JPS6146893B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

本発明は磁気記録媒体の製造方法に係り、特に
高密度磁気記録に適した磁気記録媒体の製造方法
に関する。 磁気記録媒体はオーデイオ、ビデオもしくはデ
イジタルなど各種電気信号の記録に幅広く使用さ
れている。ところで磁気記録媒体における記録は
前記磁気記録媒体と磁気ヘツドとの相対移動方向
例えば磁気記録媒体（テープ）の走行方向に記録
媒体を磁化しておくことによつて行なつている。
またこの場合において再生時の出力向上を目的と
してテープ走行方向にγ―Fe₂O₃の針状粒子を配
向させ、もつて走行方向の磁化状態を安定化させ
ることも試みられている。しかしこのようなテー
プ走行方向に磁化した磁気記録媒体の場合には、
短波長記録或いは高ビツト密度の記録に対しては
媒体内の減磁作用が増加するため高密度記録にも
限度がある。 一方基体面にこの面に対し垂直方向を磁化容易
軸とするCo―Cr系磁性膜をスパツタ法で設け、
垂直方向への磁化を利用して高密度の磁気記録を
行なうことも試みられている。しかしこの場合に
は磁気ヘツドとの摩擦による記録媒体の耐摩耗性
に問題があるばかりでなく、磁気記録媒体の製造
に長時間を要するなどの不都合さがある。 また六方晶系フエライトのように板状で一軸異
方性を有する磁性粉末（粒子）を例えば高分子樹
脂中に分散させ、これを基体面に塗着後磁界を印
加し垂直方向に磁化することにより磁気記録媒体
を得ることも知られている。しかしこの場合には
印加磁界の強さが微妙に影響するため、粒子の分
散性が良好で且つよく配向した磁気記録媒体層を
再現性よく製造乃至形成し難いと言う不都合さが
ある。 従つて本発明は垂直配向性がすぐれ、且つ磁性
粒子も均一に分散しており高密度磁気記録に適す
る記録媒体を容易に製造しうる方法を提供しよう
とするものである。 即ち本発明は磁性粉体乃至粒子として、平板状
を有し、且つ平板面に垂直な方向に磁化容易軸を
有する強磁性体粒子を用いてなる塗布液乃至ペー
スト状物を、ロールコートにより連続走行してい
る基体面（支持体面）に塗布するとき、または塗
布後の塗布面平滑化のためロール処理するときに
ロール径方向の磁界を印加することにより、前記
磁性体粒子の磁化容易軸を塗布層面に対し垂直方
向に配向させることを骨子とするものである。 しかしてこのような本発明によれば磁性体粒子
の凝集を起さずに（従つて良好な分散状態を維持
しながら）配向性のすぐれた垂直磁化記録媒体層
を形成しうる。尚この場合において、さらにスー
パーカレンダー処理を施せば媒体層の面が平滑で
且つ配向性の改良された垂直磁化記録媒体が得ら
れる。 以下本発明を、本発明の実施態様についての説
明図を参照して説明する。第１図は本発明の一実
施態様例を示すもので、容器１に収容された磁性
体粒子を含む塗布液２はグラビヤロール３ａにピ
ツクアツプされた後ロール４ａに供給される。こ
のロール４ａおよびこのロール４ａと対をなすロ
ール４ｂは互に周面が接触する部分を中心に径方
向の磁界Ｈが与えられている。しかして上記ロー
ル４ａに供給された塗布液は前記磁界Ｈによつて
配向されながら両ロール４ａ，４ｂ間に送られて
来た帯状支持体５に転写され、磁気記録媒体６と
して得られる。 第２図は他の実施態様例で対をなすグラビヤロ
ール３ａ，３ｂ間に送られて来た帯状支持体５に
グラビヤロール３ａにて塗布液２を先ず塗布す
る。しかる後この塗布液をコートした帯状支持体
５′を、互に周面が接触する部分を中心に径方向
に磁界を印加された対をなすロール４ａ，４ｂ間
に送り、塗着した磁性体粒子の垂直配向と塗着層
の平滑化処理を行なつて所要の磁気記録媒体６を
得る。尚この第２図示の実施態様における塗布液
の塗着は例えばドクターブレード法、リバースコ
ート法、グラビヤコート法などによつてもよい。 本発明において磁気記録媒体層の主体を成す磁
性体粒子乃至粉末は六方晶系フエライトの微粒子
で代表される平板状の形状を有し、且つその板面
に垂直な方向に磁化容易軸を有する一軸異方性の
ものが選ばれる。しかしてこの磁性体の粒径は平
均１μｍ〜0.01μｍ望しくは0.4μｍ〜0.02μｍで
ある。また上記磁性体粒子を分散含有する所謂る
バインダーとしては例えば塩化ビニル―酢酸ビニ
ル共重合体、ポリウレタン樹脂、フエノキシ樹
脂、ビニルブチラール樹脂、ニトリルゴムなどが
挙げられ、その他に例えばレシチン、界面活性剤
など分散剤、例えばラウリン酸、ステアリン酸な
どの潤滑剤、例えば炭化ケイ素などの研摩剤およ
び帯電防止剤などを適宜含有せしめうる。しかし
てこれら磁性体粒子などを分散させ塗布液乃至ペ
ースト状化するために用いる溶媒としては例えば
トルエン、テトラヒドロフラン、メチルイソブチ
ルケトン、メチルエチルケトンなどのケトン類な
どが挙げられ、さらに塗布液の粘度は100〜10000
センチポイズ望しくは250〜5000センチポイズで
ある。 本発明において塗布層に所望の磁界を印加する
手段は例えば第３図または第４図に示す如く、ロ
ール４ａ，４ｂの内側に、そのロール４ａ，４ｂ
の回転にかかわりなく永久磁石もしくは電磁石７
を配置しておいてもよいし、またはそれらロール
４ａ，４ｂを磁石７′の間に配置した構成によつ
てもよい。さらに径方向に一様に磁化された永久
磁石をロールに組込んだ構成によつてもよい。し
かしてこの印加磁界は50エルステツド〜10000エ
ルステツド程度、望しくは200エルステツド〜
4000エルステツドである。またこの磁界を印加し
てのロール処理による配向、平滑化においては塗
着磁性体層に接するロール面に適宜溶媒を塗布し
潤滑性を与えておくことによりロールからの分離
も易くなり平滑化した磁性体層の損傷が防止され
る。 次に本発明の実施例を記載する。 先ず下記組成（重量部）の塗布液を用意した。 Co，Ti置換Baフエライト （平均粒径0.1μｍ） 80部 塩化ビニル―酢酸ビニル共重合体 10部 ポリウレタン樹脂 10部 レシチン １部 ステアリン酸 0.2部 メチルイソブチルケトン 120部 トルエン 120部 この塗布液を厚さ25μｍ、幅150μｍの帯状支
持体（下処理したポリエステルフイルム）面にグ
ラビヤコート法により塗布し、30゜〜80℃半乾燥
させた。 かくして磁性体層を設けた支持体を最大磁界
1000エルステツドとなる磁界付きロール間に通過
させて磁性体層に垂直方向の磁界を印加しながら
ロール処理した後、120C0.5時間乾燥を施してか
ら、さらにスーパーカレンダー処理して磁気記録
媒体を得た。 一方、比較のためロール処理を行なうことなく
磁性体層を設けた支持体を支持体面に垂直は磁界
中を通過させた以外は実施例と同じ条件で磁気記
録媒体を製造した。 上記により得た磁気記録媒体について、Ｘ線回
折によつて求めた垂直配向度、面に垂直な方向の
磁気特性、磁性体粒子の分散状態およびリング形
ヘツドを用いた再生によるＣ／Ｎ比（キヤリア対
ノイズ比）を表に併せて示した。

【表】 上記の表から明らかなように本発明の磁気記録
媒体は垂直配向度が良好であり、且つ磁性粉の凝
集もなくＣ／Ｎ比も良好であつた。一方、磁界印
加のみでロール処理を行なわない比較例では、垂
直配向度が本発明より劣るばかりでなく、磁気特
性を改善しようとすると、磁性体粉の分散状態が
悪化しＣ／Ｎ比が低下してしまい、また分散状
態、Ｃ／Ｎ比を改善しようとすると良好な磁気特
性が得られず、比較例によつてはこれらの特性を
全て満足する磁気記録媒体は得られなかつた。 なお、上記実施例では、片面塗布型磁気記録媒
体の例について示したが、両面記録形の磁気記録
媒体に適用し得ることはもちろんである。 さらにロール処理時に加熱手段、送風手段など
の乾燥手段を併用することは、半乾燥状態の媒体
をロール処理する際には好ましい。 以上に説明したように、本発明によれば、簡単
な構成で容易に高密度の磁気記録媒体を製造する
ことができる。

【図面の簡単な説明】

第１図および第２図は本発明に係る磁気記録媒
体の製造方法のそれぞれ異なる実施態様の説明
図、第３図および第４図は本発明方法において垂
直方向の磁界を印加しながらロール処理するそれ
ぞれ異なる態様を示す説明図である。 １……容器、２……塗布液（磁性体塗布液）、
３ａ，３ｂ……グラビアロール、４ａ，４ｂ……
磁界印加ロール、５……支持体、５′……磁性体
塗布支持体、６……磁性記録媒体、７，７′……
磁石。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 基体面に、平板状を有し且つ平板面に垂直方
   向に磁化容易軸を有する磁性体を塗布し、配向さ
   せて磁気記録媒体を製造する方法において、磁性
   体層の塗布形成時乃至形成後、基体面に垂直方向
   の磁界を印加しながらロール処理を施す工程を具
   備することを特徴とする磁気記録媒体の製造方
   法。 ２ 磁性体が六方晶系フエライトである特許請求
   の範囲第１項記載の磁気記録媒体の製造方法。