JPS6326066B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明はエレベータの防犯装置の改良に関す
るものである。

最近エレベータ内での犯罪が多発し、社会問題
となつている。犯罪を誘発する原因は多々あげら
れるが、何といつても犯罪を検知する適当なセン
サがないことがあげられる。すなわち犯罪がエレ
ベータ内で行なわれる理由は、エレベータが公共
の乗り物であるにもかかわらず密室となり犯罪が
第三者に発見されにくい事にある。

この防止策として、例えば日本エレベータ協会
で定められた「共同住宅ビル用エレベータ防犯対
策標準」がある。この共同住宅ビル用エレベータ
防犯対策標準（以下防犯対策標準という）には、
かご戸及び乗場戸にガラス窓を設けたり、各階ご
とにかごを停止させる各階強制停止運転をさせた
りしてかご内を外部から目視し易くすることが規
定されている。更に、また、エレベータにおける
犯罪はかご内という限定された場所で行われるた
め、一般の犯罪に比べて事後の逃走が制約される
ものである。このため、犯人がまだかご内にいる
間に関係者に通報できれば、現行犯として逮捕す
ることもでき、犯罪の再発防止上極めて有効とな
る。このような目的のために、防犯対策標準には
かご内に警報器用の押しボタンスイツチが設けら
れることも定められている。

しかし、深夜では、人目が止絶えがちなためか
ご内が目視し易いよう構成されていても防犯効果
はあまり期待できなかつた。また、実際に犯罪行
為が行われている時は、乗客は行動の自由を奪わ
れていたり、恐怖にさらされていたりするので、
かご内に警報器用の押しボタンスイツチが設けら
れていても犯行中は操作することができず、犯人
が逃走後にはじめて操作されるにすぎなかつた。
このため、防犯対策標準がエレベータに採用され
ていたとしても犯罪の発生を防止することはでき
ないという欠点があつた。

この発明は上記欠点に鑑みてなされたものであ
り、かご内の乗客の挙動が通常と異つていること
をセンサで検出し、このセンサで警報装置を作動
させるエレベータの防犯装置を提供することを目
的とするものである。

第１図ないし第３図に基づいてこの発明の一実
施例を説明する。

第１図及び第２図において、１はエレベータの
かご（図示しない）に乗つた乗客１ａによつてポ
ケツト１ｂなどに秘密状態で携帯されて衣服上か
ら押しても容易に作動されて閉成する携帯用セン
サである押しボタン、２はこの押しボタン１の作
動に応動して信号を発する送信器であり、押しボ
タン１の作動によつて閉成される回路に接続され
た電源２ａと、この電源２ａによつて作動される
発振器２ｂと、この発振器２ｂの信号を増幅する
増幅器２ｃと、この増幅器２ｃの信号を空中伝播
信号２ｅに変換させる送信アンテナ２ｄからなつ
ている。３はかご上に設けられて換気扇の換気口
を介して空中伝播信号２ｅを受信し、一旦受信す
ると作動し続ける受信器で、空中伝播信号２ｅを
受信する受信アンテナ３ａと、この受信アンテナ
３ａの信号を増幅する増幅器３ｂと、この増幅器
３ｂから送信器２による信号を検出する検波器３
ｃと、この検波器３ｃによつて作動される緊急信
号出力器３ｄと、この緊急信号出力器３ｄの出力
を復帰させるリセツトスイツチ３ｅとからなつて
いる。４はビル管理室（図示しない）に設けられ
て受信器３の緊急信号出力器３ｄによつて作動さ
れるベルからなる警報装置、５は緊急信号出力器
３ｄによつて作動されてかごを最寄階へ停止させ
るエレベータ運転装置である。

第３図は、１階〜５階まで運転されるエレベー
タの運転装置５の詳細を示し、（＋），（−）は制
御電源、３１，３２は緊急信号出力器３ｄが作動
したとき閉成する常開接点、６１〜６５はそれぞ
れ１階〜５階の上下所定の範囲にかごがあるとき
に閉成される位置スイツチ、７１〜７５はそれぞ
れ１階〜５階の呼びが登録されたとき閉成する呼
び接点、８０はかごが所定階の手前減速距離相当
まで近づいたとき瞬時閉成する停止決定接点、９
０はかごが昇降運転されているとき閉成され続け
る走行リレー接点、１００は付勢されるとかごを
減速停止させる停止決定リレー、１００ａ，１０
０ｂはその常開接点、１１０はかごが階の近くに
停止して戸を開いて危険のない位置にあるとき閉
成されるドアゾーンスイツチ、１１１は人の乗降
のために所定時間閉成されて戸を開き続ける戸開
放リレー接点、１２０は付勢されることにより戸
を開く戸開リレーである。

上記のとおり構成されたエレベータの防犯装置
において、常時は、押しボタン１が押されること
はないので、送信器２は作動せず、空中伝播信号
２ｅが発せられることはない。したがつて、受信
器３が作動しないので警報装置４も作動せず、ま
た、常開接点３１も開放されたままであるから、
かごが最寄階へ緊急に停止することもない。

次に、乗客がかご内で犯罪に合つた場合につい
て述べる。押しボタン１は秘密の状態で乗客に携
帯されていて、衣服の上から手で押しても、ま
た、かごの側壁に身体を押しつけることによつて
も、押しボタン１を作動させることができるもの
である。そして、このような乗客の挙動は極めて
自然であり、犯人に押しボタン１を押したことを
気付かせるものではない。このようにして押しボ
タン１が押されると、発振器２ｂが電源２ａに接
続されて作動する。そして、発振器２ｂの信号
は、増幅器２ｃ及び送信アンテナ２ｄを経て空中
伝播信号２ｅとなる。この空中伝播信号２ｅは受
信アンテナ３ａによつて受信され、増幅器３ｂ及
び検波器３ｃを介して緊急信号出力器３ｄを作動
させる。この緊急信号出力器３ｄによつて警報装
置４が作動し、乗客が犯罪に合つたことを管理人
に通報する。また、緊急信号出力器３ｄが作動し
たため常開接点３１が閉成され、更に、最寄階よ
りも減速距離相当手前までかごが来ると、停止決
定接点８０が閉成される。このため、停止決定リ
レー１００が、（＋）−３１−８０−１００−（−）
の回路で付勢され、更に、走行リレー接点９０が
閉成されているので自己保持される。停止決定リ
レー１００が付勢されると、周知の減速装置（図
示しない）によつてかごは減速され停止される。
途中、ドアゾーンスイツチ１１０の閉成によつて
戸開リレー１２０が（＋）−１００ｂ−１１０−
１２０−（−）の回路で付勢され、更に、（＋）−
１２０ａ〈（111） （32）〉１２０−（−）の回路で自己保
持する。この戸開リレー１２０の付勢によつて戸
が開く。かごが停止すると走行リレー接点９０が
開放されるので、停止決定リレー１００は消勢さ
れ、その常開接点１００ｂが開放される。また、
戸開放リレー接点１１１も戸開後、所定時間が経
過すると戸開放リレー接点１１１が開放される。
しかし、常開接点３２が閉成されているので戸開
リレー１２０は付勢され続ける。事後、リセツト
ボタン３ｅを押すことにより緊急信号出力器３ｄ
が復帰されて警報装置４が停止すると共に、常開
接点３２が開放されることにより、戸開リレー１
２０が消勢され、戸を閉じる。以後エレベータ運
転装置５は通常の状態に復帰する。

上記実施例によれば、受信器３はかご上に設け
られるとしたので、受信器３の存在を犯人に感付
かれることはない。このため、犯行に先立つて受
信器３をこわすという計画的犯行も防止できるも
のである。

また、押しボタン１の操作によつてかごを最寄
階に停止させるようにしたので、場合によつては
乗客が犯人の束縛から逃げる機会が大きくなるも
のである。

なお、上記実施例では携帯用センサを押しボタ
ンとしたが、乗客が身体をかごの側壁に押しつけ
たときの圧力で作動する圧力センサを用いるとし
ても同様に機能することは明らかである。

また、携帯用センサとして加速度センサを用
い、犯人とのもみ合いのときの乗客の急激な動き
や、かごの側壁に体を当てたときの衝撃力によつ
て作動させるものとしても同様に機能するもので
ある。

第４図はこの発明の他の実施例を示し、１はハ
ンドバツグ１ｄの吊手部に組込まれたスイツチか
らなる携帯用センサで、吊手が乗客１ａの手１ｃ
に保持されているときはハンドバツグ１ｄの重量
によつて開放されており、手１ｃが吊手から離れ
るとスイツチ１が閉成して、送信器２を作動させ
るものである。このものにあつても、乗客の自然
な挙動によつてスイツチ１を作動させることがで
きるので、犯人に感付かれることなくビル管理人
に通報できるものである。

この発明は乗客が携帯用センサを操作すること
により、かごを最寄階に停止させ戸を開放するよ
うにしたものである。

携帯用であるから犯行中であつても操作が可能
であり、かつ、この操作によつて直ちに最寄階停
止の動作が開始し戸を開放して密室感をなくすの
で、犯罪の進歩を阻止できるという効果を奏す
る。

【図面の簡単な説明】

第１図ないし第３図はこの発明によるエレベー
タの防犯装置の一実施例を示し、第１図は携帯用
センサが携帯されている状態を示す斜視図、第２
図は電気回路を示すブロツク図、第３図はエレベ
ータの運転装置の電気回路図、第４図はこの発明
の他の実施例を示す一部詳細図である。 図において、１は押しボタン（携帯用センサ）、
１ａは乗客、２は携帯用送信器、２ｅは空中伝播
信号、３は受信器、４は警報装置である。なお、
図中同一符号は、同一部分又は相当部分を示す。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ かご内の乗客の操作によつて作動される携帯
   用センサ、この携帯用センサに応動して空中伝播
   信号を発する携帯用送信器、上記かごに設けられ
   て上記空中伝播信号を受信する受信器、この受信
   器の受信信号によつて作動して上記かごを最寄階
   へ停止させて戸を開放する装置を備えたエレベー
   タの防犯装置。