JPS628561Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は複数のフイルタを一つのケースに収容
した複合フイルタに関する。

従来より、第１図に示すように、高周波増巾器
１の入力側および出力側に夫々フイルタ２および
３を配置し、入力端子４に入力する信号を上記フ
イルタ２を通した後に高周波増巾器１で高周波増
巾し、フイルタ３を通して出力端子５に出力する
高周波増巾回路においては、シールド効果をもた
せるために、上記フイルタ２および３は、第２図
に示すように夫々別個の金属ケース６，７に収容
したものを使用していた。

しかしながら、上記のように、２つのフイルタ
２および３を夫々別個の金属ケース６および７に
収容したものを使用すると、フイルタ２および３
のコストが高くなり、高周波増巾回路のコストも
高くなる欠点があつた。

本考案は従来のフイルタにおける上記欠点を解
消すべくなされたものであつて、大略Ｓ字状に折
曲したケースに形成された凹部に夫々フイルタを
圧入し、このフイルタは、少なくとも二つの貫通
孔を一定間隔をおいて並んだ状態で誘電体ブロツ
クに設け、この貫通孔内面に導電膜を設けるとと
もに誘電体ブロツクの少なくとも四側面に導電膜
を設け、貫通孔内面に設けた導電膜と、誘電体ブ
ロツクの少なくとも四側面に設けた導電膜と、介
在する誘電体とで共振ユニツトを構成し、少なく
とも隣接する一対の共振ユニツト間の誘電体ブロ
ツクに空洞を設け、さらに、外部回路と共振ユニ
ツトとを静電結合させたことを特徴とする分布定
数形フイルタであつて、このような、複数のフイ
ルタを一つのケースに収容することにより、取り
あつかいを容易にするとともに、コストダウンを
図つた複合フイルタを提供することを目的として
いる。

以下、添付図面を参照して本考案の実施例を説
明する。

第３図において、１１は高周波増巾器、１２は
該高周波増巾器１１の入力側に配置される分布定
数形フイルタ、１３は上記高周波増巾器１１の出
力側に配置される分布定数形フイルタ、１４はこ
れら２つの分布定数形フイルタ１２，１３を収容
するケースである。

上記ケース１４はアルミニウム、ジユラルミ
ン、真鍮もしくは銅等からなる金属板を、第４図
に示すように、大略「Ｓ」字状に折り曲げ、中央
の隔壁１５の一側に該隔壁１５と保持板１６とで
分布定数形フイルタ１２を保持する凹部１７を形
成する一方、隔壁１５の他側に該隔壁１５と保持
板１８とで後述するいま一つの分布定数フイルタ
１３を保持する凹部１９を形成している。

上記保持板１６は、第５図に示すように、上記
隔壁１５に対してほヾ直角に折曲された支持部２
０に対して90度よりも小さな角度をなすように折
曲し、上記保持板１６と隔壁１５とが形成する凹
部１７に分布定数形フイルタ１２を圧入すること
により、該分布定数形フイルタ１２が上記保持板
１６のバネ力で、上記凹部１７内に保持されるよ
うにしている。

上記保持板１６には必要に応じ孔１６ａを設
け、該孔１６ａから半田（図示せず。）を流し込
んで、分布定数形フイルタ１２の外周面に形成さ
れた後述の導電膜と上記保持板１６とを相互に半
田付けするようにしている。

いま一つの保持板１８も上記と同様に、上記隔
壁１５に対してほヾ直角に折曲された支持部２１
に対して90度よりも小さな角度をなすように折曲
し、上記保持板１８と隔壁１５とが形成する凹部
１９に分布定数形フイルタ１３を圧入することに
より、該分布定数形フイルタ１３が上記保持板１
８のバネ力で、上記凹部１９内に保持されるよう
にしている。

上記保持板１８にも必要に応じ孔１８ａを設け
て半田を流し込み、分布定数形フイルタ１３の外
周面の導電膜と上記保持板１８とを相互に半田付
けするようにしている。なお、分布定数フイルタ
１２，１３ともケース１４と接着剤で接着しても
よい。

上記隔壁１５は、第３図に示すように、ケース
１４に分布定数形フイルタ１２，１３を収容した
とき、これら分布定数形フイルタ１２，１３を相
互にシールドするシールド板としても機能する
が、上記分布定数形フイルタ１２と１３との間の
シールドを確実にするため、上記隔壁１５の上端
部１５ａをケース１５の上部から突出させる。保
持板１６および１８の上部両端からそれぞれ突設
した突片２６，２７および２８，２９は取付基板
（図示せず）に設けた孔に挿貫されはんだづけさ
れて電気的にアースされるとともに機械的に固定
されるものである。隔壁１５の下部から上端部１
５ａの上部までの長さと、保持板１６および１８
の下部から突片２６，２７および２８，２９の上
部までの長さは等しい値ｌにしてある。

上記分布定数形フイルタ１２，１３は第６図の
ような構成を有する。

第６図において、３０は酸化チタン系のセラミ
ツク誘電体からなる直方体の誘電体ブロツク、３
１，３２は貫通孔で、これら貫通孔３１，３２は
平行に並んだ状態で誘電体ブロツク３０に設けら
れている。３３，３４はそれぞれ貫通孔３１，３
２の内面に設けた導電膜、３５は、誘電体ブロツ
ク３０の少なくとも四側面に設けた導電膜であ
る。３６は誘電体ブロツク３０の底面に設けた導
電膜であつて、導電膜３３，３４の一端側と導電
膜３５を短絡して1/4波長共振を生じさせるため
のものである。

３７は誘電体ブロツク３０の導電膜３５，３６
の非形成面側から貫通孔３１に圧入した誘電体ユ
ニツトである。

上記誘電体ユニツト３７は例えば0.5mmφの導
線２２，２５の一部にプラスチツクスあるいは酸
化チタン系の誘電体材料等を被着して柱状に成形
し、その軸心部を上記導線２２，２５が貫通する
ようにしたものであつて、上記誘電体ユニツト３
７は、導線２２，２５と誘電体ブロツク３０の貫
通孔３１の内面の導電膜３３と静電結合し、入力
結合用コンデンサを形成する。

４０は誘電体ブロツク３０のいま一つの貫通孔
３２に圧入した誘電体ユニツトであつて、該誘電
体ユニツト４０は上記誘電体ユニツト３７と同様
の構成を有し、その導線２３，２４と上記貫通孔
３２の内面の導電膜３４と静電結合し、出力結合
用コンデンサを形成する。

いずれの誘電体ユニツト３７，４０共、一方端
には、誘電体ブロツク３０の孔３１，３２への圧
入を容易にするため、テーパー部を設ける一方、
他方端には誘電体ブロツク３０の上記孔３１，３
２の導電膜３６の非形成側の開口周縁に当て止め
されるフランジ部を設けている。

誘電体３０の誘電率によつて短縮された導電膜
３３あるいは３４の電気長で共振周波数が決定さ
れる。電気長は、1/4波長でもよいし1/2波長でも
よい。1/2波長のときは、導電膜３６は不要であ
る。なお、各図の導電膜、電極は理解のために強
調された膜厚で描いている。いずれにしても、こ
の実施例では二つの共振ユニツトが構成されてい
る。

また、第６図において、４１は空洞であつて、
この空洞の寸法および形状で上記の二つの共振ユ
ニツトの誘導結合の度合が変化する。

上記の分布定数形フイルタ１２，１３の等価回
路を示せば、第７図に示すようになる。

第７図において、５１は入力端子、５２は出力
端子、５３は入力結合静電容量、５４は出力結合
静電容量、５５，５６は1/4波長共振回路を集中
定数回路として示したものである。したがつて第
７図のフイルタは、1/4波長共振回路同士は誘導
結合され、外部回路と1/4波長共振回路とが静電
容量結合されたフイルタである。

なお、第３図の実施例において、分布定数形フ
イルタ１２，１３に代えて、ケース１４には他の
フイルタを収容することができることは言うまで
もない。たとえば各誘電体ユニツト３７，４０に
代えて導電膜３３，３４と外部回路とを通常のコ
ンデンサ、たとえば柱状誘電体の対向主平面に電
極を設けたものを用いて接続してもよい。フイル
タの段数も任意である。

以上、詳述したことからも明らかなように、本
考案は、Ｓ字状に形成した一つのケースに形成さ
れた複数の凹部に夫々フイルタを圧入し、このフ
イルタは、少なくとも二つの貫通孔を一定間隔を
おいて並んだ状態で誘電体ブロツクに設け、この
貫通孔内面に導電膜を設けるとともに誘電体ブロ
ツクの少なくとも四側面に導電膜を設け、貫通孔
内面に設けた導電膜と、誘電体ブロツクの少なく
とも四側面に設けた導電膜と、介在する誘電体と
で共振ユニツトを構成し、少なくとも隣接する一
対の共振ユニツト間の誘電体ブロツクに空洞を設
け、さらに、外部回路と共振ユニツトとを静電結
合させたことを特徴とする分布定数形フイルタで
あるから、複数のフイルタが一つのケースに収容
され、しかもこれらフイルタはケースの一部が形
成する隔壁でシールドされ、シールド板の不要な
コンパクトでかつ取り扱いが容易な複合フイルタ
を得ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は一般的な高周波増巾回路のブロツク
図、第２図は従来のケース構造によるフイルタを
使用した高周波増巾回路の説明図、第３図は本考
案に係るケース構造の説明図、第４図は第３図の
ケースの斜視図、第５図は第３図のケースの平面
図、第６図は分布定数形フイルタの縦断面図、第
７図は第６図の分布定数形フイルタの等価回路図
である。 １１……高周波増巾器、１２，１３……分布定
数形フイルタ、１４……ケース、１５……隔壁、
１６，１８……保持板、１６ａ，１８ａ……孔。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 金属板を大略Ｓ字状に折り曲げてなる波状のケ
   ースに形成された複数の凹部に夫々直方体状のフ
   イルタを圧入し、このフイルタは、少なくとも二
   つの貫通孔を一定間隔をおいて並んだ状態で誘電
   体ブロツクに設け、この貫通孔内面に導電膜を設
   けるとともに誘電体ブロツクの少なくとも四側面
   に導電膜を設け、貫通孔内面に設けた導電膜と、
   誘電体ブロツクの少なくとも四側面に設けた導電
   膜と、介在する誘電体とで共振ユニツトを構成
   し、少なくとも隣接する一対の共振ユニツト間の
   誘電体ブロツクに空洞を設け、さらに、外部回路
   と共振ユニツトとを静電結合させたことを特徴と
   する分布定数形フイルタであることを特徴とする
   複合フイルタ。