JPS637282Y2

JPS637282Y2 -

Info

Publication number: JPS637282Y2
Application number: JP1983174943U
Authority: JP
Priority date: 1983-11-11
Filing date: 1983-11-11
Publication date: 1988-03-02
Also published as: JPS6083006U

Description

【考案の詳細な説明】本考案は沈殿法による固液分離に供される沈降
傾斜板に関する。

第１図に示されているように、例えば浄水場等
の沈殿池Ａには、固液沈降分離の効率向上のため
に、該沈殿池Ａ内に設けられた架枠Ｂに多数の沈
降傾斜板１が単段又は多段状（図示例は二段）に
取り付けられることがある。これによれば、固形
汚物を含む汚水が、図中実線矢印のように沈降傾
斜板１の上面に沿つて下降する間に固形汚物の沈
殿が促進されるのに対し、固形汚物の分離された
清浄水が、図中破線矢印のように沈降傾斜板１の
背面に沿つて上昇し、該清浄水と固形汚物との再
攪乱が防止されるので、自然沈降法による場合に
比べて分離効率が向上する。

この種の沈降傾斜板を架枠に取り付ける形式と
して従来より種々のものが提案されているが、そ
の中でも、第２図に示されているフツク形式のも
のが施工面等から便利であることが知られてい
る。即ち、同図のように、フツク形式の沈降傾斜
板１にあつては、該沈降傾斜板１の背面の複数箇
所に鉤形のフツク２が設けられており、これらの
フツク２を、第１図に示した架枠Ｂの横方向に延
びる支持棒B₁に上方から嵌合させて掛止させる
構成となつている。

しかしながら、従来のフツク２にあつては、第
３図のように、その台座部２１と該台座部２１か
ら立ち上げられた掛止部２２との間に形成されて
いる凹所２３の開口幅L₀がその全長に亘つて支
持棒B₁の外径と同一かもしくはそれよりやや小
さ目に設定されていたので、支持棒B₁に対して
フツク２を嵌め込みにくく、しかも嵌め込み後の
使用中に外力の作用によつて離脱し易い難点が指
摘されていた。即ち、第３図仮想線のように沈降
傾斜板１を支持棒B₁に乗せて矢印のように下方
へスライドさせる際、掛止部２２の先端部２２１
が支持棒B₁に当たつて嵌め込みにくい問題があ
り、反面、同図実線のように嵌め込み後は、支持
棒B₁を弾性挾持している掛止部２２が外拡がり
状に弾性変形するので、沈降傾斜板１に作用する
浮力や汚水の波打ち等に起因する外力によつて該
沈降傾斜板１が浮き上がり、それに伴つて支持棒
B₁からフツク２が離脱する心配があつた。特に、
フツク２は沈降傾斜板１の複数箇所に設けられて
いるので、例えば第２図のようにそれら全部のフ
ツク２を上下一対の支持棒B₁，B₁に確実に掛止
させるためには、上述した難点の故に細心の注意
を要し、場合によつては、一部のフツク２が支持
棒B₁に掛止されないまま放置され、沈降傾斜板
１のぐらつき原因となつたり、支持棒B₁に掛止
されている残りのフツク２が一層離脱し易くなる
不都合を生じる。

そこで、本願出願人は、先に、第４図に示され
ているように、例えば掛止部２２の先端部に傾斜
したガイド面２４を設けると共にこのガイド面２
４の終端部に凹所２３の入口部開口幅L₁を支持
棒B₁の外径よりやや小さくする凸部２５を設け
てなるフツク２を提案した。これによれば、フツ
ク２を支持棒B₁に嵌合させる際に、支持棒B₁が
ガイド面２４に当たつて凹所２３内へ呼び込まれ
るのでフツク２を支持棒B₁に対して嵌め込み易
くなり、また、凸部２５を支持棒B₁に押し付け
て掛止部２２を拡がり側へ弾性変形させながら該
凸部２５に支持棒B₁を乗り越えさせることによ
つて凹所２３へ支持棒B₁を嵌め込むと、掛止部
２２がその弾性によつて元位置へ復元すると同時
に凸部２５と支持棒B₁とが対向され、該凸部２
５が抜け止め用ストツパとして作用するようにな
るので、支持棒B₁からフツク２が離脱しにくく
なる。しかしながら、第４図から明らかなよう
に、抜け止め用ストツパとして作用する凸部２５
が概略的には左右対称な山形状に構成されている
ので、掛止部２２を弾性変形させながら該凸部２
５に支持棒B₁を乗り越えさせるときに必要な力
が、支持棒B₁を凹所２３へ嵌め込むときと支持
棒B₁を凹所２３から引き抜くときとでほぼ同一
となる。換言すれば、凸部２５による抜け止め用
ストツパとしての作用を高めれば、それだけ凹所
２３へ支持棒B₁を嵌め込むときに必要な力が大
きくなり、嵌め込み作業がしにくくなる。したが
つて、凸部２５による抜け止め用ストツパとして
の作用を高めるのに制約があつた。

本考案は以上の事情に鑑みてなされたもので、
台座部又は掛止部のいずれか一方又は双方に、支
持棒を凹所へ呼び込む傾斜したガイド面と凹所に
嵌合された支持棒に対向する係合面を有する弾性
変形可能な舌片を設けると共に該舌片の上記係合
面をガイド面よりも急勾配の傾斜面とすることに
よつて、上述した制約を無くすることのできる沈
降傾斜板用フツクを提供することを目的とする。

以下、図示した実施例にしたがつて本考案を説
明する。

第５図に例示されたフツク２は、塩化ビニル等
の合成樹脂によつて上述した沈降傾斜板１と共に
一体成形されたものである。即ち、フツク２の台
座部２１が沈降傾斜板１のリブ１１に膨出状に形
成されており、この台座部２１から立上げられた
掛止部２２は、上記台座部２１との間で支持棒
B₁の外径と同一又は略同一寸法の開口幅を備え
た凹所２３を形成している。そして、この凹所２
３の入口部２３１には、該凹所２３の奥行き方向
（矢印、イ方向）に沿つて上記台座部２１から立
上げられた舌片２６が介在されている。この舌片
２６は側面視において略三角形状をなし、その一
方の傾斜面が支持棒B₁を凹所２３の入口部２３
１に呼び込むためのガイド面２６１とされ、他方
の傾斜面が凹所２３に嵌合した支持棒B₁に対向
する係合面２６２とされている。そして係合面２
６２の勾配がガイド面２６１の勾配よりも大きく
設定されている。具体的には、係合面２６２は台
座部２１に対してほぼ直角に立上がり、ガイド面
２６１はそれに比べて極めて緩かな立上がり勾配
をもつている。また、第６図のように、舌片２６
はやや内側へ傾斜した状態で設けられている。な
お、舌片２６は合成樹脂よりなるから、それ自体
弾性変形可能な構成となつている。

上記構成のフツクを支持棒に掛止させ、該支持
棒に沈降傾斜板を取り付ける場合を説明する。

まず、第７ａ図のように支持棒B₁に対してフ
ツク２の凹所２３の入口部２３１をおおよその見
当を付けて臨ませると、舌片２６のガイド面２６
１が支持棒B₁に当たり、その後は、沈降傾斜板
１の自重及び矢印方向の押し付け力によつて支持
棒B₁がガイド面２６１に沿つて凹所２３内へ呼
び込まれる（案内される。）。このとき、舌片２６
は、第８ａ図のように何ら弾性変形せず、元の形
状を保つている。次に、第７ｂ図矢印のように沈
降傾斜板１を押し下げると、舌片２６が、支持棒
B₁に加えられる押し付け力の反力によつて弾性
変形し、同図及び第８ｂ図のように内側へ湾曲状
に折れ曲がる。この過程を経て舌片２６が支持棒
B₁を乗り越えると、第７ｃ図のように凹所２３
の最奥部に支持棒B₁が取り込まれ、該支持棒B₁
にフツク２が嵌合状に掛止される。これと同時
に、舌片２６は同図及び第８ｃ図のようにそれ自
体の弾性復元力によつて元の形状に復元し、その
係合面２６２が支持棒B₁に対向する。この状態
では、台座部２１からの係合面２６２の立上がり
勾配がほぼ直角をなしている関係上、沈降傾斜板
１が外力を受けて上方へ浮き上がつても、舌片２
６の係合面２６２が支持棒B₁に係合するだけで
舌片２６自体は何ら弾性変形しない。この点は、
凹所２３へ支持棒B₁を嵌め込む段階（第７ｂ
図・第８ｂ図参照）で舌片２６に加えられる力と
同じ大きさの力が係合面２６２に加えられたとし
ても同様である。したがつて、支持棒B₁からの
フツク２の離脱が未然にかつ確実に防止される。
なお、第２図のように、フツク２は沈降傾斜板１
の複数箇所に設けられており、それら全部のフツ
ク２を同時に支持棒B₁に嵌合して掛止させる必
要があるが、その場合でも、上述したところから
明らかなように、１つのフツク２を支持棒B₁に
容易に掛止できるので、全部のフツク２を同時に
支持棒B₁に掛止させることは容易である。

次に、上述したようにフツク２は沈降傾斜板１
と一体成形されたものであるが、その場合に、沈
降傾斜板１のリブ１１の所定箇所を膨出させて山
形状に成形し、その膨出部分の一部を切除して凹
所２３、台座部２１、舌片２６、及び掛止部２２
を形成させると、第６図のように左右一対の舌片
２６が容易に形成される。このように、舌片２６
を凹所２３の奥行き方向に沿つて左右一対設けて
おけば、これらの舌片２６による抜け止め用スト
ツパとしての作用が増長される利点がある。

また、フツクは沈降傾斜板のリブ以外の箇所に
一体に設けることも、あるいは沈降傾斜板に接合
可能な別体のものとすることもできるが、上記実
施例のように沈降傾斜板１のリブ１１に設けてお
けば、沈降傾斜板１を支持棒B₁に取り付けた場
合に、第９図のように支持棒B₁がリブ１１の頂
部相互間に亘つて配設されることになり、その結
果、リブ１１で区画された沈降傾斜板１の背面に
沿う清浄水通路Ｆが該支持棒B₁やフツク２によ
つて堰止められることがなく、清浄水流と汚水流
との再攪乱を生じない効果が発揮される。

上記実施例では、舌片を台座部に設けたものを
説明したが、この点は例えば第１０図のように掛
止部２２に設けても、さらには舌片と掛止部の双
方に設けてもよい。第１０図の場合において、フ
ツク２を沈降傾斜板１と合成樹脂にて一体成形す
るときは、第１１図のようにフツク２の正面視形
状が略台形となるようにすることが便宜であり、
このようにすると、舌片２６は掛止部２２から外
側へ傾斜した状態で立下げられる。したがつて、
凹所２３へ支持棒B₁を嵌め込むときは、第１１
図仮想線のように舌片２６はその弾性変形によつ
て外側へ折り曲げられる。嵌め込み後は同図実線
で示す元位置に弾性復元する。なお、第１０図及
び第１１図で説明したフツク２によつて奏される
作用効果は、第５図〜第９図で説明したものと同
様であり、また、その各構成要素のうち第５図及
び第６図で説明したものに相応するものには同一
符号を付してその説明を省略した。

以上のように本考案による沈降傾斜板用フツク
によれば、フツクを支持棒に掛止させるときに必
要な力よりも、支持棒からフツクを離脱させると
きに必要な力の方が格段に大きくなるので、結
局、沈降傾斜板を支持棒に対して取り付け易く、
取り付け後は離脱しにくいフツクを提供すること
が可能となる。そして、複数のフツクを同時に支
持棒に掛止させる場合でも全部のフツクを容易か
つ確実に掛止させることができる。したがつて、
従来から指摘されていた難点も解消し得る。

【図面の簡単な説明】

第１図は沈降傾斜板の設置状態を示す概略側面
図、第２図は沈降傾斜板の支持棒への取付状態を
示す斜視図、第３図は従来のフツクの形状及び支
持棒への掛止手順を示す説明図、第４図は比較例
としてのフツクの形状を示す側面図、第５図は本
考案実施例によるフツクの斜視図、第６図は同正
面図、第７ａ図〜第７ｃ図は支持棒への掛止手順
を示す説明図、第８ａ図は第７ａ図のＸ−Ｘ線断
面図、第８ｂ図は第７ｂ図のＹ−Ｙ線断面図、第
８ｃ図は第７ｃ図のＺ−Ｚ線断面図、第９図は沈
降傾斜板を支持棒に取り付けた状態の断面図、第
１０図は他の実施例によるフツクの側面図、第１
１図は同正面図である。１……沈降傾斜板、２……フツク、２１……台
座部、２２……掛止部、２３……凹所、２６……
舌片、２３１……凹所入口部、２６１……ガイド
面、２６２……係合面。

Claims

【実用新案登録請求の範囲】

横方向に延びる支持棒に沈降傾斜板を取り付け
るための沈降傾斜板用フツクであつて、台座部と
該台座部との間で上記支持棒に嵌合される凹所を
形成する掛止部とを備え、上記台座部及び掛止部
のいずれか一方又は双方に、上記凹所の入口部開
口幅を上記支持棒の外径より狭くする弾性変形可
能な舌片を上記凹所の奥行き方向に沿つて設け、
この舌片に、上記支持棒を上記凹所の入口部に呼
び込む傾斜したガイド面を有せしめると共に上記
凹所に嵌合した支持棒に対向する係合面を有せし
め、上記係合面の勾配を上記ガイド面の勾配より
も大きくしたことを特徴とする沈降傾斜板用フツ
ク。