JPS6320522B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

本発明は、人の指爪に適用する人工爪用の常温
硬化組成物に関する。 本来爪は指先の保護の役目をするものである
が、今日の婦人にとつては装飾の役目をもつとめ
ている。ケガや病気で爪を無くしたり、割れ爪、
折れ爪、変形爪などの自然爪に対する実在の医学
的解決法はなく、人工爪が用いられている。又自
然爪を長くつぎ足す用途にも人工爪が用いられ
る。 最も一般的に使用されている人工爪用組成物
は、液状／粉末の２部形式であつて液状部が通常
メタアクリル酸メチルのごときアクリレートおよ
び／またはメタクリレート〔以下（メタ）アクリ
レートと記す）単量体と少量第３級アミンのごと
き重合促進剤よりなり、且つ粉末部がポリメタア
クリル酸メチルのごとき粉末ポリマーと過酸化ベ
ンゾイルのごとき触媒よりなつている。 使用法は、少量の液状部を少量の粉末部とをブ
ラシの先で混合し、この混合物を補修すべき爪の
表面上にブラシで塗布しその状態で硬化させる。
次に爪切り、ヤスリ等で形を整え、仕上げ、必要
に応じマニキユアを塗布することで人工爪が完成
される。 人工爪用組成物は、人の皮膚を刺激しかつ敏感
にしてはならない。また使用時適度な重合速度
（通常３〜５分で硬化）をもち、硬化後は曲げ強
さ、天然爪との接着性に優れていなければならな
い。従来の組成物の多くは、液状部としてメタア
クリル酸メチル単量体を主体として用いられてい
る。このメタアクリル酸メチルは、刺激的な不快
臭をともない、また皮膚への刺激性が指摘されて
いる。さらにメタアクリル酸メチルを用いると、
もろく且つ柔軟性に欠けた人工爪をもたらす。 またこれら組成物の重合触媒に過酸化ベンゾイ
ル、重合促進剤にジメチルパラトルイジンのごと
き第３級アミンが用いられているが、組成物中で
の過酸化ベンゾイルの分解および第３級アミンに
よる重合物の紫外線による変色など、人工用爪組
成物として充分な性能を有していない。 本発明者らは、これらの問題点を解決するため
鋭意研究の結果、優れた性能をもつ人工爪用常温
硬化組成物を提供するものである。 本発明は、液状部として単独での硬化物が比較
的柔軟となるモノ（メタ）アクリレートおよび人
工爪としての機械的強度をもたらすためモノ（メ
タ）アクリレートと共重合する架橋性ポリ（メ
タ）アクリレート、更に重合触媒として有機ハイ
ドロパーオキサイドからなつている。 本発明に使用されるモノ（メタ）アクリレート
としては、例えばエチルメタクリレート、ｎ−ブ
チルメタクリレート、２−ヒドロキシエチルメタ
クリレート、２−ヒドロキシプロピルメタクリレ
ート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、
シクロヘキシルメタクリレート、アセチルオキシ
エチルメタクリレート、テトラヒドロフルフリル
アクリレートなどがある。これらモノ（メタ）ア
クリレートは40〜95wt％配合するのが好ましい。
40wt％未満では相対的に重合性ポリ（メタ）ア
クリレートが多くなり、組成物はもろいものとな
る。又95wt％を越えると逆に重合性ポリ（メタ）
アクリレートが少なくなり、機械的強度が低下す
る。 重合性ポリ（メタ）アクリレートは例えばネオ
ペンチルグリコール、ジエチレングリコール、ト
リエチレングリコール、１，３−ブタンジオー
ル、１，６−ヘキサンジオール、トリメチロール
プロパン、ビスフエノールＡジオキシエチルエー
テル、ビスフエノールＡジオキシポリエチレング
リコールエーテルなどのポリオールとアクリル酸
および／またはメタクリル酸とのエステルが使用
される。これら重合性ポリ（メタ）アクリレート
は５〜60wt％配合するのが好ましい。5wt％未満
では機械的強度が不十分であり、60wt％を越え
ると柔軟性に欠けもろいものとなる。有機ハイド
ロパーオキサイドにはクメンハイドロパーオキサ
イド、ターシヤリーブチルハイドロパーオキサイ
ド、ｐ−メンタンハイドロパーオキサイドなどが
あり、これらハイドロパーオキサイドをモノ（メ
タ）アクリレートとポリ（メタ）アクリレートの
合計量に対し、0.1〜5.0wt％配合すればよい。 その他必要に応じ染料、酸化防止剤、重合防止
剤、紫外線防止剤などを加える。 本発明の粉末部としては、ビーズ状ポリマー粉
末を主体とするポリマー粉末を主体とし、これに
重合促進剤として(a)チオ尿素および／またはチオ
尿素誘導体と(b)有機バナジウム化合物を用いる。 液状部と粉末部は通常ほぼ同量混合するのが好
ましいが、混合時、餅状（高粘度）にならないた
めにはビーズ状ポリマー粉末を用いることが必要
である。 ビーズ状ポリマー粉末としては、メチルメタク
リレート、エチルメタクリレート、ｎ−ブチルメ
タクリレート、酢酸ビニールなどの単独および／
または共重合ポリマーが使用される。例えば三菱
レーヨン(株)より市販されている商品名「ダイヤナ
ール^RBRシリーズ」が使用できる。これらのポリ
マー粉末は、作業性、平滑性などのため、液状組
成物にある程度溶解するのがよく、溶解しすぎる
と高粘度になり、溶解性が低い場合はパサパサと
なる。 重合促進剤(a)および(b)成分それぞれの具体例と
しては、つぎのごときものがある。 (a) 成分：１−アセチル−２−チオ尿素、テトラ
メチルチオ尿素、トリメチルチオ尿素、１−ベ
ンゾイル−２−チオ尿素、１−フエニル−２−
チオ尿素、１，１−ジフエニル−２−チオ尿素
など。 (b) 成分：バナジウム化合物とモノ又はジアルキ
ルリン酸エステルとの反応により得られる酸性
アルキルリン酸バナジウム塩（特公昭53−
24231号に詳細に開示）、アセチルアセトンバナ
ジウム塩など。 これらはいづれもビーズ状ポリマー粉末に対し
0.01〜2.0wt％の使用量が望ましい。 その他必要に応じチクソトロピツク剤としての
コロイド状シリカ、乳白剤としての酸化チタン、
染料、顔料などを加えることができる。 本発明による人工爪用としての組成物の物性
は、室温での硬化時間が３〜５分、硬化物の機械
的強度としてJIS−Ｋ−6902に準じた成形品の曲
げ弾性率が５〜20×10³Kg／cm²が望ましい。曲げ
弾性率が５×10³Kg／cm²以下では柔らかすぎ20×
10³Kg／cm²以上では硬く人工爪先で人体各部に切
傷をもたらす危険性がある。一方曲げ強さは200
〜700Kg／cm²がよく、さらに好ましくは300〜500
Kg／cm²であり、200Kg／cm²以下では柔らかすぎ、
700Kg／cm²以上ではもろくなりヒビ割れを生じる。 以下実施例及び比較例を記載してさらに具体的
に詳しく述べる。各例において用いた部数はすべ
て重量部数である。 実施例１〜７および比較例１〜４ 液状部 モノ（メタ）アクリレート｝ 100部 ポリ（メタ）アクリレート
（配合割合は表−１に記載） クメンハイドロパーオキサイド ３部 ３，５−ジタ−シヤリーブチル−４−ヒドロキシ
トルエン（BHT） 0.1部 粉末部 ダイヤナールBR−90（三菱レーヨン製ビーズ状
ポリマー） 100部 １−ベンゾイル−２−チオ尿素 1.0部 ジブチルリン酸バナジウム塩 0.1部 酸化チタン 0.3部 液状部50部／粉末部50部を室温で混合、成形
し、JIS−Ｋ−6902に準じ成形品の曲げ強さおよ
び弾性率を測定した結果を表−１に示す。

【表】 これら組成物を人の指爪に人工爪をほどこした
結果、実施例１〜７は実用上問題なかつたが、比
較例１〜２は柔らかすぎ、比較例３〜４は硬く、
もろく、人工爪にヒビ割れを生じた。 実施例８〜11および比較例５〜10 次のペースト状組成物を作成する。 アセチルオキシエチルメタクリレート 40部 ジエチレングリコールジメタクリレート 10部 ダイヤナールBR75（三菱レーヨン製ビーズ状ポ
リマー） 50部 タメンハイドロパーオキサイド ２部 次にペースト状組成物に各種促進剤を添加し、
室温での硬化時間を測定した。表−２にその結果
を示す。

【表】 比較例 11 実施例１における粉末部のダイヤナールBR−
60の替りにメタブレンＰ−500（三菱レーヨン製非
ビーズ状ポリマー）を使用した他同条件で液状部
および粉末部を用い、液状部10部／粉末部10部を
混合し、人の指先に人工爪をほどこした結果、混
合物は餅状となり人の指爪に平滑な人工爪ができ
なかつた。 比較例 12 実施例８におけるペースト状組成物のクメンハ
イドロパーオキサイドの替りに、過酸化ベンゾイ
ルを使用した他同一条件で硬化時間を測定した結
果10分以上であつた。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 下記の(1)及び(2)からなる人工爪用の常温硬化
   組成物。 (1) 次の３成分からなる液状組成物。 モノアクリレート及び／又はモノメタクリ
   レート 重合性ポリアクリレート及び／又は重合性
   ポリメタクリレート 有機ハイドロパーオキサイド (2) 次の３成分からなる粉末状組成物。 ビーズ状ポリマー粉末を主体とするポリマ
   ー粉末 チオ尿素及び／又はチオ尿素誘導体 有機バナジウム化合物