JPS637719Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、振動系における２部材間に装着され
て振動減衰機能を果たすブツシユに係り、特に、
内筒金具と外筒金具との間にゴムが介在せしめら
れている筒状タイプのブツシユに関するものであ
る。

このようなブツシユにおいて、内筒金具及び外
筒金具に対するゴムの界面・接着強度を高めるた
めに、外筒金具の縮径により、予めゴムに予備圧
縮力を付与しておくことが行なわれている。

一方、ゴムの耐久性などを高める上で、内筒・
外筒両金具の間のゴムに、更にインタースリーブ
を介在させて三重筒構造とし、それによりバネ定
数を高めてゴムの過大な変形を抑制することが有
効とされている。

ところで、そのようなインタースリーブを含む
ブツシユについて、外筒金具を縮径してゴムの予
備圧縮状態を得ようとする場合、外筒金具とイン
タースリーブとの間のゴム層には十分な圧縮力が
作用するが、インタースリーブと内筒金具との間
のゴム層には圧縮力が有効に作用せず、それ故内
側のゴム層の接着強度が不十分となり易いうらみ
がある。

もつとも、外筒金具を縮径し、且つ内筒金具を
拡径することにより、インタースリーブを介して
内外のゴム層に両方向から予備圧縮をかけること
も考えられなくはないが、二重の工数を要してコ
ストの著しい増大を招く他、内外のゴム層の圧縮
程度を均衡させることや、内筒金具及び外筒金具
の寸法管理に困難性がつきまとう。

本考案の目的は、外筒金具の縮径（絞り）だけ
でも、インタースリーブを介して内側・外側のゴ
ムに有効な予備圧縮力を付与し得るブツシユを提
供することにある。

その目的を達成するために、本考案にあつて
は、上記インタースリーブの両端部から互いに他
方の端部側に延びる複数のスリツトを、周方向に
おいてそれぞれ交互に形成すると共に、インター
スリーブの一方の端部側のスリツトと他方の側の
スリツトとが、軸心に平行な方向において所定の
重なり部分を有するようにしたことにある。

このようにすれば、外筒金具を縮径する場合、
かかる複数のスリツトの存在によつて、インター
スリーブを容易に縮径させることができ、内筒金
具寄りのゴム層にも圧縮力を有効に付与し得るた
め、インタースリーブの存在に拘らず、ゴム全体
にわたつて効果的に予備圧縮が加えられたブツシ
ユを得ることができるのである。

以下、本考案の実施例を図面に基づいて詳細に
説明する。

第１図において、２は円筒状の内筒金具であ
り、その外側に同じく円筒状の外筒金具４が同心
的に配置され、それら内筒・外筒両金具２，４の
間に、防振用のゴム６が充填せしめられている。
更に、そのゴム６内には、円筒状のインタースリ
ーブ８が上記金具２，４の間に位置するように同
心的に配置されている。このインタースリーブ８
は、ゴム６を内側のゴム層１０と外側のゴム層１
２とに分断して、主に軸心に直角な方向のバネ定
数を高め、ゴム６の過大な変形を抑制する機能を
果たすものである。

そして、インタースリーブ８には、第２図から
明らかなように、複数（本実施例では５本ずつ）
のスリツト１４及び１６が、スリーブ８の両端部
から互いに他方の端部側に延びるように、それぞ
れ設けられている。スリツト１４及び１６の各々
は、スリーブ８の両側開口端からその軸心（中心
線）に平行な方向に沿つて形成され、且つ一方の
側の開口端から延びるスリツト１４と他方の側の
開口端から延びるスリツト１６とが、周方向にお
いて等角度間隔で交互に設けられている。しか
も、それらスリツト１４，１６の各先端が、軸心
に平行な方向において相手側の先端より更に深い
部位まで入り込んでおり、かかる方向で所定の重
なり部分を有している。換言すれば、寸法ｌの範
囲でスリツト１４，１６が互いに重複するように
されているのである。

このようなインタースリーブ８は、金属製円筒
素材にスリツト１４，１６を溝加工することによ
つても得られるが、第３図に示されるように、プ
レス加工によりインタースリーブ８を展開した形
状のスリーブ素材１８を打ち抜き、その打ち抜き
で同時にスリツト１４，１６を形成すると共に、
その素材１８を円筒状に丸めることにより容易に
得ることができる。また、インタースリーブ８を
樹脂製とすることも可能であり、その場合には、
一体射出成形等によつて簡単に製作し得る。

以上のようなインタースリーブ８を含むブツシ
ユにおいては、第１図に示されるように、インタ
ースリーブ８の内側及び外側にそれぞれ内筒金具
２及び外筒金具４を同心的に配置した状態で、公
知の加硫成形などによつてゴム６をモールデイン
グした後、外筒金具４を縮径（絞り）加工するこ
とにより、ゴム６に予備圧縮を加えることとな
る。

そこで、インタースリーブ８がスリツト１４，
１６を有して、複数の断片状部分に分断された形
態をなしているため、外筒金具４の絞り加工によ
りそれらの各々が内方に変形し易く、また、スリ
ーブ８の任意の周方向で必ずスリツトが介在して
完全な円筒となるところがないから、スリーブ８
の絞り変形が助長され得、しかも、軸方向中央部
にはスリツト１４，１６の重複部分が存在するた
め、その中央部も縮径され易い。従つて、外筒金
具４を縮径することにより、その圧縮作用でイン
タースリーブ８の全体を効果的に縮径させること
ができ、外側のゴム層１２はもちろんのこと、内
側のゴム層１０にもスリーブ８を介して有効に予
備圧縮力を作用させ得、その結果、内筒金具２並
びにスリーブ８に対するゴム層１０の界面強度も
満足に高めることができるのである。

また、インタースリーブ８を均一に縮径させ易
いため、予備圧縮後のゴム６のバネ定数を任意の
半径方向において実質的に均等に設定することが
容易で、そのことが、ひいては外筒金具４の真円
度を高く維持し得ることにもつながるのである。

以上説明した実施例においては、インタースリ
ーブに形成されたスリツトが幅寸法の一定なもの
であつたが、そのスリツト幅を漸次あるいは部分
的に変えて、大きくしたり小さくしたりすること
も可能であり、また、互い違いとなる各スリツト
の重なり部分の範囲は、インタースリーブの材質
や厚さ，強度等を考慮して、適宜に定めることが
望ましい。

更に、スリツトの形成方向は、スリーブの軸心
に平行な方向とするのが好ましいが、実質的にそ
の軸心に平行な方向から大きくかけ離れていなけ
れば、傾斜や曲がりを有していても差支えない。

また、インタースリーブを挾んで内側のゴムと
外側のゴムとの材質や形状等を異ならしめること
も可能であり、それにより動的弾性率や損失係数
の相違するゴムを組み合わせて、所望の特性のブ
ツシユを得ることもできる。

更に付言すれば、予備圧縮のために外筒金具を
縮径するのに代えて、内筒金具を拡径することも
不可能ではなく、そのようにした場合でも、本考
案の目的は同様に達成することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例であるブツシユの断
面図であり、第２図はそのブツシユにおけるイン
タースリーブを取り出して示す斜視図である。ま
た第３図は、そのインタースリーブを得るのに好
適な手法として、そのスリーブの展開形状に打ち
抜いたスリーブ素材を示す平面図である。 ２……内筒金具、４……外筒金具、６……ゴ
ム、８……インタースリーブ、１４，１６……ス
リツト、１８……スリーブ素材。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 内筒金具とその外側に所定の距離を隔てて配置
   した外筒金具との間にゴムを介在せしめてなるブ
   ツシユにおいて、 該ゴム内に同心的に筒状のインタースリーブを
   設け、該インタースリーブの両端部から互いに他
   方の端部側に延びる複数のスリツトを、周方向に
   おいてそれぞれ交互に形成すると共に、該インタ
   ースリーブの一方の端部側のスリツトと他方の端
   部側のスリツトとが、軸心に平行な方向において
   所定の重なり部分を有していることを特徴とする
   ブツシユ。