JPS6351808B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

本発明は新規な放電電解研削用砥石に関するも
のである。 近年高い硬度を有し通常の研削用砥石では研削
加工し難い金属又は合金の研削に電解研削加工が
行なわれている。この加工法では高い硬度の材料
を通常研削より高速度で研削しうるが加工精度又
は加工能率に難がありその改良が種々図られて、
機械的研削も可能な電解研削砥石が開発されてい
る。 例えば特開昭57−83370号公報記載の発明では、
砥石円盤の端面に端溝を凹設し、この端溝内に
銀、銅、ニツケルなどの金属又は合金の微粉末か
らなる導電性物質を埋めて放電帯を形成し、この
放電帯と被加工物との間に通電し得るように構成
している。そして加工時は電解液を吹きつけて円
盤を回転させ前記放電帯とその他の箇所の研摩帯
とで電解加工と機械的研削加工とが行なわれるよ
うになつている。 しかしこの場合加工能率の改良が十分でなく振
動が発生しやすく砥石消耗も大きく、更に電解液
たとえば亜硝酸水溶液を用いるため研削盤の錆、
汚れなどの問題がある。 かくて本発明はこれらの問題を解決して加工能
率をさらに向上し、砥石消耗を低下せしめ、電解
液を用いることなく放電電解研削加工しうる砥石
を提供するものであつて、本発明者によれば円盤
状に形成された砥石の中心孔周囲に設けられた導
電性部材と、外周面の数個所に厚さ方向に横断し
て設けられたスリツト状溝と、前記溝に埋め込ま
れた粉末状導電性物質と、前記粉末状導電性物質
とともに前記溝に埋めこまれた前記物質よりも導
電性が良好な繊維状又は線状導電性物質を有し、
前記粉末状導電性物質と繊維状又は線状導電性物
質は前記導電性部材と電気的に接続せしめるよう
にした放電電解研削用砥石によつて、上記目的が
達成しうることが見出されたのである。 本発明を図面に示す一実施例について更に詳細
に説明すれば、１が例えば直径150〜205mm、厚み
５〜25mmの一定の直径、厚みを有する円盤状砥石
の本体であり、その中心孔２には円板状の導電性
部材３が設けられる。この本体１の表面に放射状
に浅い凹み状の溝４を数本設け、更に外周よりも
やや内側に円周状に同様な浅い凹み状の溝５を設
け、両方の溝４，５を接続する。この円周状の溝
５に接続してそれより外周面に向つて幅約0.5〜
５mmのスリツト状の溝６を数条設ける。 これらの浅い凹み状の溝４，５には導電性の材
料７，７′を埋めて通電路を形成する。この導電
性の材料としてはニツケル、銅、銀等の導電性物
質の粉末をフエノール樹脂、エポキシ樹脂等の樹
脂とまぜて固めた導電性ペーストでもよく、或は
銅線等の金属線でもよい。 そしてスリツト状の溝６には前記と同じニツケ
ル、銅、銀等の粉末状導電性物質をまぜた導電性
ペースト８を埋めこむとともに本発明ではこの粉
末状導電性物質よりも導電性のよい、即ち電気抵
抗の低い線状又は繊維状の導電性物質９を埋めこ
むのである。前記ニツケル粉末に対してはたとえ
ば銅線、黄銅線など一般に放電加工に用いられる
材質の金属又は合金線が好んで用いられる。この
外線状の金や銀又はそれらの合金を用いることも
できるし、また繊維状又は棒状の炭素材料を用い
ることもできる。又一方、粉末状、線状等の形態
の相違により、同じ材質でも導電性乃至電気抵抗
が異なるため、粉末状物質と線状乃至繊維状の物
質に同じ材質のものを用いてもよく、たとえば銅
粉末を埋め込んだ中に銅線を埋め込んでも同様に
有効である。 ここに用いる線状又は繊維状物質たとえば炭素
材料や銅線、黄銅線等の金属線又は合金線の直径
は放電を多くさせるために細い方が良く約0.5mm
以下が望ましい。またこれらの線状物質は表面に
平行に埋めるのが望ましく、それが少ないと放電
が少ないため、その金属線の断面積がスリツト溝
の使用面積の２％から50％位になるような数の線
状乃至繊維状物質を用いるのが望ましい。 砥石本体１には通常の砥粒の外にダイヤモンド
やボロンナイトライド等の硬い高価な材料からな
る砥粒を用いることもでき、又円周状溝５の外側
の研摩帯１０に上記の如き硬い高価な砥粒を用
い、それより内側の部分１１に通常の砥粒を用い
たといし、セラミツク、アルミなどの金属等を用
いるようにすることもできる。ただしアルミなど
の金属を用いた時は前述の７，７′のような通電
路を形成する必要はない。 尚図面においてはスリツト状の溝は12個放射状
の溝４は４本設けられているが、勿論これらの数
は任意であり、又４本のスリツト状溝が放射状の
溝４と直線状に接続しているが、すべて接続する
ようにしてもよくそれらの設け方、接続のしかた
は任意であるが、いづれの場合も砥石の強度を低
下させることのないよう注意する。 このような構成に係る本発明の砥石によれば図
示せぬ被研削物と円板状導電性物質との間に通電
し、砥石を回転させることによりスリツト状溝か
らなる放電帯と被研削物の間に放電加工および電
解加工が行なわれ、又そのスリツト溝間の研摩帯
１０において機械的研削加工が行なわれる。しか
も本発明によれば何ら電解液を用いることなく通
常の研削液で放電電解研削加工を行なうことがで
きる。 本発明によれば従来の同種砥石による場合は勿
論、前記特開昭57−83370号公報に係る砥石によ
る場合と比べても砥石消耗度は少なく、研削抵抗
も少なく、又研削能率を向上させることができる
のである。又、上述のように電解液を用いないの
で研削盤の錆や汚れを来すことなく有効である。 又本発明においては前記放電帯に粉末状導電性
物質の外にこれより強度や導電性の高い線状乃至
繊維状物質を加えたので、この放電帯の損耗が激
減し、通電効果が長時間経過後も安定し、従つて
作業が安定する。又線状乃至繊維状物質には大電
流が流れ粉末状物資には少ししか電流が流れない
が放電帯をこれら両物質で構成したので、その両
物質の割合を調整することによつて放電効果と電
解効果の強弱を自由にコントロールすることがで
き、幅広い作業に対応することができる。 尚、この砥石をつくるに当つては焼成された砥
石に溝を設けるか又溝を予め形成した砥石を焼成
し、その溝に前記の如き物質を埋めこむのでその
両物質の使用については焼成時の条件に左右され
ず、砥石の結合に当つてすべてのボンドを使用す
ることができる。かかるボンドとして主としてレ
ジノイドボンド、ラバーボンド、ビトリフアイド
ボンドがあり、前二者は約200℃で焼成され中に
金属線が入つていても焼成時とけることがない
が、ビトリフアイド使用時の焼成は約1300℃であ
るため金属線混入のまま使用しえない。近年高精
度加工が求められ、その際は専らビトリフアイボ
ンドが用いられるが焼成前に金属線等を入れると
きは他のボンドを使用せざるをえなかつた。しか
し前記のように焼成後に線状乃至繊維状物質を埋
めこみ固定するときは、ビトリフアイドボンドを
含むいかなるボンドも随時選択して使用して高精
度加工を含む種々の研削作業によく対応すること
ができて有効である。 以下に実施例をあげる。 直径205mm、厚み10mmの円盤状砥石の外周面に
幅３mmのスリツト状溝を12本等間隔に設け、ニツ
ケル粉末をフエノール樹脂で固めてなる導電性ペ
ーストでその溝を埋め更にその中に直径0.2mmの
銅線60本を表面に平行に埋め込み、固定した。砥
粒としては粒度120番の立方晶系ボロンナイトラ
ンドを含有量4vol％の割合で用い結合度Ｒのレジ
ノイド砥石とした。 これを用いてSUS304のクリープフイード研削
を行なつたところ次のような結果がえられた。
がこの実施例によるもの、が上記特許公開公報
によるもの、が通常のものである。

【表】 更に上記砥石を用いてアルミニウムを研削した
ところ、砥石消耗は公開公報のものに比して砥石
消耗耗が１／10、研削抵抗が70％、研削能率1.5
倍が得られた。 かくして本発明によればこの種放電電解研削用
砥石として誠に有効なものを提供しうるものであ
る。

【図面の簡単な説明】

図面第１図は本発明の一実施例の砥石の一部切
欠いた平面図、第２図は第１図−線断面図、
第３図は要部の斜視図である。 ４……放射状溝、５……円周状溝、６……スリ
ツト状溝、９……金属線。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 円盤状に形成された砥石の中心孔周囲に設け
   られた導電性部材と、外周面の数個所に厚さ方向
   に横断して設けられたスリツト状溝と、前記溝に
   埋め込まれた粉末状導電性物質と、前記粉末状導
   電性物質とともに前記溝に埋めこまれた前記物質
   よりも導電性が良好な繊維状又は線状導電性物質
   を有し、前記粉末状導電性物質と繊維状又は線状
   導電性物質は前記導電性部材と電気的に接続せし
   めるようにした放電電解研削用砥石。