JPS641574Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は車両の手動変速機をフロアシフト方式
により変速操作するための装置、特に前進第１速
と前進第２速との切り換えを円滑に行うための装
置に関するものである。

従来技術とその問題点 従来、この種の変速操作装置としては、例えば
特公昭52−1458号公報に記載のように、歯車変速
装置を変速操作するための複数本のフオークシヤ
フトと、手動によりセレクト操作およびシフト操
作されるシフトレバーと、シフトレバーにより直
接または中間部材を介して間接的に作動されるイ
ンナレバーと、フオークシヤフトのヘツド部に設
けられ、インナレバーと係合する係合溝とを備
え、シフトレバーのセレクト操作により複数本の
フオークシヤフトのうちの１本が選択され、シフ
トレバーのシフト操作によりその選択されたフオ
ークシヤフトが軸方向に移動して変速切り換えを
行うようにしたものが知られている。

この場合、前進第１速と前進第２速とを得るフ
オークシヤフトと、前進第３速と前進第４速とを
得るフオークシヤフトとが相隣接して平行に配置
されており、第１速シフト時には第７図のように
第１速，第２速用の係合溝２０に嵌り込んだイン
ナレバー２１が、セレクトリターンスプリングに
よつて第３速用のフオークヘツド部２２に当たつ
ている。

この状態から、第８図のように第２速へシフト
しようとすると、コントロール系のガタや運転者
のシフト操作方向の傾きなどにより、インナレバ
ー２１が中立位置を通過するときに第３速，第４
速用の係合溝２３に若干嵌り込み、インナレバー
２１が第４速のフオークヘツド部２４と干渉して
円滑なシフトができないという問題があつた。

考案の目的 本考案はかかる従来の問題点に鑑みてなされた
もので、その目的は、少なくとも前進第１速第２
速へのシフトを円滑に行うことができる変速機の
変速操作装置を提供することにある。

考案の構成 上記目的を達成するために、本考案は、前進第
１速と前進第２速とを得るフオークシヤフトの係
合溝の少なくとも第２速側に、インナレバーの落
ち込み部を設けたものである。

すなわち、第１速から第２速へシフトアツプす
るとき、インナレバーが係合溝の落ち込み部へ嵌
合してインナレバーの横方向（セレクト方向）の
動きを規制し、コントロール系のガタ等があつて
もインナレバーが第４速のフオークヘツド部と干
渉しないようにしたものである。

実施例の説明 図面は本考案にかかる変速機のシフトレバーを
フオークシヤフトと直接係合せしめた方式の実施
例を示す。

第１図〜第７図において、歯車ケース１には図
示しない歯車変速装置が収納されており、この歯
車変速装置の後方にシフトレバー２が設けられて
いる。シフトレバー２は中央部に半球状の球面部
２ａを有し、この球面部２ａが歯車ケース１の球
面座１ａに着座してシフト方向Ａとセレクト方向
Ｂとに動作可能となつている。

歯車ケース１内部には、シフトレバー２と連動
して歯車変速装置を変速状態に応じて切り換える
ため、例えば３本のフオークシヤフト３，４，５
が軸方向移動可能に配設されている。これらフオ
ークシヤフト３，４，５のうち、中央のフオーク
シヤフト４のヘツド部４ａ，４ｂには上方に開口
した前進第３速，第４速用の係合溝７が形成さ
れ、両側のフオークシヤフト３，５のヘツド部３
ａ，５ａには、対向面にそれぞれ前進第１速、第
２速用の係合溝６と前進第５速，後退用の係合溝
８とが形成されている。

シフトレバー２の下端部にはインナレバー９が
一体に形成されており、第３図に示すように各係
合溝６，７，８が横方向に一列に並んだ中立位置
で、シフトレバー２のセレクト操作によりインナ
レバー９がいずれかの係合溝と選択的に係合する
ようになつている。例えばインナレバー９が第１
速，第２速用の係合溝６に係合した状態で、シフ
トレバー２を第１図左側にシフトすると第１速の
変速機状態であり、右側にシフトすると第２速状
態となる。また、インナレバー９が第３速，第４
速用の係合溝７に係合した状態で、シフトレバー
２を第１図左側にシフトすると第３速の変速状態
であり、右側にシフトすると第４速状態となる。
さらに、インナレバー９が第５速，後退用の係合
溝８に係合した状態で、シフトレバー２を第１図
左側にシフトすると第５速の変速状態であり、右
側にシフトすると後退状態となる。その結果、シ
フトパターンは第４図のようになる。

上記構成の変速操作装置において、第１速，第
２速用の係合溝６の第２速側には、第３図に示す
ようにインナレバー９の落ち込み部１０が形成さ
れており、第１速から第２速にシフトアツプする
ときインナレバー９が第４速用のフオークヘツド
部４ｂと干渉しないようにしてある。

第１速から第２速へのシフトアツプ動作を第５
図，第６図について説明すると、第１速状態では
第５図に示すようにインナレバー９が第１速，第
２速用の係合溝６に嵌り込んでいるが、図示しな
いセレクトリターンスプリングにより左方へ付勢
され、インナレバー９は第３速用のフオークヘツ
ド部４ａに当たつている。この状態からシフトレ
バー２を第２速方向へシフトすると、インナレバ
ー９の一端部が落ち込み部１０に嵌合するため、
第６図のように中立位置を通過するときも第６図
左方への動きが規制され、第４速用のフオークヘ
ツド部４ｂと干渉することがない。

従来では、コントロール系のガタや運転者のシ
フト操作方向の傾きがあると、インナレバーが第
４速のフオークヘツド部と干渉してゴリゴリ感が
あつたり、あるいはシフトパターン形状の間口を
有するガイドプレートとシフトレバーとの間で引
掛りがあつたりするが、本考案では落ち込み部１
０でインナレバー９を位置決めしているので、上
記ゴリゴリ感や引掛りがなく、円滑なシフト操作
が可能となる。

なお、上記実施例では、運転上最も頻繁に操作
される第１速から第２速へのシフト操作を円滑に
するため、第１速，第２速用の係合溝６の第２速
側に落ち込み部１０を設けたが、これに加えて第
３図破線で示すように第１速側にも落ち込み部１
０′を設けてもよい。この場合には、第２速から
第１速へのシフトダウン時にインナレバー９が第
３速用のフオークヘツド部４ａと干渉するのを防
止できる。

また、本考案は上記実施例のような前進５段，
後退１段のシフトパターンを有する手動変速機に
限らず、第１速，第２速が同一直線上に並んだ形
式の手動変速機であればいかなるものにも適用で
きる。

さらに、本考案の変速操作装置は、シフトレバ
ーにフオークシヤフトの係合溝と係合するインナ
レバーを一体に形成した形式のものに限らず、実
開昭48−77572号公報に記載のように、シフトレ
バーの動きをロツドやレバーなどの中間部材を介
してインナレバーに伝える形式のものにも適用で
きる。

考案の効果 以上の説明で明らかなように、本考案によれば
前進第１速と前進第２速とを得るフオークシヤフ
トの係合溝の少なくとも第２速側に、インナレバ
ーの落ち込み部をけたので、第１速から第２速へ
のシフトアツプ時にインナレバーが第４速用のフ
オークヘツド部と干渉せず、円滑なシフト操作が
可能となる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案にかかる変速操作装置の一例の
要部側面図、第２図は第１図の−線断面図、
第３図は第２図の−線断面図、第４図はシフ
トパターンを示す図、第５図、第６図は第１速か
ら第２速へのシフトアツプ動作を示す図、第７
図、第８図は従来の第１速から第２速へのシフト
アツプ動作を示す図である。 ２……シフトレバー、３，４，５……フオーク
シヤフト、３ａ，４ａ，４ｂ，５ａ……フオーク
ヘツド部、６，７，８……係合溝、９……インナ
レバー、１０……落ち込み部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 歯車変速装置を変速操作するための複数本のフ
   オークシヤフトと、手動によりセレクト操作およ
   びシフト操作されるシフトレバーと、シフトレバ
   ーにより直接または中間部材を介して間接的に作
   動されるインナレバーと、フオークシヤフトのヘ
   ツド部に設けられ、インナレバーと係合する係合
   溝とを備え、シフトレバーのセレクト操作により
   複数本のフオークシヤフトのうちの１本が選択さ
   れ、シフトレバーのシフト操作によりその選択さ
   れたフオークシヤフトが軸方向に移動して変速切
   り換えを行うようにした変速機において、前進第
   １速と前進第２速とを得るフオークシヤフトの係
   合溝の少なくとも第２速側に、インナレバーの落
   ち込み部を設けたことを特徴とする変速機の変速
   操作装置。