JPS63553Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、コンバインやハーベスタの走行装置
として多用されるクローラ装置で、詳しくは、ク
ローラベルトの外周面にベルト回動方向に適宜間
隔を隔てて前記クローラベルト全横巾に亘る状態
でラグを一体連設すると共に、前記クローラベル
トの少なくとも一側辺部でかつ前記ラグの隣接間
部分夫々に、外側方に開放するとともにクローラ
ベルト肉厚方向に貫通する切欠部を形成してある
クローラ装置に関する。

かかるクローラ装置においては、路上走行及び
硬い圃場の走行の時は、クローラベルトのラグが
働いて大きな牽引力を発生させまた対地振動を緩
和させる。又、湿田圃場での走行時、クローラベ
ルトの地面下への沈み込みに伴なつて、接地回動
経路上に位置する切欠部に泥土が相対的に圧入さ
れることにより、いわば、切欠部周辺部で泥土を
抱込んで、大きな牽引力を得ることができるが、
湿田圃場には、団子状に固まり易い上質の湿田圃
場もあれば、団子状に固まりにくい土質の湿田圃
場もあつて、前者湿田圃場においては、切欠部を
介してクローラベルト内周面に次次と乗上げた泥
土が大きな塊に固まつて、戻り経路への反転移動
に伴ない側方に放出され、このように放出された
大きな土塊は、圃場面を荒し、特に、コンバイン
において大きな土塊が未刈地の植立穀稈上に放出
されたとなると、その植立穀稈がその放出土塊に
より押倒されて爾後の刈取りを困難にさせ、又、
その爾後の刈取りにおいてその放出土塊をも切断
してしまつて、刈取装置を損傷する恐れがある。

以上の如く、前記構成のクローラ装置は、団子
状に固まりにくい土質の湿田圃場での走行には非
常に有効であるが、団子状に固まり易い土質の湿
田圃場での走行には、クローラベルトに切欠部が
形成されていないクローラ装置の方が、切欠部の
ない分だけ接地面積が広く、機体の沈みが少ない
ため、有効である。

本考案が解決しようとする技術的課題は、簡単
な構造付加をもつて、湿田圃場の土質条件に応じ
た二種のクローラ形態を容易に現出できるクロー
ラ装置を提供することである。

上記技術的課題を解決するために講じた技術的
手段は、クローラベルトの切欠部存在側の側縁部
に、前記クローラベルトの肉厚方向において前記
ラグを露出させたままで前記切欠部を閉塞する部
材を、クローラベルトの屈曲回動を許容する状態
で離脱可能に取付けることである。

上記技術的手段は、次のように作用する。クロ
ーラベルトから切欠閉塞用部材を離脱させること
により、クローラベルトの切欠部を開放させて大
牽引力を得ることができる。またクローラベルト
に切欠閉塞用部材を装着することにより、切欠部
の位置するクローラベルトの肉厚相当部分を閉塞
し、かつ、クローラベルトのラグの外周面は露出
させたままにすることができ、このラグで大きな
牽引力を発揮させながら、同時にクローラベルト
自体の接地面積を増大させて機体の沈みを少なく
させることができる。

従つて、本考案は次の効果を奏する。切欠部付
クローラベルトと切欠部をもたないクローラベル
トとの両者を用意してそれを付け替えることによ
り、湿田圃場の土質条件に応じるための二種のク
ローラ形態を現出する場合に比較して、経済的
に、かつ、作業面で容易に二種のクローラ形態を
現出することができるに至つた。

以下、本考案の実施例を図面に基づいて説明す
ると、前部の駆動スプロケツト１，１、トラツク
フレーム２，２後部に装着させたテンシヨン調整
輪３，３及び、前記トラツクフレーム２，２に前
後方向に適宜間隔を隔てて装着させた接地転輪
４，４群に亘つて左右のゴム製クローラベルト
５，５を張設してあるクローラ装置であつて、前
記クローラベルト５，５には、前記駆動スプロケ
ツト１，１に係合する孔ａ，ａ…がベルト回動方
向に適宜間隔を隔てて形成され、クローラベルト
５，５の、係合孔ａ，ａ…の隣接間夫々には、前
記接地転輪４，４…に横方向で係合可能な脱輪防
止用突起６ａ，６ａ…対を一体連設した芯金６，
６…が埋設され、クローラベルト５，５の外周面
で、前記芯金６，６…に相当する位置夫々には、
ラグ７，７…がクローラベルト５，５全横巾に亘
る状態に一体連設されている。又、前記クローラ
ベルト５，５の相対向しない一側辺部で、かつ、
前記ラグ７，７…の隣接間部分夫々には、外側方
に開放するとともに、クローラベルト５，５肉厚
方向に貫通する切欠部８，８…が形成されてい
る。

而して、前記クローラベルト５，５の前記切欠
部８，８…存在側の側縁部に、前記クローラベル
ト５の肉厚方向において、前記切欠部８の存在す
るクローラベルト５の肉厚相当部分を閉塞する部
材９，９を離脱可能に取付けてある。

前記切欠閉塞用部材９，９は、クローラベルト
５，５の回動方向全長に亘つて無端帯状に構成さ
れるとともに、ゴム材料をもつてクローラベルト
５，５の屈曲回動を許容する状態、つまり、クロ
ーラベルト５，５とともに屈曲回動するものに構
成され、かつ、前記クローラベルト５，５の内周
面側において切欠部８，８…を閉塞する無端帯状
板部９Ａと、クローラベルト５，５の外周面側に
おいてラグ７，７…の付根部に回動方向で係合す
る状態で切欠部８，８を閉塞する断続板部９Ｂ…
及び、前記無端帯状板部９Ａに断続板部９Ｂ…を
繋ぐ板部９Ｃ…とを有する。

又、前記切欠閉塞用部材９，９は、ボルト１０
…ナツト１１…を介してクローラベルト５，５の
隣接芯金６，６…間部分に固定される状態で、か
つ、ボルト１２…を介して前記芯金６…に固定さ
れる状態でクローラベルト５，５に取付けられる
ものである。

上記構成によれば、水が多く、泥土が団子状に
固りにくい湿田圃場においては、切欠閉塞用部材
９，９を取外すのであつて、切欠部８，８…内に
泥土が圧入されて、切欠部８，８周辺部で泥土が
抱き込まれ、牽引力が増す。又、水が少なく泥土
が団子状に固まり易い湿田圃場においては、切欠
閉塞用部材９，９を取付けるのであつて、切欠部
８，８…を通して泥土がクローラベルト５，５内
周面上へ乗上り、団子状に固まることを防止でき
る。

第５図、第６図は夫々、別の実施例を示す。

第５図に示す別実施例は、実施例における繋ぎ
板部９Ｃを、切欠部８…を埋めてこの切欠部８の
回動方向両側に位置するクローラベルト５部分に
係合するものに構成したものである。

第６図に示す別実施例は、前記切欠閉塞用部材
９をクローラベルト５の内周面側においてのみ切
欠部８…を閉塞するものに構成したものである。
尚、この場合、図中仮想線で示すように、切欠閉
塞用部材９に、切欠部８に係合する部分９Ｄを一
体形成することが望ましい。

尚、実施例では、外側辺部に切欠部８を有する
クローラベルト５について説明したが、本考案
は、内側辺部に切欠部８を有するクローラベルト
５や両側辺部に切欠部８，８を有するクローラベ
ルト５にも適用できる。

又、実施例では、切欠閉塞用部材９を、クロー
ラベルト５への着脱を容易化する上で、無端帯状
に構成したが、切欠閉塞用部材９としては、切欠
部８を個々に閉塞するものであつても良い。

尚、実用新案登録請求の範囲の項に図面との対
照を便利にする為に符号を記すが、該記入により
本考案は添付図面の構造に限定されるものではな
い。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案に係るクローラ装置の実施例を示
し、第１図は側面図、第２図は拡大平面図、第３
図、第４図は夫々、第２図での−線、−
線断面図、第５図、第６図は夫々、別の実施例を
示す断面図である。 ５……クローラベルト、６……芯金、７……ラ
グ、８……切欠部、９……切欠閉塞用部材。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ クローラベルト５の外周面にベルト回動方向
   に適宜間隔を隔てて前記クローラベルト５全横
   巾に亘る状態でラグ７…を一体連設すると共
   に、前記クローラベルト５の少なくとも一側辺
   部でかつ前記ラグ７…の隣接間部分夫々に、外
   側方に開放するとともにクローラベルト５肉厚
   方向に貫通する切欠部８を形成してあるクロー
   ラ装置において、前記クローラベルト５の前記
   切欠部８存在側の側縁部に、前記クローラベル
   ト５の肉厚方向において前記ラグ７…を露出さ
   せたままで前記切欠部８を閉塞する部材９を、
   クローラベルト５の屈曲回動を許容する状態で
   離脱可能に取付けてある事を特徴とするクロー
   ラ装置。 ２ 前記切欠閉塞用部材９が、クローラベルト５
   の回動方向全長に亘つて無端帯状に構成された
   ものである実用新案登録請求の範囲第１項に記
   載のクローラ装置。 ３ 前記切欠閉塞用帯状部材９が、クローラベル
   ト５に埋設した芯金６に固定連結される状態で
   クローラベルト５に取付けられるものである実
   用新案登録請求の範囲第１項又は第２項のいず
   れかに記載のクローラ装置。