JPS6340554Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案はシールド掘進機のスクリユーコンベヤ
に係り、特にスクリユーコンベヤのスクリユーの
搬入端側を回転軸のないスパイラル羽根とすると
共に、このスパイラル羽根の搬出端のケーシング
に排礫口を形成することにより、掘削土砂に混在
する比較的大きな礫をケーシング内に導入して排
礫口から取出すことができるようにしたシールド
掘進機のスクリユーコンベヤに関する。

［従来の技術］ シールド掘進機としては、第１図に示すよう
に、筒体状シールドフレームａの前端部に回転式
カツタｂを備え、このカツタｂで掘削した土砂を
一旦カツタｂの背面部に形成されたカツタ室ｃ内
に取込み、これをスクリユーコンベヤｄによつて
シールドフレームａの後方に搬出するようにした
所謂密閉式機械掘りシールドと称されるものが知
られている。そして、上記土砂の搬出手段たるス
クリユーコンベヤｄは、その搬入端ｅを上記カツ
タ室ｃ内に開放して連結されると共に搬出端ｆを
シールドフレームａの後方に臨ませた状態でシー
ルドフレームａ内に取付けられている。

［考案が解決しようとする問題点］ しかしながら、この種のスクリユーコンベヤｄ
は、一般に軸駆動式スクリユーｇを採用していた
ので、比較的大径の礫は搬出し得ないという問題
があつた。即ち、上記スクリユーコンベヤｄは、
モータｈによつて回転駆動される回転軸ｉ上に羽
根ｊを螺旋状に一体的に形成して成るスクリユー
ｇを、円筒状ケーシングｋ内にその軸方向に沿つ
て回転自在に設けた構造になつている。従つて、
搬送し得る礫の大きさ乃至外径は回転軸ｉとケー
シングｋとの間に形成された空隙の大きさｍに
よつて定まるため、大径の礫を搬送するには上記
空隙を大きくする必要がある。ところで、ケー
シングｋの内径ｎは、ｎ＝空隙の大きさｍ×２
＋回転軸ｉの径ｏという関係があるので、空隙
を大きくしようとするとケーシングｋが大きなも
のとなつてしまう。しかし、シールドフレームａ
の大きさとの関係もあつて、上記ケーシングｋは
むやみに大きくすることはできない。従つて、ケ
ーシングｋの大きさには一定の限界があり、必要
以上の大きさを有する礫は搬送し得ず、とりわけ
中小径のシールド掘進機にあつては配置上スクリ
ユーコンベヤの装備径に限界があり、大礫掘削用
としては問題があつた。

一方、かかる問題点を解消し得るスクリユーコ
ンベヤとして、上記スクリユーｇの代りにその回
転軸ｉのないスパイラル羽根を採用した所謂リボ
ンスクリユー式のものが提案されている。これ
は、回転軸ｉがないので、比較的大径（ケーシン
グｋの内径ｎの約３分の２）の礫を搬送し得ると
いう大きな利点を有する。しかしながら、このコ
ンベヤにあつては、中心部が軸方向に連通してい
るため、螺旋状に土砂を圧密充填して切羽側から
の出水をせき止めることのできる上記駆動式スク
リユーのものに比して、止水壁の形成上不利であ
り、切羽の安定上好ましくなかつた。

そこで、本考案は上述したごとき種々の事情を
考慮して創案されたものであり、コンベヤケーシ
ングを大きくすることなく大径の礫を搬出するこ
とができるとともに、止水壁も充分形成すること
ができ、経済的で機能的に優れたシールド掘進機
のスクリユーコンベヤを提供することを目的とす
るものである。

［問題点を解決するための手段］ 上記目的を達成するために本考案は、スクリユ
ーコンベヤの円筒状ケーシングの搬入端をシール
ド掘進機のカツタ室内に開放し、カツタ室内に取
込まれた掘削土砂を上記ケーシング後端の排土口
より排出するシールド掘進機のスクリユーコンベ
ヤにおいて、上記搬入端側のケーシング内にその
長手方向に沿つてスパイラル羽根を設け、該スパ
イラル羽根の排出端にこれより上記排土口に至つ
て延出すべく回転軸を有するスクリユーを同軸上
に且つ一体的に形成し、上記スパイラル羽根の搬
出端が位置するケーシングに上記土砂中に混在す
る大径の礫を落下排出する重力方向に開口した排
礫口を設け、該排礫口にこれを開閉するスライド
ゲートを介して密閉形の礫収容タンクを接続し、
該タンクに開閉自在な礫取出口を形成したもので
ある。

［作用］ 大径の礫はスパイラル羽根によつてケーシング
内に搬入されるが、回転軸の搬入端で移動が規制
される。

そこで、排礫口のスライドゲートを開放する
と、礫はケーシング内から礫収容タンク内に自然
落下により収容される。礫を礫収容タンク内に収
容しながら、スライドゲートを締め、礫取出口を
開放して礫を取出せばよい。このようにケーシン
グを外部に直接開放しないので、切羽の土圧を保
つたまま礫を外部に搬出することができる。

［実施例］ 以下に本考案の好適一実施例を添付図面に基づ
いて詳述する。第２図において、１はシールド掘
進機の円筒状シールドフレームであり、その前端
部には切羽を掘削するためのカツタ２が回転自在
に設けられている。このカツタ２はモータ３によ
つて回転駆動される。また、カツタ２の背面部に
は掘削した土砂を取込むためのカツタ室４が一体
形成され、このカツタ室４にはその内部の土砂を
シールドフレーム１の後方へ搬出するためのスク
リユーコンベヤ５が接続されている。即ち、スク
リユーコンベヤ５は円筒状ケーシング６を有し、
その一端の搬入端６ａをカツタ室４にシール７を
介して連通接続すると共に、他端の搬出端６ｂを
シールドフレーム１の後方へ臨ませた状態でシー
ルドフレーム１内に配設されている。またケーシ
ング６の搬入端６ａには軸方向に開放された土砂
搬入口８が形成され、搬出端６ｂには軸直角方向
（径方向）で且つ重力方向に開放された排土口９
が形成されている。

そして、上記搬入端６ａ側のケーシング６内に
はその長手方向に沿つて所定の長さを有するスパ
イラル羽根１０が回転自在に設けられ、このスパ
イラル羽根１０の排出端１０ａにはこれより排土
口９に至つて延出すべく回転軸１１を有するスク
リユー１２が同軸上に且つ一体的に形成されてい
る。換言すれば、所謂軸駆動式のスクリユー１２
の一端部にそのスクリユー羽根１３のみを更に軸
方向へ延長すべく回転軸のないスパイラル羽根１
０を一体的に形成し、そのスパイラル羽根１０が
搬入端６ａ側に位置するようにスリユー１２をケ
ーシング６内に回転自在に収容している。上記ス
クリユー１２の回転軸１１は、ケーシング６の搬
出端６ｂ側外端部に設けられたモータ１４に連結
されており、スクリユー１２及びスパイラル羽根
１０は一体となつてケーシング６内で回転駆動さ
れるように構成されている。

一方、ケーシング６におけるスパイラル羽根１
０の搬出端１０ａが位置する部分には、土砂中に
混在した大径の礫を取出すための排礫口１５が軸
直角方向で且つ重力方向に開放して形成されてい
る。そして、排礫口１５にはこれを開閉するため
のスライドゲート１６が設けられると共に、この
スライドゲート１６を介して礫収容タンク１７が
液密に連設されている。この礫収容タンク１７は
上記排礫口１５から排出された礫を収容し、これ
を洗浄して取出す装置であり、上記ゲート１６の
近傍には給水管１８が且つ底部には排泥管１９が
それぞれ連通接続されている。また、礫収容タン
ク１７の内底部には礫と共に収容された土砂を洗
い流すためのスクリーン１０が設けられ、且つ礫
収容タンク１７にはシールドフレーム１の後方へ
臨ませて洗浄された礫を取出すための礫取出口２
１が形成されている。この礫取出口２１にはこれ
を開閉する扉２２が設けられている。

上記排土口９にはこれを開閉するためのスライ
ドゲート２３が設けられ、このスライドゲート２
３及び上記排礫口１５のスライドゲート１６には
開閉用ジヤツキ２４，２５がそれぞれ連結されて
いる。なお、排土口９にはケーシング６内の土砂
を一定の圧力に保ちつつ排出させるロータリーフ
イーダを設けても良い。図中、２６は坑道内に組
付けられたセグメント、２７はそのセグメントを
押圧してシールド掘進機を掘進させるべくシール
ドフレーム１内に設けられたシールドジヤツキで
ある。また２８はケーシング６内の搬出端６ｂに
土砂を排土口９へ案内するために形成された案内
板である。

次に実施例の作用を述べる。

スクリユーコンベヤ５は、モータ１４の駆動に
よりケーシング６内の搬入端６ａ側のスパイラル
羽根１０及び搬出端６ｂ側のスクリユー１２を一
体的に回転し、カツタ室４内に取込まれた土砂を
土砂搬入口８から搬入する。ところで、土砂中に
は大径の礫も混在している。この場合、スパイラ
ル羽根１０にはスクリユー１２の回転軸１１のよ
うな中心軸を有しないので、これによつて規制さ
れない大径の礫を含む土砂はスパイラル羽根１０
の回転によるねじ送りによりケーシング６内をそ
の軸方向に沿つて搬出端６ｂ側へ搬送される。そ
して、上記大径の礫はスパイラル羽根１０の排出
端１０ａに至つたら、スクリユー１２の回転軸１
１に規制されて搬送されなくなるので、これに際
してモータ１４に生じるトルクを検出して排礫口
１５のゲート１６を開放する。なお、スパイラル
羽根１０の排出端１０ａからスクリユー１２に移
行する部分で礫の噛込みを生じた場合には、スク
リユー１２を逆回転させれば良い。これにより、
礫は土砂と共に排礫口１５から礫収容タンク１７
内に搬入乃至収容される。この場合、排礫口１５
が開放されることにより切羽から排土口９までの
土砂搬送系の圧力が礫収容タンク１７に流れて、
切羽側の水圧乃至土圧のバランスを崩さないよう
に、礫収容タンク１７内には予め水が充填されて
いる。

こうして、礫等がタンク１７内に収容された
ら、ゲート１６を閉じて、給水管１８から給水乃
至注水及び排泥管１９により排泥を開始し、礫か
ら土砂等の付着物を洗い流す。なお、排泥管１９
は排泥系に導かれており、もつてタンク１７から
排出された泥水は処理される。洗浄が済んだら、
給水を止めてタンク１７内を排出する。

次に、タンク１７の扉２２を開放して洗浄され
た巨大礫等を外部に摘出し、これらを図示しない
セグメント搬入用ホイスト等及びズリ搬送台車等
を利用して坑外へ搬出する。こうして、タンク１
７内から礫を排出したら、扉２２を閉じて水を充
填しておく。

一方、上記スクリユー１２はその間に大径の礫
を検出しない限り送出方向へ回転駆動されてお
り、土砂をスパイラル羽根１０から受取りつつケ
ーシング６内を搬出端６ｂ方向へ搬送して、排土
口９より排出している。排土口９から排出された
土砂はズリ搬送台車等によつて坑外に搬出される
こととなる。

このように、スクリユー１２の搬入端側を中心
軸のないスパイラル羽根１０とすると共に、この
スパイラル羽根１０の排出端１０ａに位置させて
ケーシング６に排礫口１５を形成したので、従来
の軸駆動式スクリユーでは搬出し得なかつた大径
の礫を同じ大きさのケーシング６にて搬出するこ
とができる。また、上記スパイラル羽根１０は撹
拌機能も発揮し得るため、土砂の性状を変えるた
めに添加される添加剤も充分撹拌混合することが
でき、有効である。一方、ケーシング６の搬出端
６ｂ側は回転軸１１を有するスクリユー１２であ
ることから、ケーシング６内に土砂を螺旋状に圧
密して連続した止水壁を形成することができ、こ
のため切羽の安定が図れると共に排土量の制御管
理も可能となる。

なお、スパイラル羽根１０の排出端１０ａから
スクリユー１２方向へ搬送される礫を所定径以下
に規制するために、第３図に示すごとくスクリユ
ー１２の回転軸１１の搬入端部１１ａの軸径ｔを
拡大形成しても良い。これによれば、所定径以下
の礫しか排土口９側に送らないのでスラリー輸送
処理とした場合等、排土の後処理が容易となるば
かりでなく、回転軸１２とケーシング６内壁との
間に生じる礫の噛込みを未然に防止することがで
きる。また、スパイラル羽根１０の強度を増大す
るために、これを肉厚に形成すると良い。

［考案の効果］ 以上要するに本考案によれば次のごとき優れた
効果が得られる。

(1) 搬入端側に中心軸のないスパイラル羽根を用
いたので、コンベヤケーシングの拡径を図るこ
となく大径の礫の搬出を可能とすることがで
き、中小型のシールド掘進機においても大径の
礫に容易に対処し得ることは勿論、予期し得な
い大径の礫に対処すべく大型コンベヤを装備す
る必要がないので経済的である。

(2) 特に、ケーシング内に搬入された礫を重力方
向に形成した排礫口から自然落下により礫収容
タンク内に収容することができ、礫の取出しが
容易であると共に、ケーシング内の礫を一度礫
収容タンク内に収容してから外部に取出すの
で、ケーシング内が外部に直接開放されること
がなく、これにより切羽の土圧を安定した状態
に維持することができる。

(3) 搬出端側に中心軸たる回転軸を有するスクリ
ユーを用いたので、コンベヤケーシング内に土
砂を螺旋状に圧密して連続した止水壁を形成す
ることができ、切羽の安定、排土量管理の容易
化が図れる。

(4) また、スパイラル羽根は中心部が連通されて
いることにより、撹拌機能を発揮し易く、しか
も搬入端側にあるため、添加剤を使用した場合
にこれと土砂とをケーシングの前段において充
分撹拌混合することができ、添加剤の有効利用
が図れる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来のシールド掘進機のスクリユーコ
ンベヤを示す断面図、第２図は本考案に係るシー
ルド掘進機のスクリユーコンベヤの一実施例を示
す断面図、第３図は本考案の要部変形例を示す断
面図である。 図中、４はカツタ室、５はスクリユーコンベ
ヤ、６はケーシング、６ａはその搬入端、９は排
土口、１０はスパイラル羽根、１０ａはその排出
端、１１は回転軸、１２はスクリユー、１５は排
礫口、１６はスライドゲート、１７は礫収容タン
ク、２１は礫取出口である。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) スクリユーコンベヤの円筒状ケーシングの搬
   入端をシールド掘進機のカツタ室内に開放し、
   カツタ室内に取込まれた掘削土砂を上記ケーシ
   ング後端の排土口より排出するシールド掘進機
   のスクリユーコンベヤにおいて、上記搬入端側
   のケーシング内にその長手方向に沿つてスパイ
   ラル羽根を設け、該スパイラル羽根の排出端に
   これより上記排土口に至つて延出すべく回転軸
   を有するスクリユーを同軸上に且つ一体的に形
   成し、上記スパイラル羽根の搬出端が位置する
   ケーシングに上記土砂中に混在する大径の礫を
   落下排出する重力方向に開口した排礫口を設
   け、該排礫口にこれを開閉するスライドゲート
   を介して密閉形の礫収容タンクを接続し、該タ
   ンクに開閉自在な礫取出口を形成したことを特
   徴とするシールド掘進機のスクリユーコンベ
   ヤ。 (2) 上記回転軸の搬入端部の軸径が礫の搬入を規
   制すべく拡大形成されている実用新案登録請求
   の範囲第１項記載のシールド掘進機のスクリユ
   ーコンベヤ。