JPS6250888B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は高密度磁気記録に適する記録媒体に関
するものである。

周知のように、ビデオ記録、コンピユータ・デ
ータ記録、オーデイオ記録などに用いる磁気記録
媒体においては、記録の大容量化、小形軽量化を
達成するために、記録密度の向上が強く要望され
ている。従来、磁気記録媒体として、γ―
Fe₂O₃、CrO₂など、針状を有する磁性粉を塗布
し、記録方向に配向されたものが広く用いられて
きた。このような磁気記録媒体の高記録密度化を
図るには、磁性粒子のサイズを微細化する。磁性
体の保磁力を高める、塗膜の膜厚を薄くする、な
どの方法があり、それぞれ方策が講じられてき
た。しかし、磁性粒子サイズを限界値より小さく
すると磁気特性の安定性が低下すること、保磁力
を大きくしすぎると磁気ヘツドによる記録が困難
になること、膜厚を薄くすると再生信号出力が低
下することなどの問題があり、このような方法に
よる高密度化についてはすでに１つの限界に達し
ていると考えられる。他方、高密度記録を達成す
る別の手段として垂直磁化記録が研究されている
が、まだこれに用いる記録媒体が、Co―Cr膜に
限られており、膜の均一性、耐久性などにまだ問
題があるほか、垂直磁化記録方式は従来記録方式
と相反的であるため、互換性をもたないことも、
これを実用化する上での問題点である。

本発明者らは上記の高密度記録媒体の問題点に
着目し、種々研究検討を重ねた結果、一軸異方性
を有する磁性粒子を用い、この磁性粒子に磁化容
易軸を媒体面に垂直な方向と磁気ヘツド走行方向
との間に分布させることにより、記録密度の向上
が可能であること見出し、本発明をなすに至つた
ものである。

すなわち、本発明は媒体面に垂直な方向と、磁
気ヘツドの走行方向（媒体、長手方向と名づける
ことにする）とを含む平面と平行な平面内に磁性
粒子の磁化容易軸を分布させた磁気記録媒体であ
る。またこれに使用される磁性微粒子としては高
密度磁気記録を達成する点から六方晶系フエライ
トを用いることが必要である。この六方晶系フエ
ライトは例えば特開昭55―86103号公報にみられ
るように高密度磁気記録に適した磁性粉として公
知のものである。さらに磁性特性にて本発明の磁
気記録媒体を特徴づければ、媒体面に垂直な方向
と磁気ヘツド走行方向の間の任意の方向で測定し
た磁化曲線の保磁力が、媒体面内で、ヘツド走行
方向と直角な方向で測定した保磁力の1.2倍以上
であることで示される。ここで1.2倍以上に限定
した理由は、この値未満の場合は、磁性粒子の磁
化容易軸分布が十分でなく、本発明の特徴である
記録密度向上の効果が十分に認められなくなるか
らである。

上記本発明に係る磁気記録媒体は次のようにし
て容易に製造し得る。すなわち、一軸異方性磁性
体微粒子たとえば、例えば特開昭55―86103号公
報にみられるようなバリウムフエライトのCo、
Ti置換体微粒子100重量部に対し、バインダとし
ての樹脂たとえば、塩化ビニル、酢酸ビニル共重
合体、ポリウレタン樹脂など10〜40重量部、分散
剤として、レシチンなど、0.5〜20重量部程度、
および溶剤例えば、メチルエチルケトン、メチル
イソブチルケトン、シクロヘキサノン、トルエン
など200重量部程度を、分散機例えばサンドグラ
インダー、ボールミル、三本ロールミルなどを用
いよく混合分散して塗料状の磁性組成物を調製す
る。この組成物にイソシアネートなど硬化剤を適
宜添加し、支持基体例えばポリエチレンテレフタ
レートフイルムにリバースコータ、グラビヤコー
タ、スピンコータなどの塗布機を用いて塗布し、
電磁石または永久磁石を用いて媒体長手方向と媒
体との垂直な方向を含む面内で、印加方向の異な
る磁界を順次印加する。この際印加磁界方向を変
えるごとに磁界を弱めてゆくか、あるいは、塗膜
を加熱することにより、塗工された塗液の粘度を
順次高めてゆく。こうすることにより、所要の面
内に磁性粒子の磁化容易軸を分布させた磁気記録
媒体を得る。

次に本発明の実施例を述べる。

実施例 平均径0.1μｍのバリウムフエライトのCo、Ti
置換体微粒子粉80重量部あたり、バインダとして
塩化ビニル、酢酸ビニル共重合体10重量部、分散
剤として、レシチン、４重量部溶剤として、メチ
ルイソブチルケトン80重量部、トルエン80重量
部、シクロヘキサノン80重量部を加え、サイドミ
ルを用いて、分散塗料化した。この塗料に硬化剤
としてイソシアネート10重量部を加えポリエチレ
ンテレフタレートフイルム面に塗布した後、フイ
ルム面内配向磁界２KO₂を印加し、次いでフイル
ムを加熱しつつさらに、フイルム面に垂直方向に
磁界２KOeを印加し、乾燥を行なつて磁気記録
媒体を作製した。この磁気記録媒体の静磁気測定
を行なつたところ、膜面内配向磁気印加方向で、
残留磁化Br＝1100G、保磁力Hc＝1000Oe、また
膜面に垂直な方向で反磁界補正を行なつた結果、
Br＝1000G、Hc＝960Oeであつた。他方膜面内
で、配向磁界印加方向と直角な方向でBr＝
600G、Hc＝700Oeであつた。以上の磁気測定結
果によれば、膜面内配向磁気印加方向と膜面と垂
直な方向のBr、Hcが大きくこれら二方向と垂直
な方向のBr、Hcが小さい。この結果から磁性粒
子が上記二方向を含む面内に、磁化容易軸が分布
しているということがわかる。

次にこの磁気記録媒体に対し、フエライトコア
を用いた磁気ヘツドを用い、面内配向磁界方向に
ヘツドを走らせて高密度記録を行ない、再生出力
を調べた。第３図にその結果を示す。なお比較例
として上記により作製した磁性塗料を塗布後配向
処理を全く行なわず、乾燥させた磁性膜（Br＝
800Oe Hc＝800Oe）について、同様に記録再生
を行なつた結果を同時に示した。図により、本発
明の実施例の記録媒体は高密度領域での再生出力
の向上が顕著であることがわかる。すなわち、記
録可能な記録密度が大幅に向上していることがわ
かる。

さて、本発明のような、磁性粒子の結晶方位分
布をさせた磁気記録媒体が何故し高密度記録に適
するかについては、今後十分に研究し、解明して
ゆかなければならない課題であるが、現時点で考
えられる理由としては、高密度記録を行なわせ
るには膜面に垂直方向に配向した粒子が有効であ
りこれと他の方向に配向した粒子との組み合わ
せにより、置流磁化パターンが可能、さらに磁
気記録に有効でない方位の粒子が減つている。の
３点を指摘することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図および第２図は本発明の磁気記録媒体を
製造するための磁性粒子の磁化容易軸分布処理を
行うための磁石配置図、第３図は本発明の記録媒
体実施例および比較例の記録密度―再生出力特性
曲線図である。 １…磁気記録媒体、２…配向用磁石、３…媒体
走行方向、４…磁界方向。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 媒体面に垂直な方向と磁気ヘツドの走行方向
   とを含む平面またはこれと平行な平面内に六方晶
   フエライトからなる磁性粒子の磁化容易軸を分布
   させたこと特徴とする高密度磁気記録媒体。 ２ 媒体面に垂直な方向と磁気ヘツド走行方向と
   の間の任意の方向で測定した磁化曲線の保磁力
   が、媒体面内でヘツド走行方向と直角な方向で測
   定した磁化曲線の保磁力の1.2倍以上であること
   を特徴とする特許請求の範囲第１項記載の高密度
   磁気記録媒体。 ３ 支持基体上に六方晶フエライトを含有する磁
   性塗料を塗布した後媒体長手方向と垂直な方向を
   含む面内で印加方向の異なる磁界を順次印加する
   ことを特徴とする高密度磁気記録媒体の製造方
   法。