JPS6310964B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、側面視において一つの走行車輪と、
苗植付け装置および乗用運転部とを備えた機体
に、泥面上を滑走して機体の走行車輪周りでの姿
勢を安定保持するための補助接地体を連設してあ
る乗用田植機に関する。

かかる乗用田植機は、トラクタを本機として利
用構成した汎用の乗用田植機に比較して、構造簡
単、かつ、安価、軽量に構成し易い点で有用であ
り、さらに、例えば走行車体と泥面接地体とをも
つ歩行型田植機の本機に、乗用運転部又は乗用運
転部と泥面接地体とを付加するといつたように、
既存の歩行型田植機の部分的改造によつて、簡易
に構成し易いので、異種仕様の田植機どうしの構
成部材を兼用させ得る生産性の点での有利さもあ
るが、このような簡易型の乗用田植機を構成する
にあたり、単に歩行型田植機の本機に乗用運転部
を付加するだけでは次のような不都合な点もあ
り、それを改善した上で上記の有利さを得ること
が要望されている。

つまり、一般の歩行型田植機は、走行車輪とそ
の後部の泥面接地体とで、機体荷重を分担支持
し、かつ、泥面接地体には、機体走行中の車輪の
駆動反力が後方の泥面接地体に対して充分安定的
に負荷し続けるように構成することによつて走行
姿勢の安定化を図つているものである。ところ
が、このような歩行型田植機に乗用運転部を搭載
した場合、比較的軽い歩行型田植機では機体荷重
の分担支持機能を果たしていた泥面接地体が操縦
者重量の付加によりその用をなさない程度にまで
沈降するという致命的な不具合が生じる。従つ
て、これを回避するためには、前記泥面接地体の
接地面積を極端に広くするか、あるいは、機体重
心を極力機体前方側へ位置させて、前記泥面接地
体に大きな機体重量が負荷されないように工夫す
る必要がある。しかしながら、前者の場合のよう
に接地面積を広くすると、泥面接地体による泥押
し量が大きくなり過ぎて、泥波による既植苗の押
し倒しが生じたり、また、後者のように重心を変
更すると、走行車輪のスリツプ等によつて一時的
に駆動反力が減少したときに機体が前倒れ状態に
倒れて前端部が泥面に突入してしまうなどの危険
性がある。

そこで、泥面接地体を走行車輪の前後に振り分
けて設け、主として機体荷重を車輪に作用させな
がら前後泥面接地体で機体姿勢の安定化を図るよ
うに構成することにより、機体の前方に重心を位
置させながらも前倒れを抑制することも考えられ
るが、このように構成した場合にも、機体走行姿
勢は、機体の前後バランスを正確に保つことによ
つて初めて大きなピツチング等の少ない安定状態
に維持できるものであるため、操縦者の体格差
や、苗植付装置部分での苗残量の変化によつてそ
の走行姿勢を安定的に維持し難い、つまり、換言
すれば、このように前後バランスをシビアに制御
しなければならないものであるために、機体に乗
る操縦者が交替したり、苗残量の変化による機体
全体の荷重変化が、前後バランスの崩れに影響し
易いものであつて、機体走行姿勢を安定的に維持
し難いという欠点があつた。

本発明が解決しようとする技術的課題は、側面
視で一つの走行車輪を備える簡易型の乗用田植機
を構成するにあたり、その車輪の前後に泥面接地
体を設けて泥面接地体による大きな泥押しを避け
得るように構成したものでありながら、その走行
姿勢を安定化させることにある。

上記課題を解決するために溝じた本発明の技術
手段は、一軸まわりで回転する走行車輪の前後に
原動部と苗植付け装置とを振り分けて配設し、前
記原動部と前記苗植付け装置の下部に、夫々、泥
面接地体を配設し、さらに、前記走行車輪の車軸
を通る仮想鉛直線上近くに運転席を配設してある
乗用田植機において、前記後部泥面接地体の接地
圧変化を検出する装置と、前記検出装置の検出結
果に基いて機体の前後バランスを前記運転席の前
後移動によつて自動修正をする機構とを設けたこ
とであり、かかる技術手段を講じたことによる作
用効果は次の通りである。

すなわち、植付けに伴う苗残量変化によつて生
じる機体前後バランスの崩れを、後部泥面接地体
で検出して、その検出結果によつて運転席を前後
に移動させて機体前後バランスの崩れを修正する
ものであるから、植付けに伴なう苗残量変化の機
体前後バランス変化要因にかかわらず、機体の前
後バランスを常に適正に自動保持して、機体の走
行車輪周りでの姿勢をほぼ一定に自動維持できる
ので、側面視において一つの走行車輪と補助的な
接地体とで機体を接地支持する簡易型でありなが
らも、常時良好な苗植付け性能を保持できるに至
つた。

そして、機体のバランス修正を、後部泥面接地
体の接地圧検出結果により、運転席を前後に移動
させて行なうものであるから、例えば、別途バラ
ンスウエイトを用いて、それを苗量変化に比例さ
れて前後に移動させてバランス修正を行なう場合
に比して、余分なウエイトを付加することによる
機体総重量の増加がない許りか、乗る人の体重差
による機体の前後バランスの崩れが生じることが
ない点でも有利である。

以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明す
ると、耕盤ａ上を移動する左右一対の走行車輪
１，１の前部に、泥面ｂ上を滑走して機体前部を
接地支持するフロート２（接地体の例）と原動部
７および乗用運転部５とを上下重合状態で配設す
るとともに車輪１，１対の後部に、泥面ｂ上を滑
走して機体後部を接地支持すると同時に、植付け
予定泥面を整地する左右一対のフロート２′，
２′（接地体の一例）と４条同時植付け式苗植付
け装置８とを上下重合状態で配設し、かつ、前記
車輪１，１対をその前方の横軸芯Ｘ周りでの揺動
により上下に位置変更可能に構成してある乗用田
植機において、機体の前後バランスの変化を検出
する装置３とこれの検出結果に基づいて、機体の
車輪１，１対周りでの対泥面姿勢が一定化するよ
うに機体の前後バランスを自動修正する装置４お
よび、機体の対泥面高さ変動を検出する装置９な
らびに、この検出結果に基づいて、機体の対泥面
高さが一定化するように車輪１，１対の上下位置
を自動調整する装置１０を設けてある。

前記バランス変化検出装置３は、後部フロート
２′，２′を前部腰折れリンク１１と後部揺動リン
ク１２とを介して上下に移動自在な状態で機体に
取付けるとともに、これら後部フロート２を一定
圧をもつて下方に移動付勢して、これら後部フロ
ート２′，２′を機体前後バランスの変化に伴なう
接地圧変化に追従して上下に移動すべく構成し、
これら後部フロート２′，２′のうちの一方の上下
移動により機体前後バランスの変化を検出すべく
構成してある。

前記バランス自動修正装置４は、乗用運転部５
において、車軸を通る仮想鉛直線上近くに配置し
た運転席５Ａを前後方向に移動可能に取付けると
ともに、この運転席５Ａを前後移動ならびに固定
する油圧シリンダ４Ａを設け、この油圧シリンダ
４Ａの制御バルブ４Ｂの切換作動を前記後部フロ
ート２′の後部揺動リンク１２の揺動に連係させ
るワイヤー４Ｃを設け、もつて、運転席５Ａおよ
び乗用者をバランスウエイトとして検出接地圧に
基づいて運転席５Ａを前後に移動させることによ
り、接地圧をほぼ一定にすべく構成してある。

前記高さ検出装置９は、前部フロート２をその
前端近くを支点Ｒとして上下揺動自在な状態で機
体に取付けるとともに、この前部フロート２を前
記よりも大なる一定圧をもつて下方に揺動付勢し
て、前部フロート２を、機体の対泥面高さ変動に
伴なう接地圧変化に追従して上下揺動すべく構成
し、この前部フロート２の上下揺動により機体の
対泥面高さ変動を検出すべく構成してある。

前記車輪上下位置自動調整装置１０は、車輪
１，１対を上下に位置変更ならびに固定可能な油
圧シリンダ１０Ａを設けるとともに、この油圧シ
リンダ１０Ａの制御バルブ１０Ｂの切換作動を前
部フロート２の揺動に連係させるロツド１０Ｃを
設けて構成してある。

前記苗植付け装置８は、前記姿勢の苗のせ台８
Ａを横方向で往復移動させつつ、この苗のせ台８
Ａ下端の苗取出し口８ａ………と整地泥面との間
で４本の植付け爪８Ｂ………を同時に循環作動さ
せることにより載置苗を単位量づつ取出して植付
けるべく構成してある。

前記乗用運転部５における操作ハンドルポスト
５Ｂは作用姿勢と、前方に回倒して運転席５Ａに
対する乗降通路を開放する姿勢とに切換可能に構
成してある。

【図面の簡単な説明】

面図は本発明に係る乗用田植機の実施例を示
し、第１図、第２図は全体の側面図と平面図であ
る。 １……走行車輪、２，２′……接地体、３……
検出装置、４……バランス修正装置、５Ａ……運
転席、７……原動部、８……苗植付け装置。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 一軸まわりで回転する走行車輪１，１の前後
   に原動部７と苗植付け装置８とを振り分けて配設
   し、前記原動部７と前記苗植付け装置８の下部
   に、夫々、泥面接地体２，２′を配設し、さらに、
   前記走行車輪１，１の車軸を通る仮想鉛直線上近
   くに運転席５Ａを配設してある乗用田植機におい
   て、前記後部泥面接地体２′の接地圧変化を検出
   する装置３と、前記検出装置３の検出結果に基い
   て機体の前後バランスを前記運転席５Ａの前後移
   動によつて自動修正する機構４とを設けてあるこ
   とを特徴とする乗用田植機。