JPS6348450Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は自動車用ダツシユインシユレータ、
特にステアリングシヤフト等に対しこれのダツシ
ユインシユレータからの突出部分を覆うようにし
た遮音用のジヤケツト部を一体的に形成したダツ
シユインシユレータに関する。

ダツシユインシユレータは、エンジンルームか
らのエンジンの振動や騒音を室内に伝えないよう
に前席前方のダツシユパネル上に敷設されるもの
であり、このようなダツシユインシユレータは一
般にフエルト、ポリウレタンフオーム等からなる
吸音層上にゴム、軟質塩化ビニール樹脂等からな
る遮音層を積層した２重構造あるいは表皮一体の
ポリウレタン発泡体からなり、プレス成形、また
モールド等により床面形状に適合して形成されて
いるとともに、ステアリングシヤフト、各種ペダ
ル等のシヤフトを突出位置に対応して開口部を切
抜形成したものである。

従つてこのような従来構造の自動車用ダツシユ
インシユレータにおいては、そのシヤフト突出用
の開口部からの漏音や漏振があるために、通常こ
のような開口部分にはゴム、軟質塩化ビニール等
の可撓性樹脂材料からなる遮音用ジヤケツトなど
を取付け、これによりシヤフト周囲間隙からの音
洩れを防止するようにしている。

しかしながら、このような従来構造のダツシユ
インシユレータにおいては、このものをダツシユ
パネル面上に敷設した後に、上述の如く別体の遮
音用ジヤケツトを取付けなければならないため
に、部品点数が多く、また組立に要する手間もあ
るとともに、上記遮音用ジヤケツトの基部とダツ
シユインシユレータ間に隙間ができやすく、この
部分からの音洩れが問題となる。

そこでこの考案は上記ダツシユインシユレータ
にステアリングシヤフト等をカバーするジヤケツ
ト部を一体に形成することによつて部品数の削減
を図るとともに、開口部分からの音洩れ等を防止
できるようにした自動車用ダツシユインシユレー
タを提供するものである。

以下、この考案の一実施例を図面を用いて詳細
に説明する。

第１図はこの考案を適用する自動車のダツシユ
パネル部分の全体的構成を示すもので、この部分
はフロントフロア１、ダツシユロア２およびこの
ダツシユロア２から一体に立ち上げ形成されるダ
ツシユアツパ３、このダツシユアツパ３と一体化
されて層上部に空間を形成されるカウルトツプ４
によつてダツシユパネル部分が形成されており、
ダツシユインシユレータ５は上記ダツシユロア２
の車室Ｒ内側の面に添設される。

また、上記ダツシユロア２にはエンジンルーム
Ｅ側よりステアリングラケツト６を介してステア
リングシヤフト７が貫通して車室Ｒ内側に突設さ
れている。

上記ダツシユインシユレータ５は例えばフエル
ト、ポリウレタンフオーム等からなる吸音層８上
にゴム、軟質塩化ビニール等からなる遮音層９を
積層するとともに、プレス成形により上記ダツシ
ユロア２の面形状に適合して裁断曲成されたもの
である。

従つて上記ダツシユインシユレータ５の吸音層
８には上記シヤフト７の突出位置に対応して開口
部８ａが形成されているとともに、遮音層９はこ
の開口部８ａを蓋するような状態でステアリング
シヤフト７の周縁部を覆つている。

第２図はそのステアリングシヤフト７の外周を
覆う遮音層９の部分を示すものでこの遮音層９は
上記開口部８ａ上面に積層された部分において、
開口部８ａの内周縁に沿うスリツト１０を三辺に
切抜き、残る一辺（鎖線で示す）１１をヒンジと
して上記開口部を開閉可能に覆う蓋部１２を形成
したものである。

上記蓋部１２の中央部分には上部に向けて膨出
するとともに、その頂部にシヤフト外周を嵌合す
る挿入口１３ａを形成した半球型のジヤケツト部
１３が突出形成されている。また、上記挿入口１
３ａとスリツト１０間にはこのジヤケツト部１３
を左右に分割拡開可能なシヤフト挿入用のスリツ
ト１３ｂが切抜形成されている。

また、上記ジヤケツト部１３の内部にはやはり
吸音層８が一体に積層貼着されている。この場合
において、上記ダツシユインシユレータ５はプレ
ス成形によつてその外周を裁断され、かつパネル
の面形状に沿つて曲成されるものであるが、この
ような蓋部１２はそのプレス成形時において外周
を切抜くとともに、成形型の型面形状に沿つて部
分的に蓋部を湾曲膨出させることによつてダツシ
ユインシユレータ５の成形時において一体に成形
することができる。

従つて第３図に示すように、上記の如く構成さ
れたダツシユインシユレータ５をパネルの面形状
に沿つて装着し、またこの状態においては上記ヒ
ンジ部１１を介して蓋部１２を開いた状態にし、
これによつてステアリングシヤフトを挿通してお
き、次いで、その蓋部１２のジヤケツト部１３を
上記シヤフト挿入スリツト１３ｂを開いた状態に
し、これをステアリングシヤフト７の外周から嵌
込んでその挿入用スリツト１３ｂを合せれば同第
１図、第２図に示すような状態で上記ジヤケツト
部１３により上記ステアリングシヤフト７の外周
を覆うことができる。

なお、上記スリツト部分を塞ぐ手段としては、
例えば第４図のようなカバーを与えることができ
る。このカバー２０は上記スリツト部１０の形状
に応じて略コ字状をなすプラスチツク等の弾性体
から構成され、かつその裏面には、係止爪２１を
突設したものであり、同第２図に示すように蓋部
１２を閉じた状態において、このカバー２０を上
記スリツト１０に嵌込むようにすれば、第５図の
如く上記蓋部１２とその周縁の遮音層９間は良好
に蓋されるとともに、その下部に突出する係止爪
２１が遮音層９の下縁に係合することによつてカ
バー２０の抜け止めがなされる。

またこの考案にあつては２層のダツシユインシ
ユレータに適用した場合を示したが、この考案は
これに限定されるものでなく、モールドによる表
皮一体のポリウレタン発泡体においても、その型
形状によりジヤケツト部を一体に成形できる。

従つてこのように構成されるダツシユインシユ
レータにおいては従来のようにそのダツシユイン
シユレータの組立時において、別体の遮音用ジヤ
ケツトをダツシユインシユレータに形成される開
口に装着するような手間が省け、部品数を削減で
き、またその組立においても簡単であるととも
に、上記蓋部とダツシユインシユレータ間には隙
間なく装着されるために、蓋部とその周縁からの
音洩れもなく、充分な遮音効果を得ることができ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案を適用する自動車のエンジン
ルームと車室との隔壁部分を示す断面図、第２図
はこの考案によるダツシユインシユレータの要部
を示す一部平面図、第３図は同ダツシユインシユ
レータにおける蓋部の装着前の状態を示す部分断
面図、第４図は上記蓋部を覆うためのカバーを示
す斜視図、第５図は同カバーを蓋部に装着した状
態を示す部分断面図である。 ２……ダツシユロア（ダツシユパネル）、５…
…インシユレータ、７……ステアリングシヤフ
ト、８……吸音層、９……遮音層、１０……スリ
ツト、１１……ヒンジ部、１２……蓋部、１３…
…ジヤケツト部、１３ａ……挿入口、１３ｂ……
シヤフト挿入用スリツト。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 自動車のダツシユパネル面形状に適合して形成
   されたダツシユインシユレータにおいて、このイ
   ンシユレータにはシヤフトの突出位置に対応して
   スリツトを一部に切抜いてなり、残る一部をヒン
   ジとしてシヤフト挿通用の開口部を開閉可能に覆
   う蓋部を形成し、かつこの蓋部中央部分には上部
   に向けて膨出するとともに、その上部にシヤフト
   外周を嵌合する挿入口を形成したジヤケツト部を
   突出形成してなり、更には上記挿入口とスリツト
   間にはジヤケツト部を分割拡開可能なシヤフト挿
   入用スリツトを切抜形成したことを特徴とする自
   動車用ダツシユインシユレータ。