JPS6352139B2

JPS6352139B2 -

Info

Publication number: JPS6352139B2
Application number: JP349384A
Authority: JP
Inventors: Shinji Sano; Takao Negishi
Original assignee: Toray Industries Inc
Current assignee: Toray Industries Inc
Priority date: 1984-01-13
Filing date: 1984-01-13
Publication date: 1988-10-18
Also published as: JPS60151330A

Description

【発明の詳細な説明】Ａ本発明の目的本発明は合成繊維マルチフイラメント糸の仮撚
加工技術に関する。さらに詳しくはマルチフイラ
メント糸でありながら毛羽に近似したループやス
ナルを有しスパン糸に似た風合と性能を有し、さ
らにフイラメントとしての特性も失つていないと
いう特異な合撚糸に関する。

Ｂ従来技術とその問題点フイラメント糸は紡績糸に比べると少ない工程
で生産することができるため、生産性に関して優
れているというメリツトがあるが、糸条表面が平
滑で単調となりやすく、紡績糸のような嵩高性が
ないため多様性に欠せるというデメリツトがあ
る。

従来フイラメント糸に捲縮加工や流体処理加工
を施すことにより、嵩高性を付与する方法もある
が、紡績糸のもつヨリの微妙な風合をだすことは
できない。また、フイラメント糸に効率よくヨリ
を付与する方法として、交互ヨリに関する技術が
従来からよく知られているが、糸の長手方向のＳ
ヨリとＺヨリが相殺しやすいために形態が不安定
であるという欠陥を持つている。この欠陥を改善
する方法として接融着を利用する方法も知られて
いるが、糸が硬くなりヨリのもつ風合が失われて
好ましいものとならない。

Ｃ本発明の目的上述したような従来技術の欠陥を改善し、糸形
態の安定したスパン調風合と外観を有するマルチ
フイラメント糸、特に仮ヨリ糸のセルフツイスト
を有効に利用した技術を提供するにある。

Ｄ本発明の構成第１の発明は次の構成を有する。

「少なくとも２本の構成糸で構成された糸条で
あつて、少なくとも２本の構成糸は仮ヨリケン縮
を有する熱可塑性合成繊維マルチフイラメント糸
から成り、それぞれにＳヨリとＺヨリの上ヨリを
呈し、該少なくとも２本の構成糸にはそれぞれに
下ヨリとしてＳヨリ部とＺヨリ部が存在し、かつ
各々の構成糸のいずれか一方の下ヨリ部にはルー
プやスナルを有し、さらに少なくとも一本の構成
糸の実質的無ヨリ部の一部が他の構成糸の一部と
交絡状態にあることを特徴とするスパンライク交
互ヨリ合撚糸。」上述の発明において望ましくは、構成糸は２本
である。

次に第２の発明は次の構成を有する。

「複数本の熱可塑性合成繊維マルチフイラメン
ト糸の少なくとも２本を各々仮ヨリ加工し、次い
で弛緩処理して構成フイラメントにループやスナ
ルを発現させ、次いで圧力流体を用いて各々のマ
ルチフイラメント糸にヨリ変化を与えつつ仮ヨリ
を付与し、しかる後、該複数本のマルチフイラメ
ント糸を引揃えてセルフツイストさせ、さらに交
絡処理を施すことを特徴とするスパンライク交互
ヨリ合撚糸の製造方法。」上述の発明方法において望ましくは、熱可塑性
合成繊維マルチフイラメント糸が２本であること
である。

さらに望ましくは、圧力流体を間欠的に噴射せ
しめ、熱可塑性合成繊維マルチフイラメント糸に
交互ヨリを付与することである。

引きつづいて本発明についてさらに詳細に説明
する。

まず第１の発明について説明する。

本発明のスパンライク交互撚合撚糸は、本発明
の構成で述べたとおり、少なくとも２本の構成糸
条の下ヨリ部の一部に構成フイラメントからなる
ループやスナルを有しているため、各々の糸条の
ループやスナルも、他糸条の下ヨリ密度緩和阻止
の機能を有し、さらに、少なくとも１本の構成糸
の実質的無ヨリ部の一部が他の構成糸の一部と交
絡状態にあるため該合撚糸に張力をかけて上ヨリ
は減少しても下ヨリの構造は破壊されにくく、張
力を除くとほとんど元の形態に復帰する。すなわ
ちループやスナルおよび交絡により糸構造が固定
化される。この機能は引揃えられた該２糸条の下
ヨリ部のヨリ方向が一致する割合が大きいほどま
た強固な交絡状態を呈するほど顕著な傾向を示
す。したがつて集束性の良好な糸条となる。ここ
で、長手方向にヨリ構成を有せない糸条は、芯糸
としての役目をはたし、該糸条の周囲あるいは周
辺にヨリ構造を有する少なくとも２本の構成糸条
が存在している。

また、少なくとも２本の構成糸の下ヨリ部には
Ｓヨリ部あるいはＺヨリ部において構成フイラメ
ントより成るループやスナルを有するため、上ヨ
リ部を構成する一部では該合撚糸はループやスナ
ルを有することとなる。

ここで、いずれか一方の構成糸が無ヨリ部で、
他の構成糸がＳヨリ部あるいはＺヨリ部である場
合や、ヨリ構造を有する少なくとも２本の構成糸
のうちで引揃えられた部分が逆方向のヨリ構造を
有している場合であつてもヨリ密度に違いがある
場合等、上ヨリ構造を呈することがある。さらに
交絡状態にある部分においても同様に上ヨリ構造
を呈していてもよい。

本発明糸はループやスナルあるいは交絡によつ
てヨリが固定されるので実ヨリ紡績糸の合撚糸に
近い特性を有する。また本発明の長手方向に、Ｓ
ヨリやＺヨリの上ヨリを呈する部分や無ヨリ部
分、さらに交絡状態を呈する部分や呈していない
部分が存在するため、外観が変化に富み、カスリ
調外観を出すこともできる。

本発明の糸条を図面を用いて説明する。第１図
は各々本発明の糸条例である。４，５は構成糸、
１はＳヨリの上ヨリ部、２はＺヨリの上ヨリ部、
３は無ヨリ部でその一部が交絡状態にあることを
示す。また構成糸に小さな毛羽状を呈しているの
がループやスナル等の突出繊維である。

次に第２の発明について説明する。

供給する糸条は、２糸条以上であり、そのうち
で少なくとも２糸条は熱可塑性マルチフイラメン
ト糸である。この少なくとも２糸条の熱可塑性マ
ルチフイラメント糸に各々仮撚加工を施し、次に
大幅に弛緩することにより、該マルチフイラメン
ト糸は構成フイラメントより成るループやスナル
を発現する。次いで該マルチフイラメント糸を各
各圧力流体噴射装置内に導く。該圧力流体噴射装
置はその噴射する流体の糸に対する作用量を任意
に変化し、各各のマルチフイラメント糸にヨリ変
化を与える。このとき該マルチフイラメント糸
各々の未解ネン部はそのヨリ構造により構成フイ
ラメントより成るループやスナルが固定される
が、オーバー解ネン部は形成過程で、該ループや
スナルは減少し、主にループやスナルを有するヨ
リ部分とループやスナルを有さないヨリ部分とが
形成される。ここで、各々のヨリ部分の間に、無
ヨリ部分が形成される。次いで、少なくとも２糸
条の構成糸条に上述の加工をした２本以上の糸条
を引揃え、その下流方向で弛緩すると該糸条はセ
ルフツイストされる。さらに該糸条に交絡処理す
ることにより、本発明のスパンライク交互ヨリ合
撚糸を製造する。

本発明方法において、撚変化を与える手段とし
てはどのようなものであつてもよいが、好ましく
は各々の圧力流体を制限して、糸に対する作用量
を任意に変化させればよい。特に好ましくは、圧
力流体を間欠的に噴射することにより、より顕著
に交互撚を得ることができる。ここで圧力流体を
噴射する装置は公知の流体仮撚装置でよい。また
圧力流体を間欠的に噴射する方法として電磁弁等
により圧力流体の供給を制御する方法がある。

圧力流体が各々の構成糸に撚変化を与えるタイ
ミングは、特に限定するものではなく、２本の構
成糸の場合、たとえば第３図に示す方法がある。
第３図においてＡ，Ｂ，Ｃ，Ｄは各々異なつたパ
ターンを示す。また各々のパターンのうち太い黒
線部は圧空を付与した部分、細い黒線部は圧空を
付与しない部分を示す。このように各々の構成糸
にランダムにかつ間欠的に圧空を付与すると、交
互ヨリが付与され、主に同方向のヨリが互いに相
手の構成糸にヨリつくのである。

また、セルフツイストした糸条に交絡処理を施
す工程は、連続して行なつても、一度パツケージ
等に巻き取つた後、交絡処理を施してもよい。さ
らにこの交絡処理装置は公知の交絡処理ノズルを
用いればよい。

上記の具体例を第２図によつて説明する。まず
一方の構成糸はローラ１０ａ，１１ａ間でヒータ
１６ａと仮ヨリ装置１７により仮ヨリ加工を施
す。次にローラ１１ａと１２ａとの間で弛緩しル
ープやスナルを発現させる。次にローラ１２ａと
１３との間で流体仮ヨリノズル１８ａを用いて、
たとえばＳ方向へ流体仮ヨリを間欠に施す。また
他方の構成糸は上記と同様仮ヨリ加工、弛緩処
理、流体処理を施すが、流体仮ヨリノズル１８ｂ
の旋回方向はたとえばＺ方向とする。しかる後、
２構成糸を引き揃えると相互に撚りつきあい、ロ
ーラ１３と１４との間でセルフツイストし、さら
にローラ１４と１５との間で交絡処理を施し第１
図に示すような糸条が得られる。

さらに上記加工法において構成糸が２本で、そ
の各々の構成糸に圧空流体を実質的に同時あるい
は交互に噴射せしめて製造したスパンライク交互
ヨリ合撚糸は、引揃えられた２本の構成糸のヨリ
方向がほぼ一致するため、長手方向において上ヨ
リを呈する部分が多くなり、また無ヨリ部が重な
りやすく、強固な交絡を得られる。

Ｆ本発明の効果本発明のスパンライク交互ヨリ合撚糸は、ルー
プやスナルおよび交絡を有するため、スパン調の
風合、外観を呈し、また安定した交互ヨリ構造を
有し、無ヨリ部分も交絡しているため、糸条はば
らけず、高次通過性もよい。ループやスナルの摩
擦による固定化効果による。また、構成糸条には
無撚部分があり、布帛に加工した場合、撚糸中に
無撚の部分がまざり、スラブ糸的、カスリ調外観
を呈し、変化に富んだ外観も呈する。しかもフイ
ラメント糸から構成されているため、ステープル
からの紡積糸使いの布帛と異なりピリングや糸の
素抜けなどがなく新品感を長時間維持できる。

実施例１ 75デニール、24フイラメントのポリエチレンテ
レフタレートマルチフイラメント糸ａ，ｂを２本
用意し、第２図に示すような装置によりスパンラ
イク交互ヨリ合撚糸を製造した。

この第２図の装置で、ローラ１０ａ，１０ｂ、
ローラ１１ａ，１１ｂ、ローラ１２ａ，１２ｂ、
ローラ１３、ローラ１４、ローラ１５の表面速度
をそれぞれ、180m／分、178m／分、80m／分、
155m／分、153m／分、153m／分に設定し、仮
ヨリ装置１７ａ，１７ｂでは仮ヨリ方向をともに
Ｓヨリとし、仮ヨリ数2000T／ｍでヒータ16a，
１６ｂの温度を160℃とし、圧空仮ヨリノズル１
８ａ，１８ｂは圧空圧力３Kg／cm²Ｇで上流側にそ
れぞれＳヨリとＺヨリが入るようにし、双方のノ
ズルから0.3〜0.4秒間隔で交互に圧空を噴射する
ようにし、さらに交絡ノズル１９は圧空圧力1.5
Kg／cm²Ｇとしてスパンライク交互ヨリ合撚糸を製
造した。

得られた糸は第１図の如くであり、このスパン
ライク交互ヨリ合撚糸は良好なスパン調、かつカ
スリ調の風合、外観を呈し、かつ張力に対して安
定した撚を有する構造嵩高性を示した。

実施例２ 50デニール、24フイラメントのナイロン６マル
チフイラメント糸ａ，ｂを２本用意し、第２図の
装置によりスパンライク交互ヨリ合撚糸を製造し
た。

この第２図の装置ではローラ１０ａ，１０ｂ、
ローラ１１ａ，１１ｂ、ローラ１２ａ，１２ｂ、
ローラ１３、ローラ１４、ローラ１５の表面速度
をそれぞれ、174m／分、180m／分、80m／分、
156m／分、153m／分、153m／分に設定し、ヒ
ータ１６ａ，１６ｂの温度を170℃とし、仮ヨリ
装置１７ａ，１７ｂでは仮ヨリ方向をそれぞれＺ
ヨリ、Ｓヨリとし、仮ヨリ数2100T／ｍで、圧空
仮ヨリノズル１８ａ，１８ｂは圧空圧力３Kg／cm²
Ｇで上流にそれぞれＳヨリとＺヨリが入るように
し、双方のノズルから0.1秒間隔で相互に圧空を
噴射するようにし、さらに交絡ノズル１９は圧空
圧力1.5Kg／cm²Ｇとして噴射させ、スパンライク
交互ヨリ合撚糸を製造した。

得られた糸条は実施例１と同様ループやスナル
等の突出繊維がほぼ一様に存在し、無ヨリ部も交
絡によりスパン調の風合、外様を呈し、かつ張力
に対してきわめて安定した撚を有する優れたスパ
ンライク交互ヨリ合撚糸となつた。

実施例３ 50デニール、48フイラメントのポリエチレンテ
レフタレートマルチフイラメント糸ａ，ｂを２本
用意し、第２図に示すような装置でローラ１３で
１度巻きとり、しかる後ローラ１４と１５との間
で交絡処理を施しスパンライク交互ヨリ合撚糸を
製造した。

この加工において、ローラ１０ａ，１０ｂ、ロ
ーラ１１ａ，１１ｂ、ローラ１２ａ，１２ｂ、ロ
ーラ１３、ローラ１４、ローラ１５の表面速度を
それぞれ、180m／分、178m／分、80m／分、
155m／分、180m／分、178m／分に設定し、仮
ヨリ装置１７ａ，１７ｂでは仮ヨリ方向をともに
Ｓヨリとし、仮ヨリ数2500T／ｍでヒータ16a，
１６ｂの温度を200℃とし、圧空仮ヨリノズル１
８ａ，１８ｂは圧空圧力３Kg／cm²Ｇで上流側にと
もにＳヨリが入るようにし、双方のノズルから
0.4〜0.6秒間隔で同時に噴射するようにし、さら
に交絡ノズル１９は圧空圧力2.0Kg／cm²Ｇとして
スパンライク交互ヨリ合撚糸を製造した。

得られた糸条は構成糸２本の無ヨリ部がほぼ一
致し交絡が強固で、張力に対してきわめて安定し
たヨリを有し、かつ、主として上ヨリがＺヨリを
呈する部分にループやスナル等の突出繊維を有す
るスパンライク交互ヨリ合撚糸となつた。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明のスパンライク交互ヨリ合撚糸
の一例を示す。第２図は本発明の加工装置を概略
的に示す例である。第３図は本発明の２つの圧力
流体仮ヨリ装置に圧空を供給するタイミングを示
す例であり、各々のパターンのうち太い黒線部は
圧空供給中、細い黒線部は圧空供給停止中を示
す。１：Ｓヨリの上ヨリ部、２：Ｚヨリの上ヨリ
部、３：交絡部、１０ａ，１０ｂ：ローラ、１１
ａ，１１ｂ：ローラ、１２ａ，１２ｂ：ローラ、
１３：ローラ、１４：ローラ、１５：ローラ、１
６ａ，１６ｂ：ヒータ、１７ａ，１７ｂ：仮ヨリ
装置、１８ａ，１８ｂ：圧力流体仮ヨリ装置、１
９：圧力流体交絡装置。

Claims

【特許請求の範囲】１少なくとも２本の構成糸で構成された糸条で
あつて、少なくとも２本の構成糸は仮ヨリケン縮
を有する熱可塑性合成繊維マルチフイラメント糸
から成り、それぞれにＳヨリとＺヨリの上ヨリを
呈し、該少なくとも２本の構成糸にはそれぞれに
下ヨリとしてＳヨリ部とＺヨリ部が存在し、かつ
各々の構成糸のいずれか一方の下ヨリ部にはルー
プやスナルを有し、さらに少なくとも一本の構成
糸の実質的無ヨリ部の一部が他の構成糸の一部と
交絡状態にあることを特徴とするスパンライク交
互ヨリ合撚糸。２構成糸が２本であることを特徴とする特許請
求の範囲第１項記載のスパンライク交互ヨリ合撚
糸。３複数本の熱可塑性合成繊維マルチフイラメン
ト糸の少なくとも２本を各々仮ヨリ加工し、次い
で弛緩処理して構成フイラメントにループやスナ
ルを発現させ、次いで圧力流体を用いて各々のマ
ルチフイラメント糸にヨリ変化を与えつつ仮ヨリ
を付与し、しかる後、該複数本のマルチフイラメ
ント糸を引揃えてセルフツイストさせ、さらに交
絡処理を施すことを特徴とするスパンライク交互
ヨリ合撚糸の製造方法。４熱可塑性合成繊維マルチフイラメント糸が２
本であることを特徴とする特許請求の範囲第３項
記載のスパンライク交互ヨリ合撚糸の製造方法。５圧力流体を間欠的に噴射せしめ、熱可塑性合
成繊維マルチフイラメント糸に交互ヨリを付与す
ることを特徴とする特許請求の範囲第３項あるい
は第４項記載のスパンライク交互ヨリ合撚糸の製
造方法。