリツプ
   装置。