JPS6350439Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、エンジンのシリンダブロツクの構
造、特に列状に配設された複数のシリンダボアを
有する列型多気筒エンジンのシリンダブロツクの
構造に関する。

一般の往復ピストン式エンジンにおいては、シ
リンダブロツクの上にガスケツトを介してシリン
ダヘツドが配置され、該シリンダブロツクとシリ
ンダヘツドとはシリンダヘツド締付ボルト付によ
り互に結合される。列型多気筒エンジンでは、こ
のようにシリンダヘツド締付ボルトの締めつけを
行なつたとき、シリンダブロツクのシリンダヘツ
ドとの合わせ面にボルト締付力による変形が生じ
気密保持上の問題を生ずることが知られている。
このようなシリンダブロツクのボルト締付時の変
形を減少させるために実開昭54−51207号公報に
はシリンダブロツクのボルトボス部の周面にリブ
を設けたシリンダブロツクの構造が開示されてい
る。また、実開昭56−71936号には、ウオーター
ジヤケツトの中にシリンダブロツク外壁とシリン
ダボア壁とを連結する連結部材を設けて補強した
シリンダブロツクの構造が開示されている。しか
し、これらの構造では、シリンダボアの変形量を
全体として少くすることはできるが、シリンダ列
方向両端部と中間部との間に生じる変形量の差を
なくすことはどきない。すなわち、多気筒列型エ
ンジンではシリンダの列方向両端部と中間部とで
反り変形に量的な差が生じ、両端部のシリンダボ
アと中間部のシリンダボアとの横断面形状に差が
出るという現象が生じ、このシリンダボアに嵌合
するピストンとの間のシールのために、それぞれ
異つた対策を必要とすることになる。

従つて、本考案は多気筒列型エンジンのシリン
ダブロツクの列方向両端部のシリンダボアと中間
部のシリンダボアのボルト締付による変形を減少
させるとともにその変形の傾向を同じようにした
シリンダブロツクの構造を提供することである。

本考案のシリンダブロツクの構造は直列に配設
される複数のシリンダボアと、エンジンの外周を
形成する外壁部と、前記シリンダボア壁上部と前
記外壁部上部とを連結するトツプデツキ部とを有
し、前記シリンダボア壁と外壁部とトツプデツキ
部とがウオータジヤケツトを構成するエンジンの
シリンダブロツクの構造において、シリンダ列方
向両端部に配置されるシリンダボア壁とシリンダ
列方向両端の外壁部との間のトツプデツキ部の剛
性は低く、シリンダの列方向中間部に位置するシ
リンダボアのシリンダヘツド取付ボルトの内側の
トツプデツキ部の剛性は高く、前記中間部のシリ
ンダボアの幅方向両側のトツプデツキ部の剛性は
中程度になつていることを特徴とする。

多気筒列型エンジンでシリンダブロツクトツプ
デツキの剛性が全面同じである場合において、シ
リンダヘツドを取付ボルトを締付けると、シリン
ダ列方向中間部に位置するシリンダのシリンダボ
アは水平面でシリンダブロツク幅方向に長軸を有
する楕円状に変形し、両端部に位置するシリンダ
ボアは列方向内側は同様の楕円状に変形し、外側
はほぼ円弧を維持する傾向を有する。本考案はこ
れらのシリンダボアの変形の差を是正するよう
に、場所によつてトツプデツキの剛性に差をもた
せるものである。すなわち、列方向中間部のシリ
ンダボアはボルトの内側のトツプデツキの剛性は
高くなつており、このため楕円の長軸が短かくな
るように変形が是正され、両端部のシリンダボア
では、内側の楕円状の部分の変形は同様に楕円の
長軸が短くなるように是正され、外側の外方への
円弧状の変形は、列方向両端のトツプデツキの剛
性が低くされているので内方に向かうような楕円
に近づく変形に是正される。従つて、本考案によ
ればシリンダの変形量を全体として源少させるこ
とができるとともに、各シリンダ間での変形のパ
ターンの差を是正することができる。

以下、本考案の実施例につき図面を参照しつつ
説明する。

第１図は、従来のシリンダブロツクの平面図で
あり、シリンダブロツク１０は直列に配置された
シリンダボア１２，１４，１６，１８を有してい
る。このシリンダブロツクの上面には、第２図に
示すようにシリンダボア壁２０とシリンダブロツ
ク外壁２２とを結び、ウオータジヤケツト２４の
一部を構成するトツプデツキ２６が設けられてい
る。第１図のトツプデツキは全面同じ厚さを有し
ており剛性は一様である。トツプデツキ２６に
は、シリンダヘツド２８をガスケツト３０を介し
て取付けるためのボルトを挿入するボルトボス３
２が設けられている。このシリンダブロツク１０
にシリンダヘツド２８を取付けボルトを締付ける
と、シリンダブロツクは変形する。このシリンダ
ブロツクの変形はボアの周で一様ではなく、ボル
トボス付近のトツプデツキは、ボルトの締付けに
よつて持ち上げられこの影響が強く出るところで
は、ボア付近はガスケツトの面圧により押し下げ
られ、第２図に相像線で示すようにボア内壁面が
内側に変形する。全体のボア変形を平面でみれ
ば、第１図に相像線で示すように変形する。すな
わち、シリンダブロツク１０の列方向（図におい
て横方向）中間部に位置するシリンダボア１４，
１６はシリンダブロツク１０の幅方向（図におい
て縦方向）に長軸を有する楕円状の変形を生じ、
列方向両端部のシリンダボア１２，１８の中間の
ボア寄りの部分は上記同様の楕円状の変形を生
じ、列方向端面寄りの部分は外方に向つてほぼ円
弧状を維持する。すなわち、中間部のシリンダボ
アと、両端部のシリンダボアでは、変形バターン
が異なる。従つて、第１図に示すようなトツプデ
ツキの剛性が全面にわたつて一様であるようなシ
リンダブロツクでは、シリンダ−ピストン間のシ
ール性を保持するために、列方向中間部のシリン
ダボアと両端部のシリンダボアとの間で異なつた
対策が必要になり、また各シリンダによつて摩耗
状態が異なるといつた問題も生じる。

第３図を参照すれば、本考案に従うシリンダブ
ロツクの平面図が示されている。このシリンダブ
ロツク１０のトツプデツキ２６の剛性は一様でな
く、各部で異なる。すなわち第３図において、ａ
部は剛性が低く、ｂ部は中程度の剛性を有してお
り、ｃ部は剛性が高くなつている。剛性が各部で
異なるようにするためには第４図、第５図、第６
図に断面で示すようにトツプデツキの厚さまたは
巾を変えて構成してもよいし、第７図に示すよう
にトツプデツキの下面側にリブ３４を取付けるこ
ともできる。以上のように、トツプデツキ２０の
剛性を各部で変化させると、ボアの変形状態が第
１図に示すような変形状態から変化し、中間部の
ボア１４，１６は楕円の長軸が短かくなるよう
に、両端部のボア１２，１８の楕円状の変形の部
分は同様に長軸が短かくなるように、円弧状の変
形の部分は内方に向うように変化する。すなわ
ち、各シリンダボアの変形がほぼ一様になる。

なお、上記実施例ではトツプデツキ面に形成さ
れる冷却水通路を省略して描いているが、必要に
応じて冷却水通路を形成すればよい。

【図面の簡単な説明】

第１図は、従来のシリンダブロツクの平面図、
第２図は、従来のシリンダブロツクの部分断面
図、第３図は、本考案に係るシリンダブロツクの
平面図、第４図は第３図のＡ−Ａ断面図、第５図
は第３図のＢ−Ｂ断面図、第６図は第３図のＣ−
Ｃ断面図、第７図は他の実施例における第６図と
同様の図である。 符号の説明、１０……シリンダブロツク、１
２，１４，１６，１８……シリンダボア、２０…
…ボア壁、２２……外壁、２６……トツプデツ
キ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 直列に配設される複数のシリンダボアと、エン
   ジンの外周を形成する外壁部と、前記シリンダボ
   ア壁上部と前記外壁部上部とを連結するトツプデ
   ツキ部とを有し、前記シリンダボア壁と外壁部と
   トツプデツキ部とがウオータジヤケツトを構成す
   るエンジンのシリンダブロツクの構造において、
   シリンダ列方向両端部に配置されるシリンダボア
   壁とシリンダ列方向両端の外壁部との間のトツプ
   デツキ部の剛性は低く、シリンダの列方向中間部
   に位置するシリンダボアのシリンダヘツド取付ボ
   ルトの内側のトツプデツキ部の剛性は高く、前記
   中間部のシリンダボアの幅方向両側のトツプデツ
   キ部の剛性は中程度になつていることを特徴とす
   るエンジンのシリンダブロツクの構造。