JPS631198Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は高温の焼塊を冷却する装置に係り特
に装置側壁に設けた防護体の交換を一部に止める
よう構成した焼塊冷却装置に関する。

セメント製造工程において焼成された高温の焼
塊（クリンカ）を一定距離移送する間に空気を用
いて、このクリンカを所定の温度まで冷却する焼
塊冷却装置がある。第１図はこの焼塊冷却装置を
示す。図においてバーナ２により焼成された高温
のクリンカはロータリキルン１から冷却装置本体
３に落下する。装置本体３内には複数の火格子が
クリンカ移送方向と直交する方向に並列して多段
に配置してある。可動火格子５ａの段と固定火格
子５ｂの段とが交互に配置してあり、駆動装置６
により作動する可動火格子５ａの往復運動により
クリンカは徐々に排出端に移動し、この間に火格
子下部の空気室７から供給される冷却用空気によ
りクリンカは所定の温度まで冷却される。このよ
うな装置においては炉内壁９が焼塊で摩耗損傷さ
れるので、これを防止するための防護体が火格子
を保持する固定格子梁に組付けられている。ロー
タリキルン１から排出される約1400〜1500℃の高
温クリンカは、ロータリキルン１自体に分級作用
があるため、火格子上に落下した際には分級して
不均一な粒度分布を示す。これにより火格子上で
焼塊移動方向の両側即ち側壁の側に小径のクリン
カが集中することになる。このため火格子の中央
には大径の粒子が層をなし、かつ両側には小径粒
子が集中し、これらの小径粒子で形成される層は
通気抵抗が大きいため冷却が不十分のまま移動し
て排出されることになる。この高温粒子が火格子
下に落下し圧力空気室内の各種軸，落下粒子排出
用のドラグチエンコンベヤ，空気室側板等を損傷
することとなる。これを防止しかつ装置側壁を防
護するため第２図の如く防護体４にはひさし部Ｓ
を形成し、可動火格子５への一部を覆うようにし
てある。このようにひさし部Ｓを形成することに
より小径粒子の落下は大幅に減少できるが一方ひ
さし部Ｓと可動格子５ａとの間に形成された隙間
８に小粒子１０が侵入する。（第３図参照）この
ためひさし部Ｓは常時高温の小径クリンカ粒子に
より激しく擦られ、短い期間で摩耗，焼損する。
第４図および第５図は従来の防護体を示す。図示
の如く従来形はひさし部Ｓと防護体４が一体に形
成されているためひさし部Ｓのみが焼損してもひ
さし部Ｓと一体の防護体全体を交換せねばならな
かつた。防護体は高価な耐熱金属により、形成し
てあるため短期間で一部が損傷しても全体を交換
することは非常に不経済である。またひさし部Ｓ
は耐熱性の外、強い耐摩耗性も要求されるため、
使用する金属はさらに限定され、このような特殊
金属で防護体全体を形成して使用せねばならない
ため実際には経済性はさらに悪化する。

この考案の目的は上述した問題点を除去し、部
分的な損傷でも防護体全体を交換する不経済性を
なくし、安価でしかも長期間にわたつて全体の交
換が不要な焼塊冷却装置を提供することにある。

要するにこの考案は装置側壁近傍に取り付けた
防護体を防護体本体と、この防護体本体に対して
ボルト等により着脱可能に取り付け、かつその一
部がひさし部として機能する着脱部から構成し、
ひさし部が消耗した場合、この着脱部のみの交換
が可能なよう構成した防護体を有する焼塊冷却装
置である。

以下この考案の実施例につき説明する。

第６図および第７図において符号１１は防護体
本体を示し、１２はひさし部Ｓを有する着脱部で
あり、第７図に示す如く防護体本体取り付け部か
らひさし部Ｓをクリンカ流れ方向Ｘに直交するよ
う展出形成させてある。この着脱部１２と防護体
本体１１とは密着係合させ、かつボルト１３およ
びナツト１４等の着脱可能な取付部材により着脱
部１２を防護体本体１１に対し着脱可能に取り付
ける。

以上の構成においてひさし部Ｓが消耗した場合
にはボルト１３，ナツト１４を外し着脱部１２を
交換すれば良い。この場合第７図からも明らかな
とおり着脱部１２は火格子の上面側から組付け配
置ができ、又可動火格子５ａとひさし部Ｓとの隙
間８の調整は着脱部１２と本体１１の接合部１５
に介在片を挿入すれば良い。なお、図からも明ら
かなとおり、着脱部１２の交換作業及び隙間８の
調節作業共に火格子上面側から行えるので作業性
は良好である。

第８図は着脱部１２の詳細を示す。すなわち符
号１７はボルト挿通孔、１６は堰板部、１８は堰
板部１６に形成した吊り下げ孔であり、着脱部着
脱の際にこの着脱部を吊り下げるために使用され
る。また堰板部１６は焼塊の流れからボルトを防
護する役目も果しており、このため各堰板部は焼
塊移送方向Ｘにおいて、ボルト挿通孔１７の上流
側に位置するよう形成しておく。またこの堰板部
１６はボルト１３の回転防止の役目も果す。

この考案を実施することにより摩耗，焼損の激
しいひさし部のみを交換することができるので、
防護体全体を交換する場合に比較して焼塊冷却装
置の保守運転経費を安価に押えることができる。

また防護体本体とひさし部の構成材質とを相違
させ、本体側は比較的低級な材料を採用できるこ
とにより不必要部分にまで高価な材料を使用しな
いですみ、防護体の生産単価を低減できる。

さらにひさし部の着脱は火格子上面においてす
べて行なえるので、作業性を大幅に高めることが
できる等種々の効果を発揮する。

【図面の簡単な説明】

第１図は焼塊冷却装置の断面図、第２図は火格
子と防護体の配置状態を示す斜視図、第３図は第
２図のＡ−Ａ断面図、第４図は従来の防護体の側
面図、第５図は第４図のＢ−Ｂ断面図、第６図は
この考案に係る防護体の平面図、第７図は第６図
のＣ−Ｃ断面図、第８図は着脱部の斜視図であ
る。 ３……焼塊冷却装置本体、５ａ……可動火格
子、５ｂ……固定火格子、１１……防護体本体、
１２……着脱部、１６……堰板部、Ｓ……ひさし
部、Ｘ……焼塊移送方向。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ 固定火格子と可動火格子とを焼塊移送方向に
   対して交互に配置し焼塊を移送しかつ冷却し装
   置内部火格子近傍にはひさし部を有する防護体
   を取り付けたものにおいて、この防護体を、防
   護体本体と、この防護体本体に対して着脱可能
   に取り付けその一部がひさし部として機能する
   着脱部とから構成した、防護体を有する焼塊冷
   却装置。 ２ 実用新案登録請求の範囲第１項記載の防護体
   を有する焼塊冷却装置において、防護体の構成
   部材のうち着脱部の構成材料のみを耐熱性、耐
   摩耗性の高い材料としたもの。 ３ 実用新案登録請求の範囲第１項または第２項
   記載の防護体を有する焼塊冷却装置において、
   着脱部にボルト挿通孔を形成し、このボルト挿
   通孔形成部よりも焼塊移送方向上流側に対して
   堰板部を形成したもの。