JPH0366805B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、変圧器、リアクトル等の静止誘導電
器に係り、特にそのタンクから発生する騒音を低
減することができる静止誘導電器に関する。

〔従来の技術〕

最近、都市部の拡大により住宅地が変電所等に
近接して建設されるようになるにつれて、静止誘
導電器に対する低騒音化の要求が強くなつてき
た。静止誘導電器の騒音のほとんどは電器本体の
鉄心で発生する振動が底板や変圧器油を通してタ
ンクから大気中へ放射されるものである。

騒音対策として従来から行われてきたものに、
コンクリートや鉄板による防音対策がある。これ
は、変圧器本体をコンクリートや鉄板の防音建屋
の中に入れて、遮音あるいは吸音するものであ
る。この方式では機器の据付面積の増大、工事期
間の長期化およびコストの上昇を生じるので、例
えば特開昭56−87306号公報に示されるように、
変圧器の補強ステーの周端に、ゴム等の弾性体を
介して遮音用鉄板を支持し、この遮音用鉄板に重
量体を取付け、この重量体の効果と弾性体のばね
特性とにより、騒音を低減するものである。

〔発明が解決しようとする課題〕

上述した変圧器で発生する騒音源となる振動
は、その伝搬経路によつて次の２つに分けられ
る。その１つは、変圧器の側板から発生した音波
によつて加振されて発生する空気伝搬振動であ
り、もう１つは変圧器におけるタンクの補強ステ
ーの振動によつて遮音板が加振されて発生する固
体伝達振動である。

上述した空気伝搬振動は、上述した従来技術の
ように遮音用鉄板を用いることにより容易に小さ
くすることができるが、上述の固体伝達振動の低
減に関しては、弾性体のばね定数を十分小さくし
なけでばならず、その自由長の制限や耐震上の問
題から実用性にとぼしく、またゴムなどの耐候
性、信頼性、雨水対策の問題があつた。

本発明の目的は、上記した従来技術の欠点をな
くし、耐候性に優れた防音装置を備える静止誘導
電器を提供することにある。

〔課題を解決するための手段〕

本発明の上記目的は、電器本体を収納するタン
クの側板に補強ステーを設け、この補強ステー
に、鋼板間に減衰材料を挟んで一体に接合してな
る制振鋼板を取付けた静止誘導電器において、前
記制振鋼板を構成する最外側の鋼板を、耐候性に
構成し、この最外側の鋼板を他の鋼板より延長し
て前記補助ステーに取付け、前記最外側の鋼板の
延長部の板厚を他の鋼板のそれよりも薄くするこ
とにより達成される。

〔作用〕

制振鋼板を構成する最外側の鋼板は、耐候性で
構成されているので、その発錆を防ぎ、板ばね効
果による防音特性を維持できると共に、最外側の
鋼板の延長部の板厚は、他の鋼板のそれよりも薄
く構成されているので、その部分による板ばね効
果が大きくなり、共振周波数以外の周波数領域で
の振動伝達特性が改善され、防音効果をさらに向
上させることができる。

〔実施例〕

以下本発明の実施例を図面を参照して説明す
る。

第１図は本発明の一実施例に係る変圧器の縦断
面図である。この図において、タンク１は側板２
およびこの側板２に固着される補強ステー３によ
つて構成されている。このタンク１の内部には、
鉄心４と巻線５とからなる電器本体が収納されて
いる。前述した補強ステー３間には、制振鋼板６
が溶接により固着されている。この制振鋼板６
は、第２図に示すように２板の鋼板７，８間に減
衰材料９を挟んで接着等により一体に接合されて
いるが、その外気側となる再外側の鋼板７は他方
の鋼板８よりも外方に延長されており、この延長
部７ａを補強ステー３に直接溶接されている。鋼
板７の延長部７ａは、その板厚が他の鋼板８のそ
れよりも薄く構成して、板ばね効果を大きくし、
共振周波数以外の周波数領域での振動伝達特性を
改善し、防音効果をさらに向上させる役割を果た
している。また、最外側の鋼板７はその板厚が１
乃至２mm程度のため、発錆による板ばね効果の低
減を押えるように耐候性の優れた構成となつてい
る。即ち、溶融亜鉛メツキされた鋼板、あるいは
ステンレス鋼板などで構成されている。

次に上述した本発明の一実施例の動作を説明す
る。

制振鋼板６は、耐候性に優れた鋼板７が表面、
即ち外気に面する側に位置すると共にその板厚の
薄い延長部７ａを補強ステー３に溶接して構成し
たので、側板２からの気中伝播、補強ステー３か
らの振動伝達による振動を抑制して防音効果を上
げることができる。特に、鋼板７の延長部７ａは
その板厚が他の鋼板８のそれよりも薄いので、板
ばね効果が大きく作用し、共振周波数以外の周波
数領域での振動伝達特性が改善され、防音効果を
さらに向上させることができる。また、最外側の
鋼板７は耐候性に優れているので、鋼板７の板ば
ね効果を維持し、防音効果の信頼性を高めること
ができる。

なお、上述の実施例においては、鋼板７の延長
部７ａの部分の板厚を薄くしているが、全体の板
厚を延長部７ａのそれと同一にしてもよい。ま
た、上述の実施例では、制振鋼板を２枚の鋼板に
より構成しているが、これらに限らず３枚以上で
構成してもよい。

〔発明の効果〕

以上説明したように、本発明によれば制振鋼板
を構成する最外側に位置する鋼板は、他方の鋼板
よりも外方に延長する延長部を備え、この延長部
は他方の鋼板の板厚より薄く形成されているの
で、これにより板ばね効果がさらに発揮され、防
音効果をさらに向上させることができると共に、
最外側の鋼板は耐候性に優れているので、最外側
の鋼板の板ばね効果を長期間維持することがで
き、その信頼性を向上させることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例の縦断面図、第２図
は第１図に示す実施例の制振鋼板の要部を拡大し
て示す断面図である。 １……タンク、２……側板、３……補強ステ
ー、６……制振鋼板、７，８……鋼板、７ａ……
延長部、９……減衰材料。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 電気本体を収納するタンクの側板に補強ステ
   ーを設け、この補強ステーに、鋼板間に減衰材料
   を挟んで一体に接合してなる制振鋼板を取付けた
   静止誘導電器において、前記制振鋼板を構成する
   最外側の鋼板を、耐候性に構成し、この最外側の
   鋼板を他の鋼板より延長して前記補助ステーに取
   付け、前記最外側の鋼板の延長部の板厚を他の鋼
   板のそれよりも薄くしたことを特徴とする静止誘
   導電器。