JPH0115877Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、エンジンのシリンダヘツド、特に吸
排気ポートが同一側面に開口するセイムフロータ
イプのシリンダヘツドの構造に関する。

一般に、この種のシリンダヘツドは、四隅部と
両側部におけるシリンダブロツクの各ボア間に対
する位置に上下に貫通するボルト孔が形成され、
該ボルト孔に挿通されるヘツドボルトにより上記
シリンダブロツクにボルト締めされるが、ヘツド
ボルトの締め付けによつて次のような問題が生じ
る。即ち、第１図に示すように、シリンダブロツ
クＡのボア間直上方において、シリンダヘツドＢ
の両側部に形成されたボルト孔Ｃ、Ｃにヘツドボ
ルトＤ，Ｄを挿通して、該シリンダヘツドＢを上
記シリンダブロツクＡの上面にガスケツトＥを介
してボルト締めした時に、該シリンダヘツドＢに
おける上記ボルト孔Ｃ，Ｃ間のロアデツキＦが鎖
線で示すように上方に湾曲して、該ロアデツキＦ
の中央部とシリンダブロツクＡの上面との間の面
圧が低下する。このような傾向は、アルミ合金製
シリンダヘツドの場合に特に著しく、隣接シリン
ダ間のシール性を低下させるが、更にエンジンの
小型化のためにボア間の寸法を縮少させた場合に
シール性が一層低下し、隣接シリンダ間で所謂ガ
ス抜けが生じる。

エンジンのシリンダヘツドにおける上記のよう
な問題に関しては、例えば実開昭53−123307号公
報に開示された次の如き考案が存在する。この考
案は、第２図に示すように、エンジンのシリンダ
ヘツド１をアルミ合金で作る式のものにおいて、
該ヘツド１内の相隣る燃焼室空間２，２を互に区
画する隔壁部３内に、ガスケツト面４に略沿わせ
て、アルミ合金に比し熱伝導度の低い鉄その他の
材料から成る断熱部材５を埋設して成るエンジン
のシリンダヘツドの補強装置に関する。この考案
によれば、シリンダヘツド１のボア間（隔壁部
３）の剛性が向上し、第１図に示すような問題の
解消が期待できる。しかし、シリンダヘツド１の
鋳造時に断熱部材５を鋳込むことは極めて面倒
で、生産性が低下し、コストの上昇を来たす。

本考案は、上記のような問題に対処するもの
で、吸排気ポートが同一側面に開口するセイムフ
ロータイプのシリンダヘツドにおいて、該ポート
開口側と反対側の側部における剛性の不足を解消
すると共に、特に吸排気ポートのポート壁を有効
利用することにより、生産性の低下等を来たすこ
となく、ボア間のシール性を向上させることを目
的とする。

即ち、本考案は、同一側面に開口する吸排気ポ
ートと該ポートを囲むウオータジヤケツトとを有
し、且つ四隅部と両側部におけるシリンダブロツ
クのボア間に対応する位置にボルト孔が形成され
たセイムフロータイプのシリンダヘツドにおい
て、両側部における対応するボルト孔のうちの上
記吸排気ポート開口側の側部におけるボルト孔の
ボス部を吸排気ポートのポート壁と一体に形成す
ると共に、該吸排気ポート開口側と反対側の側部
においては、ボルト孔のボス部上部とトツプデツ
キとの交差部と、吸排気ポートの少なくとも一方
のポート壁とを、上記トツプデツキとの交差部下
部のボス部と該トツプデツキと当該ポート壁とに
またがつて延びる補強リブによつて連結したこと
を特徴とする。

このような構成によれば、上記ポート開口側の
側部においては、ボルト孔に挿通されたヘツドボ
ルトの締付力がポート壁を介してロアデツキの中
央部にまで伝達されることになり、また吸排気ポ
ート開口側と反対側の側部においては、上記補強
リブによつて剛性が向上すると共に、上記側部と
同様に、ヘツドボルトの締付力が上記補強リブ及
びポート壁を介してロアデツキの中央部まで伝達
されることになる。その結果、該ロアデツキ下面
とシリンダブロツク上面とが均一な面圧で対接す
ることにより、ボア間のシール性が向上する。以
下、本考案を図面に示す実施例に基づいて説明す
る。

第３〜５図に示すように、複数のシリンダ１０
…１０が直列に設けられたシリンダブロツク１１
の上面にガスケツト１２を介して取り付けられ
て、各シリンダ１０…１０の上部を閉鎖するシリ
ンダヘツド１３は、アルミ合金等の鋳造によつ
て、上記各シリンダ１０毎に一対の吸気ポート１
４と排気ポート１５とを設けると共に、ロアデツ
キ１６とトツプデツキ１７との間における上記両
ポート１４，１５の周囲をウオータジヤケツト１
８とした構造である。ここで、該シリンダヘツド
１３は、上記吸排気ポート１４，１５が同一の側
部１３′に開口するセイムフロータイプのシリン
ダヘツドである。そして、該シリンダヘツド１３
は、四隅部と両側部における上記シリンダブロツ
ク１１のボア間１９に対応する位置に上下に貫通
するボルト孔２０…２０が形成され、第４図に鎖
線で示すように、該ボルト孔２０…２０に夫々挿
通されるヘツドボルト２１…２１により上記ガス
ケツト１２を介してシリンダブロツク１１の上面
にボルト締めされる。

然して、このシリンダヘツド１３においては、
上記吸排気ポート開口側の側部１３′におけるボ
ルト孔２０のボス部が吸排気ポート１４，１５の
ポート壁２３，２４と一体に形成されている。ま
た、該側部１３′と反対側の側部１３″におけるボ
ルト孔２０のボス部２２の上部ないし該ボス部２
２とトツプデツキ１７との交差部から、その両側
に位置する吸排気ポート１４，１５のポート壁２
３，２４にかけて、夫々、上記ボス部２２の上部
のトツプデツキ１７との交差部下部と、該トツプ
デツキ１７と、当該ポート壁２３，２４とにまた
がつて延びる補強リブ２５，２６が設けられてい
る。また、図示の実施例においては、上記ボス部
２２からロアデツキ１６の中央部にかけて補助補
強リブ２７が設けられている。尚、トツプデツキ
１７の上面には、吸排気ポート１４，１５内に
夫々通ずる吸排気弁（図示せず）の取付孔２８，
２９が開口されている。

上記の構成によれば、シリンダヘツド１３をガ
スケツト１２を介してシリンダブロツク１１の上
面に載置すると共に、該シリンダヘツド１３にお
ける各ボルト孔２０…２０に夫々ヘツドボルト２
１…２１を挿通して上記シリンダブロツク１１に
締め付けた時、該シリンダヘツド１３におけるシ
リンダブロツク１１の各ボア間１９に対応する位
置においては、第４図に示すように、両側部１
３′，１３″におけるヘツドボルト２１，２１の締
付力Ｆがロアデツキ１６の両側部に直接伝達され
る（矢印F′）。

然して、吸排気ポート開口側の側部１３′にお
いては、ボルト孔２０のボス部が吸排気ポート１
４，１５のポート壁２３，２４と一体に形成され
ているから、上記ヘツドボルト２１の締付力Ｆが
該ポート壁２３，２４を介してロアデツキ１６の
中央部まで伝達されることになる。また、この側
部１３′と反対側の側部１３″においては、該側部
１３″におけるボス部２２の上部ないし該ボス部
２２とトツプデツキ１７との交差部が補強リブ２
５，２６を介してポート壁２３，２４に連結さ
れ、且つ該ボス部２２とロアデツキ１６との間に
補助補強リブ２７が設けられていることにより、
剛性が高められていると共に、該側部１３″にお
けるボルト２１の締付力Ｆが上記補強リブ２５，
２６及びポート壁２３，２４を介して、また補助
補強リブ２７を介してロアデツキ１６の中央部に
伝達される（矢印F″，Ｆ）。これにより、該ロ
アデツキ１６の中央部においても大きな面圧でシ
リンダブロツク１１の上面に対接され、或いはボ
ア間１９におけるシリンダヘツド１３とシリンダ
ブロツク１１との間の面圧が側部と中央部で均一
化され、該ボア間１９を挾んで隣接するシリンダ
１０，１０間のシール性が向上する。

尚、補強リブは上記実施例のように必ずしも両
側のポート壁に対して設ける必要はなく、場合に
よつては、ボス部上部と一方のポート壁との間に
のみ補強リブを設けるだけでよい。

以上のように本考案によれば、セイムフロータ
イプのシリンダヘツドを用いるエンジンにおい
て、該シリンダヘツドのロアデツキ下面とシリン
ダブロツクのボア間上面とが均一な面圧で対接す
ることになる。これにより、該ボア間を挾んで隣
接するシリンダ間のシール性が向上し、両シリン
ダ間におけるガス抜けが防止される。特に、本考
案によれば、別部材をシリンダヘツドに鋳込む等
の手段を要せず、シリンダヘツドの構造を一部改
良するだけで上記効果が実現され、従つて生産性
の悪化や製造コストの上昇を来たすことがない利
点がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案が解決する問題点を示すシリン
ダヘツドの縦断側面図、第２図は従来例を示す縦
断正面図、第３図は本考案の実施例を示すシリン
ダヘツド全体の一部横断平面図、第４図は第３図
−線で切断した要部拡大縦断側面図、第５図
は第４図−線で切断した要部縦断正面図であ
る。 １１……シリンダブロツク、１３……シリンダ
ヘツド、１４，１５……吸排気ポート、１７……
トツプデツキ、１８……ウオータジヤケツト、１
９……ボア間、２０……ボルト孔、２１……ヘツ
ドボルト、２２……ボス部、２３，２４……ポー
ト壁、２５，２６……補強リブ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 同一側面に開口する吸排気ポートと該ポートを
   囲むウオータジヤケツトとを有し、且つ四隅部と
   両側部におけるシリンダブロツクのボア間に対応
   する位置にボルト孔が形成されて、該ボルト孔に
   挿通されるヘツドボルトにより上記シリンダブロ
   ツクにボルト締めされるセイムフロータイプのシ
   リンダヘツドであつて、上記シリンダブロツクの
   各ボア間の直上方において、吸排気ポート開口側
   の側部におけるボルト孔のボス部が該吸排気ポー
   トのポート壁と一体に形成されていると共に、吸
   排気ポート開口側と反対側の側部におけるボルト
   孔のボス部上部のトツプデツキとの交差部と、吸
   排気ポートの少なくとも一方のポート壁とが、上
   記トツプデツキとの交差部下部のボス部と該トツ
   プデツキと当該ポート壁とにまたがつて延びる補
   強リブによつて連結されていることを特徴とする
   エンジンのシリンダヘツド構造。