JPS6312976B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、２本の管体からなる首振り吐出管の
継手部の構造に関する。

従来、隣接した場所において、夫々流量の異な
る湯水を使用する場合は、隣接場所の中間に首振
り吐出管を設けて、該吐出管口部の向きを変える
か、複数個の吐出管を設けるかして、給水や給湯
を行なつていた。このいずれの場合にもバルブ等
の開閉度を調節することによつて流量の制御がな
されていた。それは例えば、浴槽と洗面台等を併
設した場所において、それらの略中間位置に首振
り吐出管を設け、使用目的に応じて前記吐出管口
部の方向や流量を夫々に調節するものであつた。
この場合必要とする湯水の供給量は、夫々の使用
目的によつて異なるものであるから、一方の部所
（例えば浴槽側）へ供給中の吐出管口部をそのま
まの状態で他方（例えば洗面台側）へまわして使
用するときは、改めてバルブ等を調節しなおさな
ければならない。また隣接する浴槽と洗面台との
間で、吐出管口部の方向を変えて使用する場合
は、浴槽と洗面台との境界域一面に湯水が飛散し
てしまう。これを避けるためには、いつたんバル
ブ等を閉じて止水し吐出管口部の向きを変えた
後、再びバルブ等を開いて流量の調節を行なわな
ければならない。前記の吐出管の方向変えが一時
的ですぐに元の位置へ吐出管口部を戻そうとする
ときは、止水、方向転換、流量調節といつた面倒
で、且つ使いにくい操作をその都度しいられてい
た。又、夫々の場所に吐出管を設けたのでは、設
備費用が高価になるのみならず、設備自体も複雑
になるという不都合があつた。

本発明は、上記の如き事情に鑑みてなされたも
のであつて、隣接した場所で必要とする流量に差
異のある湯水の供給と止水を単純な一操作によつ
て行なうことが可能な首振り吐出管の継手部構造
を提供することを目的とする。

以下本発明を、その実施例を示す図面に基づい
て説明すると次の通りである。

本発明に係る首振り吐出管の継手部構造が設置
された一例の外観を第１図に示す。即ち、吐出管
６は、第１管体１と第２管体２とを結合してなる
管継手部を介して供給管８に接続されている。そ
して本発明の要部は、前記第１管体１と第２管体
２との継手部構造にある。

第２図は、第１図における管継手部を拡大し、
一部を切り欠いて示す第１実施例であり、第１管
体１が第２管体２へ回動可能に嵌合された状態に
ある。第１管体１の下端には閉塞状の底壁１ａが
あり、第２管体２にはその内部を上部（第１管体
１を嵌め込む上の部分）と下部に区画する中隔壁
２ａがある。第１管体１と第２管体２との嵌合状
態において第１管体１を回動する場合、前記底壁
１ａと中隔壁２ａとが向かい合う相互の面は水密
的に摺動する。第１管体１の底壁１ａには、管の
軸心を中心とする所定半径の円周上に大口孔４ａ
と小口孔４ｂが配設されている。他方、第２管体
２の中隔壁２ａにもまた、管の軸心を中心とする
前記所定半径の円周上に合致孔５が穿設されてい
る。合致孔５と大口孔４ａとの開口面積は同一と
され、大口孔４ａと小口孔４ｂとの間隔は合致孔
５の開口幅よりも大きいものとする。

前記の如くであるから、第１管体１に吐出管６
を接続して、該吐出管６を回動する場合、第２管
体２に穿設された合致孔５は、第１管体１の底壁
１ａによつて閉塞されるときと、底壁１ａに穿設
された大口孔４ａ及び小口孔４ｂと各別に重なり
合うときがある。そして合致孔５が大口孔４ａと
小口孔４ｂのいずれと重なり合うときにも、重な
り合つて形成される開口面積は吐出管６の回動度
によつて変化する。

従つていま、第２管体２に対して湯水が供給さ
れるとすれば、合致孔５が閉塞状態にあるときは
供給される湯水は止栓され、合致孔５が大口孔４
ａまたは小口孔４ｂと重なり合うときには、その
開口面積の大きさに応じて吐出管６から吐出され
る湯水の流量が変化するようになる。尚、同図に
おいて１０は第１管体１と第２管体２とを結合す
るユニオンナツトである。

前記の如き継手部構造を備えた吐出管６を、隣
接して併設された浴槽と洗面台との間に設け、合
致孔５と大口孔４ａが正合状態に重なり合うとき
の吐出管６の先部６ａが浴槽の方を向き、合致孔
５と小口孔４ｂが正合状態に重なり合うときの吐
出管６の先部６ａが洗面台の方を向くようにす
る。このようにすれば、バルブ等を調節しなくて
も、吐出管６の先部６ａを浴槽に向けたときは大
流量の湯水が浴槽に注がれ、吐出管６の先部６ａ
を洗面台に向けたときは小流量の湯水が洗面台に
注がれる。そして浴槽と洗面台との境界域では、
吐出管６は止栓された状態にあり、湯水が飛散す
ることはない。

もし、前記の如き継手部構造を備えた吐出管６
を、浴槽と洗面台とが左右入れ換わつて配置され
ているものに使用するときには、第１管体１と第
２管体２の位置を上下逆にし、第２管体２に吐出
管６を接続すればよい。

第３図は、本発明の第２実施例を示すものであ
る。この実施例では、第１管体１の下端が円錐形
状をしており、第２管体２における中隔壁２ａも
中心部が低い凹状円錐面をなすように形成されて
いる。

第１管体１を回動する場合に、その円錐面と第
２管体２の円錐面とが水密的に摺動しあうこと
は、第１実施例と同じである。第２管体２の中隔
壁２ａの円錐斜面には管の軸線と平行な合致孔５
が穿設されている。そして第１管体１の円錐傾斜
面には、前記合致孔５の開口上下幅が回動して描
く軌跡の中に、前記合致孔５よりも大きくない寸
法の開口面積を有する小口孔４ｂが穿設され、大
口孔４ａは小口孔４ｂの位置から合致孔５の開口
横幅よりも広い間隔をおいた位置に穿設されてい
る。第１管体１の回動位置に応じて、合致孔５が
閉塞されたり、小口孔４ｂと大口孔４ａのいずれ
かと重なり合つて、それらの重なり開口面積が変
化するものであることは第１実施例の場合と同様
であり、またその他についても同様の作用を呈す
るものである。

第４図は第３実施例を示すものである。この実
施例では、第１管体１と第２管体２との外周形状
を共に同一とし、第１管体１の下端寄り外周面と
第２管体２の上端寄り外周面にはその外径が拡大
された環状段部１ｂと２ｂとが夫々形成されてい
る。第１管体１の底壁１ａには第１実施例と同様
な大口孔４ａと小口孔４ｂが穿設され、第２管体
２の上端には第１管体１の底壁１ａに対応する天
井壁２ａが設けられ、該天井壁２ａには第１実施
例の場合と同様な合致孔５が穿設されている。そ
して底壁１ａと天井壁２ａの対向面は水密的に接
する。かかる構造の第１管体１と第２管体２と
は、別部材たる接合治具１２と１３とで接合され
ている。該接合治具１２と１３とには、第１管体
１の環状段部１ｂと第２管体２の環状段部２ｂと
に係止する環状内段部１２ａと１３ａが設けられ
ている。そして第１管体１と第２管体２とは接合
治具１２と１３とを螺合することにより、回動可
能に接続される。第１管体１の回動位置に応じて
合致孔５が閉塞されたり、小口孔４ｂと大口孔４
ａのいずれかと重なり合つて、それらの重なり開
口面積が変化することは第１実施例及び第２実施
例の場合と同様である。

第１実施例乃至第３実施例にわたる説明より自
ら理解できるように、本発明において要部とされ
るのは、結合された第１管体１と第２管体２との
いずれかが回動する場合、水密的に摺動するとき
の合致孔５と小口孔４ｂ及び大口孔４ａとの離合
と、重なり合いによつてもたらされる開口面積を
変化させ得る如くなされてある点にある。

従つて例えば第５図に示すように吐出管６と一
体形成された第１管体１と、供給管８と一体形成
された第２管体とを、ユニオンナツト１０で締付
けて接続する第４実施例のものでもよく、また第
６図に示すように互に嵌め合い関係にある第１管
体１と第２管体２との摺動側壁面１ｃと２ｃに合
致孔５、小口孔４ｂ、大口孔４ａを穿設する第５
実施例のものであつてもよく、更に第７図に示す
如く、吐出管６の内周径がそのまま合致孔５とさ
れ、該吐出管６が有する環状摺動壁１５に水密的
に対応する第２管体２の環状凹部摺動面２a′に大
口孔４ａと小口孔４ｂが穿設された第６実施例の
ものであつてもよい。

尚、第１実施例乃至第６実施例では合致孔５、
大口孔４ａ及び小口孔４ｂはいずれも円形のもの
を示したが、これらの形状も円形のみに限定され
るものではない。例えば吐出管６の向きを変える
と同時に所定水量が得たいならば、第８図イに示
すように大口孔４ａと小口孔４ｂの向かい合う開
口縁部及び合致孔５の開口面側縁部を、管体の回
転中心に向かつて直線状に穿設する。また逆に、
除々に流量を増減させたり、湯水の流出位置を幅
広くとりたいならば各孔の開口形状を第８図ロに
示すように管体の円周に沿つた長穴状にすればよ
い。更に湯水供給量を多くする場合は第８図ハに
示すように各孔の数を比例増加させればよい。

このように使用の場所、用途、目的に応じて各
孔の開口形状、面積、更には数量をも、全く任意
に選択できる。また、大口孔４ａと小口孔４ｂと
の間隔は、浴槽と洗面台との距離及び吐出管６の
首部の長さｌに関連して異なることは勿論であ
る。

以上の説明で明らかなように、本発明に係る首
振り吐出管の継手部構造によれば、一方の部所に
供給中の吐出管の向きを、そのまま他方の部所へ
変えるだけでバルブ等による止水や流量調節をせ
ずとも、夫々の部所で所望する適量湯水の供給が
できる。又各部所の境界部では止水しているため
に、該部での湯水飛散もなくなる。更に吐出管又
は供給管のいずれか一方にだけバルブを設けてお
けば、各部所での肌理細かな調節や止水も可能と
なるばかりでなく、使用の場所、用途、目的に応
じて各孔の開口形状を変えるのみで、所望の湯水
供給量が容易に得られる。従つてこの構造を有す
る首振り吐出管の継手部構造は、浴槽と洗い場、
二槽式の流し台や洗濯機等、幾多の場所において
も使用可能なものである等、幾多の優れた利点を
有する画期的な継手部構造であるといえる。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明の実施例を示すものであつて、第
１図は全体側面図、第２図乃至第４図は第１図に
おける継手部を拡大して示す一部切り欠き斜視図
であつて、第２図は第１実施例、第３図は第２実
施例、第４図は第３実施例、第５図乃至第７図は
第１管体及び第２管体が夫々吐出管及び供給管と
一体形成された実施例を示す一部切り欠き斜視図
であつて、第５図は第４実施例、第６図は第５実
施例、第７図は第６実施例、第８図イ，ロ，ハは
第２図におけるＡ−Ａ線矢視図を用いて各孔の開
口形状を示す説明図である。 １……第１管体、１ａ……壁面、２……第２管
体、２ａ……壁面、４ａ……大口孔、４ｂ……小
口孔、５……合致孔、６……吐出管、８……供給
管。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 夫々の管端又は管壁に設けられた摺動面が、
   互いに回動可能に水密接合されている２本の継手
   用管体からなる首振り吐出管において、一方の管
   体の摺動面には少なくとも１個の合致孔が穿設さ
   れ、他方の管体の摺動面には、前記合致孔の摺動
   範囲内に、前記合致孔よりは大きくない寸法の開
   口面積を有する小口孔が穿設され、且つ該小口孔
   から前記合致孔の開口幅よりも狭くない間隔をお
   いて大口孔が穿設されていることを特徴とする首
   振り吐出管の継手部構造。