JPH028096Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は、アウタケーシングにインナケーブル
を摺動自由に挿通して押し引き両方向若しくはい
ずれか一方向の操作力を伝達するコントロールケ
ーブル、特に、アウタケーシングが平鋼線を螺旋
状に密着巻きしたチユーブを含むコントロールケ
ーブルにおいて、コントロールケーブルの一端に
加わつた振動がチユーブを介して他端に伝わるの
を防止するコントロールケーブルの防振装置に関
する。

従来の技術及び考案が解決しようとする問題点 アクセルペダルをキヤブレタに連結して操作力
を伝達するアクセルケーブルとして用いられるコ
ントロールケーブルは、平鋼線を螺旋状に密着巻
きしたチユーブの内周面に合成樹脂製のライナを
嵌挿するとともに、チユーブの外周を合成樹脂製
のジヤケツトで被覆したアウタケーシング内にイ
ンナケーブルを摺動自由に挿通した構造になり、
アウタケーシングの一方の端末を運転室とエンジ
ン室とを隔絶するパネルに固定して、その端末か
ら突出したインナケーブルの一方の端末をアクセ
ルペダルに連結するとともに、アウタケーシング
の他方の端末をエンジンケースに突設したブラケ
ツトに固定して、その端末から突出したインナケ
ーブルの他方の端末をキヤブレタの作動部材に連
結するようになつているが、コントロールケーブ
ルのキヤブレタ側の端末に加わつたエンジンの振
動が、アウタケーシングの振動を良く伝達するチ
ユーブを介してペダル側の端末に伝達され、ペダ
ルが振動して不快音を発したり、また、パネルが
振動することにより運転室内にこもり音が発生し
て運転者に不快感を与える不具合があつた。

なお、このような事情は、上記のアクセルケー
ブルに限らず、クラツチケーブルのように、振動
する部材に連結され、かつ、アウタケーシングが
平鋼線からなるチユーブを含む構造の他のコント
ロールケーブルについても同様にいえることであ
る。

本考案は、叙上の点に鑑み成されたものであつ
て、アウタケーシングが平鋼線からなるチユーブ
を含む構造のコントロールケーブルにおいて、そ
の一端に加わつた振動が他端に伝達されるのを防
止するようにしたコントロールケーブルの防振装
置を提供することを目的とするものである。

実施例 以下、本考案をアクセルケーブルに適用した実
施例について説明する。

第１図において、アクセルケーブル１は、平鋼
線２を螺旋状に密着巻きしたチユーブ３の内周面
に合成樹脂製のライナ４を嵌挿するとともに、そ
のチユーブ３の外周を合成樹脂製のジヤケツト５
で被覆したアウタケーシング６内に、撚り線から
なるインナケーブル７を摺動自由に挿通した構造
になり、このアクセルケーブル１のキヤブレタ側
の端末部分において、アウタケーシング６のジヤ
ケツト５を一定長さ切除して、剥き出しとなつた
チユーブ３を、その先端部３ａの数巻きを密着巻
きのまま残して軸線方向に引き伸ばすことによつ
て、平鋼線２の間に隙間を有する疎巻部３ｂを形
成し、チユーブ３の先端部３ａからライナ４の端
末を突出させて、その突出部分を図示しないエン
ジンケースに取り付けられた金属製の筒形取付具
９の中心孔１０内に緊密に嵌入するとともに、チ
ユーブ３の先端部３ａを、筒形取付具９の一端面
に形成した取付孔１５内に嵌入してかしめ付けに
より固着し、ライナ４内を通すて筒形取付具９の
他端部から突出したインナケーブル７の端末を、
キヤブレタの作動部材に連結するとともに、アウ
タケーシング６のペダル側の端末に固着した筒形
取付具をパネルに固定して、その筒形取付具から
突出したインナケーブル７の端末をアクセルペダ
ルに連結するようになつている。

上記のように、アウタケーシング６のチユーブ
３の端末に疎巻部３ｂを設けたことによつて、こ
の疎巻部３が、素線間に間隔を空けて螺旋巻きし
たコイルばねと同様に軸線方向及び軸線と直角方
向に弾性変形する吸振材として作用し、ブラケツ
ト１７を介して筒形取付具９に伝わつた振動の軸
線方向及び軸線と直角方向の両成分がチユーブ３
の疎巻部３ａで吸収されて減衰し、チユーブ３の
ジヤケツト４で被覆された部分に伝達される振動
が極く小さいものとなり、従つて、アウタケーシ
ング６のペダル側の端末が振動するのが防止され
て、その端末が固定されたパネルの振動、及び、
アウタケーシング６の振動に伴つてインナケーブ
ルが振動することによるペダルの振動も防止され
る。

また本実施例においては、筒形取付具９の一端
部とアウタケーシング６のジヤケツト５の端末と
の間に、チユーブ３の疎巻部３ｂを覆うようにし
てテーパの付されたゴム製のプロテクタ２１が嵌
着されていて、チユーブ３の疎巻部３ｂによつて
筒形取付具９の振動が吸収されて減衰するのに加
えて、プロテクタ２１を嵌着したことによつて、
筒形取付具９の取付孔１５から中心孔１０内に、
また、チユーブ３とライナ４の間からアウタケー
シング６内に水や紛塵が侵入するのが防止されて
錆等の発生を防止できるとともに、プロテクタ２
１の内周面とチユーブ３の疎巻部３ｂの外周面が
摩擦接触することによつて振動の減衰効果を高め
ることができ、さらに、プロテクタ２１の筒形取
付具９側の肉厚を厚くして曲げ剛性を高くしたこ
とによつて、筒形取付具９との接続部分が小さな
半径で屈曲されるのが防止される。

また、本考案は、アクセルケーブルに限らず、
クラツチケーブル等の振動の吸収が要求される他
のコントロールケーブルにも適用することが可能
である。

考案の構成及び作用効果 上記実施例によつて具体的に説明したように、
本考案のコントロールケーブルの防振装置は、平
鋼線を螺旋状に密着巻きしたチユーブの内周に合
成樹脂製のライナを嵌装するとともにチユーブの
外周に合成樹脂製のジヤケツトを被着したアウタ
ケーシングにインナケーブルを摺動自由に挿通し
て押し引き両方向若しくはいずれか一方の操作力
を伝達するようにしたコントロールケーブルにお
いて、アウタケーシングの一端部の一定長にわた
つてジヤケツトを切除し、その切除部分の先端部
を筒形取付具に嵌入して固定するとともに、切除
部分の筒形取付具から突出した部分のチユーブを
軸方向に伸長して平鋼線間に隙間を設け、かつ、
筒形取付具の端部からジヤケツトの端部にかけて
切除部分を、筒形固定具側からジヤケツト側に向
かつて徐々の細くなるテーパーを付して弾性材料
からなるプロテクタで覆つたことを要旨とするも
のであつて、コントロールケーブルの一端に加わ
つた振動が平鋼線からなるチユーブを介して伝わ
るのが、その途中でチユーブの平鋼線に隙間を設
けた部分の弾性変形により吸収されて減衰し、そ
の振動がコントロールケーブルの他端に伝達され
るのを防止し得るとともに、ジヤケツトを切除
し、かつ、その切除部分のチユーブを構成する平
鋼線を伸長して隙間を設けたことによる曲げ剛性
の低下をプロテクタの装着により防止し、かつ、
プロテクタにテーパを付したことにより付根部分
の剛性を高めて滑らかにわん曲させることができ
る効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例の断面図である。 １……アクセルケーブル、２……平鋼線、３…
…チユーブ、３ｂ……疎巻部、６……アウタケー
シング、７……インナケーブル。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 平鋼線を螺旋状に密着巻きしたチユーブの内周
   に合成樹脂製のライナを嵌装するとともに前記チ
   ユーブの外周に合成樹脂製のジヤケツトを被着し
   たアウタケーシングにインナケーブルを摺動自由
   に挿通して押し引き両方向若しくはいずれか一方
   向の操作力を伝達するようにしたコントロールケ
   ーブルにおいて、前記アウタケーシングの一端部
   の一定長にわたつて前記ジヤケツトを切除し、該
   切除部分の先端部を筒形取付具に嵌入して固定す
   るとともに、前記切除部分の前記筒形取付具から
   突出した部分の前記チユーブを軸方向に伸長して
   前記平鋼線間に隙間を設け、かつ、前記筒形取付
   具の端部から前記ジヤケツトの端部にかけて前記
   切除部分を、前記筒形固定具側から前記ジヤケツ
   ト側に向かつて徐々に細くなるテーパを付した弾
   性材料からなるプロテクタで覆つたことを特徴と
   するコントロールケーブルの防振装置。