JPS5941318Y2 - エンジンのシリンダブロック - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、内部をピストンが往復運動するシリンダ部と
ブロック外壁との間にウォータジャケットを備えた水冷
式エンジンのシリンダブロックに関するものである。

従来より、多気筒水冷式エンジンにおいて、シリンダブ
ロックの上面にガスケットを介在させてシリンダヘッド
を締付固定した場合に、上記シリンダブロック、特にシ
リンダ部に好１しくない変形が生起することはなく知ら
れている。

（例えば特公昭５１−２５５２３号） すなわち、上記ガスケットは、シリンダ部の内径に対応
した開口の周辺のグロメット部で高圧燃焼ガスのシール
が行えるように、このグロメット部の剛性が他の部分に
比べて大きくなるように形成されている。

よって、上記ガスケットを介在させシリンダヘッドを多
数の取付ボルトによって締め付けた場合に、剛性の大き
いグロメット部分は他の部分に比較して面圧が大きくな
り、シリンダブロックのシリンダボア上端の周縁部に作
用する締付圧力が他の部分より大きくなり、取付ボルト
に対して中央のシリンダ部は圧縮荷重を受は外側のブロ
ック外壁は引張荷重を受けて変形するものである。

上記のようにシリンダブロックに変形が発生すると、シ
リンダ部の真円度、真直度が狂い、シリンダ部内周面と
ピストンの摺接に悪影響を与え、ピストン等の耐久性が
劣化したり、騒音が発生するなどの不具合を有するもの
である。

上記不具合を解消するべく、シリンダブロックの変形、
特にシリンダ部の変形を減少させるようにしたシリンダ
ブロックの構造の従来例としては、第１図ないし第３図
に示すようなものがある。

図示のシリンダブロックは、４気筒エンジン用のもので
あって、内部をピストン（図示せず）が上下往復運動す
る４個のシリンダ部１ａ〜１ｄと、このシリンダ部１ａ
〜１ｄの外周を囲繞するブロック外壁２と、下方に伸び
るクランクケース３とよりなり、シリンダ部１ａ〜１ｄ
は上壁４と下壁５とによってフロック外壁２に対して結
合され、両者間に冷却水が循環するウォータジャケット
６を備えている。

上記シリンダブロックにおける変形防止構造は、シリン
ダ部１の中央より上方で上壁４から略１／３の高さで、
各シリンダ部１ａ〜１ｄの四方に半径方向に延びるリブ
Ａが設けられ、このリブＡにより各シリンダ部１ａ〜１
ｄをブロック外壁２および隣接したシリンダ部１ａ〜１
ｄと連結しシリンダブロックの剛性を強めることにより
、シリンダヘッドの取付けによる変形を低減するように
構成されている。

すなわち、上記リプＡが配設されていない状態において
は、シリンダヘッドを締付けた場合、ブロック外壁２は
、シリンダ部１ａ〜１ｄのピストン摺動力向の中間位置
（ピストン上死点位置と下死点位置の中間）であって通
常中央より上方の位置で最大となるよう外方へ膨出変形
する。

一方、シリンダ部１ａ〜１ｄは、ブロック外壁２とほぼ
同一の位置において最大となるように、ブロック外壁２
側の部分で、このブロック外壁２と同様に外方に拡大変
形し、その結果としてシリンダ部１ａ〜１ｄ同志が隣接
する部分では、逆に内方に縮小変形する。

これに対し、前記のように変形が最大となる位置にリプ
Ａが配設されたものでは、対向するブロック外壁２がリ
プＡおよびシリンダ部１ａ〜１ｄを介して連結され、そ
の外方への膨出変形を阻止するとともに、このリブＡを
突張りにしてシリンダ部１ａ〜１ｄのブロック外壁２方
向への膨出変形を低減し、さらに、シリンダ部１ａ〜１
ｄ同志を連結するリブＡにより、シリンダ部１ａ〜１ｄ
の内方への縮小変形を抑制せんとするものである。

しかしながら、上記シリンダブロック構造では、対向す
るブロック外壁２は円筒状のシリンダ部１を介して連結
されているために、シリンダ部１の湾曲により上記連結
構造における抗張力は小さくてその補強効果は弱く、ブ
ロック外壁２の膨出変形阻止効果は不十分である。

捷た、ブロック外壁２の変形の影響がリプＡを介して直
接シリンダ部１ａ〜１ｄに作用し、シリンダ部の内周面
に波打ち状の変形を与える結果となるなど、変形の低減
効果は不十分であり、依然として種々の不具合を有する
ものである。

本考案はかかる点に鑑み、シリンダ部およびブロック外
壁の変形を最小限としたシリンダブロック構造を提供す
るものである。

以下、本考案の実施例を図面に沿って説明する。

第４図ないし第６図に示す４気筒エンジン用のシリンダ
ブロックにおいて、１ａ〜１ｄは第１気筒ないし第４気
筒用に４個直列に配設された円筒状のシリンダ部、２は
シリンダ部１ａ〜１ｄの外周を囲繞し下方のクランクケ
ース３に連続するブロック外壁であって、該ブロック外
壁２は、両側壁２ａｔ２ｂと前後壁２ｃ 、２ｄとによ
り形成されている。

上記シリンダ部１ａ〜１ｄとブロック外壁２とは、シリ
ンダ部１ａ〜１ｄの上下端において上壁４と下壁５とに
より一体に連結され、シリンダ部１ａ〜１ｄとブロック
外壁２との間に冷却水が循環するウォータジャケット６
が形成されている。

尚、７は取付ボルト用のボルト孔である。上記シリンダ
ブロックにおいて、シリンダ部１ａ〜１ｄのピストン摺
動方向（上下方向）の中間位置で、上壁４からシリンダ
部１の全高の略１／３下方の位置において、各シリンダ
部１ａ〜１ｄが隣接するシリンダ部１ａ〜１ｄと最も接
近する前後方向位置で、シリンダ部１ａ〜１ｄ同志が連
結部材８によって連結されている。

さらに、上記連結部材８によるシリンダ部１ａ〜１ｄ同
志の連結位置において、シリンダ部１ａ〜１ｄの両側方
に対向しているフロック外壁２の両側壁２ａ。

２ｂ同志が、該側壁２ａ、２ｂと直交方向に伸びる連結
部材９によって連結されている。

尚、上記シリンダブロックは全体が鋳造により一体形成
されるものであって、上記両連結部材８゜９もシリンダ
部１ａ〜１ｄおよびブロック外壁２と同材料で一体に形
成されている。

又、両連結部材８，９は上下方向、即ちピストン摺動方
向で所定の厚さに設けられ、その上部および下部におい
ては、冷却水は前後方向、即ちシリンダ部１ａ〜１ｄの
配列方向にも左右方向、即ちシリンダ部１ａ〜１ｄの配
列方向と垂直な方向であって、隣接するシリンダ部間を
横切る方向にも流通可能である。

よって、本例のシリンダブロックによれば、フロック外
壁２の対向する両側壁２ ａ ｔ ２ ｂは、直交方向
の連結部材９を介して直線状に連結されていることによ
り、その連結構造の抗張力は大きく、フロック外壁２の
変形（側壁２ａ 、２ｂの間隔の増加）を有効に阻止低
減するものであり、これに伴ってシリンダ部１ａ〜１ｄ
の側壁２ ａ ｔ ２ ｂ側への膨出変形も抑制される
。

又、隣接するシリンダ部１ａ〜１ｄ同志が連結部材８に
よって相互に連結されたことにより、各シリンダ部１ａ
〜１ｄの内方への縮小変形が相互に打ち消されて抑制さ
れるものである。

しかも、上記両連結部材８，９の上下方向での設置位置
は、変形量が最も大きい部分であって、冷却水の環環を
妨げることなく変形防止を行うことができる。

特に、連結部材８の上方において隣接するシリンダ部間
を冷却水が流れるため、燃焼による熱負荷の厳しいこの
上部の冷却性を確保することができる。

尚、第１および第４気筒用の前後端のシリンダ部１ａ、
１ｄは、ブロック外壁２の前後壁２ｃ。

２ｄに対して連結すると、ブロック外壁２の変形がシリ
ンダ部１ａ、ｌｄの変形を助長するので、連結しない方
が好斗しい。

すなわち、シリンダ部１ａ〜１ｄを、第１図ないし第３
図の従来技術の如く、その半径方向においてブロック外
壁２と連結することは、ブロック外壁２の変形を直接シ
リンダ部１ａ〜１ｄに及ぼすことになり好捷しくないも
のである。

また、ブロック壁２の対向する側壁２ａ 、 ２ｂを連
結する連結部材はシリンダ部１ａ〜１ｄおよびブロック
外壁２とは別材料で、つ１り鋼板等で予め成形して釦い
て鋳造時に所定位置にインサートして構成してもよい。

この場合、この別成形の連結部材はその両端部に鉤状に
屈曲加工して形成した係止部を設けておいて、との係止
部をブロック外壁２に鋳ぐるんで埋設するようにすれば
よい。

この連結部材は鋳造時に中子を支持する部材（いわゆる
ケレン）として利用することもできる。

寸た、シリンダボアはシリンダ部１ａ〜１ｄの内周にラ
イナを装着して形成してもよい。

従って、以上の如き本考案によれば、シリンダ部とブロ
ック外壁とが一体形成され、このシリンダ部とブロック
外壁との間にウォータジャケットを備えたシリンダブロ
ックにおいて、隣接するシリンダ部を連結する連結部材
を設けるとともに、対向する両側のブロック外壁を直接
連結する連結部材をピストン摺動方向に所定厚さにして
設けたことにより、シリンダブロックにガスケットを介
してシリンダヘッドを多数の取付ボルトにより締め付け
た場合げも、シリンダ部配列方向への冷却水の流れを妨
げることなく、ボルトの締付力によるシリンダ部の変形
が阻止され、シリンダ部の内周の真円度、真直度が良好
に維持され、シリンダ部内周面とピストンの摺接も良好
であって、耐久性の向上、騒音防止等を図ることができ
る。

そして、本考案は、隣接するシリンダ部を連結する連結
部材をピストン摺動方向において所定厚さに設けて冷却
水が隣接するシリンダ部間を流通することができるよう
にしたから、シリンダ部の変形を防止しつつ、その冷却
性を確保することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図ないし第３図は従来例を示すものであり、第１図
はシリンダブロックの縦断面図、第２図は第１図の■−
■線に沿う横断面図、第３図は同…−…線に沿う断面図
であり、第４図は本考案の実施例のシリンダブロックの
縦断面図、第５図は第４図のＶ−ｖ線に沿う横断面図、
第６図は同ＶＩ−■線に沿う断面図である。 １ａ〜１ｄ・・・シリンダ部、２・・・フロック外壁、
２ａ 、２ｂ・・・側壁、２ｃ・・・前壁、２ｄ・・・
後壁、３・・・クランクケース、４・・・上壁、５・・
・下壁、６・・・ウォータジャケット、Ｉ・・・ボルト
孔、８・・・連結部材、９・・・連結部材。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 内部をピストンが往復運動するシリンダ部と、このシリ
   ンダ部と一体に形成されたブロック外壁との間にウォー
   タジャケットを備えた水冷式エンジンのシリンダブロッ
   クにおいて、シリンダ部のピストン摺動方向位置に、隣
   接するシリンダ部とシリンダ部とを連結してシリンダ部
   間の間隔の増加を阻止する連結部材を冷却水が隣接する
   シリンダ部間を横切って流通可能なピストン摺動方向の
   厚さで設けるとともに、このシリンダ部とシリンダ部と
   の連結位置において対向する両側のブロック外壁とブロ
   ック外壁とを連結してブロック外壁間の間隔の増加を阻
   止する連結部材を、この連結部材のピストン摺動方向の
   両側において冷却水がシリンダ部の配列方向に流通可能
   な厚さで設けたことを特徴とするエンジンのシリンダブ
   ロック。