JPS5819351Y2 - スクロ−ル型圧縮機 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は容積式流体圧縮機、特に側板の一面上にうず巻
体を形成した一対のスクロール部材を両うず巻体が互に
角度をずらせてかみ合い、側壁の接触部から接触部にわ
たって密閉された流体ポケットが形成されるよう重ね合
せ、一方のスクロール部材の相対的な円軌道運動によっ
て両うず巻体間に形成された流体ポケットを容積の減少
を件なわせつりうす巻体の中心方向へ移動させ、流体の
圧縮作用を行なうスクロール型面縮機に関するものであ
る。

このようなスクロール型圧縮機の動作原理は古くから公
知であり、第１図を参照してその動作原理を説明する。

二つのうず巻体１，２を角度をずらせて両うず巻体１，
２の間にうず巻体の相互接触部から相互接触部にわたる
限定された流体ポケット３を形成するよう互にかみ合い
状態に配置し、一方のうず巻体１を他方のうず巻体２に
対して一方のうず巻体１の中心Ｏ′が他方のうず巻体２
の中心Ｏの周りを半径ｏ−ｏ’をもって公転するように
うず巻体１の自転を禁止しながら動かすと、流体ポケッ
ト３は、その容積を徐々に減少しつつ中央部へ移動する
。

即ち、第１図ａの状態から、うず巻体１の公転角が９０
°を示す第１図ｂ、１８０°を示す第１図Ｃ１２７０゜
を示す第１図ｄに示される如く、一方のうず巻体１を移
動させるとうす巻体の径方向外周で形成された流体ポケ
ット３の容積は中央に移動するにしたがって徐々に減少
して行く。

３６０°回転した第１図ａでは両ポケットは中央部に移
り互に接続し、更に９０’ずつ移動した第１図す、Ｃ，
ｄに示すように流体ポケット３は挟まり、第１図ｄでほ
とんど零となる。

この間第１図すで開き始めた外側の流体ポケットが第１
図ｃ、ｄからａに移る過程で新たな流体を取り込んで流
体ポケットを作る。

従って、うず巻体１，２の軸方向両端にシールした円板
状の側板を設け、一方の側板の中央部に第１図中４で示
す如き吐出孔を設けておけば、径方向外周で取り込まれ
た流体が圧縮され、吐出孔４から吐出されることとなる
。

即ち、このようなスクロール型圧縮機においては、両う
ず巻体間に形成される流体ポケットの移動による容積の
減少によって流体圧縮が行なわれる。

この流体ポケットは両うず巻体の線接触及び各うず巻体
の軸方向端面と他方の側板の表面との接触によって両う
ず巻体間に形成される。

しかも、これらの接触部は一方のスクロール部材の円軌
道運動によって摺動しながら移動し、流体ポケット内の
流体を圧縮している。

ところで、流体の圧縮を確実に行なうためには、摺動接
触部のシールが確実に行なわれる必要があり、うず巻体
の軸方向端面と他方の側板の表面との接触をシールする
構造としては、スクロール部材のうず巻体端面にうず巻
体に沿った溝を形成し、該溝内にシール部材を挿入、配
置するとともに、このシール部材を溝内に配設した弾性
体によって溝外方へ付勢し、これによりシール部材を他
方のスクロール部材の側板に摺接させる構造が知られて
いる。

しかしこのような構造を用いる場合には、シール部材を
付勢する構造が複雑になるばかりか、側板に対する接触
圧を充分に得ることも事実上不可能に近かった。

また、上記のような欠陥を除去するためシール部材を挿
入、配置した溝の底部に圧縮空気の流体を導入し、この
流体圧によってシール部材を溝外方に付勢するようにな
すと、簡単な構造で十分大きな接触圧を得られる構成が
あるが、このような構成にあっては、第１図Ｃの状態か
ら第１図ｄの状態に移る過程において、連続的に圧縮さ
れてきた二つの流体ポケット３が、実質的に吐出圧力に
保たれている中央部の高圧空間５に連通ずると、その瞬
間にはこの連通した空間とその外側の空間６との間に差
圧が階段状に増大することとなるため、この時の公転角
に対応する部分のシール部材の背圧が急激に上昇し、シ
ール部材が撓んで一部のみが他方のスクロール部材に強
く押しつけられた状態で摺動し、その結果シール部材の
摩耗が局部的に大きくなってしまう虞れがあり局部摩耗
による体積効率の低下を招くことがあった。

一方シール部材を挿入、配置する溝は、うず巻体の中心
部より径方向外周まで延在しているため、シール部材を
付勢する高圧流体が溝に沿ってうず巻体の外周まで流れ
、低圧部に流出して体積効率が低下してしまうとともに
、高圧流体によってシール部材が必要以上に側板表面に
押し付けられシール部材が異常摩耗してしまう虞れがあ
った。

特に圧縮機の軽量化のため両スクロール部材をアルミニ
ウム合金により成形し、一方のスクロール部材に表面硬
化処理を施してうず巻体の摺接による摩耗を防ごうとす
る場合に、表面硬化処理を施していないスクロール部材
に摺接するシール部材は局部的な異常摩耗が生じていた
。

さらに、スクロール部材の側板でうす巻体を形成する面
と反対側の側面に他の部品を固定するために側板に固定
金具を嵌合する孔を貫通するように穿設したり、あるい
は容量制御等に使用するために側板に貫通孔を穿設する
場合にシール部材が穿設されている孔に干渉し局部摩耗
を生ずる虞れがあった。

本考案はこのようなうず巻体の端面に溝を形成するとと
もに該溝にシール部材を挿入、配置することによってス
クロール部材の軸方向シールを行なう構成においてシー
ル部材の局部的な異常摩耗を防ぐことを目的とするもの
である。

また本考案の他の目的はシール部材を付勢する高圧流体
の低圧側への漏れを防ぎ、圧縮機の体積効率を向上させ
ることである。

即ち、本考案は、側板の一面上にうず巻体を形成した一
対のスクロール部材を両うず巻体が互いに角度をずらせ
てかみ合い、かつ側壁が接触してうず巻体間に密閉され
た流体ポケットが形成されるよう重ね合せ、一方のスク
ロール部材を自転を防止しながら相対的な円軌道運動を
行なわせることにより該流体ポケットをうず巻体の中心
方向へ容積の減少を伴なわせて移動させ、一方向性流体
圧縮作用を行なわせるスクロール型圧縮機において、側
板より突出したうず巻体の先端面にうず巻に沿った溝を
形成するとともに、該溝を少なくとも１個所に設けた閉
塞部により断続し、断続された各々の溝内にシール部材
を遊嵌するとともに、該シール部材を溝内に流入した圧
縮流体により軸方向外方へ押圧させていることを特徴と
するもので、溝内に導入されている圧縮流体の急激な変
動によるシール部材の屈曲あるいは高圧流体の溝を介し
ての流出を溝に閉塞部を設けることによって防ぐもので
ある。

以下本考案を実施例を示す図面を参照して説明する。

第２図は本考案の実施例を示すスクロール型圧縮機の縦
断面図で、圧縮機はフロントエンドプレート１１とこれ
に設置されたカップ状部分１２とから戊る圧縮機ハウジ
ング１０を有している。

該ハウジング１０の内部には、固定ツクロール部材１３
と可動スクロール部材１４とが配設されている。

ここで固定スクロール部材１３は一般に側板１３１とそ
の一面上に形成したうず巻体１３２及び該うず巻体１３
２とは反対側の側板１３１上に設けた脚部１３３とより
構成され、該脚部１３３をカップ状部分１２の外方より
該カップ状部分１２を貫通して螺合したボルト１５によ
ってカップ状部分１２の底部１２１内壁上に固定してい
る。

またカップ状部分１２内に固定された固定スクロール部
材１３の側板１３１は、その外周面とカップ状部分１２
の内壁面間をシールすることにより、該カップ状部分１
２の内部空間を吐出室１６と吸入室１７とに仕切ってい
る。

可動スクロール部材１４は、側板１４１とその一面上に
形成したうず巻体１４２より構成され、該うず巻体１４
２は固定スクロール部材１３のうず巻体１３２に対し、
第１図で説明したような作用を行なえるように組合わさ
れている。

そして可動スクロール部材１４はフロントエンドプレー
ト１１に回転自在となるよう貫通支承されている主軸１
８の回転にしたがって自転することなく第１図で説明し
たように公転運動する如く主軸１８に接合されている。

ここで可動スクロール部材１４の自転を禁止しつつ公転
運動をさせる機構については、種々の公知機構にて実施
され得るため詳細な説明は省略する。

可動スクロール部材１４が駆動されると、カップ状部分
１２上に形威した吸入ポート１９からケーシング１０内
の吸入室１７に流入した流体は両うず巻体１３２，１４
２間に形成される流体ポケットに取り込まれ、可動スク
ロール部材１４の運動に伴なって徐々に圧縮されつつ中
央部へ送られ、固定スクロール部材１３の側板１３１上
に穿設した吐出口１３４から吐出室１６へ圧送され、さ
らに吐出ポート２０からケーシング１０外へ送り出され
る。

ここで固定スクロール部材１３及び可動スクロール部材
１４の側板１３１ 、１４１から突出したうず巻体１３
２，１４２の先端面には第３図に示す如くうず巻形状に
沿って延び途中１個所以上で閉塞部２１１により断続さ
れた溝２１を形威している。

そして断続された各々の溝２１内にはシール部材２２が
溝２１とわずかな間隙を有するように嵌入、配置されて
いる。

なお、閉塞部２１１を設ける個所は最低限中央に移動さ
れてきた流体ポケットが吐出圧力にさらされる領域とな
る時雨うず巻体が接触する個所にすればよい。

また上述したような側板に貫通孔が穿設されている場合
にはこの孔に対向する個所に閉塞部２１１を設ければよ
い。

このような構成によると、うず巻体間に形成された流体
ポケットの圧縮流体がシール部材２２と溝２１の僅かな
間隙を通って溝２１内に流入し、シール部材２２を溝２
１の一方の側壁に押し付けるとともに背圧を作用させシ
ール部材２２を溝の外方へ付勢することとなるので固定
スクロール部材１３のうず巻体１３２に装着したシール
部材は可動スクロール部材１４の側板１４１にまた可動
スクロール部材１４のうず巻体１４２に装着されたシー
ル部材は固定スクロール部材１３の側板１３１に圧接さ
れ各うず巻体先端面と側板間のシールを行なうこととな
る。

ここでシール部材を挿入、配置する溝２１は少なくとも
流体ポケットが吐出圧力にさらされる領域まで移動した
時の両うず巻体の接触個所に閉塞部２１１を設けている
ので中央室を形成する高圧空間とその外側の空間との差
圧が直接シール部材に局部的に加わることがなくなりシ
ール部材の局部的な異常摩耗を防ぐことができる。

また溝２１が途中で閉塞されているためうず巻体の中心
部付近に形威されている高圧密閉流体ポケット内の高圧
流体が溝を介して低圧部側まで流出することを防げるも
のである。

さらにうす巻体の先端面が摺接する側板上に貫通孔が穿
設されている場合にあってもこの貫通孔に摺接する個所
を閉塞部とすれば溝２１内に挿入、配置されているシー
ル部材２２が該孔に干渉して摩耗することを防げるもの
である。

以上のように本考案は、スクロール部材の側板より突出
したうず巻体の先端面にうず巻形状に沿った溝を形威し
、該溝内にシール部材を挿入、配置することによって側
板と対何するうず巻体とのシールを行なう構成のスクロ
ール型圧縮機にあって、該溝を１個所以上で設けた閉塞
部により断続させ、断続した各々の溝にシール部材を挿
入、配置させる構成としているので、高圧流体のシール
溝を介して低圧側への漏れは防ぐことができるとともに
シール部材に加わる背圧を制御することが可能となり、
体積効率を向上できかつシール部材の局部摩耗を防ぐこ
とができるものである。

また、閉塞部を形成することにより、側板１こ穿設した
貫通孔とシール部材との干渉によるシール部材の局部摩
耗を防ぐことができるものである。

【図面の簡単な説明】

第１図ａ−ｄは本考案に係るスクロール型圧縮機の圧縮
原理を説明するための図で、ａ−ｄは異なった角度位置
の状態を示す図、第２図は本考案の一実施例の構造を示
すスクロール型圧縮機の縦断面図、第３図は本考案の一
実施例のスクロール部材の構造を示す斜視図である。 １０・・・・・・ハウジング、１３．１４・・・・・・
スクロール部材、１３１ 、１４１・・・・・・側板、
１３２，１４２・・・・・・うず巻体、２１・・・・・
・溝、２１１・・・・・・閉塞部、２２・・・・・・シ
ール部材。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 側板の一面上にうず巻体を形成した一対のスクロール部
   材を両うず巻体が互いに角度をずらせてかみ合い、かつ
   側壁が接触してうず巻体間に密閉された流体ポケットが
   形成されるよう重ね合せ、一方のスクロール部材を自転
   を防止しながら相対的な円軌道運動を行なわせることに
   より該流体ポケットをうず巻体の中心方向へ容積の減少
   を伴なわせて移動させ、一方向性流体圧縮作用を行なわ
   せるスクロール型圧縮機において、側板より突出したう
   ず巻体の先端面にうす巻に沿った溝を形成するとともに
   該溝を少なくとも１個所に設けた閉塞部により断続し、
   断続された各々の溝内にシール部材を遊嵌するとともに
   、該シール部材を溝内に流入した圧縮流体により軸方向
   外方へ押圧させていることを特徴とするスクロール型圧
   縮機。