JP3334050B2 - 軟質樹脂組成物 - Google Patents

軟質樹脂組成物

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JP3334050B2 JP32517490A JP32517490A JP3334050B2 JP 3334050 B2 JP3334050 B2 JP 3334050B2 JP 32517490 A JP32517490 A JP 32517490A JP 32517490 A JP32517490 A JP 32517490A JP 3334050 B2 JP3334050 B2 JP 3334050B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、軟質樹脂組成物に関し、より詳しくは、特
にレジン義歯床の裏装材として有用であり、さらに、口
腔内において直接義歯床に裏装することのできる軟質樹
脂組成物に関する。
〔従来の技術〕
義歯、特に総義歯は、義歯と義歯床によって構成され
ており、また、その材質は咬合力及び咀嚼圧などに耐え
得るように比較的硬質のレジン(一般的にはアクリル系
樹脂)で構成されているのが一般的であるが、総義歯の
対象患者は高齢者が多いため、歯槽堤は一般に骨吸収が
著しく、その面積当りで負担する咬合力は大きくなり、
また、歯槽堤粘膜も老人性萎縮によりひ薄になるので、
咬合、咀嚼圧の衝撃は緩和されずに直接歯槽骨に伝えら
れることになる。このため、硬いレジン義歯床と硬い歯
槽骨の間に挟まれた薄い粘膜は咬合を繰り返す度に傷つ
き痛みを発生することになる。
このような難症例においては、通常レジン義歯床の粘
膜と接する面に軟らかい材料(軟質裏装材)で裏装し
て、失われた顎堤粘膜の粘弾性を補い、咬合時の衝撃を
緩和することが必要となり、このため従来より種々の軟
質裏装材、例えば、アクリル樹脂あるいは塩化ビニル樹
脂に可塑剤を配合して軟質化せしめてなる裏装材、シリ
コーン樹脂系裏装材、フッソ樹脂系裏装材、ポリオレフ
ィン系裏装材、シリコーンゴム系裏装材などが用いら
れ、また、暫間的な用途に対しては義歯安定材が用いら
れている。
〔発明が解決しようとする問題点〕
しかしながら、上記従来の裏装材ないし義歯安定剤に
は以下のごとき問題点がある。
(1)アクリル樹脂系及び塩化ビニル樹脂系の裏装材
は、口腔内において可塑剤の溶出が起こり易く、数カ月
の使用で硬化、脆弱化、退色などの特性劣化が生じると
共に、溶出する可塑剤と入れ替わる状態で水分を吸収
し、微生物付着の原因となるなどの問題点があり、長期
間の使用に耐えられない。
(2)シリコーン樹脂系裏装材は、吸水性が大きいため
に微生物が付着し易く、また、レジン義歯床から剥離し
易いという問題点があるため、上記(1)同様に長期の
使用に耐えられない。
(3)フッソ樹脂系裏装材は粘弾性に乏しく、咬合時の
衝撃緩和のためのクッション効果が十分でない。
(4)ポリオレフィン系裏装材は成形温度が高いため、
レジン義歯床を変形させる恐れがあり、また義歯床との
接着力を高めるために特殊な接着剤、専用の加熱器など
を必要とし、操作が煩雑になることから実用性に乏し
い。
(5)シリコーンゴム系裏装材は安定性に優れている
が、レジン義歯床との十分な接着が得られず、また裏装
のための操作が煩雑である。
(6)義歯安定剤は、使用期間が長くなると粘稠度が増
加して可塑性が低下し、その結果不適合義歯の適合性及
び辺縁封鎖性の向上によって義歯床の維持、安定化及び
支持を高めるという目的を十分果たし得ないだけでな
く、口腔組織に障害を与えることも多く、また、圧縮応
力が小さく弾性が乏しいため、咬合圧に対するクッショ
ン効果が十分とはいえず、口腔粘膜の疼痛再発の原因と
なっている。
したがって、本発明は、従来の裏装材における上記の
ような問題点の解決を目的とするもので、適度な粘弾性
を有し、レジン義歯床との永続的接着性及び耐久性に優
れると共に、特殊な歯科技工操作を必要とすることなく
裏装面に対して容易に装着可能であるなど、特にレジン
義歯床用の裏装材として有用な軟質樹脂組成物を提供す
るものである。
〔問題点を解決するための手段〕
本発明によって提供される軟質樹脂組成物は、下記
(a)、(b)、(c)及び(d)の成分から形成され
てなることを特徴としている。
成分(a);ガラス転移温度が10〜50℃のアルキル
(メタ)アクリレートのホモポリマー及び/またはコポ
リマーからなる非架橋ポリマー粉末、 成分(b);ガラス転移温度が−5〜−90℃のポリマ
ーを構成する1種以上の単官能アルキル(メタ)アクリ
レートモノマー混合物、 成分(c);多官能(メタ)アクリレートモノマー、 成分(d);重合開始剤、 以下、本発明を詳細に説明するにあたり、レジン義歯
床用の裏装材として用いる場合を例にするが、これは理
解を容易にするための一例であって、本発明を限定する
ものではない。
なお、ポリマーのガラス転移温度は、それぞれのポリ
マーの特性値として広く知られており、例えば、1989
年、ジョン ワイリー アンド サンズ社(JOHN WILE
Y & SONS,INC.)から発行された「ポリマー ハンド
ブック、第3版(POLYMER HANDBOOK THIRD EDITIO
N)」、あるいは、昭和60年7月1日、中部経営開発セ
ンター出版部から発行された「アクリル樹脂の合成・設
計と新用途開発、−総合技術資料集−」など多くの文献
に記載されている。従って、本発明でいうポリマーのガ
ラス転移温度についてもこれら文献に記載のものを採用
するものとする。
本発明において用いられる成分(a)のポリマー粉末
としては、ガラス転移温度が10〜50℃のアルキル(メ
タ)アクリレートのホモポリマー及び/またはコポリマ
ーの粉末であり、該ポリマー粉末のガラス転移温度が10
℃より低いと、裏装材としての形状を保つための強度が
不足するという欠点が生じるようになり、反対に50℃よ
り高い場合は、硬度が増して裏装材として好適な粘弾性
が得られないようになる。
上記ポリマー粉末の構成成分として用いることのでき
るアルキル(メタ)アクリレートモノマーとしては、最
終的に得られる裏装材に好適な粘弾性を与えることがで
きる点で、n−ブチルメタクリレート(ポリマーのガラ
ス転移温度、20℃)、イソブチルメタクリレート(同、
48℃)をそれぞれ単独で、もしくは混合物として用いる
のが好ましいが、ガラス転移温度が上記以外のもの、例
えば、メチルアクリレート(同、3℃)、メチルメタク
リレート(同、105℃)、エチルアクリレート(同、−2
2℃)、エチルメタクリレート(同、65℃)、n−ブチ
ルアクリレート(同、−56℃)、イソブチルアクリレー
ト(同、−24℃)、tert−ブチルメタクリレート(同、
107℃)、2−エチルヘキシルアクリレート(同、−68
℃)、2−エチルヘキシルメタクリレート(同、−10
℃)、オクチルアクリレート(同、−65℃)、オクチル
メタクリレート(同、−20℃)、ラウリルメタクリレー
ト(同、−65℃)など、およびトリデシルメタクリレー
ト(同、−46℃)、ステアリルメタアクリレート(同、
−100℃)などのモノマーであっても、上記n−ブチル
メタクリレートおよび/またはイソブチルメタクリレー
トと組み合わせることによって、あるいはこれらモノマ
ー同士を2種以上を組み合わせることによって、ポリマ
ーのガラス転移温度を上記範囲とすることができるの
で、これらモノマーも上記ポリマー粉末を構成するモノ
マー成分として用いることができる。2種もしくはそれ
以上を組み合わせる場合のモノマー混合比(重量比)
は、目的とするポリマーのガラス転移温度[Tg(゜
K)]が下記式を満たす範囲で組み合わせることができ
る[式中、W1、W2、・・・はモノマーの組成比(重量分
率)、Tg1、Tg2、・・・はそれぞれのモノマーに対応す
るホモポリマーのTg(゜K)]。
(1/Tg)=(W1/Tg1)+(W2/Tg2)+・・・ また、上記ポリマー粉末は、ガラス転移温度が10〜50
℃の範囲にあるので、通常の取扱状態で特に支障をきた
さないが、ガラス転移温度が低いもの程高温での取扱も
しくは長期間の保存等で、ポリマー粉末同士がブロッキ
ングを起こす傾向があるので、これを防ぐ目的で、その
表面を無機質粉体で被覆するのが好ましい。該表面被覆
に用いることのできる無機粉体としては、カオリン、タ
ルク、クレー、炭酸カルシウム、シリカ、シリカ・アル
ミナ、アルミナ、酸化チタン、第三リン酸カルシウム、
ガラス粉末、石英粉末などであり、これら無機粉体の使
用量は、ポリマー粉末100重量部に対して100重量部以下
とするのが好ましい。無機粉体の使用量が100重量部を
超えると、得られる裏装材の強度を低下させる、柔軟性
を阻害するなどの問題点が生じるようになる。
上記ポリマー粉末の製造方法は特に限定するものでは
なく、従来公知の方法、例えば、塊状重合をおこなった
後粉砕する方法、懸濁重合または乳化重合などによって
直接ポリマー粉末とする方法、溶液重合をおこなった後
噴霧乾燥する方法などによって製造することができる。
これら製造方法の中でも懸濁重合法は、裏装材として取
扱易い平均粒子径10〜100μmのポリマー粒子が直接製
造できる点、及び、懸濁重合に際して水系分散媒体中に
無機粉体を含有させて懸濁重合を行うことによって、ポ
リマー粉末が生成すると同時にその表面に分散媒中の無
機粉体が被覆されたポリマー粉末が得られる点で特に好
ましい。
本発明における成分(b)の単官能アルキル(メタ)
アクリレートモノマー混合物は、1分子中に1個の(メ
タ)アクリロイル基を有し、重合によってガラス転移温
度が−5〜−90℃のポリマーを構成する1種以上を用い
ることができる。形成されるポリマーのガラス転移温度
が−5℃より高くなるモノマー混合物を用いると、裏装
材としたときに硬度が増して適度な粘弾性が得られなく
なり、これと反対に−90℃より低くなるモノマー混合物
を用いると裏装材としての形状を保つだけの強度が不足
するようになる。
本発明において、成分(b)として好ましく用いるこ
とのできる単官能アルキル(メタ)アクリレートモノマ
ーの一例としては、2−エチルヘキシルアクリレート
(ポリマーのガラス転移温度、−68℃)、2−エチルヘ
キシルメタアクリレート(同、−10℃)、オクチルアク
リレート(同、−65℃)、オクチルメタクリレート
(同、−20℃)、ラウリルメタクリレート(同、−65
℃)、トリデシルメタクリレート(同、−46℃)、など
であり、これらモノマーはそれぞれ単独でもしくは2種
以上を混合して用いることができる。また、メチルアク
リレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレー
ト、ブチルメタクリレート等は、それぞれ単独ではガラ
ス転移温度が上記範囲から外れるが、形成されるポリマ
ーのガラス転移温度が上記範囲となるように、ガラス転
移温度の低い他のアルキル(メタ)アクリレートモノマ
ーと組み合わせることにより、上記成分(a)の場合と
同様、成分(b)として使用可能である。
本発明において、成分(c)として用いられる多官能
(メタ)アクリレートモノマーは、成分(b)と反応し
て架橋構造を形成し、得られる裏装材に対し、外力が加
わって変形した場合の形状復元力を付与することができ
る。用いることのできる多官能(メタ)アクリレートモ
ノマーの具体例としては、エチレングリコールジ(メ
タ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)
アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アク
リレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレ
ート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、
ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、2,2'−ビス
〔(メタ)アクリロイルオキシポリエトキシフェニル〕
プロパン、2,2'−ビス〔4−(3−メタクリロキシ−2
−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕プロパン、2,2,4
−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート1モルと
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート2モルとの
付加物等の2官能性モノマー;トリメチロールプロパン
トリ(メタ)アクリレート等の3官能性モノマー;ペン
タエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、2,2,4
−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート1モルと
グリセリンジ(メタ)アクリレート2モルとの付加物等
の4官能性モノマーなどを例として挙げることができ
る。
上記多官能性モノマーの使用量は、上記モノマー成分
(b)の100重量部に対し0.1〜10重量部の範囲が好まし
く、特に0.3〜3重量部の範囲が好ましい。該多官能性
モノマーの使用量が上記範囲未満では、得られる裏装材
を長期間使用した場合、咬合力、咀嚼圧に耐えられずに
塑性変形する原因となり、上記範囲を超えると裏装材が
硬くなると共に壊れ易くなる。
本発明において、成分(d)として用いることのでき
る重合開始剤に特別な制約はなく、公知のいずれのもの
でも良い。一例としては、ベンゾイルパーオキサイド、
ジ−tert−ブチルパーオキサイド、クメンハイドロパー
オキサイド等の有機過酸化物;2,2'−アゾビスイソブチ
ロニトリル、1,1'−アゾビス(シクロヘキサン−1−カ
ルボニトリル)等のアゾ系化合物が好適に用いられる。
一方、常温重合を行う場合には、ベンゾイルパーオキサ
イド/ジメチルアニリン系、クメンハイドロパーオキサ
イド/チオ尿素系、アスコルビン酸/Cu2+塩系、有機ス
ルフィン酸またはその塩/アミン/過酸化物系等の酸化
・還元系開始剤、並びにトリブチルボラン、有機スルフ
ィン酸等も好適に用いられる。
また、本発明の軟質樹脂組成物を可視光線照射による
光重合で得る場合には、α−ジケトン/第3級アミン、
α−ジケトン/アルデヒド、α−ジケトン/メルカプタ
ンなどの酸化・還元系が好ましい。α−ジケトンとして
は、カンファーキノン、ジアセチル、2,3−ペンタンジ
オン、ベンジル、アセトナフテンキノン、フェナントラ
キノン等、第3級アミンとしてはN,N−ジメチルアミノ
エチルメタクリレート、N,N−ジメチルアミノ安息香酸
エチル、ミヒラーケトン等、アルデヒドとしてはシトロ
ネラール、ラウリルアルデヒド、o−フタルジアルデヒ
ド、p−オクチルオキシベンズアルデヒド等、メルカプ
タンとしては1−デカンチオール、チオサリチル酸、2
−メルカプトベンゾキサゾール、4−メルカプトアセト
フェノンなどを挙げることができる。さらに、これらの
酸化・還元系に有機過酸化物を添加したα−ジケトン/
有機過酸化物/還元剤の系も好適に用いられる。
上記重合開始剤の添加量に特別な制限がなく、一般的
には成分(b)のモノマーに対して0.01〜10重量%の範
囲で用いられる。
本発明における裏装材は、上記成分(a)〜(d)の
各成分を、使用目的に応じて適宜組み合わせて使用され
るが、通常成分(a)をポリマー粉末成分(I)とし、
成分(b)及び(c)をモノマー成分(II)として取り
扱うのが便利である。
すなわち、ポリマー粉末成分(I)及びモノマー成分
(II)のいずれか一方もしくは両方に、上記成分(d)
の重合開始剤を添加し、次いで成分(I)及び成分(I
I)の所望量を混合し、重合が進んで全体がシロップ状
あるいはスラリー状となった時点で、該混合物の適量
を、義歯床作製用フラスコ内に予め型どられたアクリル
樹脂系の餅状プレポリマーの裏装面(顎堤粘膜に接する
面)に注ぎ、石膏型で加圧し、そのまま常法により重合
操作を行う方法、あるいは、長期間使用して適合性の悪
くなった義歯床の粘膜面側の一部または全面を深さ約1m
m程度研削し、該研削面に上記混合物の適量を注入し、
それを口腔内に挿入し、咬合させた状態でしばらく維持
させて、常温で重合させる方法などで裏装することがで
きる。
上記ポリマー粉末成分(I)とモノマー成分(II)と
の混合割合は、使用目的に応じて適宜とすることがで
き、例えば、レジン義歯床用の軟質裏装材として用いる
場合、ポリマー粉末成分(I)/モノマー成分(II)の
重量部比が1/3〜3/1の範囲とするのが好ましい。ポリマ
ー粉末成分(I)が1重量部未満で成分(II)が3重量
部を超えると裏装材としての強度が小さくなり、成分
(I)が3重量部より多く成分(II)が1重量部未満で
は硬度が増して軟質裏装材として適さなくなる。
以上、本発明の軟質樹脂組成物について、レジン義歯
床用の裏装材として用いる場を例にして説明してきた
が、本発明の樹脂組成物の用途はこれに限定されるもの
ではなく、本発明組成物の軟質特性を利用して、例え
ば、間隙を埋めるための充填材としてあるいは鋳型用組
成物として使用し得る他、振動ないし振動音を伴うよう
な部品間に介層させることによって振動ないし振動音を
減衰させることができるといった効果があり、種々の用
途に有用である。
〔実施例〕
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する
が、これら実施例は一例に過ぎないもので本発明を限定
するものではない。
実施例 1 冷却管及び攪拌機付きの3l重合容器中に、ドデシルベ
ンゼンスルホン酸ナトリウムの1%水溶液4.5g、ポリビ
ニルアルコール(ケン価度87%)の6%水溶液を3g及び
イオン交換水を1500g加え、攪拌して分散及び溶解させ
た。
これに過酸化ベンゾイル5g、n−ブチルメタクリレー
トモノマー250g及びイソブチルメタクリレート250gの混
合モノマーを添加し、80℃で5時間重合反応をおこなっ
た。生成ポリマー粒子は十分に水洗、ろ過後、30℃で一
昼夜乾燥することによりポリマー粉末を得た(ガラス転
移温度33℃、平均粒子形約80μm)。
上記のポリマー粉末100重量部に過酸化ベンゾイル1
重量部を混合してポリマー粉末成分(I)とし、また、
ラウリルメタクリレートモノマー100重量部とエチレン
グリコールジメタクリレート2.5重量部を混合してモノ
マー成分(II)とし、該成分(I)/成分(II)を3/2
の重量比で混合し、粘度が上昇した段階で、予め石膏型
で加圧して型どられた餅状のメタクリル樹脂の義歯床の
粘膜面に注入し、加圧したまま100℃で30分間加熱重合
した。
以上のようにして得られた義歯床の粘膜面には、上記
成分(I)と成分(II)とによって形成された適度な柔
軟性を有する裏装材層が形成されており、しかもメタク
リル樹脂義歯床と強固に接着していた。
また、成分(I)及び成分(II)からなる上記組成物
で、直径50mm、厚さ1mmの成形体を形成し上記同様に加
熱重合して得た試験片を、37℃の水中に24時間浸漬し、
重量増加による吸水量を測定したところ0.02mg/cm2であ
り、きわめて吸水量の小さい値であった。
実施例 2 冷却管及び攪拌機付きの3l重合容器中に、第三リン酸
カルシウム2.0g、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウ
ムの1%水溶液4.5g、ポリビニルアルコール(ケン価度
87%)の6%水溶液を3g及びイオン交換水を1500g加
え、攪拌して分散及び溶解させた。これに過酸化ベンゾ
イル5gをn−ブチルメタクリレートモノマー500gに溶解
させたものを添加し、80℃で5時間重合反応をおこな
い、生成ポリマー粒子は十分に水洗、ろ過後、40℃で一
昼夜乾燥することによりポリマー粉末を得た(ガラス転
移温度20℃、平均粒子形約80μm)。
このポリマー粉末の表面は、分散媒中に存在させた第
三リン酸カルシウムが被覆されており、50℃で2週間の
ブロッキング試験において、ブロッキングが発生せず、
きわめて流動性に優れたポリマー粉末であった。
上記のポリマー粉末100重量部に過酸化ベンゾイル1
重量部を混合してポリマー粉末成分(I)とし、また、
ラウリルメタクリレートモノマー100重量部とエチレン
グリコールジメタクリレート2.5重量部を混合してモノ
マー成分(II)とし、該成分(I)/成分(II)を3/2
の重量比で混合し、粘度が上昇した段階で、予め石膏型
で加圧して型どられた餅状のメタクリル樹脂の義歯床の
粘膜面に注入し、加圧したまま100℃で30分間加熱重合
した。
以上のようにして得られた義歯床の粘膜面には、上記
成分(I)と成分(II)とによって形成された適度な柔
軟性を有する裏装材層が形成されており、しかもメタク
リル樹脂義歯床と強固に接着していた。
また、成分(I)及び成分(II)からなる上記組成物
で、直径50mm、厚さ1mmの成形体を形成し上記同様に加
熱重合して得た試験片を、37℃の水中に24時間浸漬し、
重量増加による吸水量を測定したところ0.03mg/cm2であ
り、きわめて吸水量の小さい値であった。
実施例 3 長期間の使用によって適合性の悪くなったアクリル樹
脂製の義歯床の粘膜面全体を1mmの深さに研削したもの
を義歯床として準備した。
上記実施例1のポリマー粉末成分(I)と、ラウリル
メタクリレート100重量部、エチレングリコールジメタ
クリレート2.5重量部及びN,N−ジメチル−p−トルイジ
ン1.5重量部を混合してなるモノマー成分(II)とを、
(I)/(II)=3/2の重量比率で混合し、粘度が上昇
した段階で上記義歯床の粘膜面に注入し、次いでそれを
口腔内に挿入し、咬合させた状態で重合を完結させた。
以上のようにして義歯床の粘膜面に形成された裏装材
は、適度な柔軟性を持ち、しかもメタクリル樹脂製の義
歯床と強固に接着していた。
比較例 シリコーンゴム系義歯床用裏装材として市販されてい
る製品を、製造業者の指示にしたがって用いた。その結
果、義歯床の顎堤部はメタクリル樹脂義歯床と接着して
いたが、辺縁部の接着は不十分で辺縁封鎖性に劣るもの
であった。
また、このシリコーンゴム系裏装材について、上記実
施例2同様に吸水試験を行ったところ、吸水量は0.25mg
/cm2であり、きわめて大きな吸水量であった。
〔発明の効果〕
本発明によって提供される軟質樹脂組成物は、上記特
定の成分(a)〜(d)から得られているため、例え
ば、義歯床用の裏装材として用いた場合、従来の歯科技
工操作により簡単に裏装を施すことができ、しかも形成
された裏装面は適度な粘弾性を持ち、特にアクリル樹脂
系義歯床との接着力に優れており、吸水量が小さいなど
の優れた特性を有し、従ってこの材料を長期間口腔内で
使用した場合でも弾性の低下、変色、剥離、微生物の付
着などの問題が起こらず、きわめて有用性の高い材料で
ある。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−305808(JP,A) 特開 昭63−2912(JP,A) 特開 平2−29407(JP,A) 特開 平2−170884(JP,A) 特開 昭63−5360(JP,A) 特開 昭63−61011(JP,A) 特開 昭58−160332(JP,A) 米国特許5037473(US,A) 欧州特許出願公開408858(EP,A 1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08L 33/00 - 33/26 C08F 220/00 - 220/70 C08F 265/00 - 265/10

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記(a)、(b)、(c)及び(d)の
    成分から得られる軟質樹脂組成物。 成分(a);ガラス転移温度が10〜50℃のアルキル(メ
    タ)アクリレートのホモポリマー及び/またはコポリマ
    ーからなる非架橋ポリマー粉末、 成分(b);ガラス転移温度が−5〜−90℃のポリマー
    を構成する1種以上の単官能アルキル(メタ)アクリレ
    ートモノマー混合物、 成分(c);多官能(メタ)アクリレートモノマー、 成分(d);重合開始剤、
  2. 【請求項2】前記成分(a)の非架橋ポリマー粉末が、
    その表面を無機質粉体で被覆されてなるものである請求
    項1に記載の軟質樹脂組成物。
  3. 【請求項3】前記成分(a)の非架橋ポリマー粉末が、
    n−ブチルメタクリレートのホモポリマーまたはn−ブ
    チルメタクリレートとイソブチルメタクリレートのコポ
    リマーからなる請求項1及び2に記載の軟質樹脂組成
    物。
JP32517490A 1990-11-29 1990-11-29 軟質樹脂組成物 Expired - Fee Related JP3334050B2 (ja)

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