JPH0438129Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ＜産業上の利用分野＞ この考案は、主として大型車両および特殊車両
に好適なシフトレバー装置に関するものである。

＜従来の技術＞ オートトランスミツシヨンなどに用いられるシ
フトレバー装置のシフトレバーは、ニユートラル
位置から最高速位置に至るまで、クリツクストツ
パ機構によりその作動に節度がもたらされ、各シ
フトポジシヨンに正確にレバー位置が位置決めさ
れるようになつている。

＜考案が解決しようとする問題点＞ しかしながら、前記クリツクストツパ機構は、
固定側に設けた鋸歯状のストツパ部に対する可動
側のクリツクストツパの結合であり、ストツパ部
の山をクリツクストツパが越え、谷部を安定点と
することによつて作動に節度をもたらす構造であ
る。

したがつて、この構造では強くシフトレバーを
引くと、クリツクストツパが次の山を越えてしま
うため、例えばシフトアツプ時にはニユートラル
位置から最高速位置まで直接シフトされる場合が
生じたり、シフトダウン時には最高速位置からニ
ユートラル位置まで直接シフトされる場合が生ず
る惧れがあつた。

シフトアツプ時でのこの種の現象は、エンジン
のノツキングやミツシヨンに過負荷をもたらし、
またシフトダウン時においてはエンジンのオーバ
ーランや同じくミツシヨンに対する過負荷を生じ
させる。

したがつて、この種のシフトレバー装置を、特
に慣性が大きく作用するトラツクやバスなどの大
型車両に用いた場合には、エンジンやミツシヨン
の摩耗が大となる惧れがあつた。

この考案は、以上の問題点に鑑みなされたもの
であつて、シフトアツプおよびシフトダウン操作
時におけるポジシヨン飛び現象を防止し、エンジ
ンの出力特性に応じた車両の要求特性を順次適合
させるようにしたシフトレバー装置を提供するこ
とを目的とするものである。

＜問題点を解決するための手段＞ 上記の目的を達成するために、この考案のシフ
トレバー装置は、ブラケツトに回動可能に枢支さ
れたシフトレバーと、このシフトレバーの側部に
開口したデイテント溝と、前記シフトレバーの側
部にあつて、前記デイテント溝内に突出してその
上縁に係止するデイテントピンと、前記シフトレ
バーの頂部にあつて、前記デイテントピンを下降
させるロツク解除用ボタンとを備えたシフトレバ
ー装置において、前記デイテント溝上縁の前記シ
フトレバーの各シフトポジシヨンに応じた位置
に、前記デイテントピンをガイドするテーパ面
と、どちらか一方向への移動を阻止する鋸歯状の
逆止面を有する谷部を形成すると共に、前記デイ
テント溝下縁の前記上縁の谷部と谷部の間に対応
する位置に、前記デイテントピンの下降時に当接
してこのデイテントピンを次ポジシヨン側にガイ
ドするテーパ面と、前記上縁の逆止面と同方向の
鋸歯状の逆止面とを有する谷部を形成したことを
特徴とする。

＜実施例＞ 以下、この考案のシフトレバー装置の一実施例
を図面を用いて詳細に説明する。

第１図はこの考案に係るシフトレバー装置を示
す側断面図である。

図において、このシフトレバー装置は、車体の
フロア開口面に固定されるブラケツト１と、この
ブラケツト１の両側部を貫通して設けられた枢支
軸２に下端を取付けられ、この枢支軸２を旋回中
心とするシフトレバー３と、前記ブラケツト１内
にあつて前記シフトレバー３の側部に隣接配置さ
れたポジシヨンプレート４と、前記ブラケツト１
の上面の開口部にフランジ結合されたカバー５
と、このカバー５の上面の開口に固定され、かつ
前記シフトレバー３のシフト位置を表示する表示
板６とから概略構成されている。

前記ポジシヨンプレート４の前部側（図におい
て左側に表わされる）には、前記枢支軸２を旋回
中心とする扇形の開口部４ａがプレス打抜きによ
り開口され、その扇形内周縁に鋸歯状のストツパ
部４ｂが形成されている。

また、ポジシヨンプレート４の後部側（図にお
いて右側に表わされる）にはデイテント溝４ｃが
切られている。

これらストツパ部４ｂおよびデイテント溝４ｃ
には、シフトレバー３に設けたクリツクストツパ
７およびデイテントピン８が夫々当接し、各変速
レンジにおける位置決めと固定を行つている。

前記クリツクストツパ７は、シフトレバー３の
前端に扇形連結プレート９を介して固定されたガ
イドスリーブ１０と、このガイドスリーブ１０内
に介挿された圧縮コイルバネ１１と、この圧縮コ
イルバネ１１の先端にあつて前記ストツパ部４ｂ
に押圧付勢されるボール１２とからなつている。

前記デイテントピン８は、シフトレバー３に形
成された長孔３ａに直交して挿通されたもので、
シフトレバー３内に介在された図示しないスプリ
ングにより常時上位置に付勢されていると共に、
シフトレバー３の上端に設けたノブ１３の側部に
突出するロツク解除用ボタン１４の操作に連繋し
て下降する構成となつている。

前記シフトレバー３は、第２図の如くニユート
ラル位置Ｎを中心として、前進側に３速、すなわ
ちF1，F2，F3の各シフトポジシヨン、後進側に
３速、すなわちR1，R2，R3の各シフトポジシヨ
ンで、これに連結された電気スイツチの電気信号
（図示省略）を通じて変速機側のチエンジ機構に
正しく変速操作動力が伝わるようになつている。

ここで、前記ストツパ部４ｂの鋸歯形状は、各
シフトポジシヨンR3，R2，R1，Ｎ，F1，F2，
F3で谷となるように設定され、各シフトポジシ
ヨン毎にクリツクストツパ７が谷部にクリツク的
に入り込むことにより、節度あるポジシヨン移動
と操作感を伴つた精度のよい位置決め状態を得る
ことができるようになつている。

また、前記デイテント溝４ｃの上縁形状は、ニ
ユートラル位置Ｎおよび各シフトポジシヨンF1，
F2，F3，R1，R2，R3位置で谷部４c1〜４c4を
形成している。各谷部４c1〜４c4はその底部より
シフトアツプ方向に向けてテーパ面、シフトダウ
ン方向に向けて鋸歯状の逆止面となつている。

一方、前記デイテント溝４ｃの下縁形状は、ニ
ユートラル位置ＮとシフトポジシヨンF1，R1と
の間に谷部４c5が、シフトポジシヨンF1，R1と
シフトポジシヨンF2，R2との間に谷部４c6が、
またシフトポジシヨンF2，R2とシフトポジシヨ
ンF3，R3との間に山部４c7が夫々形成され、か
つ上縁側と同様に、シフトアツプ方向に向けてテ
ーパ面、シフトダウン方向に向けて鋸歯状の逆止
面となつている。

したがつて、シフトダウン時において、例えば
ロツク解除用ボタン１４を押さずにF3（R3）→
F2（R2）のポジシヨンにシフトさせると、デイテ
ントピン８は谷部４c3の逆止面に当接するため、
シフトダウン時のポジシヨン飛びはなくなる。

そして、F2（R2）→F1（R1）またはF1（R1）→
Ｎにシフトさせる時には、ロツク解除用ボタン１
４を押してデイテントピン８を下降させる必要が
生ずる。

例えばデイテントピン８がR2→R1にシフトダ
ウンする場合について第３図の拡大図を参照して
説明する。

デイテントピン８が谷部４c3に係止している状
態でロツク解除用ボタン１４を操作してデイテン
トピン８を下降させつつシフトレバー３を矢印方
向に引くと、デイテントピン８は下縁側のテーパ
面に当接し、これにガイドされてさらに下降し、
下縁側谷部４c6の逆止面に当接し、これ以上の移
動は停止する。そこで、ロツク解除用ボタン１４
を離してデイテントピン８を上昇させると、デイ
テントピン８は次のシフトポジシヨンR1である
谷部４c2に至るテーパ面に当接し、さらにシフト
レバー３の矢印方向への位置操作によりデイテン
トピン８はシフトポジシヨンR1である谷部４c2
の逆止面に位置し、ここに係止されることにな
る。これはR1（F1）→Ｎまでのシフトの場合も同
様である。

なお、シフトアツプ時では、ロツク解除用ボタ
ン１４を押さずともシフトレバー３を引くことに
より、デイテントピン８をテーパ形状に沿つて次
のシフトポジシヨンに移動させることが可能であ
る。

また、本実施例ではシフトダウン時におけるポ
ジシヨン飛びの除去を優先すべく、デイテント溝
４ｃにシフトダウン方向の逆止形状を形成した。

しかしながら、シフトアツプ方向に対するポジ
シヨン飛びの除去を優先する場合には、逆止形状
を図で示したのとは逆に形成すればよい。

＜効果＞ 以上、実施例によつて詳細に説明したように、
この考案のシフトレバー装置によれば、シフトダ
ウンまたはシフトアツプ時において、各シフトポ
ジシヨンごとにシフトが行われるので、シフトダ
ウン時のポジシヨン飛びによるエンジンのオーバ
ーランやミツシヨンに対する過負荷、あるいはシ
フトアツプ時のエンジンのノツキングや同じくミ
ツシヨンに対する過負荷がなく、シフト時におい
てエンジンの出力特性に応じた車両の要求特性を
順次適合させることができる。

また、本考案のシフトレバー装置は、デイテン
ト溝の形状変更だけで対応できるため、構造が簡
単で別部材を用いる必要がなく、製造上の誤差が
少ないばかりか、高精度、高品質、かつ低コスト
で製造することができる。

したがつて、この考案のシフトレバー装置は、
特に慣性の大きなトラツク、バスなどの大型車両
にとつて好適である。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案に係るシフトレバー装置を示
す側断面図、第２図はポジシヨンプレートのデイ
テント溝形状を示す要部側面図、第３図は同じく
作動を説明する一部拡大図である。 １……ブラケツト、３……シフトレバー、４…
…ポジシヨンプレート、４ｃ……デイテント溝、
４c1〜４c7……谷部、８……デイテントピン、１
４……ロツク解除用ボタン。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ブラケツトに回動可能に枢支されたシフトレバ
   ーと、このシフトレバーの側部に開口したデイテ
   ント溝と、前記シフトレバーの側部にあつて、前
   記デイテント溝内に突出してその上縁に係止する
   デイテントピンと、前記シフトレバーの頂部にあ
   つて、前記デイテントピンを下降させるロツク解
   除用ボタンとを備えたシフトレバー装置におい
   て、前記デイテント溝上縁の前記シフトレバーの
   各シフトポジシヨンに応じた位置に、前記デイテ
   ントピンをガイドするテーパ面と、どちらか一方
   向への移動を阻止する鋸歯状の逆止面を有する谷
   部を形成すると共に、前記デイテント溝下縁の前
   記上縁の谷部と谷部の間に対応する位置に、前記
   デイテントピンの下降時に当接してこのデイテン
   トピンを次ポジシヨン側にガイドするテーパ面
   と、前記上縁の逆止面と同方向の鋸歯状の逆止面
   とを有する谷部を形成したことを特徴とするシフ
   トレバー装置。