JPS6321721Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ＜産業上の利用分野＞ 本考案は、２サイクルエンジンの掃気を加熱す
る装置に関する。

＜従来技術＞ 一般に、２サイクルエンジンでは負荷変動によ
り燃焼状態が大幅に変動し、特に、軽負荷時には
掃気ポートを流れる混合ガスの加温が不足して、
燃料の気化を悪化させ燃焼性能を低下させてしま
う。

従つて、従来ではエンジン本体肉壁内を通る掃
気ポートの周辺にヒーターを別途埋設して掃気を
加熱していたが、構造が複雑になるばかりでな
く、電力を必要としなければならない。

そこで、本出願人は以下の先行考案を企図し
た。

即ち、排気ポートからエンジン本体肉壁内に支
流を分岐させ、これを掃気ポートに沿つて流しな
がら掃気を加熱したのち、エンジン外に排出する
ように構成したものであり、又は、クランクケー
ス肉壁内で掃気ポートを排気ポートのすぐ近くに
まで延設し、この延設路の途中で排気ポートの半
周又は全周に沿わせて、掃気を加熱するように構
成したものである。

＜考案が解決しようとする問題点＞ しかし、上記構造では、次の欠点がある。

すなわち、排気ポートから分岐路を導出してク
ランクケース肉壁内を通すこと、又は、クランク
ケース肉壁内を通る掃気ポートの延設路途中部を
排気ポートの半周又は全周に沿わせることは、加
工を複雑にするばかりでなく、特に排気ポートの
分岐路をクランクケース肉壁内に通す場合には、
エンジン本体肉壁を厚く維持しなければならず、
材料費が嵩むことにもなる。

しかも、排気ポートからの分岐路、又は、掃気
ポートの延設路はクランクケース肉壁内に形成さ
れているので、排気ポートからの排気熱はそのま
ま掃気ポートに伝わりやすく、排気熱が高温にな
りすぎると、掃気が加熱されすぎてオーバーヒー
トする可能性がある。

本考案は、簡単な構造でありながらも、排気熱
を利用して掃気を温めて燃焼性能を高めるととも
に、掃気との熱交換によつて排気温を下げて排気
性能を向上させるものを提供することを目的とす
る。

＜問題点を解決するための手段＞ 本考案は、上記目的を達成するために、例え
ば、第１図及び第２図に示すように、構成したも
のである。

即ち、２サイクルエンジンＥのエンジン本体肉
壁１のうち、排気ポート２の近傍部３に掃気ポー
ト４を通過させ、上記両ポート２，４の双方が相
互に近接するエンジン本体肉壁５の外周部に、上
記両ポート２，４間に亘つて熱交換壁６を突設
し、当該熱交換壁６により、排気熱で掃気を加温
するとともに、掃気で排気を冷却するように構成
したものである。

＜作用及び効果＞ 従つて、本考案の作用効果を述べると、まず、
排気熱は熱交換壁を介して掃気ポート内の掃気を
加温して混合気の気化を促進するため燃焼性能を
高めることができる。

しかも、掃気は上記熱交換壁を排気ポート内の
排気を冷却するので、排気容量を減少して排圧を
抑制するとともに、マフラへの急激な排気の膨張
をなくして消音性能をも向上できる。

そのうえ、熱交換壁をエンジン本体肉壁の外周
部に突設するので、熱交換壁が外気に触れて放熱
され、排気熱により掃気が加熱されすぎることも
なく、オーバーヒートが無くせる。

そのうえ、本考案は掃気ポートの一部を排気ポ
ートに近接させ、当該排気ポートと掃気ポートと
の近接部位に熱交換壁を設けるだけの簡便な構造
なので、エンジン本体肉壁の成形時に同時に熱交
換壁を形成することができ、追加の加工を施す手
間が要らないので、安価に実施できる。

＜実施例＞ 以下、本考案の実施例を図面に基いて説明す
る。

第１図は空冷２サイクルエンジンの中央縦断面
図、第２図は排気ポート周辺の要部右側面図であ
つて、エンジンＥの中央にシリンダ１０を配置
し、連接棒１１を介してクランク軸１２と連動し
たピストン１３を当該シリンダ１０内に上下摺動
自在に内嵌する。

そして、クランクケース８の前面に冷却フアン
及び導風ケースを配置し、当該導風ケース内に冷
却フアンを収容して、冷却フアンによつて換気さ
れた冷却風を導風ケースに案内させながらシリン
ダ１０に吹き付け、エンジン本体背部に排出する
ように構成する。

上記シリンダ１０には上方から下方にかけて、
排気ポート２の入口１４、掃気ポート４の出口１
５及び吸気ポート７の出口１６を順に各々明け、
吸気ポート７の入口１７には気化器１８を介して
エアクリーナ１９を接続し、排気ポート２の出口
２０にはマフラ２１を接続する。

また、クランク室２２の底部２２ａに掃気ポー
ト４の入口２３を明け、当該入口２３からエンジ
ン本体肉壁１内に掃気ポート４を立上げて上記出
口１５と接続する。

そして、掃気ポート４のうち、クランク室２２
に沿つて上下に立上がつてからシリンダ１０に沿
つて水平方向円弧状に屈曲する中途部位４ａを、
排気ポート２の近傍部３に通過させる。

他方、上記排気ポート２及び掃気ポート４の双
方が相互に近接するエンジン本体肉壁５の外側部
に、排気ポート２から掃気ポート４にかけて複数
の熱交換フイン６を上下に形成し、当該熱交換フ
イン６を介して排気ポート２と掃気ポート４との
伝熱を可能にする。

即ち、熱交換フイン６は排気ポート２から一体
に連設されて掃気ポート周辺のエンジン本体肉壁
５まで垂下されるので、シリンダ部をダイカスト
鋳造するに際し、フインとシリンダを一体に成型
することができ、製造工程数を増加させないで熱
交換フイン６を形成できる。

斯くしてなる上記実施例では、排気熱は複数の
熱交換フイン６を伝わつて掃気ポート周辺のエン
ジン本体肉壁５に達し、掃気を加熱して燃焼効率
を向上するとともに、排気熱が掃気ポートに奪わ
れる分だけ排気が冷却され、マフラへの排圧を低
下させて消音性能を高めることができるうえ、熱
交換フイン６が外気に触れて放熱され、掃気が加
熱されすぎることがない。しかも、熱交換壁をフ
イン体とすることで、伝熱速度が大きくなり、燃
焼効率や排気性能を迅速に高められる。そのう
え、シリンダに吹き付けられて暖められた冷却風
が、掃気ポート周辺のエンジン本体肉壁に沿つて
吹き当るので、掃気の加温をより促進できる。

尚、第３図は本考案の他の実施例を示すもの
で、排気ポート２から掃気ポート４にかけて、中
実一体の熱交換壁６を形成したもので、上記実施
例のように複数のフインを形成せずに済むので、
鋳造が容易になり、フインのように伝導される熱
が外気に逃げ易いという点も防ぐことができる。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施例を示すもので、第１図は
空冷２サイクルエンジンの中央縦断面図、第２図
は排気ポート周辺の要部右側面図、第３図は他の
実施例を示す第２図相当図である。 １……エンジン本体肉壁、２……排気ポート、
３……２の近傍部、４……掃気ポート、５……
２，４に近接するエンジン本体肉壁、６……熱交
換壁。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ２サイクルエンジンＥのエンジン本体肉壁１の
   うち、排気ポート２の近傍部３に掃気ポート４を
   通過させ、上記両ポート２，４の双方が相互に近
   接するエンジン本体肉壁５の外周部に、上記両ポ
   ート２，４間に亘つて熱交換壁６を突設し、当該
   熱交換壁６により、排気熱で掃気を加温するとと
   もに、掃気で排気を冷却するように構成した事を
   特徴とする２サイクルエンジン。