JPS6310546Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は縁付防水時計ケースのガラス、および
ガラス縁の係止構造、特に小型、薄型の非円形見
切形状の時計ケースに対応できるガラスおよびガ
ラス縁の固定構造に関する。

従来、ガラス縁付防水時計ケースのガラス、お
よびガラス縁の固定は、例えば、第１図に示すよ
うに、２段プラ直構造（ガラスおよびガラス縁を
２ケのプラスチツクパツキンにより固定する構
造）等が利用されて来たが、近年においては、よ
り小型で細いガラス縁が要求されると共に、より
薄い防水ケースが要求されつつある。しかし、前
記第１図に示す構造においては、プラ直の必要寸
度（例えばＣ＝1.2ｍ／ｍ Ｄ＝１ｍ／ｍ）があ
り、寸度Ａは最低でも３ｍ／ｍ以上は必要とな
り、時計体の総厚が５〜６ｍ／ｍである薄型防水
用ケースにあつては適用が不向となる。さらに第
１図の従来構造では、ガラス防水リング８、およ
びガラス縁防水リング１３は、締代を持つてガラ
スあるいはガラス縁を固定しているため、ガラス
縁は第１図に示す矢印の様な応力がかかり、ガラ
ス縁に対して複雑な変形を生じさせる。これは、
ガラス縁が小型化、薄型化されると、より著しく
なり、この点からも使用ができなくなる。以上の
ように時計ケースの小型化、薄型化に対しては、
材料強度上あるいは寸度上より、従来構造が適用
出来にくくなり、新たに小型化、薄型化に対応で
きる構造が必要となる。

第２図は非防水構造の従来例を示すが、この構
造においては、ガラス２は外周下面により接着さ
れガラス縁はカシメと接着１０が併用された構造
であるが、防水効果はほとんどなく、したがつて
非防水専用の構造であり、本考案のように、防水
としての力学的、寸度的追求はなされていないも
のである。

本考案は材料強度上、あるいは寸度上の諸問題
を解消した、小型、薄型化が図れる時計外装構造
を提供するものである。

以下、図面に示す実施例により本考案をより詳
細に説明する。本考案の構成は第３図に示す如
く、金属、硬質プラスチツクよりなるガラス縁
１、無機材料のガラス２、胴３、裏ブタ６、プラ
スチツクのガラス防水リング８、合成ゴムなど弾
性部材であるパツキン９により構成される。

この場合、前記ガラス防水リング８とパツキン
９とは平面的にずれた位置に配置され、両者が断
面的に重なることがないので、ガラス縁の高さを
低くすることができる。胴３にはその内側上面部
に平面形状が非円形のパツキン溝３ａが構成さ
れ、ガラス縁の外周下面１ｂと側面１ｃによりパ
ツキンボツクスが形成される。胴の前記パツキン
溝３ａはその深さよりもその幅が広く形成され、
組込み前の状態においては第３図の鎖線の如く断
面円形のパツキン９の径に対し前記パツキン溝３
ａの深さは小さくその幅は大きく形成されてい
る。更にガラス縁は最下底面外周にカシメ突起部
７が全周にわたり設けられ、第４図に示すように
部分的なカシメが全周にわたり数ケ所から十数ケ
所なされ、ガラス縁と胴が固定される。この際、
前記パツキンボツクスにはパツキン９が配置され
パツキン９が胴３と縁１との間で上下方向につぶ
され、防水処理がなされる。尚、組立手順はま
ず、ガラス縁の平面形状が非円形の前記側面１ｃ
にパツキンを巻きつけ、この状態で胴１にセツト
し、次にカシメ作業の順となる。この場合、パツ
キン９はガラス縁の前記側面１ｃに巻き付けられ
るのでむやみに抜け出たり保持されることがな
く、とかく非円形の溝の中に載置される場合のよ
うにカシメ作業中に抜け出てしまうことがない。
又、パツキン９の径よりもパツキン溝３ａの幅が
長いのでガラス縁を胴にセツトする時、パツキン
９が確実にパツキン溝３ａの内に挿入され、カシ
メによりパツキン９が押圧されて防水性を有する
こととなる。

又、パツキンボツクス形状が非円形であるが、
断面が円形のリボン状パツキンを縁に巻きつけて
使用する時多少引張力をパツキンに与えるがこの
引張力によりコーナー部のパツキン断面径が小さ
くなり、防水不良の原因となりやすいため、この
点を考慮し、パツキンボツクスの体積（Vu）に
対するパツキンの体積（Vp）の比Vp／Vuを1.1
〜1.3に設定し、（ガラス縁と胴のスキＦ＝０の状
態で）、カシメ後にＦ＝0.05〜0.1ｍ／ｍのスキマ
を持たせるよう構成することが本構造での有利な
構成となる。

以上のように組立てられた縁付の胴は次にガラ
スがセツトされる。ガラス縁は上部内周側壁１ａ
が構成され、テフロン、テフゼル、あるいはその
他のプラスチツクからなる防水リング８を介し
て、径方向の締代を持つてガラスが圧入固定さ
れ、いわゆるプラ直構造が構成される。

この際、特に薄肉のガラス縁については第３図
矢印の様な力により変形を生ずるが、ガラス縁と
胴のスキマを当初より設定しておくことにより、
胴の変形を防ぐ緩衝的役割を持たせ得る。このよ
うにして組立てられた胴と縁、ガラスは最後に裏
ブタが組まれてケースとして完成する。本実施例
においては裏ブタは最も一般的なダボ喰付により
行なわれ、胴と裏ブタのダボの締代ｇにより係止
される。

又、ガラス縁の胴へのカシメについては、通常
は適宜の間隔で６〜12箇所により行なわれるが、
本実施例においてはカシメ位置の選択については
特に考慮されている。すなわち、本考案の一実施
例である第４図に示す如く、コーナー部（コーナ
ー付近を含む）にカシメ部分を位置させることに
より、カシメをより安定させ、又パツキンのつぶ
しを確実に行ない、より安定し防水性能を得てい
る。もちろん、本考案のすべてにおいて、コーナ
ー部にカシメ位置を配設する必要はないが、特に
ガラス縁が薄く、強度的に不利の場合は、コーナ
ー部でのカシメが大きな効果を生じて来るもので
ある。

以上が本考案の構成であり、本考案の実施によ
り、次のような優れた効果を生ずる。

第１に、プラ直部がガラス固定部１ケ所であ
り、ガラス縁にかかる力が第３図に示す矢印の
力のみであり、第１図に示す力関係より単純で
あるため、ガラス縁幅Ｈは少なくできる効果が
あり、ガラス縁の小型化、薄型化に対して優位
となる。

ガラス縁を胴にカシメ固定した状態、即ちガ
ラスをガラス縁に固定する前の状態において、
ガラス縁と胴とにより得られるパツキンボツク
スの体積に対しパツキン９の体積を大きく形成
することによりガラス縁の前記外周下面１ｂと
それに対向する胴内側上面部との上下方向間に
スキマＦを設定しておき、この状態でガラス縁
の上部内周壁１ａにプラスチツクからなる防水
リング８を介してその径方向締代によりガラス
２をガラス縁に固定でき、このガラス２の固定
時に発生する防水リング８からの締代の反力が
ガラス縁に第３図の矢印の如く生じても、前述
の如くスキマＦが設定されているから、ガラス
縁は前述のスキマＦが少なくなる方向に変形移
動することが可能となり、こうしてガラス縁に
働く防水リング８からの反力が前述のスキマＦ
の量だけパツキン９に吸収されることになり、
胴の変形を防ぐ緩衝的役割が生じる。しかも、
パツキン９は、ガラス固定により前述のスキマ
Ｆの量を限界により圧縮されることになるから
より防水性が向上するものである。

従つて本考案により、小型・薄型で防水性の
優れた時計ケースが真の意味で実現できうるも
のである。

【図面の簡単な説明】

第１図、第２図は従来構造を示す部分断面構造
図、第３図、第４図は本考案の実施例を示し、第
３図は部分断面構造図、第４図はガラス縁のカシ
メ状態を示す裏面側からの斜視図である。 １……ガラス縁、２……ガラス、３……胴、４
……ムーブメント、５……文字板受リング、６…
…裏ブタ、７……カシメ突起部、８……ガラス防
水リング、９……パツキン、１０……接着面、１
２……文字板、１３……ガラス縁防水リング。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ガラス縁下底部に設けたカシメ突起部によりガ
   ラス縁を胴にカシメ固定してなる防水時計ケース
   のガラス部の係止構造において、ガラス縁の外周
   下面１ｂとそれに対向する胴内側上面部との間に
   パツキン９を挿入してガラス縁を胴にカシメ固定
   し、その場合カシメ固定後の状態において、パツ
   キンボツクスの体積に対しパツキン９の体積を大
   きく形成することによりガラス縁の前記外周下面
   １ｂとそれに対向する胴内側上面部との上下方向
   間にはスキマを設定しておき、前記ガラス縁上部
   内周壁１ａにプラスチツクからなる防水リング８
   を介してその径方向締代によりガラス２を固定す
   ることを特徴とする防水時計ケースのガラス部の
   係止構造。