JPS6318038B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明はモルタル、生コンクリート等のスラリ
ーを送り出すためのスクイズポンプに関するもの
である。

一般に、円筒ドラムの内周に弾性チユーブをほ
ぼＵ字状に沿設し、同弾性チユーブ内側を公転す
る複数個の押圧ローラにより吸入、吐出を行なう
ようにしたスクイズ式ポンプにおいては、各押圧
ローラがそれぞれ等速度で公転するようになつて
いるので、２個の押圧ローラにより形成された弾
性チユーブの閉込部の圧力が、弾性チユーブの吐
出側の圧力よりも低くなり、従つて先行するロー
ラが弾性チユーブから離れるとき、同弾性チユー
ブのスクイズ動作完了位置付近において逆流が生
じチユーブ内面を局部的に摩耗させ、チユーブの
寿命を著しく短縮するばかりでなく、吐出流に脈
動が生じる等の欠陥があつた。

上記欠陥を解消するために、従来特開昭52−
112805号公報に示すように、円筒ドラムの内側面
に突出した軸受部に対し、押圧ローラ支持用の支
持アームをそれぞれ独立して回転可能に支承し、
前記支持アームの回転中心から若干偏心した位置
に支持した回転軸には駆動アームを固着し、さら
に同駆動アームの先端には駆動ローラを軸支して
前記支持アームに設けたカム部に同駆動ローラを
転動押圧することにより、各押圧ローラにそれぞ
れ非等速回転を与えて閉込部が吐出側と連通前に
おいて予圧されて吐出側圧力とほぼ等しくなるよ
うに構成し、先行押圧ローラのスクイズ完了時に
おける吐出側からの逆流を防止するようにしたス
クイズ式ポンプが提案された。

ところが、上記のスクイズ式ポンプには、押圧
ローラ支持用のアームを支承する軸受部と、駆動
アームを支持する回転軸とを偏心して設けなけれ
ばならないので、構造が複雑になり、製作及び組
付が難しいという欠陥があつた。

本発明は上記従来の欠陥を解消するために提案
されたものであつて、その目的は先行押圧ローラ
が弾性チユーブのスクイズ動作完了位置付近にき
たとき、閉込部と吐出側の圧力をほぼ等しくして
吐出側から閉込部への逆流を防止し弾性チユーブ
内面の摩耗を防ぐことができるとともに、構造が
簡単で製作及び組付を簡単に行うことができるス
クイズポンプを提供することにある。

以下本発明を具体化した一実施例を第１〜４図
について説明すると、１はスクイズポンプの円筒
ドラム、２は同ドラム１内にＵ字状に沿設した弾
性チユーブであつて、その両端をドラム１外へ突
出させている。３はその中心に設けた回転軸、４
は同回転軸３上において基端部を遊転可能に取付
けた左右一対の支持アームであつて、それらの先
端部間には支軸５により押圧ローラ６を遊転可能
に支持している。７は両支持アーム４間において
これらと同様回転軸３上において基端部を遊転可
能に取付けた支持アームであつて、その先端の二
叉部８に前記と同様の押圧ローラ９を支軸５によ
つて遊転可能に支持している。両支持アーム４，
７はそれぞれ独立して回転軸３に対して回転可能
である。

両押圧ローラ６，９は回転軸３を中心としてほ
ぼ正反対の側に位置しており、又押圧ローラ６，
９の支軸５は各支持アーム４，７から左方へ突出
している。

１０は前記の両支持アーム４，７の左方におい
て回転軸３上に固定した駆動アーム、１１は同ア
ーム１０の両先端部に対して一部を回動可能に軸
１２支した一対の被動アームであつて、いずれも
扇形状をなしている。１３は各被動アーム１１の
一方の外端角部に切欠き形成した係止溝であつ
て、それぞれの内部へ前記の各押圧ローラ６，９
支持用の支軸５の突出端５ａを係止溝１３の長さ
方向への若干の移動可能に挿入している。

１４は各被動アーム１１の他方の角部に軸１５
支したカムフオロア、１６は両カムフオロア１４
を案内するためのカムであつて、円筒ドラム１の
側部内周面に縦方向に固着されている。１７は同
カム１６に形成した透孔の内周面に設けたカム面
である。両押圧ローラ６，９の公転中心（回転軸
３の軸心）からカム面１７までの距離は、チユー
ブ内容物の吸込み側Ｘから吐出側Ｙへ行くに従つ
て徐々に短くなるよう連続的に変化しており、吐
出完了時点においてカムフオロア１４の接する部
分が急激に外方へ広がる拡開部１７ａとなつてい
る。

１８は第２図に示すように前記駆動アーム１０
と一体に形成したスプロケツトホイールであつ
て、回転軸３に回転力を伝達するためのものであ
る。

次に、上記のように構成したスクイズポンプの
作用、効果について説明する。

第１図は後続の押圧ローラ９によるスクイズ動
作が開始した直後（押圧ローラ９の二点鎖線位置
でスクイズが開始される）でかつ先行の押圧ロー
ラ６によるスクイズ動作が完了した状態を示すも
ので、この状態でスプロケツトホイール１８を介
して回転軸３が左回りに回転されると、これにと
もなつて同回転軸３上の駆動アーム１０も同方向
へ回転される。すると、同駆動アーム１０の先端
の一対の被動アーム１１も同時に左回りに回転さ
れる。この場合、各被動アーム１１角部のカムフ
オロア１４はそれぞれカム１６のカム面１７上を
転動する。

一対の被動アーム１１が左回りに回動されると
各アーム１１の係止溝１３内に係入された支軸５
を介して一対の支持アーム４，７がそれぞれ回転
軸３上において左回りに回動される。従つて、各
支持アーム４，７上の押圧ローラ６，９が弾性チ
ユーブ２を押圧しながら同チユーブ２上を転動
し、これにより弾性チユーブ２の内容物が順次吐
出側Ｙへ送られる。

さて、このようにして弾性チユーブ２の内容物
を送るために各押圧ローラ６，９が内容物の吸込
み側Ｘから吐出側Ｙへ回転軸３を中心として公転
するとき、その公転速度は吐出側Ｙへ近づくほど
徐々に速くなり、吐出動作完了の時点（第１図の
押圧ローラ６位置）では押圧ローラ６の公転動作
がほとんど停止又はスロー回転される。

すなわち、押圧ローラ６，９の公転時において
被動アーム１１のカムフオロア１４が転動するカ
ム面１７は、チユーブ内容物の吸込み側Ｘから吐
出側Ｙへ行くに従つて徐々に回転軸３の軸心方向
へ接近し、吐出完了時においてカムフオロア１４
が接する拡開部１７ａにおいて外方へ急激に広が
つている。そのため、このようなカム面１７に沿
つて転動するカムフオロア１４は第３，４図に示
すように吐出側へ近づくにつれて回転軸３側（Ｐ
矢印方向）へ付勢され、これにより被動アーム１
１がその軸１２部を中心として左回り方向へ傾動
されることになる。従つて、この傾動動作により
被動アーム１１の係止溝１３に係入された支軸５
を介して押圧ローラ９（又は６）は徐々に公転速
度が速くなるのである。

又、吐出動作完了時には第３図に示すように被
動アーム１１が左方へ公転されているにもかかわ
らずカムフオロア１４がカム面１７の拡開部１７
ａに接するようになるので、このときには被動ア
ーム１１は前記とは逆に右回りに傾動されようと
する。このため結局、押圧ローラ６（又は９）は
被動アーム１１に対して同時に作用する右回りの
回動力と左回りの回動力が互いに打消し合うこと
によつて一時的に公転動作が停止された状態とな
るのである。

なお、被動アーム１１の左右方向への傾動時に
はその係止溝１３内において長さ方向へ支軸５が
若干移動する。

このようにポンプの作動時において押圧ローラ
６，９の公転速度が徐々に速くなり吐出動作完了
時に一時的に停止するようになると、弾性チユー
ブ２内における両押圧ローラ６，９によつて閉成
された閉込部Ｚの容積はスクイズ完了時にはスク
イズ開始時における容積よりも小さくなつてその
内部圧力が高くなる。従つて、この閉成部Ｚの内
部圧力がスクイズ完了時において吐出側Ｙの内部
圧力と同じになるようにカム面１７の形状を設定
しておけば、吐出動作完了時における弾性チユー
ブ２内での内容物の逆流をなくして同チユーブ２
内壁の損傷を防止することができる。

なお、吐出動作が完了してカム面１７の拡開部
１７ａを通過したカムフオロア１４はカム面１７
の回転軸３中心から最も遠い部分を経て第４図に
示すように再び左方へ公転され、次のスクイズ動
作を行う。

上記のスクイズポンプは支持アーム４，７の回
転中心を回転軸３の軸心に対して偏心させる必要
がないので、その構造が簡単となり製作、組付け
を簡単に行うことができる。

なお、吐出動作中において弾性チユーブ２内の
閉込部Ｚの圧力が吐出側Ｙの圧力よりも高くなつ
たときには、第１図に示すように後続の押圧ロー
ラ９はそのカムフオロア１４がカム面１７に係合
されており吸込み側Ｘへ戻ることがないので、吐
出側Ｙの先行押圧ローラ６が吐出方向へ逃げる。
この場合、同押圧ローラ６を規制するカムフオロ
ア１４はカム面１７上から浮上がる。

先行押圧ローラ６が逃げると閉込部Ｚ内の内容
物が吐出側Ｙへ移動するので両者Ｙ，Ｚの内部圧
力が均一化される。

前記実施例ではカム面１７の拡開部１７ａが外
方へ急激に広がるようにしたが、この拡開部１７
ａは第５図に示すように緩やかに広がるようにし
てもよい。

次に本発明の第二実施例を第６，７図について
説明すると、前記第一実施例のカム１６が内部に
カム面１７を有する内カムであるのに対し、この
第二実施例のカム２６はその外周にカム面２７を
有する外カムとなつており、スクイズ完了時にカ
ムフオロア１４が接する部分は緩やかな凹状をな
す凹状部２７ａとなつている。

従つて、この実施例においてもスクイズ動作完
了時には第７図に示すようにカムフオロア１４が
カム面２７の凹状部２７ａに沿つて若干下降して
押圧ローラ６，９の公転が一時的に停止される。

前記の両実施例における各被動アーム１１の係
止溝１３と押圧ローラ６，９の支軸５突出端５ａ
との間には第８図に示すようにスライダ３１を介
装してもよい。このスライダ３１は支軸挿入孔３
２を有し係止溝１３内においてその長さ方向へ移
動可能となつている。

このようなスライダ３１を使用すれば支軸５と
スライダ３１との接触及びスライダ３１と係止溝
１３の内壁面との接触がいずれも面接触状態とな
る。そのため、これらの接触部分において支軸５
の外周面や係止溝１３の内壁面に凹凸ができるよ
うなことがなく、支軸５の折損が防止される。

又、前記の両実施例における押圧ローラ６，９
は３個以上設けるようにしてもよく、さらに各押
圧ローラ６，９の支軸５には同支軸５を介して押
圧ローラ６，９を円筒ドラム１の内壁側へ押圧す
るためのスプリングを作用させるようにしてもよ
い。

以上詳述したように本発明は先行押圧ローラが
弾性チユーブを押圧してスクイズ動作完了位置付
近にきたとき、弾性チユーブ内の閉込部と吐出側
の圧力をほぼ等しくしてチユーブ内容物の吐出側
から閉込部への逆流を防止し弾性チユーブ内面の
摩耗を防ぐことができるとともに、構造が簡単で
製作を容易に行うことができる効果を奏するので
スクイズポンプとして産業利用上優れた発明であ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の第一実施例のスクイズポンプ
の正面から見た断面図、第２図は同じく側方から
見た断面図、第３，４図は押圧ローラが第１図の
状態から左方へ公転した状態を示す正面から見た
断面図、第５図はカム面の拡開部の別例を示す一
部正面図、第６図は本発明の第二実施例のスクイ
ズポンプの正面から見た断面図、第７図は押圧ロ
ーラが第６図の状態から左方へ公転した状態を示
す正面から見た断面図、第８図はスライダの介装
状態を示す分解斜視図である。 円筒ドラム１、弾性チユーブ２、回転軸３、支
持アーム４，７、押圧ローラ６，９、駆動アーム
１０、被動アーム１１、カムフオロア１４、カム
１６，２６、カム面１７，２７、拡開部１７ａ、
凹状部２７ａ。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 円筒ドラム１の内周に弾性チユーブ２をほぼ
   Ｕ字状に沿設し、同弾性チユーブ２内側を公転す
   る複数個の押圧ローラ６，９によりチユーブ内容
   物の吸入、吐出を行うようにしたスクイズポンプ
   において、前記円筒ドラム１の軸心に位置する回
   転軸３には前記押圧ローラ６，９支持用の複数個
   の支持アーム４，７をそれぞれ独立して遊転可能
   に支承し、同じく前記回転軸３には駆動アーム１
   ０を固着し、同駆動アーム１０の先端部には被動
   アーム１１を回動可能に軸１２支するとともに、
   同被動アーム１１には前記支持アーム４，７に対
   して押圧ローラ６，９を取付けるための支軸５の
   端部を移動可能に係入支持する係止溝１３を設
   け、さらに被動アーム１１の一部にはカムフオロ
   ア１４を取付ける一方、前記円筒ドラム１内には
   前記被動アーム１１のカムフオロア１４を摺接さ
   せるようになつているカム面１７，２７を有する
   カム１６，２６を設け、さらに同カム面１７，２
   ７の一部には押圧ローラ６，９がスクイズ完了位
   置へ公転した状態においてその公転動作が一時的
   に停止又はスロー回転されるように同押圧ローラ
   ６，９側のカムフオロア１４が接触する部分１７
   ａ，２７ａを形成したことを特徴とするスクイズ
   ポンプ。 ２ カム１６はその内部にカム面１７を有する内
   カムであつて、このカム面１７に沿つてカムフオ
   ロア１４が転動するとき押圧ローラ６，９の公転
   速度が吐出側Ｙへ行くに従つて速くなるよう前記
   カム面１７が吐出側Ｙほど回転軸３の軸心へ徐々
   に接近するように連続的に変化していることを特
   徴とする特許請求の範囲第１項記載のスクイズポ
   ンプ。 ３ 各被動アーム１１を扇形状に形成するととも
   に、その一方の外端角部に形成した係止溝１３内
   には、支持アーム４，７に対して押圧ローラ６，
   ９を取付けるための支軸５の端部を係止溝１３の
   長さ方向への移動可能に係入支持したことを特徴
   とする特許請求の範囲第１項に記載のスクイズポ
   ンプ。 ４ 各押圧ローラ６，９の支軸５には同支軸５を
   介して押圧ローラ６，９を円筒ドラム１の内側壁
   へ押圧するためのスプリングを作用させたことを
   特徴とする特許請求の範囲第３項記載のスクイズ
   ポンプ。 ５ 係止溝１３と押圧ローラ６，９の支軸５との
   間には、同支軸５を挿入するための挿入孔３２を
   有し係止溝１３内においてその長さ方向へ移動可
   能となつているスライダ３１を介装したことを特
   徴とする特許請求の範囲第３項記載のスクイズポ
   ンプ。 ６ カム２６はその外周にカム面２７を有する外
   カムであることを特徴とする特許請求の範囲第１
   項記載のスクイズポンプ。