JPS641778Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は音響機器のミユーテイング回路に関す
るものである。

音響機器、とくに半導体を用いたオーデイオ製
品においては、電源オンの瞬間に同回路が動作状
態に入るために、出力に過渡的にポツプノイズが
現われやすい。この過渡的なポツプノイズは、ス
ピーカにとつてボイスコイルや振動系の破壊につ
ながり、また磁気回路にとつて減磁的な作用を及
ぼす。

このようなポツプノイズ対策として、回路が安
定するまで一時的に出力を切じ離し、ある一定時
間経過後に出力を接続する、いわゆるミユーテイ
ング回路が知られている。

たとえば、第１図に示すのは、オートリバース
デツキ等に使用するソレノイド駆動回路の動作中
にポツプノイズを遮断するための、従来のミユー
テイング回路である。

第１図において、１は操作スイツチ、２は遅延
回路（コンデンサC₁、抵抗R₁，R₂）、３は駆動素
子（トランジスタTr₁，Tr₂、抵抗R₃）であり、
ソレノイド４はトランジスタTr₂によつて駆動さ
れる。Ｄはバイパスダイオード、５は電源であ
る。

一方、トランジスタTr₂のコレクタには第二の
遅延回路６（コンデンサC₂、抵抗R₄，R₅）を介
して、ミユーテイング用スイツチング素子７（ト
ランジスタTr₃）が接続されている。そしてトラ
ンジスタTr₃のコレクタは、ミユーテイング減衰
量決定用の抵抗（又はインピーダンス）R₆を介
して音響機器の信号回路８につながれるととも
に、出力端子９につながれている。

このような従来のミユーテイング回路におい
て、操作スイツチ１を押すと遅延回路２のコンデ
ンサC₁に充電電流が流れ、トランジスタTr₁およ
びTr₂がターンオンする。従つて、トランジスタ
Tr₂のコレクタ電流によりソレノイド４が駆動
し、所定の動作をする。

このとき、トランジスタTr₂のコレクタ電流は
遅延回路６を通つてトランジスタTr₃をターンオ
ンさせるため、ソレノイド４の動作中は、信号回
路８の出力はトランジスタTr₃を通して接地され
るのでポツプノイズが遮断される。

そして一定時間（遅延回路２の時定数）経過
後、コンデンサC₁の充電電流が０となるため、
トランジスタTr₁およびTr₂はターンオンし、ソ
レノイド４の動作が終了する。この後も引き続
き、第二の遅延回路６の時定数により、トランジ
スタTr₃はオン状態を保ち、ミユーテイング時間
を確保する。

しかしながら、従来のミユーテイング回路はこ
のようにソレノイド駆動用の遅延回路２と、ミユ
ーテイング時間確保用の第二の遅延回路６との二
つの遅延回路を必要とし、かつ第二の遅延回路６
を経由することにより、その時定数の分だけミユ
ーテイング開始時間が遅れるという欠点ががあつ
た。

本考案の目的は、上記従来のミユーテイング回
路の欠点を克服し、二つもの遅延回路を使うこと
なく、したがつてまたミユーテイング開始時間も
遅れることのない、改良されたミユーテイング回
路を提供することにある。

以下、図によつて本考案の実施例を説明する。

第２図に示す回路が第１図の回路と異なる点
は、第二の遅延回路６をなくして、直接、遅延回
路２の抵抗R₁とミユーテイング用スイツチング
素子７（トランジスタTr₃）のベースとを接続し
ていることである。

すなわち、本考案においては、駆動素子３のト
ランジスタTr₂からそのコレクタ電流を引くこと
なく、遅延回路６を介さずに直接、抵抗R₁から
コンデンサC₁の放電電流を引くようにしている
のである。

これを第３図Ａ，Ｂを用いて、さらに詳細に説
明する。

操作スイツチ１を押したときには、第３図Ａの
ように、遅延回路２のコンデンサC₁および抵抗
R₂に充電電流I₁が流れる。このとき、すでに説明
したようにトランジスタTr₁，Tr₂がターンオン
し、ソレノイド４が動作する。

それと同時に、抵抗R₁をとおして回路電流I₂が
流れてトランジスタTr₃がターンオンするため、
すでに説明したように信号回路８の出力はトラン
ジスタTr₃を通して接地される。すなわち、ミユ
ーテイング開始時間が遅れることなく、操作スイ
ツチ１を押すと同時に、ミユーテイング作用が働
くことになる。

次に、遅延回路２の時定数に相当する時間が経
過すると、すでに説明したようにトランジスタ
Tr₁，Tr₂がターンオンし、ソレノイド４は動作
を終了する。このとき、操作スイツチ１はオフと
なる。

しかし、第３図Ｂに示すように、コンデンサ
C₁からの放電電流I₃が抵抗R₁を通つてトランジス
タTr₃のベース電流となるため、該トランジスタ
Tr₃は引き続いてオンのままであり、従つてミユ
ーテイング動作が維持される。すなわちポツプノ
イズが発生する間は、放電時定数に相当する一定
時間、ミユーテイング動作が続行することによ
り、ポツプノイズを遮断することができる。

なお、上記実施例ではソレノイド駆動時のミユ
ーテイング回路を示したが、ソレノイド駆動回路
をラジオ受信機のバンド切換え回路や、電源オ
ン・オフ用のスイツチ回路等に置き換えてもよ
い。

また、ミユーテイング用スイツチング素子７と
しては、他の半導体、例えば電界効果型トランジ
スタ（FET）等でもよいし、リレー等の電磁的
なスイツチでもよい。

以上説明したように、本考案においては、ソレ
ノイド等の負荷を操作スイツチのオンと同時に一
定時間通電するコンデンサの放電電流を利用し
て、前記操作スイツチのオンと同時にミユーテイ
ング動作を行つているスイツチング素子を、該操
作スイツチのオフ後も一定時間動作させ続けるよ
うにしたので、負荷を一定時間駆動する遅延回路
をミユーテイング時間確保用の遅延回路とを兼用
させることができ、従つて回路構成がコンパクト
になり、しかもミユーテイング開始時間の遅れも
解消することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来のミユーテイング回路の回路図、
第２図は本考案の維持よりなるミユーテイング回
路の回路図、第３図Ａは操作スイツチ・オン時の
電流の説明図および第３図Ｂは操作スイツチ・オ
フ時の電流の説明図である。 １……操作スイツチ、２……遅延回路、７……
ミユーテイング用スイツチング素子、８……信号
回路。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 電源に接続された操作スイツチと、該操作スイ
   ツチの非電源側に接続された遅延回路を構成する
   コンデンサと、該コンデンサに接続された前記コ
   ンデンサと共に遅延回路を構成する抵抗と、前記
   コンデンサを介して流れるラツシユ電流によりオ
   ンする駆動素子と、該駆動素子のオンにより動作
   するソレノイド等の負荷と、前記操作スイツチの
   非電源側に接続され、該操作スイツチのオン時か
   ら前記遅延回路の前記コンデンサによる放電時間
   の間、音響機器の信号回路よりの信号をミユーテ
   イングするミユーテイング用スイツチング素子と
   を具備したことを特徴とする音響機器のミユーテ
   イング回路。