JPS6261126B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、ネマチツク又はコレステリツク液晶
分子を予め、ホモジニアス（水平）配向状態とし
ておき、電界、磁界、熱等の強度を変化させるこ
とにより生じる液晶分子の配向変形を利用する液
晶表示装置において、初期のホモジニアス配向を
良質にする手段を施したものに関するものであ
る。 代表的液晶表示装置方式としては、ツイスト・
ネマチツク電界効果型表示方式をはじめ、誘起複
屈折電界効果型表示方式、動的散乱型表示方式、
コレステリツク・ネマチツク転移型二色表示方
式、配向振動型表示方式等があるが、本発明に用
いるのは、これらの表示方式に限定せず、初期に
液晶化合物を電極基板に平行に配向させ、かつ施
光性を付与することを必要とするすべての方式に
有効である。 従来、液晶の初期配向の均一性を得るための手
段としては、電極基板を布等で一方向に摩擦する
方法や各種表面処理剤、有機高分子塗膜をラビン
グ処理することにより液晶物質を配向せしめる方
法が知られている。しかしながら既知の電極基
板、表面処理剤や有機高分子塗膜はラビング効果
の耐熱性が低いため、素子組立時の加熱や封着封
止剤の影響により配向性が不均一になる等の欠点
を有するものである。 また酸化ケイ素等の斜方蒸着膜により液晶物質
を配向せしめる方法が知られている。しかしなが
ら、液晶物質の種類によつて配向性に差があり、
上述のような配向方法では全く配向しないような
液晶物質もあることが実験的に確認されている。
これは液晶の温度特性あるいは電気光学特性等を
改善するために、各種の液晶を混合して使用する
場合に大きな障害になるなどの欠点を有するもの
がほとんどである。 またラビング効果の耐熱性のよい配向膜として
ポリイミド等の有機高分子塗膜に限られている。
しかしながら、これらの有機高分子塗膜は黄かつ
色に着色するため、表示品質の面で問題があつ
た。 液晶表示装置は、基本的には配向処理された１
対の電極被膜を有する透明電極基板の間に、液晶
組成物を挾持せしめ、該基板の周縁部を適当な手
段でシールすることによつて得られる。 液晶表示装置としては第１に初期配向（電界を
印加しないときの配向）の均一性が重要であり、
第２にこの配向の維持及び液晶物質の変質防止の
ための密閉性、耐水性のよいシール構造を有する
ことが重要である。一般に液晶物質は水分により
多少の変質を免れず、併せて配向処理自体も水分
の影響を受け、消費電流が増加し、また配向破壊
が起こる。 一方、シール構造に関しては、シール剤として
有機系シール剤を用いるものと、無機系シール剤
を用いるものが知られている。このうち有機系シ
ール剤は、耐水性及び気密性が悪く、上記のよう
な信頼性の高い液晶表示装置を得るには困難があ
る。この点を、無機系シール剤が好ましい訳であ
るが、一般に電子部品関係で広く用いられる無機
系シール剤である低融点ガラスフリツトは溶融封
着温度が380℃以上であり、このシール方法を可
能にするためにはこのような高温に耐え得るよう
な配向膜および配向処理が必要になる。耐熱性の
ある、すなわち、信頼性の高い、無機系シール可
能な配向法としてはポリイミド膜が知られている
が、ポリイミド膜が高温でシール剤と接すると発
泡分解、変質を起こし配向が不均一になつたりす
ることがある。 本発明は、上記した従来技術の欠点をなくし、
如何様な液晶物質であつても、液晶の分子を基板
に対し、平行かつ基板面の特性方向に配向させ、
かつこの液晶配向規制のための耐熱性が優れ、液
晶素子組立に制限を与えないことによつて、経済
的に安定で、長寿命かつ高特性で、しかも無色で
高表示品質の液晶表示装置を提供するにある。即
ち、すぐれた表示性能と信頼性を兼ね備えた液晶
表示装置を得るためには、素子の構成及び材料の
選択を総合的に検討する必要があるとの認識を持
ち研究を進めた結果、本発明に到達したものであ
る。 本発明の液晶表示装置は、導電膜を設けた偏光
板の該導電膜を有する面に配向処理を施した下記
の一般式の構造を有するポリジフエニルシルセス
キオキサン、またはポリナフチルシルセスキオキ
サンからなることを特徴としている。 但し、一般式は の繰り返し単位からなり一般式中R₁〜R₄が全
て、ジフエニル基からなるか、または一般式中
R₁〜R₄が全て、ナフチル基からなる。 １対の配向制御膜を有する透明基板の間に、液
晶組成物を挾持せしめ、該基板の周縁部を適当な
手段で有機系シール剤あるいは無機系シール剤で
シールすることによつて得られる。 本発明の液晶表示装置は次のような優れた特性
をもつものである。 (イ) 均一な初期配向を与えるはしご状ポリシロキ
サン被膜を設けたため視角、コントラスト、応
答性などの表示特性にすぐれている。 (ロ) ラビング処理したハシゴ状ポリシロキサン被
膜が耐熱性を有するため、信頼性の高い無機系
シール剤でシールが適用可能であり、得られた
シール部は気密性、耐水性にすぐれ、長寿命で
信頼性ある液晶表示装置である。 本発明に用いる１対の基板は、絶縁性を有し、
かつ透明であること、さらに無機シール時の高温
に耐えることが要求される。このための材料とし
ては通常ガラスが用いられる。 本発明に用いる透明電極は上記の基板上に、た
とえば酸化スズ、酸化インジウムなどを主成分と
する透明導電性被膜を真空蒸着法などにより設け
られる。 次に無機シール剤の基板への接着時に電極被膜
の断線を防ぐため、電極基板の電極被膜を含む面
の全面あるいは少なくともシール部に無機質電極
保護層を蒸着法、塗布法等の方法で設けてもよ
い。この無機質電極保護層は、無機シール時の高
温に耐え、基板のガラスとの接着性がよく、さら
にシール剤であるガラスフリツトのガラス成分が
拡散可能な絶縁性の透明な無機材料からなる。例
えばSiO₂，SiO，LiO―SiO，Al₂O₃などが挙げら
れる。この電極保護層の厚さは0.005〜10μ、特
に0.05〜３μが好ましい。 本発明において基板上にはしご状ポリシロキサ
ン被膜を設けるためには、これらはしご状ポリシ
ロキサンを溶媒に溶解し、基板上に塗布した後、
加熱処理する。例えばはしご状ポリシロキサンを
ベンゼン、シクロヘキサノン、モノクロロベンゼ
ン、モノブロモベンゼン、ｏ―ジクロロベンゼ
ン、ｍ―ジクロロベンゼン、トリクロロエチレ
ン、トリクロロエタン、1.1.1.2―テトラクロロエ
タン、Ｎ―メチル―２―ピロリドン、ジメチルア
セトアミド、ジメチルホルムアミド等の溶剤に溶
解して0.05〜20％溶液とし、該溶液を刷毛塗り
法、浸漬法、回転塗布法、スプレー法、印刷法等
により塗布することができる。 塗布後、100〜350℃好ましくは150〜300℃加熱
処理を行ない乾燥させて基板上に設ける。 はしご状ポリシロキサン被膜の厚さとしては、
0.01〜10μがよく、特に0.5〜３μが好ましい。 本発明に用いる無機系シール剤としては、非結
晶性及び結晶性の低融点ガラスフリツトが用いら
れる。低融点ガラスフリツトとしては500℃以
下、特に350〜470℃の低温域で加熱シール可能な
ものが好ましい。また結晶性ガラスフリツトを用
いる時は、被接着体と、ほぼ同程度の熱膨張係数
を有するものが好ましい。ガラスフリツトは通常
の有機バインダーに分散し、スクリーン印刷法等
で、電極被膜上又は電極被膜保護層上のシール部
に設けられる。有機バインダーはエチルセルロー
ズ、ニトロセルローズ等をブチルカルビトール等
の溶剤に溶かして調整される。フリツト10重量部
に対して有機バインダーを0.1〜10重量部混合し
て用いる。 上記のようにして、無機質電極保護層、配向処
理したはしご状ポリシロキサン被膜及び無機系シ
ール剤層を設けた一対の電極基板を、これらの層
を内側にし、かつその配向処理方向が互いに交差
するように対向せしめて350〜500℃、好ましくは
400〜470℃で封着する。 液晶表示装置を製造する工程に関しては、上記
の如く説明で述べたが、電極基板をはじめ、これ
ら各工程を結合する順序には任意性があり、それ
に応じて自由に工夫をすることにより、より好ま
しい液晶表示装置が得られる。 このようにして構成された液晶表示装置には、
その電極基板あるいはシール部の任意の個所に、
上記製造の任意の段階で、液晶物質の封入口を設
けておく。 本発明に用いる液晶組成物としては、シツフ塩
基型液晶、例えば一般式 アゾキシ型液晶例えば一般式 ビフエニル型液晶例えば一般式 エステル型液晶例えば アゾ型液晶 例えば タフエニル型 例えば フエニルシクロヘキサン型液晶 例えば フエニルピリジジン型液晶 コレステロール型液晶等やそれらの混合液晶、さ
らに上記のネマチツク液晶組成物には該ネマチツ
ク液晶組成物に対して0.01〜5wt％のコレステロ
ール化合物、施光性物質、光学活性な置換基をも
つビフエニル誘導体、フエニルベンゾエート等の
光学活性化合物を添加することにより、液晶の初
期配向の均一性を向上させることができる。 液晶物質の封入口封止剤としては、有機系封止
剤と無機系封止剤とがあるが、いずれでもよい
が、とくに無機系封止剤のハンダ付シールが好ま
しい。 本発明の表晶表示装置は、優れた配向性と、信
頼性を有し、直線偏光板、円偏光板などの偏光子
あるいは反射板などと組み合わせることにより
種々の装置に有効に使用でき、たとえば、電子式
卓上計算機、腕時計、置時計、計数表示板などの
表示装置に用いられる。 以下、本発明を実施例により説明する。 実施例 １ ポリジフエニルシルセスキオキサンをベンゼン
等の溶剤に溶かし、この溶液を用い、例えば酸化
インジウム等の透明電極が選択的に被覆されたガ
ラス基板（ネサガラス）にスピンナー等により塗
布する。これを約150゜〜250℃で１時間加熱処理
する。この塗膜は無色透明であり、これをガーゼ
布でラビング処理することにより、表に示した各
種の液晶に対し極めて良好なホモジニアス配向を
得ることができた。その結果を表の実施例１に示
した。 実施例 ２ 実施例２の配向膜として、ポリナフチルシルセ
スキオキサンを用い、実施例１と同様な条件で処
理し、液晶を封入した結果表１の各種の液晶に対
し、表１の実施例２に示すように良好な平行配向
を示した。 比較例 １〜３ 比較例１〜３の配向膜としてそれぞれポリアミ
ド酸中間体を加熱処理して得られたポリイミド、
ポリフエニル・メチルシロキサン、フエニルトリ
エトキシシランを用い、実施例１と同様な条件で
処理し、表の各種液晶封入した結果を表の比較例
１〜３に示した。配向膜の色、配向性に問題があ
つた。 【表】

【図面の簡単な説明】

図は液晶表示セルの断面図である。 １……ガラス基板、２……透明導電膜、３……
配向制御膜、４……液晶、５……封着剤、６……
偏光板。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 配向制御膜が下記の一般式の構造を有するポ
   リジフエニルシルセスキオキサン、またはポリナ
   フチルシルセスキオキサンからなることを特徴と
   する液晶表示装置。 但し、一般式は の繰り返し単位からなり、一般式中R₁〜R₄が全
   てジフエニル基からなるか、または一般式中R₁
   〜R₄が全てナフチル基からなる。