JPS6347634Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は内燃機関のシリンダヘツドの改良に
関する。

一般に、この種のシリンダヘツドは数シリンダ
分が一体鋳造により作られている。

しかし、このようなシリンダヘツドは第１図の
ように燃焼室の天井を形成するヘツド下面１が運
転中最も高温になるため、熱歪によつてシリンダ
ヘツドの長手方向に図中一点鎖線のように変形し
ようとし、このためヘツド下面１に過大な熱応力
が作用し亀裂や破損を生じたり、部分的にガスケ
ツト２の締付力が弱められ燃焼ガスの洩れを生じ
る等の問題がある。

この対策手段として第２図のようにシリンダヘ
ツド下面１にボア間を仕切るように切込み３を形
成し、この切込み３で熱歪を吸収し熱応力の発生
を抑えるようにしたものが、従来から知られてい
る（山海堂昭和47年発行 平尾収著「自動車用機
関計画原論」第224頁参照）。

しかしこの場合でも、シリンダヘツド下面１の
熱歪は切込み３によつて十分に吸収しきれないう
え、切込み３の形成により肉薄部分ができ、その
部分に熱応力が集中し亀裂や破損を生じる心配が
ある。

ところで、シリンダヘツドには上記の一体型の
ほかに第３図のように各シリンダ毎に個別的に取
つけるようにしたものがある。

これによれば、シリンダヘツド４がシリンダ毎
に分離しているため、一体型に伴う問題点は解消
するが、各シリンダヘツド４の剛性が低下するた
めかえつてヘツド下面１が大きく変形しガスシー
ル性が悪くなるうえ、シリンダヘツド４の取つけ
取外しに手数がかかるという欠点がある。

そこで、この考案は上記の分離型のシリンダヘ
ツドにおいて、複数のシリンダヘツドを上面側で
連結し、隣り合うシリンダヘツドの間に隙間を形
成することにより、上記の欠点を解消することを
目的にする。

以下、この考案を第４図の実施例にしたがつて
説明する。尚、第１図〜第３図と同一部位は同一
符号を用いる。

第４図において、符号４は分離型のシリンダヘ
ツドを示し、このシリンダヘツド４と４は上面側
の連結部分５を介し一体的に鋳造される。

そして、シリンダヘツド４と４の間には隙間６
が設けられる。

尚、連結部分５はシリンダヘツド４の全幅に亘
つて形成するのが剛性を高めるうえで好ましく、
必要に応じ図示のもののようにシリンダヘツド４
と４の長手方向の剛性を高める補強部分７を形成
しても良い。

このように構成したので、シリンダヘツド４単
体の場合に較べて各シリンダヘツド４は連結部分
５を介し隣り合うシリンダヘツド４の干渉を受け
るため、変形の自由度が低下しヘツド下面１の変
形が抑制される。

このため、シリンダヘツド４と４の締付力が均
一に保てガスシール性の向上が図れる。

尚、シリンダヘツド４と４の運転中に生じる熱
歪は隙間６で吸収され一体型のシリンダヘツドよ
うにヘツド下面１に過大な熱応力が作用すること
はない。

そのうえ、複数のシリンダヘツド４と４をシリ
ンダブロツクに対し同時に取つけ、取外しできる
という便利さがある。

尚、この実施例は２個のシリンダヘツド４と４
を連結した例を示しているが、必要に応じてシリ
ンダヘツド４の数はいくつでも増せる。

以上説明したようにこの考案によれば、分離型
のシリンダヘツドにおいて、複数のシリンダヘツ
ドを上面側で連結する一方、隣り合うシリンダヘ
ツドの間に隙間を形成したので、過大な熱応力の
発生を回避しつつ、ヘツド下面の変形を抑えてガ
スシール性を向上させる一方、整備性の改善も図
れるという効果が得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、従来の一体型シリンダヘツドの取付
状態を示す概略図、第２図は従来技術を示すシリ
ンダヘツドの下面図、第３図は従来の分離型シリ
ンダヘツドの取付状態を示す概略図、第４図はこ
の考案の実施例を示すシリンダヘツドの斜視図で
ある。 ４……シリンダヘツド、５……連結部分、６…
…隙間。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. シリンダブロツクの上面に各シリンダ毎に個別
   的に取つけられる内燃機関のシリンダヘツドにお
   いて、複数のシリンダヘツドを上面側で連結し、
   隣り合うシリンダヘツドの間に隙間を形成したこ
   とを特徴とする内燃機関のシリンダヘツド。