JPS6323060B2

JPS6323060B2 -

Info

Publication number: JPS6323060B2
Application number: JP58209975A
Authority: JP
Inventors: Yoshio Tanaka
Original assignee: Kureha Corp
Current assignee: Kureha Corp
Priority date: 1983-11-10
Filing date: 1983-11-10
Publication date: 1988-05-14
Also published as: JPS60110663A

Description

【発明の詳細な説明】本発明は、水分を含有する食品のガス充填包装
に関する。

食品のガス充填包装は、削り節、ハム、ソーセ
ージ等の加工肉、精肉、チーズ、塩干物、茶、コ
ーヒー、ポテトチツプス等各種のものに使われて
おり、微生物の繁殖抑制、酸化防止、変褪色防
止、香気成分の保持、虫害防止等の効果を有して
いる。従来、食品のガス充填包装においては、プ
ラスチツクフイルムの袋或いはトレイとフイルム
カバーとの組み合せ等の各種の包装形態の中に食
品を入れ、ガスを充填して密封しており、ガスと
しては窒素、アルゴン等の不活性ガスや精肉等の
場合には発色性のため酸素ガスを用いており、ま
た20％程度二酸化炭素ガスを混入させることがあ
る。

これら従来のガス充填包装においては、包装体
は充填されたガスによつて余分なスペースを要す
るという問題がある。またシートトラブルやピン
ホール等の包装上の欠陥があるか否を判断するに
ついては、包装体を水中につけて押すなどして肉
眼的判断にたよらざる得ない。脱酸素剤を使用し
ている場合には、その錠剤の変色状況を観察して
判定したりするが、脱酸素剤を使用しない場合も
多く、包装の完全性の判定が容易でないという問
題もあつた。

本発明は、これらの問題を解決するとともに微
生物の繁殖防止効果を向上させる食品の包装方法
を提供するべくなされたものである。

本発明は、水分を50％以上含有する食品をガス
充填包装するに際して、ガスバリヤー性の包装材
を用いて包装し、充填ガスが50〜100体積％の二
酸化炭素ガスを包み、前記食品中の水分と二酸化
炭素ガスとの反応により包装体中の気体部分の容
積を減少せしめることを特徴とする食品の包装方
法に関する。

本発明においては、従来のガス充填包装におい
ては用いられたことのない多量の二酸化炭素ガス
を充填ガス中に含めることによつて、食品中の水
分と二酸化炭素ガスとの反応により包装体中の気
体部分の容積を積極的に減少せしめようとするも
のである。従つて、対象となる食品は、ハム、ソ
ーセージ等の加工肉、精肉、鮮魚、魚卵、野菜、
果実、惣菜、クレープ、チーズ等の水分を含有す
る食品、特に水分を50％以上含有する食品であ
る。また、効果的な容積変化が生じるためには、
二酸化炭素ガスは充填ガスの50体積％以上を占め
るものである必要があり、望ましくは70体積％以
上とする。

充填ガスは、二酸化炭素ガス100体積％として
もよいが、100体積％より少ない場合は、残りは
窒素ガス、アルゴンガス、クリプトンガス、キセ
ノンガス等の不活性ガス、或は酸素ガス等を混入
させることができる。

また、充填されるガスの密封性をよくするため
に、包装材としてはガスバリヤー性を有するもの
を用いる。一般に食品の包装材にガスバリヤー性
を持たせるためには、ポリ塩化ビニリデン系共重
合体、エチレン―酢酸ビニル共重合体ケン化物、
エチレン―ビニルアルコール共重合体、ニトリル
樹脂、ナイロン等の層を設けることが知られてお
り、本願発明においてもこれらの材質からなる層
を有するフイルム、トレイ、蓋材等を包装材とし
て用いる。包装形態は、包装する食品の種類や提
供の方法に応じて適宜選定する。

第１図は、トレイ１とフイルムカバー２とから
成る包装材中にスライスハム３を入れ、二酸化炭
素ガス100〜70％と窒素ガス０〜30％のガスを充
填して包装した例であり、気体部分の容積は約
250c.c.であるものが、５℃で４時間放置したとこ
ろ、第２図のようになり、気体部分の容積が約
150c.c.となり、約2/3の半真空状態となつている。

本発明によれば、食品中の水分と多量の二酸化
炭素ガスとが反応して炭酸を形成するために、充
填ガスの容積が減少するので包装体の余分なスペ
ースが少なくなり、コンパクトで手軽な包装形態
とすることができる。また、第２図のような包装
形態において、例えば、シートトラブルやピンホ
ール等の包装不良があつた場合、包装中の気体部
分の容積減少が元に戻り、包装材が復元するの
で、これを目視による外観的チエツクが容易にで
きるので商品を水中につけて押す等の行為をする
必要がなくて便利である。更に、実験によれば、
本発明の如く多量の二酸化炭素ガスを含む充填ガ
スを用いる場合は、50体積％より少ない量で二酸
化炭素ガスを含む充填ガスを用いる場合に較べて
微生物の繁殖防止効果が大きく、商品の保存日数
を延長することができる。これは、二酸化炭素ガ
スが微生物、特にカビ類に対して顕著な静菌作用
を有し、二酸化炭素ガスの濃度が高いほどその効
果が大きいためである。

実施例及び比較例ポリ塩化ビニリデン系共重合体とエチレン―酢
酸ビニル共重合体とから成る厚さ350μｍのトレ
イ状の容器と、ポリプロピレンの片側にエチレン
酢酸ビニル共重合体ケン化物の層ともう一方の側
にエチレン―酢酸ビニル共重合体の層を設けた厚
さ65μｍのフイルム状の蓋材との組み合せで形成
される包装形態の中にシヨルダーベーコンを入
れ、実施例としてガス組成がCO₂／N₂＝80／20
（体積％）のガスで充填包装したものと、比較例
としてガス組成がCO₂／N₂＝30／70（体積％）の
ガスで充填包装したものについて微生物の繁殖防
止効果を比較した。第３図は、実施例の商品と比
較例の商品について、５℃での保存日数に対する
一般細菌指数（n/g；食品１ｇ中に含まれる細菌
数10ⁿ／ｇについての指数表示）を示すグラフで
あり、グラフ中○・印は実施例の商品について、▲
印は比較例の商品についての一般細菌数指数であ
る。第３図から見られるように、一般細菌数指数
が６（細菌数10⁶個／ｇ）を超える商品限界は実施
例の商品では30日であるのに対し、比較例の商品
では22日であつた。

また、CO₂／N₂＝80／20（体積％）のガスを用
いた実施例の商品では気体部分の容積が約20〜40
％減少してコンパクトな包装体となつたのに対し
て、CO₂／N₂＝30／70（体積％）のガスを用いた
比較例の商品では容積変化はほとんど見られず余
分なスペースを有する商品のままであつた。

シヨルダーベーコンの水分含有量は約70％であ
つた。一方、水分含有量が10％以下である即席中
華そば（水分含有量4.0％）、乾パン（水分含有量
5.5％）、かわらせんべい（水分含有量６％）、八
ツ橋（水分含有量7.0％）等をO₂／N₂＝80／20
（体積％）のガスを用いた実施例の商品では、気
体部分の容積が１〜３％しか減少しなかつた。
又、CO₂／N₂＝30／70（体積％）のガスを用いた
比較例の商品では容積変化は殆んど認められなか
つた。

【図面の簡単な説明】

第１図及び第２図は、本発明方法に基づくガス
充填包装の一例を示す包装体の横断面図である。
第３図は、実施例及び比較例について、保存日数
に対する一般細菌数指数を示すグラフである。

Claims

【特許請求の範囲】１水分を50％以上含有する食品をガス充填包装
するに際して、ガスバリヤー性の包装材を用いて
包装し、充填ガスが50〜100体積％の二酸化炭素
ガスを含み、前記食品中の水分と二酸化炭素ガス
との反応により包装体中の気体部分の容積を減少
せしめることを特徴とする食品の包装方法。２充填ガスが、50体積％以上の二酸化炭素ガス
と残りが窒素ガス、アルゴンガス、クリプトンガ
ス、キセノンガス又は酸素ガスから成るものであ
る特許請求の範囲第１項に記載の食品の包装方
法。３充填ガス中の二酸化炭素ガスが70体積％以上
である特許請求の範囲第１項又は第２項に記載の
食品の包装方法。