本発明は、複数の枝管流入口が設置された又は設置することが可能な合成樹脂製排水ますであって、特に、枝管流入口の取り付け角度が本管と接続される主インバート溝内の排水の流れ方向に対して下流側から上流側に向かって90°若しくは鋭角範囲内に配置することができる複数流入合成樹脂製排水ますに関する。
周知のように、宅地内又は宅地外排水設備において本管流路と枝管流路を合流させるために、排水ますが使用される。このとき、本管からの流れに対して枝管からの流れがスムーズに合流できるように、様々な考案がなされている。
例えば、実開昭58−165081号公報及び実開昭59−51877号公報の中では、主インバート溝へ副インバート溝が合流する部分に段差や急激な勾配を設けることや、主インバート溝及び副インバート溝の断面形状を下方に幅狭にさせた半卵形状にすること、さらには、主インバート溝に対する副インバート溝の合流角度を工夫することなどが開示されている。
しかしながら、上記排水ますは、いずれも本管流路と連通する主インバート溝を排水ます中央部に配置するものであるため、枝管流入口から主インバート溝までの流路長を十分に確保することができず、その結果、流れ込む排水の急激な流れにより飛散したり、合流点を越えて他方の副インバートへ乗り上げて汚物を付着させたりする。
なお、ここでいうところのインバート(溝)とは、接続される外部排水管の内径に応じて排水ますの底部に設けられる略半円形の断面を有する溝、または排水ますの底面を意味し、いわば、外部排水管の一部となって、本管及び各枝管からの排水の流入をとりまとめて本管下流側へ誘導するために機能するものである。
一方、主インバート溝を排水ますの側壁に近接して配置し、本管からの流れに対して枝管からの流れがスムーズに合流できるようにした例としては、実開昭61−89086号公報の中に開示された排水ますが挙げられる。
しかしながら、この排水ますでは、主インバート溝に合流させる枝管流入口を排水ますの片側半分の側壁に集中して配置しなければならなず、前記の排水ますのように枝管流入口を排水ますの両側側壁に多数設置することができない。
また、従来の排水ますに共通する課題としては、枝管流入口又はそれに連通する副インバート溝を主インバート溝内の排水の流れ方向に対して逆流方向へ、すなわち、主インバート溝内の排水の流れ方向に対して下流側から上流側に向かって90°又は鋭角範囲内に配置すると、本管からの流れに対して枝管からの流れが激しく衝突したり逆流したりするため、排水ます本体の側壁の下流側約半分には、実質的に枝管を取り付けることができないデッドスペースを生じていた。
このため、従来の排水ますにおいて複数の枝管を合流させようとする場合は、複数の排水ますを準備して対応しなければならず、不経済であった。
さらに、このような従来の排水ますでは、排水の流れをスムーズにする目的で主インバート溝に勾配を設けたり、枝管流入口を排水ます本体に対して非対称に配置したりするため、一般的には、排水ますの使用に際して上流側と下流側に区別がある場合が多い。このため、発注などで排水ますの選択を誤ると工事が中断してしまうなどの不都合があった。
実開昭58−165081号公報
実開昭59−51877号公報
実開昭61−89086号公報
そこで、本発明は、枝管流入口を主インバート溝内の排水の流れ方向に対して逆流方向へ、すなわち、従来は事実上使用不可とされていた主インバート溝内の排水の流れ方向に対して下流側から上流側に向かって鋭角範囲を含む180°の範囲内に複数の枝管流入口を配置可能な樹脂製排水ますを提供することを目的とする。
換言すれば、本発明は、排水ますの上流側及び下流側を区別することなく任意の水平方向へ複数の枝管流入口を配置することができ、それでいて、枝管からの流れを本インバート溝を流れる排水へスムーズに合流させることが可能な樹脂製排水ますを提供することを目的とする。
そこで、上記目的を達成するため、請求項1に係る発明では、底部と略垂直に立ち上がった側壁からなる樹脂性排水ますにおいて、側壁には一対の本管流入口及び流出口と、前記流入口及び流出口より高い位置に枝管流入口を設けるか、若しくは前記枝管流入口を設置可能な壁面を設け、そして底部には側壁へ近接して配置された主インバート溝と、前記主インバート溝の全部又は一部から連続して立ち上がった第1の傾斜面と、前記第1の傾斜面から前記枝管流入口へ向けて連続した第1の傾斜面より小さな傾斜角を有する第2の傾斜面とを含む副インバートを設けることで、枝管流入口が主インバート溝内の排水の流れ方向に対して下流側から上流側に向かって180°の範囲内に複数個配置可能にした。
この結果、請求項1に記載の発明によれば、各枝管流入口から主インバート溝に合流するまでの流路長を十分に確保することができるため、枝管流入口から流入した排水は副インバートの第2の傾斜面上で、排水ますの略中央部に配置された第1の傾斜面へ向けてその流れを効率よく集合化される。そして、第1の傾斜面には第2の傾斜面より大きな傾斜角を設けているため、第2の傾斜面から流れ込んだ排水は、第1の傾斜面で流下してその平面的な流れの方向性を失った後、第1の傾斜面の形状に沿って再びその流れの方向が整えられ、主インバート溝内の排水の流れと略直角、あるいはそれ以下の緩やかな角度でスムーズに合流される。
このとき、枝管流入口から流入した排水は、どのような方向から流入した場合であっても第1及び第2の傾斜面に沿って集合化及び整流されながら流れるため、不規則な流れや急激な流れを生じることにより、乱流を起こしたり飛散したりすることがない。また、第1の傾斜面では、排水のスムーズな流れを維持しながら、枝管流入口から流れ込む排水を主インバート溝内の排水の流れと合流する前に集合させて整流しているため、主インバート溝内の排水と合流する際にその流れを阻害することが殆どない。
さらに、主インバート溝は排水ます本体の側壁へ近接して設けられており、かつ、これから連続して立ち上がる第1の傾斜面は、第2の傾斜面より大きな傾斜角をもって適度な勾配を有するように形成されているため、枝管流入口から流れ込んだ排水が主インバート溝との合流点を越えて排水ます本体の反対側の側壁へ乗り上げたり、あるいは側壁から跳ね返って第1の傾斜面上に乗り上げたりすることが殆どない。
また、第1の傾斜面は流れ込んだ排水の速度を増加させるため、たとえ排水が跳ね返って第1の傾斜面に乗り上げたとしても、第1の傾斜面に付着した汚物を洗い流して異臭を発生させることを防止する。
以上の結果、請求項1に記載の発明によれば、枝管流入口を主インバート溝内の排水の流れ方向に対して逆流方向へ、すなわち、主インバート溝内の排水の流れ方向に対して下流側から上流側に向かって鋭角範囲を含む180°の範囲内に複数の枝管流入口を配置することが可能となり、それでいて、枝管からの流れを主インバート溝を流れる排水へスムーズに合流させることができる。
また、本発明によれば、排水ますの側壁に任意の水平方向へ向けて複数の枝管流入口を配置することができるため、枝管の数がある程度増えた場合であっても1つの排水ますで対応することが可能となる。さらに、主インバート溝は上部から見て排水ます側壁に隠れることがないので、排水ますの清掃や点検が極めて容易となる。
請求項2に係る発明では、排水ますの側壁へ近接して配置された主インバート溝と、前記主インバート溝の全部又は一部から枝管流入口へ向けて連続して立ち上がった傾斜面を備え、前記傾斜面は排水ます中央部又は主インバート溝接続部近傍に前記傾斜面より勾配の大きな急斜面を含んでいる副インバートとからなる底部と、そして一対の本管流入口及び流出口と、前記流入口及び流出口より高い位置に枝管流入口を備えているか、若しくは前記枝管流入口を設置可能な壁面を有する略垂直に立ち上がった側壁とを備えている樹脂製排水ますであって、前記枝管流入口は、主インバート溝内の排水の流れ方向に対して下流側から上流側に向かって180°の範囲内に複数個配置可能にした。
この結果、請求項2に記載の発明によれば、各枝管流入口から主インバート溝に合流するまでの流路長を十分に確保することができるため、枝管流入口から流入した排水は副インバートの緩斜面(または傾斜面)上で、排水ますの略中央部に配置された急斜面へ向けてその流れを効率よく集合化される。そして、緩斜面から流れ込んだ排水は、急斜面で流下してその平面的な流れの方向性を失った後、急斜面の形状に沿って再びその流れの方向が整えられ、主インバート溝内の排水の流れと略直角、あるいはそれ以下の緩やかな角度でスムーズに合流される。
このとき、枝管流入口から流入した排水は、どのような方向から流入した場合であっても緩斜面及び急斜面に沿って集合化及び整流されながら流れるため、不規則な流れや急激な流れを生じることにより、乱流を起こしたり飛散したりすることがない。また、急斜面では、排水のスムーズな流れを維持しながら、枝管流入口から流れ込む排水を主インバート溝内の排水の流れと合流する前に集合させて整流しているため、主インバート溝内の排水と合流する際にその流れを阻害することが殆どない。
さらに、主インバート溝は排水ます本体の側壁へ近接して設けられており、かつ、これから連続して立ち上がる急斜面は、緩斜面より大きな傾斜角をもって適度な勾配を有するように形成されているため、枝管流入口から流れ込んだ排水が主インバート溝との合流点を越えて排水ます本体の反対側の側壁へ乗り上げたり、あるいは側壁から跳ね返って急斜面上に乗り上げたりすることが殆どない。
また、急斜面は流れ込んだ排水の速度を増加させるため、たとえ排水が跳ね返って急斜面に乗り上げたとしても、急斜面に付着した汚物を洗い流して異臭を発生させることを防止する。
以上の結果、請求項2に記載の発明によれば、枝管流入口を主インバート溝内の排水の流れ方向に対して逆流方向へ、すなわち、主インバート溝内の排水の流れ方向に対して下流側から上流側に向かって鋭角範囲を含む180°の範囲内に複数の枝管流入口を配置することが可能となり、それでいて、枝管からの流れを主インバート溝を流れる排水へスムーズに合流させることができる。
また、本発明によれば、排水ますの側壁に任意の水平方向へ向けて複数の枝管流入口を配置することができるため、枝管の数がある程度増えた場合であっても1つの排水ますで対応することが可能となる。さらに、主インバート溝は上部から見て排水ます側壁に隠れることがないので、排水ますの清掃や点検が極めて容易となる。
請求項3に係る発明では、請求項1又は2に記載の樹脂製排水ますの枝管流入口の少なくとも1つを、その取り付け角度が主インバート溝内の排水の流れ方向に対して下流側から上流側に向かって90°若しくは鋭角となるように配置した。
この結果、請求項3に記載の発明によれば、従来は事実上デッドスペースとなっていた排水ます本体の下流側約半分の側壁を枝管流入口の設置場所として有効利用することが可能となり、1つの排水ますに接続可能な枝管の数を大幅に増やすことができる。
請求項4に係る発明では、請求項1又は2に記載の樹脂製排水ますの枝管流入口を排水ますの側壁から放射状に配置した。
この結果、請求項4に記載の発明によれば、枝管流入口に接続される複数の枝管同士を互いに平行に配置する必要がなくなり、各枝管を排水ますへ接続する際に、角度を変えるための継ぎ手の数を減らすことができる。
請求項5に係る発明では、請求項1又は2に記載の樹脂製排水ますの枝管流入口の少なくとも1つを、その取り付け角度が主インバート溝内の排水の流れ方向に対して平行となるように取り付けた。
この結果、請求項5に記載の発明によれば、本管流路と平行な枝管流路であっても継ぎ手を介さずに接続することが可能となるため、排水ますに直接接続できる枝管の許容範囲を拡大できる。
請求項6に係る発明では、請求項1又は2に記載の樹脂製排水ますの枝管流入口の少なくとも1つの外部接続端に角度調節可能な回転エルボをさらに取り付けた。
この結果、請求項6に記載の発明によれば、排水ます外部枝管の設置状況や排水ます内部の流水環境に応じて枝管流入口の角度調整を行えるようになる。
請求項7に係る発明では、請求項1又は2に記載の樹脂製排水ますの枝管流入口を枝管流入口設置可能な壁面に穴開け手段を用いて開口し、ナット締め付け型支管を後付けした。なお、円筒形の排水ます本体の側壁に穴を開ける手段としては公知のホールソーなどを使用することができ、また、ナット締め付け型支管としては特開平5−33382号公報や特開2001−56083号公報に開示されているような合成樹脂製ナット締付け型支管などを使用することができる。
この結果、請求項7に記載の発明によれば、外部枝管の配置及び経路に関わらず、枝管と排水ますの接続位置に合わせて枝管流入口を排水ます側壁へ後付けすることができる。また、枝管流入口の取り付け位置は、本管流入口及び流出口より高い位置であって後述される副インバートより上方であれば、特に制限されることなく排水ます側壁の任意の位置へ後付けすることができるため、枝管との接続可能な許容範囲が大幅に向上される。
このため、本発明によれば、継ぎ手などの接続部品を大幅に減らすことが可能となり、また、排水ます布設工事の工期を大幅に短縮することができるようになる。
請求項8に係る発明では、請求項1に記載の樹脂製排水ますの第1の傾斜面をお椀形状又はすり鉢形状とした。
この結果、請求項8に記載の発明によれば、第2の緩斜面から流れ込んだ排水は、第1の傾斜面で流下してその平面的な流れの方向性を失った後、第1の傾斜面の形状に沿って再びその流れの方向が整えられ、主インバート溝内の排水の流れと略直角、あるいはそれ以下の緩やかな角度でスムーズに合流される。また、第1の傾斜面は流れ込んだ排水の速度を増加させるため、第1の傾斜面に付着した汚物を洗い流して異臭が発生することを防止する。
なお、上述されたような効果を最大限に発揮させるためには、第1の傾斜面は一定の勾配を有するすり鉢形状であるよりは、勾配の非常に大きな斜面と勾配がやや小さめの斜面とが連続的に繋がった全体的にも滑らかな曲面で構成されていることが好ましく、たとえば、お椀のような形状をしていることが好ましい。
請求項9に係る発明では、請求項1に記載の樹脂製排水ますの第2の傾斜面をすり鉢形状又はお椀形状とした。
この結果、請求項9に記載の発明によれば、枝管流入口から主インバート溝に合流するまでの流路長を十分に確保することが可能となるため、枝管流入口から流入した排水を副インバートの第2の傾斜面上で、排水ますの略中央部に配置された第1の傾斜面へ向けてその流れを効率よく集合化することができる。
なお、第2の傾斜面では、枝管流入口から流れ込む排水を効率よく集合化し、できるだけ液跳ねしないようの第1の傾斜面へ流下させなければならない。このため、第2の傾斜面は枝管流入口から流入した排水の速度を増加させるお椀形状であるよりは、速度をあまり増加させない一定の勾配を有するすり鉢のような形状をしていることが好ましい。
また、本発明に係る樹脂製排水ますにおいては、内部に主インバート溝を水平になるように配置するのが好ましい。その結果、原則、排水ますの使用に際して上流側と下流側の区別をする必要がなくなり、このため、発注などで排水ますの選択を誤った場合でも工事が中断してしまうおそれがなくなる。
また、さらに本発明に係る樹脂製排水ますにおいては、底部及び側壁を排水ますの中に左右対称面が形成されるように配置するのが好ましい。すなわち、本発明の樹脂製排水ますは、主インバート溝が排水ます中心部から側壁近傍へ偏心して配置され、これと連続するように副インバートが排水ますの側壁まで設けられている。このため、この主インバート溝を含む排水ます全体の左右対称面は、主インバート溝に対して直交する垂直断面にのみ存在し、この垂直断面に対して左右対称になるように枝管流入口を側壁に設けた。また、枝管流入口を後付けする場合は、枝管流入口を設置可能な壁面状態であっても前記垂直断面に対して左右対称な排水ますとなるため、この場合も本発明に含まれる。この結果、原則、排水ますの使用に際して上流側と下流側の区別をする必要がなくなり、このため、発注などで排水ますの選択を誤った場合でも工事が中断してしまうおそれがなくなる。
本発明によれば、主インバート溝を排水ますの側壁近傍へ配置し、これに合流する副インバートを勾配が異なる2つの傾斜面から構成したため、枝管流入口を主インバート溝内の排水の流れ方向に対して逆流方向へ、すなわち、主インバート溝内の排水の流れ方向に対して下流側から上流側に向かって鋭角範囲を含む180°の範囲内に複数の枝管流入口を配置することが可能となり、それでいて、枝管からの流れを本インバート溝を流れる排水へスムーズに合流させることができる。
また、本発明の他の一面によれば、排水ますの側壁に任意の水平方向へ向けて複数の枝管流入口を配置することができるため、枝管の数がある程度増えた場合であっても1つの排水ますで対応することが可能となる。さらに、主インバート溝は上部から見て排水ます側壁に隠れることがないので、排水ますの清掃や点検が極めて容易となる。
また、本発明の他の一面によれば、枝管流入口を、その取り付け角度が主インバート溝内の排水の流れ方向に対して下流側から上流側に向かって90°若しくは鋭角となるように配置することができるため、従来は事実上デッドスペースとなっていた排水ます本体の下流側約半分の側壁を枝管流入口の設置場所として有効利用することが可能となり、1つの排水ますに接続可能な枝管の数を大幅に増やすことができる。
また、本発明によれば、枝管流入口を排水ますの側壁から放射状に配置することができるため、枝管流入口に接続される複数の枝管同士を互いに平行に配置する必要がなくなり、その結果、各枝管を排水ますへ接続する際に、角度を変えるための継ぎ手の数を減らすことができる。
また、本発明の他の一面によれば、枝管流入口は、その取り付け角度が主インバート溝内の排水の流れ方向に対して平行となるように取り付けることができるため、本管流路と平行な枝管流路であっても継ぎ手を介さずに接続することが可能となり、その結果、排水ますに直接接続できる枝管の許容範囲を拡大できる。
また、本発明の他の一面によれば、枝管流入口の外部接続端に角度調節可能な回転エルボをさらに取り付けることができるため、排水ます外部枝管の設置状況や排水ます内部の流水環境に応じて枝管流入口の角度調整を行うことが可能となる。
また、本発明の他の一面によれば、枝管流入口を枝管流入口設置可能な壁面に穴開け手段を用いて開口し、ナット締め付け型支管を後付けすることができるため、外部枝管の配置及び経路に関わらず、枝管と排水ますの接続位置に合わせて枝管流入口を排水ます側壁へ後付けすることができる。
さらに、枝管流入口の取り付け位置は、本管流入口及び流出口より高い位置であって副インバートより上方であれば、特に制限されることなく排水ます側壁の任意の位置へ後付けすることができるため、枝管との接続可能な許容範囲が大幅に向上される。このため、本発明によれば、継ぎ手などの接続部品を大幅に減らすことが可能となり、また、排水ます布設工事の工期を大幅に短縮することができるようになる。
また、本発明の他の一面によれば、排水ます内部に主インバート溝を水平になるように配置したり、側壁上の枝管流入口を主インバート溝に対して直交する排水ますの中心を含む垂直断面に対して左右対称になるように配置することができるため、原則、排水ますの使用に際して上流側と下流側の区別をする必要がなくなり、発注などで排水ますの選択を誤った場合でも工事が中断してしまうおそれがなくなる。
以下、本発明の一実施形態に係る樹脂製排水ますについて、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本発明は、以下に示される実施例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内で各種の変更が可能である。
実施例1は、4つの枝管流入口が放射状に配置された本発明による樹脂製排水ますの例示であって、図1には上から見た場合の平面図が示され、図2にはその側面図が示されている。また、図3には、図1中のA−A断面で切り取った実施例1の樹脂製排水ますの断面図が示されている。
図1から図3を参照して説明すると、実施例1の樹脂製排水ます1aは、主インバート溝4と副インバート5からなる底部2と、底部2から略垂直に立ち上がった側壁3とから構成される。
主インバート溝4は、その両端に本管流路と接続される本管流入口7及び流出口8が設けられており、この本管流入口7と流出口8を同じ高さとなるように配置することで、換言すれば、主インバート溝4を水平となるように配置することで、原則として本管流路の上流側及び下流側の区別がない上下流兼用タイプの排水ます1aを提供することができる。
また、副インバート5の上方にある壁面34には、4つの枝管流入口6aが副インバートと連通するように放射状に配置されており、その内の2つの枝管流入口6aは、その取り付け角度が主インバート溝4内の排水の流れ方向40に対して下流側から上流側に向かって鋭角範囲内に配置されている。
このため、本実施例による排水ます1aは、従来は事実上デッドスペースとなっていた排水ます本体10aの下流側約半分の側壁3を枝管流入口6aの設置場所として有効利用することが可能となり、1つの排水ますに接続可能な枝管の数を大幅に増やすことができる。
さらに、本実施例によれば、枝管流入口6aに接続される複数の枝管同士を互いに平行に配置する必要がないので、各枝管を排水ます1aへ接続する際に、角度を変えるための継ぎ手の数を減らすことができる。
また、各枝管流入口6aは、主インバート溝4に対して直交する排水ます1aの中心を含む垂直断面に対して左右対称になるように配置されているため、原則として排水ますの使用に際して上流側と下流側の区別をする必要がなくなり、発注などで排水ますの選択を誤った場合でも工事が中断してしまうおそれがなくなる。
主インバート溝4は側壁3に近接して配置されており、このため、副インバート5から流れ込んだ排水が主インバート溝4との合流点を越えて排水ます本体10aの反対側の側壁33へ乗り上げることが殆どない。また、主インバート溝4は上部から見て排水ます側壁3に隠れることがないので、排水ます1aの清掃や点検を極めて容易に行うことができる。
副インバート5は、主インバート溝4の一部から連続して立ち上がった第1の傾斜面(または急斜面)50と、第1の傾斜面50から枝管流入口6aへ向けて連続した第1の傾斜面より小さな傾斜角を有する第2の傾斜面(または緩斜面)51とを含む。
第2の傾斜面51は、各枝管流入口6aから流入した排水の速度をあまり増加させない一定の勾配を有するすり鉢のような形状(図3参照)となっているため、枝管流入口6aから流入した排水を副インバート5の第2の傾斜面51上で、排水ますの略中央部に配置された第1の傾斜面50へ向けてその流れを効率よく集合化することができる。ただし、第2の傾斜面51は、各枝管流入口6aから共通した勾配をもった傾斜面で構成されていれば、その形状は特に限定されるものではなく、例えば、お椀のような形状をしているものであってもよい。
これに対し、第1の傾斜面50はお椀のような形状(図3参照)となっており、第2の傾斜面51とはより大きな傾斜角を設けて接続されているため、第2の傾斜面51から流れ込んだ排水は、第1の傾斜面50で流下してその平面的な流れの方向性を失った後、第1の傾斜面50の形状に沿って再びその流れの方向が整えられ、主インバート溝4内の排水の流れと略直角、あるいはそれ以下の緩やかな角度でスムーズに合流される。
また、第1の傾斜面50は、適度な急勾配をもって第2の傾斜面51から流れ込んだ排水の速度を増加させるように形成されているため、第2の傾斜面51から流れ込んだ排水が側壁33から跳ね返って第1の傾斜面50上に乗り上げたりすることは殆どなく、たとえ排水が跳ね返って第1の傾斜面に乗り上げたとしても、第1の傾斜面50に付着した汚物を洗い流して異臭が発生することを防止する。
なお、第1の傾斜面50は、第2の傾斜面51より大きな傾斜角を設けて接続されていれば、その形状は特に限定されるものではなく、例えば、すり鉢のような形状をしているものであってもよい。
このように、本実施例によれば、枝管流入口6aから流入した排水がどのような方向から流入した場合であっても、排水は第1及び第2の傾斜面50、51に沿って集合化及び整流されながら流れるため、不規則な流れや急激な流れを生じることにより、乱流を起こしたり飛散したりすることがない。また、第1の傾斜面50では、排水のスムーズな流れを維持しながら、枝管流入口6aから流れ込む排水を主インバート溝4内の排水と合流する前に集合させて整流化しているため、主インバート溝4内の排水と合流する際にその流れを阻害することが殆どない。
以上の結果、本実施例によれば、枝管流入口6aを主インバート溝4内の排水の流れ方向40に対して逆流方向へ、すなわち、主インバート溝4内の排水の流れ方向40に対して下流側から上流側に向かって鋭角範囲を含む180°の範囲内に複数の枝管流入口6aを配置することが可能となり、それでいて、枝管からの流れを主インバート溝4を流れる排水へスムーズに合流させることができる。
実施例2は先述された実施例1の樹脂製排水ますの変形であって、3つの枝管流入口が放射状に配置された本発明による樹脂製排水ますの例示である。したがって、実施例2の排水ますは、枝管流入口の数や配置が実施例1の排水ますとは異なる以外、排水ますの側壁や主インバート溝や副インバートを含む底部など、その基本的構造は実施例1の排水ますと同じである。
図4には、3つの枝管流入口6bが放射状に配置された本発明による実施例2の樹脂製排水ます1bを上から見た場合の平面図が示されている。また、その中央部の断面構造は、枝管流入口6bの数や配置が異なること以外、図3に示されているものと同じである。
図4及び図3を参照して説明すると、実施例2の樹脂製排水ます1bは、実施例1aの排水ますと同様に、主インバート溝4と副インバート5からなる底部2と、底部2から略垂直に立ち上がった側壁3とから構成される。
主インバート溝4は、その両端に本管流路と接続される本管流入口7及び流出口8が設けられており、この本管流入口7と流出口8を同じ高さとなるように配置することで、換言すれば、主インバート溝4を水平となるように配置することで、原則として本管流路の上流側及び下流側の区別がない上下流兼用タイプの排水ます1bを提供することができる。
また、副インバート5の上方にある壁面34には、3つの枝管流入口6bが副インバートと連通するように放射状に配置されており、その内の2つの枝管流入口6bは、その取り付け角度が主インバート溝4内の排水の流れ方向40に対して下流側から上流側に向かって90°及び鋭角範囲内に配置されている。
このため、本実施例による排水ます1bは、従来は事実上デッドスペースとなっていた排水ます本体10bの下流側約半分の側壁3を枝管流入口6bの設置場所として有効利用することが可能となり、1つの排水ますに接続可能な枝管の数を大幅に増やすことができる。
さらに、本実施例によれば、枝管流入口6bに接続される複数の枝管同士を互いに平行に配置する必要がないので、各枝管を排水ます1bへ接続する際に、角度を変えるための継ぎ手の数を減らすことができる。
また、各枝管流入口6bは、主インバート溝4に対して直交する排水ます1bの中心を含む垂直断面に対して左右対称になるように配置されているため、原則として排水ますの使用に際して上流側と下流側の区別をする必要がなくなり、発注などで排水ますの選択を誤った場合でも工事が中断してしまうおそれがなくなる。
主インバート溝4は側壁3に近接して配置されており、このため、副インバート5から流れ込んだ排水が主インバート溝4との合流点を越えて排水ます本体10bの反対側の側壁33へ乗り上げることが殆どない。また、主インバート溝4は上部から見て排水ます側壁3に隠れることがないので、排水ます1bの清掃や点検を極めて容易に行うことができる。
副インバート5は、主インバート溝4の一部から連続して立ち上がった第1の傾斜面(または急斜面)50と、第1の傾斜面50から枝管流入口6bへ向けて連続した第1の傾斜面より小さな傾斜角を有する第2の傾斜面(または緩斜面)51とを含む。
第2の傾斜面51は、各枝管流入口6bから流入した排水の速度をあまり増加させない一定の勾配を有するすり鉢のような形状(図3参照)となっているため、枝管流入口6bから流入した排水を副インバート5の第2の傾斜面51上で、排水ますの略中央部に配置された第1の傾斜面50へ向けてその流れを効率よく集合化することができる。ただし、第2の傾斜面51は、各枝管流入口6bから共通した勾配をもった傾斜面で構成されていれば、その形状は特に限定されるものではなく、例えば、お椀のような形状をしているものであってもよい。
これに対し、第1の傾斜面50はお椀のような形状(図3参照)となっており、第2の傾斜面51とはより大きな傾斜角を設けて接続されているため、第2の傾斜面51から流れ込んだ排水は、第1の傾斜面50で流下してその平面的な流れの方向性を失った後、第1の傾斜面50の形状に沿って再びその流れの方向が整えられ、主インバート溝4内の排水の流れと略直角、あるいはそれ以下の緩やかな角度でスムーズに合流される。
また、第1の傾斜面50は、適度な急勾配をもって第2の傾斜面51から流れ込んだ排水の速度を増加させるように形成されているため、第2の傾斜面51から流れ込んだ排水が側壁33から跳ね返って第1の傾斜面50上に乗り上げたりすることは殆どなく、たとえ排水が跳ね返って第1の傾斜面に乗り上げたとしても、第1の傾斜面50に付着した汚物を洗い流して異臭が発生することを防止する。
なお、第1の傾斜面50は、第2の傾斜面51より大きな傾斜角を設けて接続されていれば、その形状は特に限定されるものではなく、例えば、すり鉢のような形状をしているものであってもよい。
このように、本実施例によれば、枝管流入口6bから流入した排水がどのような方向から流入した場合であっても、排水は第1及び第2の傾斜面50、51に沿って集合化及び整流されながら流れるため、不規則な流れや急激な流れを生じることにより、乱流を起こしたり飛散したりすることがない。また、第1の傾斜面50では、排水のスムーズな流れを維持しながら、枝管流入口6bから流れ込む排水を主インバート溝4内の排水と合流する前に集合させて整流化しているため、主インバート溝4内の排水と合流する際にその流れを阻害することが殆どない。
以上の結果、本実施例によれば、枝管流入口6bを主インバート溝4内の排水の流れ方向40に対して逆流方向へ、すなわち、主インバート溝4内の排水の流れ方向40に対して下流側から上流側に向かって鋭角範囲を含む180°の範囲内に複数の枝管流入口6bを配置することが可能となり、それでいて、枝管からの流れを主インバート溝4を流れる排水へスムーズに合流させることができる。
実施例3は先述された実施例1の樹脂製排水ますの他の変形であって、4つの枝管流入口の内、2つの枝管流入口が主インバート溝内の排水の流れ方向に対して平行に配置された本発明による樹脂製排水ますの例示である。したがって、実施例3の排水ますは、枝管流入口の配置が実施例1の排水ますとは異なる以外、排水ますの側壁や主インバート溝や副インバートを含む底部など、その基本的構造は実施例1の排水ますと同じである。
図5には、4つの枝管流入口6cの内、2つの枝管流入口6cが主インバート溝内の排水の流れ方向40に対して平行に配置された本発明による実施例3の樹脂製排水ます1cを上から見た場合の平面図が示されている。また、その中央部の断面構造は、枝管流入口6cの配置が異なること以外、図3に示されているものと同じである。
図5及び図3を参照して説明すると、実施例3の樹脂製排水ます1cは、実施例1aの排水ますと同様に、主インバート溝4と副インバート5からなる底部2と、底部2から略垂直に立ち上がった側壁3とから構成される。
主インバート溝4は、その両端に本管流路と接続される本管流入口7及び流出口8が設けられており、この本管流入口7と流出口8を同じ高さとなるように配置することで、換言すれば、主インバート溝4を水平となるように配置することで、原則として本管流路の上流側及び下流側の区別がない上下流兼用タイプの排水ます1cを提供することができる。
また、副インバート5の上方にある壁面34には、4つの枝管流入口6bが副インバートと連通するように外側へ延びるように配置されており、その内の2つの枝管流入口6bは、主インバート溝4内の排水の流れ方向40に対して平行に配置されている。
このため、本実施例による排水ます1cは、本管流路と平行な枝管流路であっても継ぎ手を介さずに直接接続することができるため、排水ます1cに直接接続できる枝管の許容範囲が拡大される。
また、本実施例による排水ます1cは、従来は事実上デッドスペースとなっていた排水ます本体10cの下流側約半分の側壁3を枝管流入口6cの設置場所として有効利用することが可能となり、1つの排水ますに接続可能な枝管の数を大幅に増やすことができる。
さらに、各枝管流入口6cは、主インバート溝4に対して直交する排水ます1cの中心を含む垂直断面に対して左右対称になるように配置されているため、原則として排水ますの使用に際して上流側と下流側の区別をする必要がなくなり、発注などで排水ますの選択を誤った場合でも工事が中断してしまうおそれがなくなる。
主インバート溝4は側壁3に近接して配置されており、このため、副インバート5から流れ込んだ排水が主インバート溝4との合流点を越えて排水ます本体10cの反対側の側壁33へ乗り上げることが殆どない。また、主インバート溝4は上部から見て排水ます側壁3に隠れることがないので、排水ます1cの清掃や点検を極めて容易に行うことができる。
副インバート5は、主インバート溝4の一部から連続して立ち上がった第1の傾斜面(または急斜面)50と、第1の傾斜面50から枝管流入口6bへ向けて連続した第1の傾斜面より小さな傾斜角を有する第2の傾斜面(または緩斜面)51とを含む。
第2の傾斜面51は、各枝管流入口6cから流入した排水の速度をあまり増加させない一定の勾配を有するすり鉢のような形状(図3参照)となっているため、枝管流入口6cから流入した排水を副インバート5の第2の傾斜面51上で、排水ますの略中央部に配置された第1の傾斜面50へ向けてその流れを効率よく集合化することができる。ただし、第2の傾斜面51は、各枝管流入口6cから共通した勾配をもった傾斜面で構成されていれば、その形状は特に限定されるものではなく、例えば、お椀のような形状をしているものであってもよい。
これに対し、第1の傾斜面50はお椀のような形状(図3参照)となっており、第2の傾斜面51とはより大きな傾斜角を設けて接続されているため、第2の傾斜面51から流れ込んだ排水は、第1の傾斜面50で流下してその平面的な流れの方向性を失った後、第1の傾斜面50の形状に沿って再びその流れの方向が整えられ、主インバート溝4内の排水の流れと略直角、あるいはそれ以下の緩やかな角度でスムーズに合流される。
また、第1の傾斜面50は、適度な急勾配をもって第2の傾斜面51から流れ込んだ排水の速度を増加させるように形成されているため、第2の傾斜面51から流れ込んだ排水が側壁33から跳ね返って第1の傾斜面50上に乗り上げたりすることは殆どなく、たとえ排水が跳ね返って第1の傾斜面に乗り上げたとしても、第1の傾斜面50に付着した汚物を洗い流して異臭が発生することを防止する。
なお、第1の傾斜面50は、第2の傾斜面51より大きな傾斜角を設けて接続されていれば、その形状は特に限定されるものではなく、例えば、すり鉢のような形状をしているものであってもよい。
このように、本実施例によれば、枝管流入口6cから流入した排水がどのような方向から流入した場合であっても、排水は第1及び第2の傾斜面50、51に沿って集合化及び整流されながら流れるため、不規則な流れや急激な流れを生じることにより、乱流を起こしたり飛散したりすることがない。また、第1の傾斜面50では、排水のスムーズな流れを維持しながら、枝管流入口6cから流れ込む排水を主インバート溝4内の排水と合流する前に集合させて整流化しているため、主インバート溝4内の排水と合流する際にその流れを阻害することが殆どない。
以上の結果、本実施例によれば、枝管流入口6cを主インバート溝4内の排水の流れ方向40に対して逆流方向へ、すなわち、主インバート溝4内の排水の流れ方向40に対して下流側から上流側に向かって鋭角範囲を含む180°の範囲内に複数の枝管流入口6cを配置することが可能となり、それでいて、枝管からの流れを主インバート溝4を流れる排水へスムーズに合流させることができる。
実施例4は上述された実施例1〜3の樹脂製排水ますへ適用可能なさらなる変形であって、枝管流入口の外部接続端に角度調節可能な回転エルボが取り付けられた本発明による樹脂製排水ますの例示である。したがって、実施例4の排水ますは、枝管流入口の外部接続端の全部又は一部に角度調節可能な回転エルボが取り付けられている以外、実施例1〜3の排水ます排水ますと同じ構造を有する。
図6には、枝管流入口6dの外部接続端に角度調節可能な回転エルボ9が取り付けられた本発明による実施例4の樹脂製排水ます1dを上から見た場合の部分的平面図が示されている。
図6を参照して理解されるように、枝管流入口6dの外部接続部60には管路の一部が屈曲した回転エルボ9のソケット90が取り付けられており、これを180°回転させると図6(a)から図6(b)に示されるように、その受口91の向きが方向変換される。また、回転エルボ9のソケット90を図6(a)から180°でない任意の角度へ回転させる場合は、その受口91は水平方向及び垂直方向へ勾配をもって方向転換される。
また、この回転エルボ9は、実施例1〜3の樹脂製排水ますの枝管流入口とシールして回転自在になるように枝管流入口の外部接続端を加工すれば、どの位置にある枝管流入口にも取り付けることができ、また、複数の枝管流入口のそれぞれへ取り付けることもできる。
この結果、本実施例によれば、排水ます外部枝管の設置状況や排水ます内部の流水環境に応じて枝管流入口6dの角度調整を自由に行えるようになる。
図7には、実施例4の枝管流入口6dの外部接続端60に取り付けられた回転エルボ9を、管軸を含む中心断面で切り取った場合の要部拡大断面図が示されている。
図7を参照して説明すると、本実施例の回転エルボ9は、枝管流入口6dの外部接続部60と回転エルボ9のソケット90とから構成される。
外部接続部60は、副インバートと連通するように排水ますの上部壁面34から外側へ延びた略ストレートな管体の形状を有している。外部接続部60の外周面には、高さ及び幅の異なる2つのリング状に突出した凸部61、62と、1つのリング状に溝が掘られた凹部63が形成されており、凸部61はソケット90のストッパーとして機能し、凸部62は摺動ガイドとして機能する。また、凹部63は、ソケット90との間をシールするためのOリングやリップルを嵌め込み固定するために機能する。
ソケット90は、外部接続部60の外周面と嵌合する摺動受口92と外部枝管と接続するための受口91、および前記2つの受口91、92を連結する管路の一部が屈曲したエルボ93を含む。摺動受口92の内周面には、外部接続部60の凸部62と回転自在に嵌合するリング状に溝が掘られた凹部94が形成されている。
ソケット90は、外部接続部60と摺動受口92の接続部を中心にしてその周りを自在に回転することができ、たとえば、ソケット90を180°回転させることにより、図7の中に示される実線部から点線部へ受口91の向きを方向変換することができる。また、回転エルボ9のソケット90を任意の角度へ回転させる場合は、受口91は水平方向及び垂直方向へ勾配をもって方向転換することもできる。
このように、本実施例で使用される回転エルボ9は、排水ます外部枝管の設置状況や排水ます内部の流水環境に応じて枝管流入口6dの角度調整を自由に行えるものであれば、一般的な構造を有する汎用の回転エルボであっても適用することができる。また、回転エルボ9の接続構造は、外部接続部を回転エルボのソケット側に設け、摺動受口を枝管流入口の外部接続端側に設けた構造であってもよい。
実施例5は先述された実施例1〜3の樹脂製排水ますの変形であって、樹脂製排水ますの側壁に枝管流入口を後付け可能な壁面を設けておき、これに枝管との接続位置に合わせて穴開け手段を用いて開口し、その開口部にナット締め付け型支管を取り付けるタイプの本発明による樹脂製排水ますの例示である。したがって、実施例5の排水ますは、側壁構造が他の実施例の排水ますとは異なる以外、その基本的構造は実施例1〜3の排水ますと同じである。
図8に示されるのは、枝管流入口を取り付ける前の側壁3に開口部が形成されていない状態の本発明による実施例5の樹脂製排水ます1eであって、主インバート溝(図示せず)が配置されている側とは反対側の側面、すなわち、後から枝管流入口が取り付けられる側から見た排水ますの側面図である。
図8を参照して理解されるとおり、主インバート溝へ近接して配置されている側の反対側の側壁には、開口部を有さない枝管流入口設置可能な壁面34が形成されている。したがって、この状態での排水ます1eは、実施例1〜3の排水ますと同様の主インバート溝と副インバートからなる底部2と、その上に連続して形成される略円筒の形状を有する側壁3とから構成されており、側壁3に枝管流入口が形成されていないことを除き、基本的に実施例1〜3の排水ますと同じ構造を有している。
図9に示されるのは、後述されるナット締め付け型支管を取り付けるための開口部35が、壁面34に放射上に4つ形成されている状態の実施例5の樹脂製排水ます1eの側面図である。
図9を参照して理解されるとおり、壁面34は、本管流入口7及び流出口8の略中心高さより高い位置であって副インバート5より上方に形成されているため、開口部35を主インバート溝4内の排水の流れ方向に対して下流側から上流側に向かって180°の範囲に形成された壁面34上に設けることにより、開口位置やその数にかかわらず副インバート5と容易に連通する。
なお、開口部35は、ホールソーなどの一般的な穴開け手段を用いて開口することができ、その位置決め及び穴開け加工は、あらかじめ工場内で壁面34の所望の位置に実施してもよく、あるいは施工現場において枝管との接続位置に合わせて実施してもよい。
図10に示されるのは、先述された壁面34に設けられた4つの開口部35のそれぞれにナット締め付け型支管36が取り付けられた状態の実施例5の樹脂製排水ます1eの側面図である。
図10を参照して理解されるとおり、壁面34上には、枝管流入口6eを形成するナット締め付け型支管36が後付けされており、本実施例の場合は、図1に示された実施例1の排水ます1aのような放射状に配置された枝管流入口6eを有する。
この結果、本実施例によれば、ナット締め付け型支管36の取り付け位置は、本管流入口7及び流出口8より高い位置であって副インバート5より上方であれば、特に制限されることなく排水ますの壁面34の任意の位置へ後付けすることができるため、枝管との接続可能な許容範囲が大幅に向上する。また、本実施例によれば、継ぎ手などの接続部品を大幅に減らすことが可能となり、排水ます布設工事の工期を大幅に短縮することができるようになる。
また、本実施例によれば、排水ます1eは据え付け当初、側壁3に枝管流入口6eが設置されておらず、内部の主インバート溝4も水平になるように配置されているため、原則として排水ますの使用に際して上流側と下流側の区別をする必要がなくなり、発注などで排水ますの選択を誤った場合でも工事が中断してしまうおそれがなくなる。
図11に示されるのは、本実施例に用いられるナット締め付け型支管36を排水ますの壁面34に取り付ける場合及び取り付けた状態での要部を拡大した断面図である。
ナット締め付け型支管36は、特開平5−33382号公報や特開2001−56083号公報に開示されているような合成樹脂性ナット締め付け型支管を使用することができ、これと同じ機能を有するものであれば、他のタイプのナット締め付け型支管を使用することができる。
図11を参照すると、ナット締め付け型支管36は、合成樹脂製、たとえば塩化ビニール射出成形した成形品からできており、その基本構造は、支管本体360と、キ−溝に嵌め込まれているパッキン361を含み前記支管本体360上にスライド自在に嵌め合わされるスペ−サ362と、支管本体360上に刻まれた雄ネジ363と回転して嵌まり合うナット364とから構成されている。また、支管本体360とスペ−サ362との間はOリング365を介在させてシ−ルできるようになっている。
この支管本体360の一端には、垂直面に対して投影的に見ると、高さ方向が長径で水平方向が短径である楕円状で外向きに拡がったフランジ366が支管本体360の管軸に対して直交するように一体成形されており、かつ、壁面34と接するフランジ366の外向きの面は、壁面34の内部壁面と密接するように弯曲している。
また、ナット締め付け型支管36を取付けるために、ホールソーなどを用いて壁面34に開けられる円形の開口部35は、前記フランジ366の長径よりも小さく、そして前記フランジ366の短径よりも若干大きな口径となるように開口される。
そして、このフランジ366を開口部35を通過させて壁面34の内部へ挿入するため、フランジ366の内面近傍には開口部35と接合するための段差部367と、これに隣接した凹部368が支管本体360の外周面に設けられている。
さらに、この支管本体360には、フランジ366が楕円状に一体成形された端部側の反対側に、外部枝管を接着接合するための規格化された寸法を有する受口369が形成されており、この受口369の外周部には、上述された雄ネジ363が刻まれている。
したがって、ナット締め付け型支管36を壁面34に設けた開口部35へ取り付けるためには、まず、フランジ366を開口部35に対して傾けて壁面34の内部へ通過させた後、凹部368を前記開口部35の口縁に載せるようにして仮設置する(図11a参照)。
続いて、この支管本体360を壁面34の外部へ若干引き抜き、開口部35の口縁に段差部367を当接させると共に、壁面34と接するフランジ366の外向きの面を壁面34の内部壁面に密接させ、ナット364を締め付けることによりパッキン361付きスペ−サ362を前進させて、これを壁面34に密接させる(図11b参照)。
この結果、ナット締め付け型支管36は、フランジ366とスペ−サ362とが開口部35の周りの壁面34を内側及び外側から挟み込むことにより、壁面34の所望の位置に固定される。
4つの枝管流入口が放射状に配置された本発明による実施例1の排水ますの平面図である。
図1に示された実施例1の排水ますの側面図である。
図1のA−A断面で切り取った実施例1の排水ますの断面図である。
3つの枝管流入口が放射状に配置された本発明による実施例2の排水ますの平面図である。
一部の枝管流入口が主インバート溝に対して平行に配置された本発明による実施例3の排水ますの平面図である。
枝管流入口に回転エルボが取り付けられた本発明による実施例4の排水ますの部分平面図である。
回転エルボを管軸を含む中心断面で切り取った実施例4の排水ますの要部拡大断面図である。
枝管流入口を後付けするタイプの本発明による実施例5の排水ますの側面図である。
ナット締め付け型支管を取り付けるための開口部35が壁面に形成された実施例5の排水ますの側面図である。
ナット締め付け型支管が壁面に取り付けられた実施例5の排水ますの側面図である。
ナット締め付け型支管を壁面34に取り付ける方法を示した実施例5の排水ますの要部拡大断面図である。
符号の説明
1a、1b、1c、1d、1e ・・・樹脂製排水ます
2 ・・・・・・・・・・・・・・・・底部
3 ・・・・・・・・・・・・・・・・側壁
4 ・・・・・・・・・・・・・・・・主インバート溝
5 ・・・・・・・・・・・・・・・・副インバート
6a、6b、6c、6d、6e ・・・枝管流入口
7 ・・・・・・・・・・・・・・・・本管流入口
8 ・・・・・・・・・・・・・・・・本管流出口
9 ・・・・・・・・・・・・・・・・回転エルボ
10a、10b、10c ・・・・・・排水ます本体
34・・・・・・・・・・・・・・・・枝管流入口設置可能な壁面
35・・・・・・・・・・・・・・・・開口部
36 ・・・・・・・・・・・・・・・ナット締め付け型支管
50 ・・・・・・・・・・・・・・・第1の傾斜面(急斜面)
51 ・・・・・・・・・・・・・・・第2の傾斜面(緩斜面)