JP4121172B2 - クローラベルト - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、主としてセミクローラ型トラクタの主推進用として使用されるクローラベルトに関する。
【0002】
【従来の技術】
周知のように、セミクローラ型トラクタは、操向前輪にタイヤ車輪を使用するとともに、後輪に代えてクローラ走行装置を使用したものであり、フルクローラ型トラクタに比較して操向性能に優れるとともに、一般のホイール型トラクタに比較して推進性能および牽引性能に優れているという特徴を有している。ここで使用されるクローラ走行装置は、例えば特開平8‐207837号公報中に開示されているように、トラクタ本機の駆動軸に取り付けた駆動スプロケットと、前後の遊転輪に亘ってクローラベルトを3点掛け状態に巻回張設するとともに、前後の遊転輪の間において接地圧を受ける複数の転輪を配備して構成されている。そして、クローラベルトとしては、コンバインや運搬車などの他のクローラ型作業機に使用されているのと同様に、湿田での機体沈下を抑制しながら十分な推進機能を得ることができるように、横幅が広く、大きい接地面積が確保できるものが使用されていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、畝立てされた畑作地での中間管理作業や収穫作業は、従来より、ホイール型のトラクタによっていたのであるが、栽培計画や作物成育条件、出荷計画、等によって雨中、あるいは排水不良な状態においても作業を行わねばならないこともあり、このような場合、ホイール型のトラクタで濡れた畝間を走行すると、車輪でスリップが発生して作業性が著しく低下することがあった。そこで、このような畝立てされた畑作地での作業走行に推進性能に優れたセミクローラ型トラクタを導入することが考えられた。
【0004】
しかし、上述したように、田植え前の代掻き作業など、湿田作業を対象として構成された現状のセミクローラ型トラクタは、幅の広いクローラベルトを使用しているので、そのまま畝間を走行すれば畝を崩してしまうことになる。また、クローラベルトの幅を畝間に合わせてむやみに狭くすれば、推進性能が低下してしまって、セミクローラ型トラクタを導入する意味が無くなってしまうことにもなりかねず、未だ畑作地での畝間走行に好適なクローラベルトが開発されていないのが実情である。
【0005】
本発明は、このような実情に着目してなされたものであって、畝を踏み崩すことなく確実良好に畝間走行を行うのに好適なクローラベルトを提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
〔請求項1に係る発明の構成、作用および効果〕
【0007】
(構成) 請求項1に係る発明は、ゴム材からなるベルト本体に芯金をベルト周方向に一定ピッチで埋設するとともに、各芯金のベルト幅方向中間部位からベルト内周面側に転輪案内用の左右一対の芯金突起を突設し、この芯金突起の横外側箇所に位置するベルト本体内周面に転輪が転動移動する転輪軌道面を形成し、かつ、ベルト本体の外周面には、前記芯金と重複するように推進ラグをベルト幅全幅に亘って一体突設してあるクローラベルトであって、
前記芯金の外端が前記転輪軌道面の横外端より少し横外方に突出するように芯金のベルト幅方向での長さを設定するとともに、転輪軌道面の横外端と前記推進ラグにおける接地側端面の横外端とをベルト幅方向で近接させ、かつ、推進ラグにおける接地側端面の外端とベルト本体の外端とをつなぐ推進ラグ横側端面を数十度の角度で切上げ形成し、
前記推進ラグの接地側端面には、前記転輪軌道面の裏面側に位置する部位で、かつ、その接地側端面の横外端を含む箇所に、ベルト周方向での幅が他の部位よりも広い端部幅広部分を形成して、この端部幅広部分が形成された部位におけるベルト周方向での推進ラグの厚みを、前記端部広幅部分よりも中央側寄り位置の推進ラグの厚みよりも大きくしてあることを特徴とする。
【0008】
(作用) 上記構成によると、ベルト本体内周面に転輪が転動移動する際にベルトに働く転輪荷重は、推進ラグにおける接地端側端面の全横幅あるいはこれに近い横幅で接地支持されることになり、推進ラグを十分地面に食い込ませることができる。また、数十度の角度に切上げ形成された推進ラグ横側端面は高い畝の底部近くの側面に近い傾斜となるので、例えばベルト全幅を300mm程度の幅狭いものにするとともに、推進ラグにおける接地端側端面の全横幅を100数十mmに設定しても、クローラベルトで畝の側面を大きく踏み崩すことはない。
また、上記構成によると、推進ラグの接地側端面には、前記転輪軌道面の裏面側に位置する部位に、ベルト周方向での幅が他の部位よりも広い端部幅広部分を形成してあるので、推進ラグの内、転輪荷重を直接的に受ける部位の強度が高くなる。
【0009】
(効果) 従って、請求項1に係る発明のクローラベルトによれば、踏み崩しなく畝間を走行できる程度の小さい横幅にベルト幅を設定しても、十分な推進力を確保することができ、雨中あるいは雨上がりの濡れた畝間でもスリップの発生なく良好に走行することができ、各種の管理作業や収穫作業を天候や圃場条件に左右されることなく計画通り遂行することができるようになった。
また、推進ラグの内、転輪荷重を直接的に受ける部位の強度が高いものとなり、耐久性に優れたものとなる。
【0010】
〔請求項2に係る発明の構成、作用および効果〕
【0011】
(構成) 請求項2に係る発明は、請求項1の発明において、前記推進ラグ横側端面を凸曲した湾曲面に形成してある。
【0012】
(作用・効果) 上記構成によると、推進ラグ横側端面を直線的に切上げ形成した場合に比較して、推進ラグの推進方向での面積が大きくなり、その分推進力が増大して、請求項1の発明の上記効果を助長する。
【0013】
【0014】
【0015】
【0016】
〔請求項3に係る発明の構成、作用および効果〕
【0017】
(構成) 請求項3に係る発明は、請求項1または2記載の発明において、前記推進ラグの高さをベルト本体の厚さよりも大きく設定してある。
【0018】
(作用・効果) 上記構成によると、推進ラグの推進方向での面積が大きくなり、ベルト幅を狭くしても十分な推進力を得ることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
図1および図2に、本発明に係るクローラベルトを用いたセミクローラ型トラクタが示されている。このセミクローラ型トラクタは、4輪駆動型のトラクタをセミクローラ型に仕様変更したものであり、キャビン付きのトラクタ本機1の前部に操向可能な左右一対の前輪2を備えるとともに、機体後部に主推進装置として左右一対のクローラ走行装置3を備え、機体後部に図示しない三点リンク機構を介して収穫装置や中間管理用の作業装置を連結するよう構成されている。
【0020】
前記クローラ走行装置3は、トラクタ本機1における後部ミッションケース4に後輪駆動用として備えられた後車軸5に連結した大径の駆動スプケット6と、トラックフレーム7の前後に備えられた遊転輪8,9、およびトラックフレーム7の長手方向に並列配備された複数の転輪10に亘ってクローラベルト11を巻回張設して構成されたものであり、畑地における畝Uの間を走行するために前輪2のトレッドとほぼ同一のトレッドに配備されている。
【0021】
本発明は、前記クローラベルト11に特徴を有するものであり、以下このクローラベルト11について詳細に説明する。
【0022】
このクローラベルト11は、ゴム材で無端状に成形されたベルト本体12に芯金13がベルト周方向に一定ピッチで埋設されるとともに、各芯金13の間に駆動スプケット6に対する噛み合い孔14が開口され、かつ、各芯金13のベルト幅方向中間部位からベルト内周面側に転輪案内用の左右一対の芯金突起13aが突設され、この芯金突起13aの間を駆動スプロケット6および前後の遊転輪8,9が通過するよう構成されている。また、各芯金突起13aの横外側箇所に位置するベルト本体内周面には転輪10が転動移動する偏平な転輪軌道面Sが形成されるとともに、ベルト本体12の外周面には、各芯金13と表裏に重複するように、ベルト本体12の厚さより高い推進ラグ15がベルト幅全幅に亘って一体突設されている。
【0023】
ここで、前記芯金13の外端は前記転輪軌道面Sの横外端aより少し横外方に突出するように芯金13のベルト幅方向での長さが設定されるとともに、転輪軌道面Sの横外端aが前記推進ラグ15における接地側端面Tの横外端bより若干外側に位置するよう設定され、かつ、推進ラグ15における接地側端面Tの横外端bとベルト本体12の外端cとをつなぐ推進ラグ横側端面Eが約50°の角度αで切上げ形成されるとともに、この推進ラグ横側端面Eが大きい曲率で凸曲した湾曲面に形成されている。また、推進ラグ15における転輪軌道面Sの裏面側に位置する部位dが他の部位よりも周方向に幅広に形成されている。
【0024】
因みに、ベルト横幅w1 を280mm、ベルト厚さt1 を46mm、推進ラグ15の高さt2 を50mm、転輪軌道面Sの横幅w2 を190mm、推進ラグ15における接地側端面Tの横幅w3 を160mmに設定するとともに、接地側端面Tの横外端位置bにおける接線の水平線に対する角度βを約30°に設定すると、畝Uを踏み崩すことなく、かつ、十分な推進力でもって良好に畝間走行を行うことができるクローラベルト11を構成することができた。
【0025】
本発明は、以下のような形態に変形して実施することもできる。
[1] 転輪軌道面Sの横外端aと推進ラグ15における接地側端面Tの横外端bとをベルト幅方向で一致させた状態、あるいは、接地側端面Tの横外端bが外転輪軌道面Sの横外端aより若干外側に外れた状態で実施することもできる。要は、転輪軌道面Sの横外端aと推進ラグ15における接地側端面Tの横外端bとがベルト幅方向で近接していればよい。
[2] 推進ラグ横側端面Eは凸曲した湾曲面に限定されるものではなく、数十度の角度αで直線的に切上げ形成してもよい。
[3] クローラベルト11における各部の具体的な寸法は、畝間寸法などに応じて適宜設定変更できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 セミクローラ型トラクタの全体側面図
【図2】 セミクローラ型トラクタの後面図
【図3】 クローラベルトの外周面の一部を示す平面図
【図4】 クローラベルトの一部を示す側面図
【図5】 クローラベルトの内周面の一部を示す平面図
【図6】 クローラベルトの一部を示す縦断側面図
【図7】 クローラベルトの芯金間における縦断正面図
【図8】 クローラベルトの芯金部位における縦断正面図
【図9】 クローラベルトの外周面の一部を示す斜視図
【符号の説明】
12 ベルト本体
13 芯金
13a 芯金突起
15 推進ラグ
E 推進ラグ横外側端面
T 推進ラグ接地側端面
S 転輪軌道面
a 転輪軌道面の横外端
b 推進ラグ接地側端面の横外端
c クローラベルトの外端
α 切上げ角度
Claims (3)
- ゴム材からなるベルト本体(12)に芯金(13)をベルト周方向に一定ピッチで埋設するとともに、各芯金(13)のベルト幅方向中間部位からベルト内周面側に転輪案内用の左右一対の芯金突起(13a)を突設し、この芯金突起(13a)横外側箇所に位置するベルト本体内周面に転輪(10)が転動移動する転輪軌道面(S)を形成し、かつ、ベルト本体(12)の外周面には、前記芯金(13)と重複するように推進ラグ(15)をベルト幅全幅に亘って一体突設してあるクローラベルトであって、
前記芯金(13)の外端が前記転輪軌道面(S)の横外端(a)より少し横外方に突出するように芯金(13)のベルト幅方向での長さを設定するとともに、転輪軌道面(S)の横外端(a)と前記推進ラグ(15)における接地側端面(T)の横外端(b)とをベルト幅方向で近接させ、かつ、推進ラグ(15)における接地側端面(T)の外端とベルト本体(12)の外端とをつなぐ推進ラグ横側端面(E)を数十度の角度で切上げ形成し、
前記推進ラグ(15)の接地側端面(T)には、前記転輪軌道面(S)の裏面側に位置する部位で、かつ、その接地側端面(T)の横外端(b)を含む箇所に、ベルト周方向での幅が他の部位よりも広い端部幅広部分(d)を形成して、この端部幅広部分(d)が形成された部位におけるベルト周方向での推進ラグ(15)の厚みを、前記端部広幅部分(d)よりも中央側寄り位置の推進ラグ(15)の厚みよりも大きくしてあることを特徴とするクローラベルト。 - 前記推進ラグ横側端面(E)を凸曲した湾曲面に形成してある請求項1記載のクローラベルト。
- 前記推進ラグ(15)の高さをベルト本体(12)の厚さよりも大きく設定してある請求項1または2記載のクローラベルト。
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JPH11208539A JPH11208539A (ja) | 1999-08-03 |
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-
1998
- 1998-01-26 JP JP01262398A patent/JP4121172B2/ja not_active Expired - Lifetime
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