JPS628926B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は変圧器、リアクトル等の静止誘導電器
に係り、特にそのタンクから発生する騒音を低減
する防音装置に関する。

最近、都市部の拡大により住宅地が変電所等に
近接して建設されるようになるにつれて、静止誘
導電器に対する低騒音化の要求が強くなつてき
た。静止誘導電器の騒音のほとんどは電器本体の
鉄心で発生する磁気ひずみ振動が、底板や絶縁油
を通してタンクから大気中へ放射するものであ
る。

騒音対策として従来から行なわれてきたもの
に、コンクリートや鉄板による防音対策がある。
これは、電器本体をコンクリートや鉄板の防音建
屋の中に入れて、遮音あるいは吸音する方法であ
る。しかしながら、この方法には機器の据付面積
の増大、工事期間の長期化及びコストの上昇など
さまざまな欠点があつた。

そこで、第１図ないし第３図に示すように、タ
ンク１の側板２上に溶接によつて固着された補強
ステー３の周縁に薄い鋼板からなる所定のばね定
数をもつ薄板４を設け、これで遮音板５を支持す
るとともに、薄板４と遮音板５の境界近傍に環状
の重量体６を配設する方法が近時本発明者らによ
つて提案されている（特開昭56−87306号）。な
お、タンク１内には、特に図示していないが、鉄
心と巻線からなる電器本体が収納され、かつ鉱油
７が充填される。また、タンク１の上部にはブツ
シング８が取付けられ、巻線と外部母線を接続し
ている。この方法によれば、簡単な方法で効率的
に騒音低減を達成でき、上記の欠点を解消でき
る。

しかし、この様な薄板４及び重量体６の防振作
用によつても補強ステー３から遮音板５に伝達さ
れる振動を十分満足できる程度に小さくすること
は困難で、各遮音板５には依然として、第４図ａ
〜ｄに破線で示す様な１次〜４次振動モードの各
振動が第５図に曲線Ａで示す如く伝達されて、こ
れにより各遮音板５から騒音が放射される。な
お、第４図ａ〜ｄにおいて、実線は静止時におけ
る遮音板５の状態を示す。また、タンク側板２か
ら出る騒音の大部分は遮音板５によつて遮音され
るが、振動状態にある補強ステー３及び薄板４部
分は外部に露出されているため、これらの部分か
らも騒音が放射され、より低騒音化を進める上で
の障害になつてきた。

本発明の目的は、上記した従来技術の欠点をな
くし、さらに低騒音化を図ることのできる静止誘
導電器を提供するにある。

この目的を達成するため、本発明は、隣接する
遮音板間を連結部材で互に連結することにより、
各遮音板に伝達された２次、４次などの非対称モ
ードの振動を抑制するようにしたことを特徴とす
る。

以下、本発明を図示の各実施例について詳細に
説明する。

第６図は本発明の第１の実施例を示す要部拡大
断面図である。この実施例では、隣接する各遮音
板５間が遮音板兼用の連結板９で互に連結される
とともに、この連結板９により補強ステー３およ
び薄板４部分が覆われている。なお、連結板９は
ボルト１０により遮音板５及び重量体６に着脱自
在に取付けられ、かつ、補強ステー３および薄板
４部分と接触しないように、外側へ出張つた形状
になつている。また、遮音板５及び連結板９とし
ては、複数枚の薄鋼板をプラスチツクで貼り合わ
せたり、あるいはスポツト溶接により接合した制
振鋼板や、減衰性の良好なプラスチツク材料から
なる制振板等を用いるのが望ましい。

この実施例によれば、隣接する各遮音板５間を
連結板９で互に連結したので、第４図ｂ，ｄに示
すような２次、４次などの上下非対称モードの振
動を抑制し、第５図に曲線Ｂで示す如くこれらの
振動成分を小さくして、その分だけ騒音を低減す
ることができる。また、この連結板９で補強ステ
ー３及び薄板４部分を覆つているため、これらの
部分から出る騒音をも遮蔽することができ、騒音
をさらに低減することができると共に、機械的強
度の弱い薄板４を保護することができる。なお、
この場合、連結板９は振動の小さい遮音板５、重
量体６に取付けられているため、連結板９に伝達
される振動も小さく、連結板９からの騒音は無視
し得る程度である。さらに、連結板９はボルト１
０で着脱自在に取付けられているため、電器の運
搬時にはこれを取外し、補強ステー３を外部に露
出してこの部分に吊金具（図示せず）を取付け、
これに吊具を引掛けて容易に運搬することもでき
る。

第７図は本発明の第２の実施例を示す。この実
施例では、重量体が６Ａ，６Ｂの２つに分割され
て、表面側の重量体６Ａが補強ステー３及び薄板
４の外側へ出張る様に、遮音板５の両面に取付け
られ、表面側の重量体６Ａに平坦な遮音板兼用の
連結板９がボルト１０により着脱自在に取付けら
れている。

したがつて、この実施例によれば、第１の実施
例と同様な作用効果が得られる他、さらに連結板
９に折曲げ加工を要しないため、連結板９として
折曲げ加工しにくい材料を用いることができる利
点もある。

第８図及び第９図は本発明の第３及び第４の実
施例を示すもので、遮音板兼用の連結板９の重量
体６Ａに対する取付け構造において第２の実施例
と異なつている。すなわち、第３の実施例では、
連結板９はその上下両側縁の複数箇所に折曲げ形
成された取付用舌片１１を、補強ステー３を挟ん
でその両側に位置する両重量体６Ａの外側に嵌込
むことによつて重量体６Ａに着脱自在に取付けら
れており、また第４の実施例では、両重量体６Ａ
の複数箇所に固着された押え金具１２間に連結板
９を挿入することによつて着脱自在に取付けられ
ている。したがつて、連結板９の着脱を極めて容
易に行うことができる。

また、第１０図は本発明の第５の実施例を示
す。この実施例では、遮音板５の表面に重量体６
が取付けられており、かつ重量体６に形成された
電球形の差込み穴１３に、遮音板兼用の連結板９
に設けられた電球形の突起部１４を差込むことに
よつて着脱自在に取付けられている。したがつ
て、この場合にも連結板９の着脱を極めて容易に
行うことができる。

さらに、第１１図は本発明の第６の実施例を示
す。この実施例では、重量体６が補強ステー３及
び薄板４の外側へ出張る様に配置されるととも
に、前記各実施例における遮音板５及び連結板
（遮音板兼用）９の代りに、複数の補強ステー３
にわたつて一体の連結板兼用の遮音板１５がボル
ト１０により重量体６に着脱自在に取付けられて
いる。したがつて、第１の実施例と同様な作用効
果が得られる他、さらに遮音板の構造を簡単化で
き、かつその組立作業が容易になる利点がある。

なお、前記各実施例では、上下の遮音板間を互
に連結する場合について図示説明したが、左右の
遮音板間についても同様に連結すればよいことは
明らかである。

また、連結板で補強ステー３及び薄板４を覆う
ことなく、単に各遮音板５間を複数の連結部材で
連結することもでき、この場合にも、各遮音板５
の非対称モードの振動を抑制して騒音を低減でき
る効果が得られる。

さらに弾性体としては、前述の如き薄板４に限
らず、ゴム、コイルバネ、金属ベローズ等を用い
ることも可能である。

以上説明した様に、本発明によれば、隣接する
遮音板間を連結部材で互に連結したので、各遮音
板に伝達された非対称モードの振動を抑制し、各
遮音板による騒音防止効果と併せて騒音を更に低
減することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の低騒音形変圧器の全体構成を示
す一部破断側面図、第２図は第１図の要部拡大断
面図、第３図は第１図の要部拡大側面図、第４図
ａ〜ｄは遮音板の各振動モードを示す説明図、第
５図は遮音板の振動特性図、第６図〜第１１図は
それぞれ異なる本発明の各実施例に係る変圧器の
要部断面図である。 ２……タンク側板、３……補強ステー、４……
薄板、５……遮音板、６，６Ａ，６Ｂ……重量
体、９……連結板、１５……連結板兼用遮音板。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 電器本体を収納するタンクの側板に、この側
   板から突出する複数個の構造材を設けるととも
   に、この構造材で弾性体を介して遮音板を支持
   し、かつこの遮音板の弾性体取付部近傍に重量体
   を設けた静止誘導電器において、隣接する遮音板
   間を連結部材で互に連結したことを特徴とする静
   止誘導電器。 ２ 特許請求の範囲第１項において、前記連結部
   材は、前記構造材及び弾性体を覆う遮音板からな
   ることを特徴とする静止誘導電器。 ３ 特許請求の範囲第２項において、前記構造材
   及び弾性体を覆う遮音板は、制振板からなること
   を特徴とする静止誘導電器。 ４ 特許請求の範囲第２項において、前記構造材
   及び弾性体を覆う遮音板は、少なくとも一部が着
   脱自在に取付けられていることを特徴とする静止
   誘導電器。