JPS641532Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、アウタケーシングにインナケーブル
を摺動自由に挿通して押し引き両方向若しくはい
ずれか一方の操作力を伝達するようにしたコント
ロールケーブルのアウタケーシングの端末をフレ
ーム等の固定部材に固定する装置に関する。

例えば、自動車の変速機と操作レバーを連結し
て操作力を伝達する伝達部材として、可撓性を有
するアウタケーシングにインナケーブルを摺動自
由に挿通して押し引き両方の力を伝達するように
したプツシユプルタイプのコントロールケーブル
が用いられているが、そのアウタケーシングの端
末をミツシヨンケース等のフレームに直に固定す
ると、エンジンの振動がアウタケーシングからイ
ンナケーブルに伝達され、その端末に連結された
操作レバーが振動して運転者に不快感を与える欠
点があり、このため従来は、アウタケーシングの
端末に、外周面に鍔を完成した内筒を固着して鍔
の外周に環形のゴム製クツシヨンを嵌着するとと
もに、クツシヨンの外周に外筒を嵌着してその外
筒をフレームに固定し、フレームの振動をクツシ
ヨンで吸収することによつて振動がコントロール
ケーブルに伝達するのを防止する手段が講じられ
ている。

振動を吸収するためのゴム製のクツシヨンは、
硬度が低く、また、質量が大きいほど吸振性が高
くなるのであるが、インナケーブルが押し引きさ
れるとアウタケーシングに引張力若しくは圧縮力
が作用し、これに伴つてアウタケーシングの端末
に固着した内筒の鍔と外筒の間に挟まれたクツシ
ヨンが繰り返し圧縮荷重を受け、しかも、エンジ
ンの熱によつて高温に曝されるため、クツシヨン
を軟いゴムで形成すると、早期に疲労破壊するお
それがあり、これに対してクツシヨンを硬いゴム
で形成すれば、耐久性は向上するものの吸振性が
不十分となるのであつて、これを改善するにはク
ツシヨンの径を大きくして質量を増加させる必要
があるが、このようにすると装置が大型化する欠
点があつた。

なお、上記した事情は、押し引き何れか一方の
操作力を伝達するようにしたコントロールケーブ
ルについても同じように存在する。

本考案は、叙上の点に鑑み成されたものであつ
て、吸振性及び耐久性に優れ、しかも、装置を小
嵩にまとめることができるようにしたコントロー
ルケーブルの端末固定装置を提供することを目的
とするものである。

以下、本考案装置を自動車の変速機と操作レバ
ーとを連結するケーブルの端末固定部分に適用し
た実施例について第１図に基づいて説明する。

図において、１は可撓性を有するアウタケーシ
ングであつて、合成樹脂製のライナ２の周りに多
数本の細鋼線からなるストランド３を形成し、そ
の外周を合成樹脂製のジヤケツト４で被覆した構
造になり、撚り線からなるインナケーブル６をラ
イナ２内に摺動自由に挿通することにより、押し
引き両方向の操作力を伝達するコントロールケー
ブル８が構成されている。

アウタケーシング１の端末には、外周面に２つ
の鍔１１，１２を長さ方向に間隔をおいて突設し
た金属製の内筒１０がかしめ付けにより固着され
ており、両鍔１１，１２の内側には、天然ゴム等
のゴム硬度が50゜程度の硬度の低いゴムからなり、
かつ、肉厚が厚くて質量が大きい筒形の第１クツ
シヨン１４が、その外周面の両端部に形成した突
出環を両鍔１１，１２の外周面上に被せて緊密に
嵌着されているとともに、鍔１１及び１２の外側
には、クロロプレンゴム（CR）若しくはエチレ
ンプロピレンゴム（EPDM）等のゴム硬度が60゜
程度の硬度の高いゴムからなり、かつ、肉厚が薄
い環形の第２クツシヨン１５及び１６が、夫々の
外周面を前記第１クツシヨン１４の外周面と一致
する位置まで突出させて緊密に嵌着されている。

これらの第１クツシヨン１４及び第２クツシヨ
ン１５，１６の外周には、左端部に径の小さい取
付部１９を突成し、かつ、右端部を開放した金属
製の外筒１８が緊密に嵌装され、その奥端面に左
側の第２クツシヨン１５の端面が当てられている
とともに、右側の第２クツシヨン１６の端面に係
止環２２が当てられ、外筒１８の開放端を内側に
折り曲げることによつて係止環２２が抜け出さな
いように保持されており、この外筒１８の取付部
１９が図示しないフレームに突成されたブラケツ
ト２５の取付溝２６に嵌入され、その取付部１９
の外周に凹成された係合溝２７に、彎曲した脚部
２９を有するコ字形のばね部材２８を嵌入するこ
とにより、外筒１８がブラケツト２５に固定され
ている。

前記した内筒１０の左端部の内周面に形成され
た球形凹面３１には、スリーブ３２の球形頭部３
３が嵌合されて首振り自由に支持されており、こ
の内筒１０の外周と前記外筒１８の取付部１９の
内周の間に、バンド３６によつてスリーブ３２に
締め付けられたゴム製の筒形のシール３５が緊密
に嵌入されているとともに、スリーブ３２内には
ロツド３８の一部が摺動自由に嵌入され、その内
端面に形成された盲孔３９にアウタケーシング１
の端末から突出したインナケーブル６の端末がか
しめ付けにより固着されており、ロツド３８の突
出端が図示しない変速機の操作軸に連結されてい
る。

インナケーブル６の他端に連結された操作レバ
ーに操作力を加えてインナケーブル６に押し引き
運動させると、スリーブ３２が球形頭部３３を中
心として僅かに首を振りつつインナケーブル６に
連結されたロツド３８がスリーブ３２内で摺動し
て、操作軸に押し引き運動が伝達されるのである
が、ブラケツト２５に取り付けられた外筒１８と
アウタケーシング１の端末に固着された内筒１０
の間に第１クツシヨン１４及び第２クツシヨン１
５，１６が介装され、特に、鍔１１，１２の内側
に介装された第１クツシヨン１４は、硬度が低く
て吸振性に優れたゴムで形成されており、しか
も、その質量が大きいため、ブラケツト２５が振
動してその振動が外筒１８に伝わつても、主に第
１クツシヨン１４がその振動を吸収し、従つて、
アウタケーシング１１からインナケーブル６を介
して操作レバーに振動が伝わるのが防止されるの
であり、また、インナケーブル６の押し引きに伴
つてアウタケーシング１に引張力若しくは圧縮力
が作用すると、右側の鍔１２と係止環２２で挟ま
れた右側の第２クツシヨン１６と、左側の鍔１１
と外筒１８の奥端面で挟まれた左側の第２クツシ
ヨン１５が交互に圧縮されるのであるが、これら
の第２クツシヨン１５及び１６は硬度が高くて圧
縮強さに優れたゴムで形成されているため、高温
下で繰り返し圧縮荷重が作用しても疲労破壊する
おそれが少なく、しかも硬度が低くて圧縮強さに
劣る第１クツシヨン１４は、鍔１１と１２の内側
に嵌着されていて、アウタケーシング１に引張力
若しくは圧縮力が作用したときに圧縮荷重を受け
ることがないから、第１クツシヨン１４及び第２
クツシヨン１５，１６全体としての耐久性が確保
されるのである。

上記実施例によつて具体的に説明したように、
本考案のコントロールケーブルの端末固定装置
は、アウタケーシングにインナケーブルを摺動自
由に挿通したコントロールケーブルの前記アウタ
ケーシングの端末に、外周面に２つの鍔を長さ方
向に間隔を空けて突設した内筒を固着して該内筒
から前記インナケーブルの端末若しくは該端末に
連結したロツドを突出し、前記内筒の外周に、該
内筒の前記２つの鍔を突設した部分を半径方向及
び長さ方向に夫々前記各鍔との間に間隔を空けて
取り囲む外筒を嵌装し、前記２つの鍔の間の前記
内筒の外周面と前記外筒の内周面との間に、硬度
が低く吸振性に優れたゴムからなる第１クツシヨ
ンを介装するとともに、前記２つの鍔と前記外筒
の両端部との間に、硬度が高く圧縮強さに優れた
第２クツシヨンを介装し、前記外筒をフレーム等
の固定部材に固定したことを要旨とするものであ
つて、アウタケーシングの端末に固着した内筒
と、フレーム等の固定部材に固定した外筒との間
にクツシヨンを介装するに際し、内筒の外周面に
２つの鍔を突成して、２つの鍔の間に硬度が低く
て吸振性に優れたゴムからなる第１クツシヨンを
介装したことにより、固定部材の振動が第１クツ
シヨンで十分に吸収され、コントロールケーブル
に振動が伝達されるのを阻止できるとともに、２
つの鍔と外筒の両端部との間に硬度が高くて圧縮
強さに優れたゴムからなる第２クツシヨンを介装
したことにより、インナケーブルの押し若しくは
引き運動によつてアウタケーシングに引張力若し
くは圧縮力が作用するのに伴つて生ずる圧縮荷重
が、これらの第２クツシヨンに作用することとな
つて、高温下で繰り返し圧縮荷重を受けても疲労
破壊するおそれが少なくなるため、クツシヨン全
体の耐久性を確保することができ、さらに、硬度
の低い第１クツシヨンを介装したことによつて、
クツシヨンの質量を極端に大きくする必要がない
から、装置を小嵩にまとめることができる効果を
奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例の断面図である。 １：アウタケーシング、６：インナケーブル、
８：コントロールケーブル、１０：内筒、１１，
１２：鍔、１４：第１クツシヨン、１５，１６：
第２クツシヨン、１８：外筒、１９：取付部、２
５：ブラケツト、３８：ロツド。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. アウタケーシングにインナケーブルを摺動自由
   に挿通したコントロールケーブルの前記アウタケ
   ーシングの端末に、外周面に２つの鍔を長さ方向
   に間隔を空けて突設した内筒を固着して該内筒か
   ら前記インナケーブルの端末若しくは該端末に連
   結したロツドを突出し、前記内筒の外周に、該内
   筒の前記２つの鍔を突設した部分を半径方向及び
   長さ方向に夫々前記各鍔との間に間隔を空けて取
   り囲む外筒を嵌装し、前記２つの鍔の間の前記内
   筒の外周面と前記外筒の内周面との間に、硬度が
   低く吸振性に優れたゴムからなる第１クツシヨン
   を介装するとともに、前記２つの鍔と前記外筒の
   両端部との間に、硬度が高く圧縮強さに優れた第
   ２クツシヨンを介装し、前記外筒をフレーム等の
   固定部材に固定したことを特徴とするコントロー
   ルケーブルの端末固定装置。