JPS6336380B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

産業上の利用分野 本発明はレインコート地、傘時、スポーツ用衣
料などに用いられる高密度撥水性布帛に関する。
更に詳しくはフアインデニールのち密な毛羽を布
帛表面に有する高密度布帛を撥水加工して得られ
る高密度撥水布帛に関するものでアウトドアーウ
エア用布帛として市場の要求度が高い。 従来技術 従来、布帛の表面に毛羽を有する撥水性布帛と
して「熱可塑性合成繊維マルチフイラメントから
なる織物の片面又は両面がニードルパンチされ
て、その織組織が乱され、かつ該織物を構成する
マルチフイラメントが開繊されており、該織物の
片面のみに単糸フイラメントによる高さ５mm以下
のループ状毛羽が多数作られてなる防水用基布」
（実開昭54−48172号公報）が開示されている。 発明の目的 しかしながら実開昭54−48172号公報に開示さ
れた考案はループ状毛羽による凹凸効果により、
光沢、ヌメリ感、ペーパーライクな性質の改善と
防水コーテイング加工の際に於けるコーテイング
剤との接着性向上を目的とする旨記載されている
（明細書第４頁第11行〜第20行）。 しかるに本発明は、表面にち密なカツト毛羽を
有する1.0デニール以下のマルチフイラメントを
含む高密度布帛を撥水加工してなる高密度撥水布
帛であり、高密度布帛表面上のフアインデニール
のマルチフイラメントのカツト毛羽自体が撥水性
を有する様に考案したものである。 発明の構成 高密度布帛はアウトドアー分野の衣料として多
く使用されている。この分野では要求特性として
透湿性と撥水性があり、かつ防風性（低通気性）
がある布帛が求められている。フアインデニール
のマルチフイラメント使いの高密度布帛は透湿性
があり、防風性もすぐれているが撥水性に限界が
あつた。撥水性の限界のあるのは高密度であるた
めに撥水加工を行つても樹脂が付着しにくい事と
布帛表面が平滑であることによる。 そこでこのフアインデニールのマルチフイラメ
ントを含む布帛の表面を例えばサンドペーパーを
用いて起毛処理したのち撥水加工を行うと撥水加
工を行う時に撥水性樹脂が付着しやすくなり、表
面に撥水性のすぐた緻密なカツト毛羽集団が出来
ることを見出し、本発明に到達した。 緻密なカツト毛羽集団を布帛表面に作るには
1.0デニール以下のマルチフイラメントを使うの
が効果的である。緻密でない大きいカツト毛羽を
有する布帛に撥水加工を行つた場合はカツト毛羽
が撥水加工されてもカツト毛羽の中に水が抱え込
まれて良好な撥水性を示さない。従つて布帛上の
カツト毛羽の長さは肉眼では判定出来ない程度の
長さであり10μ〜100μオーダーのものが好まし
い。 フアインデニールのマルチフイラメントとして
はポリエステル、ポリアミド、ポリオレフイン等
の繊維が挙げられるが、ポリエステル繊維とポリ
アミド繊維の混在したマルチフイラメントの様に
加工中に収縮差を示す物は収縮率の大さい方のマ
ルチフイラメントがバルキーアツプする為に起毛
加工等で表面に緻密なカツト毛羽を容易に作る事
が出来る。収縮差は７％以上が好ましい。 ここにいう高密度布帛とは１デニール以下のマ
ルチフイラメントを含み経緯のカバーフアクター
の合計が2000から2500の範囲の物を言い平織高密
度のものが低通気性の面からはすぐれている。 布帛上のカツト毛羽は高密度布帛を作る糸自身
がカツト毛羽を持つていても後加工によつて生成
せしめてもよいが布帛の表面を起毛処理して発生
させる方法が簡単で安価であり生産性も高い。カ
ツト毛羽を有する布帛に撥水加工を行う方法は従
来公知の方法で良い。例えばシリコン系あるいは
フツ素系の撥水剤をスプレー法、パツデイング
法、浸漬法、コーテイング法などの方法で付与す
る方法である。この中でパツデイング法はカツト
毛羽を殺さずに均一に撥水剤を布帛に付与するの
に最もすぐれている。 発明の効果 本発明の方法により製造した高密度撥水性布帛
は透湿性を有しかつ防風性のある（低通気性）撥
水性布帛でありアウトドアー用途の新しい機能性
布帛といえる。 実施例 以下に実施例により本発明について具体的に説
明する。なお、実施例に於て％は重量％である。 経糸にポリエチレンテレフタレート75デニール
72フイラメント（単糸デニール1.04）のマルチフ
イラメント糸を用い、緯糸にポリエチレンテレフ
タレートとナイロン−６を１：１の割合で含む貼
合型極細繊維150デニール40フイラメントを16分
割した繊維（分割後は640フイラメント、分割後
の単糸デニール0.23）からなる高密度平織物（経
本数177本／3.79cm、緯本数109本／3.79cm）を分
割加工後180℃の温度で45秒間のヒートセツトを
実施し染色用布帛とした。 染色は130℃の温度で通常の分散染料を用い通
常の方法で行い、ソーピング、乾燥した。染色后
の経本数は214本／3.79cm、緯本数は123本／3.79
cmで経緯のカバーフアクターの合計は2252であつ
た。 本発明に於てはこの染色布帛を＃240のサンド
ペーパーを用い３回の表面起毛処理を実施した。 次いで下記処方の通常のフツ素樹脂を用いた撥
水加工を行つた。一方、染色布帛を表面処理も行
う事なくそのまゝ上記撥水加工を行つた物を本発
明の比較用布帛とした。 撥水加工処理液組成 アサヒガードAG710 （旭ガラス）６％ ユニカレジン380K （ユニオン化学）0.3％ スミテツクスアリセレタACX
（住友化学）0.1％ 水 93.6％ 撥水剤処理液をパツデイング方法により布帛に
付与した後、100℃の温度で乾燥し、次いで180℃
の温度で30秒間の熱処理を実施し製品とした。 本発明の製品の撥水性能は比較用布帛の撥水加
工品にくらべる著るしく優れており水を布帛上に
滴下した場合小さな粒状水滴となり飛散する程度
は格段に優れていた。 なお、布上に約0.1c.c.の水を注射針にて滴下し
水滴の形状により撥水性能を定量的に評価した。 結果は、表１に示す如く、本発明品の布帛上の
水滴形状が比較例の布帛上の水滴形状にくらべ、
経が小さく丸い球形を示し撥水性が良好である事
を示している。

【表】 なお、製品のカバーフアクターは2360でJIS Ｚ
−208法で測定した透湿性は6000（ｇ／m²．24hr），
JIS−Ｌ−1071に準拠した方法で測定した通気度
は0.8c.c.／cm²・secであつた。 実施例 ２ 64デニール，144フイラメント（単糸繊度0.43
デニール）、沸水収縮率５％の低収縮性極細ポリ
エチレンテレフタレート繊維と50デニール、24フ
イラメント（単糸繊度1.25デニール）、沸水収縮
率15％のポリエチレンテレフタレート繊維からな
る混繊糸を経糸および緯糸に用い、経方向織密度
122本／インチ、緯方向織密度70本／インチで高
密度平織タフタ（トータルカバーフアクター
2050）を織成した。 該布帛をできるだけ張力をかけずに精練したの
ち乾燥、プリセツトして染色用布帛とした。つい
で該布帛を液流型染色機で通常のポリエステル織
物の染色条件で染色し、ソーピング、乾燥したの
ち実施例１に記載の方法で表面起毛処理とフツ素
樹脂による撥水加工処理を施した。 得られた布帛は表面に均一なカツト毛羽を多く
有しており撥水性が著しく優れていた。 JIS Ｌ−1092に記載のスプレー法により撥水性
を評価したところ５回洗濯を繰り返した後でも90
〜100点の撥水性を示した。なお撥水加工処理後
の布帛のトータルカバーフアクターは2360であつ
た。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 経糸および緯糸方向のカバーフアクターの和
   が2000〜2500であつて、長さが10〜100μの撥水
   性極細カツト毛羽で表面が覆われていることを特
   徴とする高密度撥水性布帛。 ２ 極細カツト毛羽の繊度が1.0デニール以下で
   ある特許請求の範囲第１項に記載の高密度撥水性
   布帛。 ３ 極細繊維がポリエステルフイラメントである
   特許請求の範囲第１項または第２項に記載の高密
   度撥水性布帛。 ４ 極細繊維がポリエステル繊維とポリアミド繊
   維の混在した繊維である特許請求の範囲第１項ま
   たは第２項に記載の高密度撥水性布帛。 ５ 極細カツト毛羽が低収縮性の極細繊維を含む
   混繊糸である特許請求の範囲第１項〜第４項のい
   ずれかに記載の高密度撥水性布帛。 ６ 極細カツト毛羽が起毛加工により発生せしめ
   られたカツト毛羽である特許請求の範囲第１項〜
   第５項のいずれかに記載の高密度撥水性布帛。