JPS6352886B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は水を加熱して湯を沸す器具に関し、特
に水を確実に沸騰させた後に加熱装置への給電を
断つ湯沸し器に関するものである。

従来例の構成とその問題点 一般に、茶やコーヒー、紅茶の抽出に用いる湯
は、沸騰させたものが好ましい。沸騰させた後に
加熱体への給電を断つ湯沸し器の構成として、水
温を検知する方式があつたが、この場合、水の沸
点は１気圧下で100℃であり、極めて精度の高い
検知装置を要し、実質上沸騰制御は困難であつ
た。また沸騰時に急速に発生する蒸気を検知する
方式も考えられていたが、この場合、沸騰前に発
生する蒸気による誤動作を防止するために、水を
収容する容器から本体の外部へ蒸気通路を導出
し、この導出開口部近傍に蒸気検知素子が設けら
れていた。この方式では、器体が大きくなるとい
う欠点や、複雑な蒸気通路を構成するために高価
になるという欠点を有していた。

発明の目的 本発明は上記従来の欠点を解消し、構成が極め
て簡単で、確実に水を沸騰させた後に加熱装置へ
の給電を断つ構成の湯沸し器を提供することを目
的とするものである。

発明の構成 上記目的を達成するために本発明は、液体を収
容する容器と、この容器の底部に設けた加熱装置
と、前記容器の上方部に設けられ、かつ端部に蒸
気検知素子を設け、筒部を略２分する隔壁をもち
容器側に開口を有する取付筒と、前記容器の上面
を覆い、かつ蒸気の吐出口を有する蓋体と、通気
孔を有する遮蔽板とを有し、前記蓋体と遮蔽板に
より隔室を形成するとともに、前記略２分された
取付筒の開口部と隔壁とを小孔で連通させたもの
で、この構成により、容器内の水が沸騰するまで
は蒸気検知素子を低い温度に保ち、かつ沸騰によ
り急激に発生する蒸気を通気孔より蒸気検知素子
に当てて沸騰を検知し通電を制御できるものであ
る。

実施例の説明 以下、本発明の一実施例を添付図面にもとづい
て説明する。第１図〜第５図において、１は筒状
の容器外胴で、その上端開口部に注口２を固定
し、かつ下端に底板３を一体に装着している。４
は注口２に回動自在に取付けられた把手である。
５は注口２に開閉自在に取付けられた上蓋で、こ
の上蓋５は背部５ａを支点とし、前面嘴部５ｂの
両側面に設けたロツクつまみ６により開閉自在に
止着されている。またこの上蓋５の中央部には上
面開口の円筒部５ｃを設け、かつこの円筒部５ｃ
内には上下摺動可能な押し板７を備えている。８
は押し板７の上下摺動を規制するロツクリング
で、切換レバー９と係合しており、押し板７の上
下動を選択できるようになつている。

１０は押し板７の下部に備えたベローズポンプ
で、上面を上板１１に、下面を蓋カバー１２に超
音波溶着等で取付けることにより、密閉してい
る。また上板１１の中央には通気口１１ａを有し
ており、前記押し板７が下動したとき、押し板７
と一体的に係合した蒸気カバー１３の中央に設け
た押しリブ１３ａの下端でこの通気口１１ａを閉
じ、かつ押し板７が上動した時通気口１１ａを開
口し得る可動弁１４が設けられている。この可動
弁１４と上板１１の下部１１ｂとの間には、可動
弁１４の復帰用コイルバネを介在させている。ま
た上板１１の下部１１ｂと蓋カバー１２の上面部
１２ａとの間にはベローズポンプ１０の復帰用コ
イルバネ１５を介在させている。１２ｂは前記蓋
カバー１２の上面部１２ａの略中央に設けた噴出
口であり、蓋パツキン１６により樹脂製の蓋体１
７の吐出口１７ａと連通している。１８は上板１
１に設けた通気口１１ａと蒸気カバー１３とを気
密的に連通させる連通パツキングである。また蒸
気カバー１３の上方開口部１３ｂは、押し板７に
設けた蒸気孔７ａに対向している。

１９は容器外胴１内に装備された有底の容器
で、この容器１９の上端にはフランジ部１９ａを
有し、容器パツキング２０を介して注口２に支持
されている。容器１９の上面に載置された前記蓋
体１７には、中央部に蒸気を排出する吐出口１７
ａと、転倒流出防止弁２１を内蔵した弁室２２を
有している。またこの蓋体１７の下面にはステン
レス鋼板等で形成された遮蔽板２３がねじ等によ
り固定されており、この蓋体１７と遮蔽板２３に
より隔室Ａが形成されている。

２４は防水パツキングで、容器１９と蓋体１７
を気密的に保持している。２５は弁室２２から容
器１９の底部に伸設された昇水パイプであり、そ
の上端は、容器１９の外方に伸設し、かつその先
端を下方向に開口した注出口２６ａを備えた注出
パイプ２６と弁カバー２７を介して弁室２２にお
いて連結している。

２８は遮蔽板２３の底部に設けたＬ字状通路を
有する通気孔で、その先端は一部切除されてい
る。２３ｃはこの通気孔２８より小径の排滴孔で
ある。

２９は容器１９の上方部に設けられ、かつ端部
に蒸気検知素子を設け、ポリサルホン樹脂等によ
り構成された取付筒で、この取付筒２９は第４
図、第５図の詳細図から明らかなように容器１９
の内部にＯリング３０を介して鍔部２９ａを臨ま
せ、かつ筒部２９ｂは容器１９に設けた孔部より
外方へ伸設している。また筒部２９ｂに設けたス
トツパー部２９ｃに回転移動により引つかけ固定
する取付金具３１と容器１９の間に取付けた取付
バネ３２により水密的に設けられている。また鍔
部２９ａの両端の接触リブ２９ｄは遮蔽板２３と
接触または近接しており、かつ中央部はわずかな
隙間ｃを有している。取付筒２９の筒部２９ｂの
内部は、先端の一部を除き、略２分される隔壁２
９ｅが設けられ、この２分された開口に対応して
遮蔽板２３には透孔２３ａ，２３ｂが設けられ、
そして一方の透孔２３ａに前記通気孔２８の開口
が対向して設けられている。

３３は取付筒２９の先端にサーモパツキング３
４を介して設けた蒸気検知素子であり、約80℃〜
95℃にOFF温度が設定された手動復帰式のサー
モスイツチが用いられ、サーモカバー３５を取付
金具３１にねじ等で取付けることにより、感熱面
が取付筒２９内に露出して設けられている。また
サーモパツキング３４と取付筒２９の当接面は傾
斜しており、蒸気検知素子３３とサーモパツキン
グ３４のシールはラジアル方向でもより確実とな
つている。

３６は容器外胴１に固定された表示板で、内部
中央には前記注出口２６ａより出る湯を器体外へ
導く導水管３７が設けられているとともに、前面
にはサーモスイツチ３３をONにセツトする操作
レバー３８が設けられている。３９は水位ゲージ
窓である。

４０は容器１９の底部外周面に設けたバンド形
の加熱装置で、湯沸し用ヒーター４０ａと、保温
用ヒーター４０ｂを一体に内蔵している。この加
熱装置４０の上部近傍には、サーモスイツチ３３
と並列に湯沸し用サーモスタツト４１が結線さ
れ、これと直列に保安用サーモスタツト４２が配
設されている。４３ａは保温用ヒーター４０ｂを
制御するサーマルリードスイツチ、４３ｂは温度
ヒユーズであり、押さえバネ４４により容器１９
の底面に押圧保持されている。４５は電気接続
器、４６は裏板である。なお、電気回路は第６図
に示す如くである。

次に上記構成における作用について説明する。
まず容器１９内に取付筒２９に達しないように水
を入れた後、サーモスイツチ３３をONにセツト
すると加熱装置４０に給電される。そして容器１
９内の水は加熱されて第７図の実線で示すように
水温が上昇する。それと同時に水面と遮蔽板２３
で形成される容器空間Ｂ内の温度は水温よりも遅
い温度上昇となる。したがつて取付筒２９に設け
られたサーモスイツチ３３の温度は、取付筒２９
を介しているので第７図の破線で示すように更に
低い温度で推移する。

容器１９内の水温が95℃程度の温度（t₁時点）
に達するとやや多くの蒸気が出始め、容器空間Ｂ
内の温度は水温近くになり、そして通気孔２８を
通つて蒸気が隔室Ａ内に侵入するが、取付筒２９
内には直接侵入せず、サーモスイツチ３３の温度
を低く保持する。

水温が沸点に達すると（t₂時点）、急激に大量
の蒸気が発生し、容器空間Ｂ内に充満し、更に第
２図および第３図の矢印に示すように、通気孔２
８から遮蔽板２３の透孔２３ａを通つて、取付筒
２９内に侵入し、サーモスイツチ３３を急速に昇
温させてOFF作動させ、透孔２３ｂより隔室Ａ
に至る。サーモスイツチ３３の動作温度（T₃）
は80〜95℃でOFF作動するように設定されてい
るが、水の沸騰後に急速に昇温するので確実に沸
騰を検知して作動する。

サーモスイツチ３３のOFF作動により加熱装
置４０の湯沸し用ヒーター４０ａへの給電が断た
れた後は、サーマルリードスイツチ４３ｂにより
約95℃の水温に維持される。このため、多量の蒸
気発生はなく、したがつてサーモスイツチ３３の
温度も水温以下に下降する。サーモスイツチの温
度がOFF動作温度以下に下降した後に、再びON
にセツトして作動させると、湯が加熱されて沸騰
し、再び多量の蒸気が発生して前記と同様に、取
付筒２９内の温度を急速に昇温させると同時にサ
ーモスイツチ３３を急速に昇温させてOFF作動
させる。

次に容器１９内の湯を半分程取り出し、水を注
水して再びサーモスイツチ３３をON作動した時
について説明する。

第５図のt₄時点で水を注水すると水温は急速に
温度降下する。サーモスイツチ３３の温度は容器
１９、取付筒２９の残熱の作用により水温より遅
れて下降するが、水温の上昇が始まつても取付筒
２９の周囲温度に維持される。水温が沸点に達す
ると、容器空間Ｂ内に多量の蒸気が充満し、更に
通気孔２８を通つて、取付筒２９に蒸気が侵入し
てサーモスイツチ３３を急速に昇温させてOFF
作動させる。

なお、蓋体１７の吐出口１７ａより出る蒸気は
ベローズ１０、通気孔１１ａを経て蒸気孔７ａよ
り器体外へ排出される。

またサーモスイツチ３３と湯沸し用サーモスタ
ツト４１は湯沸し用ヒーター４０ａと並列回路と
なるように設けているため、サーモスイツチ３２
をセツトせずに通電すると、湯沸し用サーモスタ
ツト４１が水温を検知して95℃前後の湯温になつ
たとき、湯沸し用ヒーター４０ａへの通電を断
ち、湯沸しを完了する。

上記実施例では蒸気検知素子としてサーモスイ
ツチを用いたが、蒸気検知素子としてサーミスタ
等の温度による抵抗変化素子や形状記憶合金を用
いて温度を検知し発熱装置の断電を行なつてもよ
いものである。

発明の効果 以上のように本発明によれば、次のようなすぐ
れた効果を有するものである。

(1) 容器の上方部に蒸気検知素子を備えるととも
に、筒内部を略２分する隔壁をもち容器側に開
口を有する取付筒を設け、かつ蓋体と、通気孔
を有する遮蔽板により隔室を形成するととも
に、前記略２分された取付筒開口部と隔室とを
小孔で連通させているため、容器内の水が沸騰
するまでは蒸気検知素子を低い温度に保ち、か
つ沸騰により急激に発生する蒸気を通気孔より
蒸気検知素子に当てて沸騰を検知することにな
り、その結果、多量の蒸気が発生した後に確実
に加熱装置への給電を断つことができるもので
ある。

(2) 蒸気検知素子は容器の上部に取付けられてい
るため、取付構成が極めて簡素で安価に得られ
る。

(3) 蒸気検知素子は容器内に位置しており、器体
外へ蒸気を噴出することなく、蒸気検知ができ
るため、器体外の蒸気噴出口より吐出する蒸気
を検知する従来方式にくらべ、火傷等のおそれ
がなく、きわめて安全性が高いものである。ま
たエアーポンプ式の湯沸し器においても、従来
方式と同一のポンプ装置が使用できるため、構
成が複雑になることもない。

(4) 取付筒の開口部と遮蔽板の隙間Ｃの大きさを
変えるようにすれば、容器空間Ｂ側からと隔室
Ａ側から侵入する蒸気のバランスを変えること
ができ、その結果、蒸気検知素子に当たる蒸気
のタイミングをずらせ、沸騰時間の設定が自由
にできるものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例を示す湯沸し器の斜
視図、第２図は同湯沸し器の断面図、第３図は同
要部横断面図、第４図は蒸気検知素子の取付構成
を示す分解斜視図、第５図は同取付断面図、第６
図は同湯沸し器の回路図、第７図は同湯沸し器の
各部の温度一時間特性図である。 １７……蓋体、１９……容器、２３……遮蔽
板、２８……通気孔、２９……取付筒、２９ａ…
…鍔部、２９ｂ……筒部、２９ｃ……ストツパー
部、２９ｅ……隔壁、３０……Ｏリング、３１…
…取付金具、３２……取付バネ、３３……蒸気検
知素子、４０……加熱装置。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 液体を収容する容器と、この容器の底部に設
   けた加熱装置と、前記容器の上方部に設けられ、
   かつ端部に蒸気検知素子を設け、筒部を略２分す
   る隔壁をもち容器側に開口を有する取付筒と、前
   記容器の上面を覆い、かつ蒸気の吐出口を有する
   蓋体と、通気孔を有する遮蔽板とを有し、前記蓋
   体と遮蔽板により隔室を形成するとともに、前記
   略２分された取付筒の開口部と隔壁とを小孔で連
   通させてなる湯沸し器。 ２ 蓋体と遮蔽板を一体に結合し容器と着脱自在
   にしてなる特許請求の範囲第１項記載の湯沸し
   器。 ３ 遮蔽板には、２分された取付筒の開口部に対
   向して、２つの透孔を設け、そのうちの１つの透
   孔に対向して通気孔を開口させてなる特許請求の
   範囲第１項記載の湯沸し器。 ４ 取付筒の開口部に鍔部を、筒部外周に適数個
   のストツパー部を設け、前記鍔部にＯリングを介
   して容器内方から筒部を外方へ伸設させるととも
   に、ストツパー部に回転移動により係止する取付
   金具を設け、前記容器外面との間に介在させた取
   付ばねの付勢力により取付筒を容器に水密的に保
   持してなる特許請求の範囲第１項記載の湯沸し
   器。