JPS6262327B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

本発明は、液晶分子をあらかじめ垂直配向状態
としておき、電界、磁界、熱等の強度を変化させ
ることにより生ずる液晶分子の配向変形を利用す
る液晶表示装置に係り、特に液晶表示装置の配向
膜に関する。 液晶表示装置は、基本的には２枚のガラスまた
はプラスチツクス基板が一定間隔をおいて平行に
配置され、また、これら２枚の基板の対向する面
上にはそれぞれ透明導電膜が選択的に配置されて
いて、しかもこれら導電膜および基板面はいずれ
も一定方向に液晶を配向させる配向膜で完全に被
覆されており、これらの配向膜間には液晶が充填
されていて、上記基板の全周は液晶がもれないよ
うに密封されており、また上記基板の配向膜の形
成されていない側の面上には時として偏光板が配
置された構造になつている。 液晶分子をあらかじめ垂直配向させる配向膜を
利用した液晶表示装置の表示方式には、 (1) 動的散乱型表示方式 (2) 誘起複屈折電界効果型表示方式 (3) 相転移移効果型表示方式 (4) ゲスト・ホスト効果型表示方式 などがある。これらの表示方式は(イ)白黒表示だけ
でなくカラー表示を行なう、(ロ)素子構成を簡素化
して価格を低減するなどの要望に対処できるた
め、従来広く実用されてきた水平配向膜利用のね
じれネマテイツク効果型表示方式に代り得るもの
として可能性を有している。 液晶分子を垂直配向させる配向膜は、従来 (a) 希土類金属酸化物などの蒸着膜 (b) 含ケイ素金属化合物の塗布・焼成膜 (c) 長鎖アルキル基または長鎖フロロアルキル基
含有界面活性剤 (d) 長鎖アルキル基または長鎖フロロアルキル基
含有カルボン酸クロム錯化合物 (e) 長鎖アルキルまたは長鎖フロロアルキル基含
有シラン化合物 以上５種類のものが使用されている。 しかし、上記の配向膜はいずれも以下に述べる
欠点を有していた。 (1) (a)と(b)の金属酸化物系膜材は、使用する液晶
によつて配向能に差があり、液晶によつて全く
配向しない。また、膜表面が活性であるため、
セル組立時に有機物系ガスなどで汚染された
り、ゲスト・ホスト素子では液晶中に添加した
二色性色素を選択的に吸着せしめたりして配向
不良を生ずる傾向があつた。さらに、(a)の金属
酸化物系蒸着膜は高価な設備と多くの作業工程
を要し、液晶表示装置の価格を高める。 (2) (c)と(d)の長鎖アルキル基または長鎖フロロア
ルキル基含有の界面活性剤およびクロム錯化合
物は、膜材の耐熱性が劣るため、セル組立時の
加熱工程で配向性が失なわれる。また肉厚の被
膜が得難く、しかも導電性物質を含有したり、
遊離し易いため通電寿命特性の優れた液晶表示
装置が作れない問題がある。 (3) (e)の長鎖アルキル基または長鎖フロロアルキ
ル基含有シラン化合物は、末だ塗布性に問題を
有し、膜面がなめらかに塗布できず配向不良を
生じたり、また肉厚の被膜が得難く通電寿命特
性の優れた液晶表示装置が作れない問題があつ
た。さらに、この化合物は屈折率が1.6以下で
あるため、基板上に形成された透明導電膜（酸
化インジウム系材料の屈折率：約2.0）パター
ンが浮き出て見える現象を低減および防止する
ことができなかつた。 本発明の目的は、上記した従来技術の欠点をな
くし、(a)塗布性が優れ、(b)セル組立時の加熱工程
で配向能が低下せず、(c)各種の液晶に対し優れた
配向性を有する配向膜を提供するにある。 そして、上記目的は、下記のグループＡに示さ
れた一般式(1)〜(4)の化合物のうちから選ばれた少
なく共１種類の化合物と、下記のＢに示された一
般式(5)の化合物のうちから選ばれた少なく共１種
類の化合物の混合溶液を基板に塗布、加熱硬化し
て配向膜とすることにより得られる。 グループＡ： ここで、 ｌ＝１〜10 ｍ＝４〜24 ｎ＝10〜26 Ｒ＝炭素数10以下のアルキル基 Ｂ： ここで、 Me＝Ge、Ti、Zr Ｒ＝炭素数10以下のアルキル基 ｋ＝１〜30 本発明で使用する上記のグループＡに示された
一般式(1)〜(4)の化合物のうちから選ばれた少なく
共１種類の化合物と、上記Ｂに示された一般式(5)
の化合物のうちから選ばれた少なくとも１種類の
化合物の配合割合はMe／Si＝0.1〜８（原子比）
の範囲が望ましい。Me／Si＝0.1以下になると均
一な膜が得難く、膜質が極端に軟質となり配向不
良を生ずる。また、Me／Si＝８以上になると液
晶に対する垂直配向性が損われる。 上記本発明に係る組成物の溶剤は、上記グルー
プＡに示された一般式(1)〜(4)の化合物と、上記Ｂ
に示された一般式(5)の化合物を同時に溶解するな
らば特に限定はないが、例えば、トルエン、キシ
レン、テトラリンなどの芳香族系溶剤ｎ−デシル
アルコール、トリデシルアルコールなどのアルコ
ール類、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、
ジエチレングリコールブチルエーテル、ｎ−ブチ
ルセロソルブアセテート、ｎ−ブチルカルビトー
ルアセテート、ジエチレングリコールジエチルエ
ーテルなどの多価アルコール誘導体が溶解性と塗
布性が優れ有用である。 前記のグループＡに示された一般式(1)〜(4)の化
合物のうちから選ばれた少なく共１種類の化合物
と、前記Ｂに示された一般式(5)の化合物のうちか
ら選ばれた少なくとも１種類の化合物の混合物の
溶剤中における濃度を0.1〜50％にすると、この
溶液は、かけ塗り法、浸漬法、スピンナ塗布法、
スプレー法、印刷法などにより塗布することがで
きる。 塗布後、100〜250℃、好ましくは150〜200℃で
加熱処理を行ない、溶剤の蒸発と膜材の架橋反応
を行なう。100℃以下では溶剤の蒸発と膜材の架
橋反応が十分に行なわれず、250℃以上では長鎖
アルキル基または長鎖フロロアルキル基の熱分解
が生じ、液晶配向性が低下する。 本発明に係る配向膜の厚さとしては、0.005〜
１μｍが良く、特に0.01〜0.1μｍが好ましい。 本発明の配向膜と組み合わせて使用できる液晶
は、特に限定するものではないが、一般に公知の
例えば、シツフ塩基型液晶、マゾ型液晶、マゾキ
シ型液晶、ビフエニル型液晶、エステル型液晶、
ターフエニル型液晶、フエニルシクロヘキサン型
液晶、フエニルシクロヘキサンエステル型液晶、
フエニルピリミジン型液晶、などのネマチツク液
晶、上記のネマチツク液晶にコレステロール誘導
体（0.05〜5wt％添加）、カイラルネマチツク液晶
などを添加したコレステリツク液晶、上記ネマチ
ツク液晶の混合物、前記コレステリツク液晶など
である。 また、本発明の配向膜と組み合わせで使用でき
るセル形成用の封着剤、封止剤は、230℃2h以内
で硬化が完了するエポキシ樹脂などの有機系樹脂
がある。 透明電極は、酸化スズ、酸化インジウムを主成
分とするものであり、これらは真空蒸着法などに
よりガラスまたはプラスチツク基板上に形成され
る。 次に本発明を実施例により詳述する。 実施例 １ 第１図に示すようにガラス基板１上にスパツク
リング蒸着により膜厚300ÅのSiO₂膜２を形成し
た。次いで、同様の方法で蒸着した膜厚500Åの
In₂O₃＋SnO₂（20：１）膜をホツトエツチングし
透明導電膜３を選択的に形成した。ついで、各種
アルキルアルコキシシラン（グループＡの化合
物）とテトラｎ−ブチルチタネートを第１表に示
すような割合で混合し、この混合

【表】 物をｎ−ブチルセロソルブに溶解し、濃度2wt％
の溶液を作成した。 この溶液を上記の透明導電膜３が完全に被覆さ
れるようにスピンナ塗布を行なつた。そしてこの
塗膜を100℃1h＋200℃1h加熱し配向膜４を形成
した。ついで、８μｍの間隔を維持して配向膜面
を平行に対向させ、液晶注入口（図示せず）を除
いてエポキシ樹脂で180℃1h加熱して封着部５を
形成した。 その後、液晶注入口（図示せず）から液晶６を
注入した。注入した涎晶は次のとおりである。 (a) ビフエニル型液晶の混合物

【式】

【式】

(b) エステル型液晶の混合物 (c) フエニルシクロヘキサン型液晶の混合物

【式】

【式】

【式】

(d) 上記(c)の液晶にカイラルネマチツク液晶とし
て を0.95wt％添加してコレステリツク液晶とした
もの。 (e) 上記(d)の液晶に２色性色素として を2wt％添加したもの。 液晶注入口の封止をエポキシ樹脂で行なつた
後、このセル内の液晶の配向性を評価した。 上記(a)〜(c)の液晶は配向膜面に対し垂直に配向
するとホメオトロピツクな状態となり、また上記
(d)、(e)の液晶はフオーカルコニツク状態となる。 第１表に示すように、長鎖アルキル基の炭素数
が12以上で、しかもこれら化合物とテトラｎ−ブ
チルチタネートの配合割合がTi／Si＝0.1〜８
（原子比）のとき、良好な垂直配向性が得られ
た。 上記(e)の液晶を封入し、垂直配向性が良好な液
晶表示装置は相転移ゲストホスト型表示方式によ
つて優れたカラー表示ができた。 なお、第２図に示すようにSiO₂膜２を設けた
液晶表示装置、第３図に示すようにSiO₂膜を除
いた液晶表示装置においても前述第１図の場合と
同様の結果を得た。 実施例 ２ 各種フロロアルキルアルコキシシランおよびフ
ロロアルキルアルキルアルコキシシラン（グープ
Ａの化合物）とテトラｎ−ブチルチタネートを第
２表のような割合で混合し、この混合物をメチル
イソブチルケトンに溶解し、濃度2wt％の溶液を
作成した。この溶液を用い実施例１で前述した手
順で液晶表示装置を作成した。第２表に示すよう
に、長鎖フロロアルキル基の炭素数が６以上で、
しかもこれら化合物とテトラｎ−ブチルチタネー
トの配合割合がTi／Si＝0.1〜８のとき良好な垂
直配向性が得られた。

【表】 実施例 ３ 第３表に示すように(イ)と(ロ)の化合物を等モル混
合したものを用意した。これに等モル量のテトラ
−ｎ−ブチルチタネートを混合し、この混合物を
メチルイソブチルケトンに溶解し、濃度2wt％の
溶液を作成した。この溶液を用い実施例１で前述
した手順で液晶表示装置を作成した。これらの液
晶表示装置における液晶配向性は、第３表に示す
ように、良好な垂直配向であつた。

【表】 実施例 ４ オクタデシルトリエトキシシランとSi、Ge、
Zr、Ti（これらを総称してMeとする）の各種ア
ルコキシ化合物を第４表のような割合で混合しこ
の混合物をｎ−ブチルセロソルブとｎ−デシルア
ルコールの等重量混合溶剤に溶解し、濃度2wt％
の溶液を作成した。 この溶液を用い実施例１で前述した手順で液晶
表示装置を作成した。 第４表に示すように、Si（OC₂H₅）₄を用いた場
合（比較例）のときは十分な垂直配向性が得られ
なかつたが、Ge、Zr、Tiのアルコキシ化合物お
よびそれらのオリゴマーを配合した組成では配合
割合がMe／Si＝0.1〜８（原子比）のとき、良好
な垂直配向性が得られた。

【表】 実施例 ５ ヘキサデシルトリメトキシシランとｉ−プロピ
ルチタネートを等モル混合し、これをｎ−ブチル
セロソルブに溶解し、濃度２、５、10、20wt％
の溶液を作成した。 この溶液を用い実施例１で前述した手順で液晶
表示装置を作成した。 各配向膜の膜厚は濃度2wt溶液を使つたとき
150Å、5wt％で300Å、10wt％で500Å、20wt％
で1400Åであつた。これらの配向膜を用いた液晶
表示装置においては、液晶が十分に垂直配向とな
つた。 実施例 ６ 液晶表示装置に組み立てたとき、透明導電膜の
パターンが浮き出て見える現象は第１表の組成に
おいてTi／Si＝２（原子比）以上、膜厚500Å以
上のとき低減した。 実施例 ７ 実施例１〜６で示した本発明に係る液晶表示装
置は高温放置試験70℃1000h、高温高温放置試験
70℃、95％RH250h、通電試験（10V DC100hお
よび12V32Hz1000h）終了後も正常な動作特性を
示した。 本発明によれば、配向性と表示性能が優れ、寿
命特性が良い実用レベルの垂直配向膜が得られる
ため、カラー表示など新機能を有する液晶表示装
置の製作が可能となる。

【図面の簡単な説明】

第１図、第２図、第３図は、液晶表示素子の構
造を説明する断面図である。 １……ガラス基板、２……SiO₂膜、３……透
明導電膜、４……配向膜、５……封着部、６……
液晶。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 電極の形成された一対の基板間に挾持された
   液晶層を有する液晶表示装置において、前記一対
   の基板の対向面上に、下記のグループＡに示され
   た一般式(1)〜(4)の化合物のうちから選ばれた少な
   く共１種類の化合物と、下記のＢに示された一般
   式(5)の化合物のうちから選ばれた少なく共１種類
   の化合物の混合溶液を塗布、加熱硬化した配向膜
   が形成されていることを特徴とする液晶表示装
   置。 グループＡ： ここで、 ｌ＝１〜10 ｍ＝４〜24 ｎ＝10〜26 Ｒ＝炭素数10以下のアルキル基 Ｂ： ここで、 Me＝Ge、Ti、Zr Ｒ＝炭素数10以下のアルキル基 ｋ＝１〜30 ２ 上記のグループＡに示された一般式(1)〜(4)の
   化合物のうちから選ばれた少なく共１種類の化合
   物と、上記Ｂに示された一般式(5)の化合物のうち
   から選ばれた少なくとも１種類の化合物の配合割
   合がMe／Si＝0.1〜８（原子比）の範囲にあるこ
   とを特長とする特許請求の範囲第１項記載の液晶
   表示装置。