JPS64535B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は場所打ち杭の水平耐力を増加するよう
にした場所打ち杭の築造方法に関する。

場所打ち杭の水平耐力を増大させるには、建込
む鉄筋量を増加させればよいが、配筋量によつて
は、鉄筋の間隔が密になり打設コンクリートのワ
ーカビリチーなどの施工性と品質から杭断面を拡
大するなどの問題が生じる。それだと施工費がか
さむことになりむやみに建込む鉄筋量を増加させ
ることはできない。

そこで、本出願人は場所打ち杭を築造する際
に、打設したコンクリートに圧縮応力を付与して
プレストレストコンクリート杭として水平耐力を
増加させる場所打ち杭の築造方法について提案し
た（特開昭36―125528号公報参照）。

この工法によれば、場所打ち杭を打設する地盤
を所定の深度掘削し、掘削した孔内に鉄筋および
適数本の鋼管を建込む。次いで、鋼管内を除いて
孔内にコンクリートを打設し、コンクリートが完
全に硬化する前に鋼管を引抜く。次いで鋼管によ
る孔を利用してさらに支持地盤を所定の深度掘削
し、その孔内にPC鋼線等の引張り部材を挿入し
支持地盤にモルタルを注入して引張り部材を定着
させる。次いでジヤツキにより引張り部材を緊張
することにより杭を下降させ、杭の下方に残留し
ている掘り屑や沈澱物を圧密して杭の鉛直支持力
を増加させる。さらに孔内にモルタルを注入して
引張り部材を杭底部にて定着し、ジヤツキにより
引張り部材を緊張して杭に圧縮応力を与え、孔内
にモルタルを注入して孔を埋める。これにより杭
に予圧縮が与えられ、杭はプレストレストコンク
リート杭となつて水平耐力が増大する。

この工法によれば、杭の水平耐力の増加をはか
ることができると共に、掘削した孔内に掘り屑や
沈澱物が残留していても支持地盤に定着した引張
り部材を利用してジヤツキにより杭を下降させる
ことにより掘り屑や沈澱物は圧密されて杭の鉛直
支持力を増加させることができる。しかしこの工
法による場合は、鋼管の建込み、鋼管による孔を
利用しての支持地盤の掘削等の工事を必要とし、
その分工費がかさむという問題点がある。また例
えば70m近い長尺な杭の全長にわたり均一に必要
とする予圧縮を与えることはかなり困難である。

ところで、地震により水平応力を生じるのは通
常地表下10m程度であり、その応力は地表に近い
ほど大きい。また場所打ち杭を築造するに際して
掘削した孔底に残留する掘り屑や沈澱物をコンク
リートの打設に先立ち充分除去しておけば、それ
等の残留物による杭の鉛直支持力の底下はきたさ
ない。

他方、特公昭56―23492号公報には、プレスト
レスをコンクリート杭の一部に導入する場合に、
該コンクリートと地盤との間に、すべりを起こさ
せる絶縁材を介在させ、該コンクリートが地盤の
拘束力を受けないようにするプレストレストコン
クリート杭場所打ち工法が示されている。この公
知工法の実施に際し、孔の下方に公知の鉄筋コン
クリート用鉄筋籠を、その上方にプレストレスト
コンクリート用鉄筋籠を建込み、それら両鉄筋籠
のそれぞれの主筋の配置位置および本数を同一と
し、それぞれ対応する主筋の対向端部を公知のカ
プラで接合するか、もしくは溶着している。しか
し、この公知工法によれば、両鉄筋籠の建込み態
様が複雑で、作業性が低く、コスト高になる。

したがつて本発明の目的は、鉄筋の建込み態様
が簡単で必要とする杭の一部に均一な予圧縮を与
えることができる作業性の良い場所内杭の築造方
法を提供するにある。

本発明によれば、場所打ち杭を打設する地盤を
所定の深度まで掘削し、掘削した孔内に鉄筋を建
込むとともに、底部にドーナツ形のシユーを固着
した所定長の複数本の引張り部材を建込み、鉄筋
および引張り部材を建込んだ孔内にコンクリート
を打設し、コンクリートの硬化後に引張り部材を
緊張して打設したコンクリート杭の上部の一部に
予圧縮を付与する場所打ち杭の築造方法が提供さ
れる。

場所打ちにより打設する杭長は、その上に構築
される構造物の種類、地盤等にもよるが杭長が
70m以上になることがあり、かかる場合には引張
り部材は杭の途中、例えば地震による水平応力を
受けやすい杭先端から10mの所に引張り部材を定
着するようにする。これにより引張り部材を定着
した個所より上方にある杭部分には予圧縮が与え
られプレストレストコンクリート杭となつて水平
耐力を増加する。

このように地震により水平応力を受けやすい杭
の上方部分だけに圧縮応力を与えるものである
で、必要とする杭部分に均一な予圧縮を比較的容
易に与えることができる。

本発明は、鉄筋と別個にドーナツ状のシユーを
底部に固着した引張り部材を建込むので、鉄筋お
よび引張り部材の建込み態様が簡単で、作業性が
良く、コストを低減することができる。

以下、図面を参照して本発明の工法を実施した
実施例につき説明する。

場所打ち杭を打設する地盤１を掘削機２により
従来の態様にしたがい所定の深度掘削する（第１
図）。掘削完了（第２図）。

掘削した孔３内に鉄筋４を建込むと共に、打設
したコンクリートの適所に定着するようした複数
本の引張り部材５を建込む（第３図）。引張り部
材５としては例えばPC鋼線を用いる。また定着
の仕方の態様としては底部にドーナツ状のシユー
７を溶着する（第７図、第８図）。

孔３内にコンクリート８を打設する（第４図）。
打設したコンクリートが硬化して引張り部材５が
定着９すれば、ジヤツキ１０により引張り部材５
を緊張して杭１１に圧縮応力を与え（第５図）、
プレストレストコンクリート杭１２とする（第６
図）。

以上説明したように本発明の場所打ち杭の築造
工法は、プレストレストコンクリート杭となして
杭の水平耐力を増加させる必要な杭部分だけに予
圧縮を与えるものであるので、きわめて長尺な杭
の場合にもその全長を圧縮する従来工法に比べて
施工的にもコスト的にも非常に有利な工法であ
り、また予圧縮も必要な杭部分に均一に付与され
て従来の工法による場合に比べて実質上より水平
耐力の大きい場所打ち杭を得ることができるもの
である。

また、鉄筋と引張り部材の建込み態様を簡単に
し、作業性を向上してコストを低減することがで
きる

【図面の簡単な説明】

第１図、第２図、第３図、第４図、第５図およ
び第６図は本発明に係る場所打ち杭の築造工法を
実施した工程図である。第７図および第８図は引
張り部材の定着の態様を示す正面図および平面図
である。 １…地盤、２…掘削機、３…孔、４…鉄筋、５
…引張り部材、７…シユー、８…コンクリート、
９…定着部、１０…ジヤツキ、１１…杭、１２…
プレストレストコンクリート杭。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 場所打ち杭を打設する地盤を所定の深度まで
   掘削し、掘削した孔内に鉄筋を建込むとともに、
   底部にドーナツ形のシユーを固着した所定長の複
   数本の引張り部材を建込み、鉄筋および引張り部
   材を建込んだ孔内にコンクリートを打設し、コン
   クリートの硬化後に引張り部材を緊張して打設し
   たコンクリート杭の上部の一部に予圧縮を付与す
   ることを特徴とする場所打ち杭の築造方法。