JPS6246539Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、回転トルーイング工具、特に総形回
転トルーイング工具に関する。

研削砥石の加工面の調整におけるトルーイング
工具ないしドレツサの主要機能は、１つには、砥
石の正しい幾何学的形状を再生（整形）すること
にあり、１つには、鋭利さを失なつた砥粒と、使
用中に研削砥石の加工面に付着した金属粒子とを
除くことにある。

研削砥石の輪郭即ち総形ないしプロフイル
（Profile）は特に精密加工においては、被加工物
の加工精度を所定の精度とするため、精密なプロ
フイルとしかつ所定の精度を維持する必要があ
る。そのために使用に際して或いは一担使用の後
砥石の研削面は対応する所定の精度をもつたプロ
フイルを備えたトルーイング工具により、整形
（トルーイング）されて使用に供される。一般に
トルーイングの際目立て（ドレツシング）も同時
に行われることが多い。

従来一般的な回転トルーイング工具としては、
多石ダイヤモンドロータリドレツサがあり、これ
は回転体の周りにダイヤモンド砥粒を埋設して所
定のプロフイルを回転面状に構成したものであ
る。

この多石ダイヤモンドロータリドレツサは、ゆ
るやかな曲面をもつた総形研削砥石用のトルーイ
ングには使用できるが、複雑な形状・輪郭をも
ち、高精度を要求される総形研削砥石のトルーイ
ングには多石ダイヤモンドを用いるその構造上の
制限から適用できず、その製作も困難であり、コ
スト的にも高いという問題がある。さらにその使
用後の修正は多石ダイヤモンド粒子のため極めて
困難であり、またダイヤモンド粒子間に固着する
金属の削屑の除去が面倒であるという欠点もあつ
た。

このような問題を解決するため、本出願人は先
に多結晶合成ダイヤモンド等の硬質又は超硬質材
料製プレートを所定形状とし、シヤフト部材の周
縁に相互に離隔して配設して成るプレート式回転
トルーイング孔工具について出願した（特願昭56
−第63544号）。このプレート式回転トルーイング
工具により、多石ダイヤモンドロータリドレツサ
の上記欠点は凡そ解消された。

しかしながら、さらに精度が高く迅速かつ円滑
なトルーイングを可能とする回転トルーイング工
具に対する産業界の強い要求が存在する。

上述のプレート式回転トルーイング工具では、
研削砥石に対する修正はプレートのエツジによる
研削砥石研削面に対する加工工程として行われる
ため、当該加工を砥石の研削面全周に万遍なく施
こすため所定の時間研削砥石及びプレート式回転
トルーイング工具を所定の相対周速度差及び切込
みをもつて回転させることが必要である。この場
合さらに迅速かつ高精度のトルーイング処理を施
す上で次のような問題がある。即ち、被研削加工
物（最終製品）についてより高い精度を達成する
ためには、研削砥石のより高い精度が要求され、
そのためにより瀕繁にトルーイング処理を行う必
要が生じ、これに応じてトルーイング工具の摩耗
もより早く進行するという問題がある。近時工業
的に要求される被研削材料の寸法、表面粗さの精
度は数μｍ以下のオーダから、さらに１μｍ以下
ないし少数点下数μｍ以下のオーダーに高度化し
ており、これに対応る総形（プロフイル）研削砥
石のトルーイングは極めて重要な課題とされてい
る。しかしながら、このような超高精度の研削加
工が可能なように研削砥石をトルーイングするこ
とは、極めて困難であり、特に複雑な凹凸、角
部、曲面を備えた総形研削砥石に対しては従来の
多石ダイヤモンドドレツサでは本質的にトルーイ
ング不可能である。

既述のプレート式回転トルーイング工具におい
ても、そのプレート材料たる合成多結晶ダイヤモ
ンドプレート等の超硬材料の精密加工が（従つて
その修正研摩も）極めて困難であるため上記所望
のオーダーの超精密なトルーイングを可能とする
ためにはさらに回転トルーイング工具の改良が望
まれる。

特に、回転トルーイング工具のプロフイルが回
転軸に直交する対向線分（凹部の内面をなす）を
有する場合等においてプレートの摩耗によるプロ
フイルの後退は修正不可能であり、一般にプレー
トを交換する外なく、回転トルーイング工具の耐
用期間が精度を高く要求すれするほど短くなると
いう重大な問題が生じる。

また、プレートエツジによる砥石の加工に際し
てプレートエツジは研削砥石に対して回転方向に
直交する面をもつて間欠的に当たり、従つて回転
衝撃ないし回転振動（いわゆるびびり）を生じ易
いという問題もある。

従つて本考案は、所定形状を有する硬質又は超
硬材料製のプレートを回転部材の周縁に相互に離
隔して配設して成る回転式トルーイング工具にお
いて、さらに極めて高い精度で迅速かつ円滑なト
ルーイングを可能とする新規な回転トルーイング
工具を提供することを目的とする。

本考案によれば、上記目的は、プレート式総形
回転トルーイング工具において、回転部材の回転
軸を含む断面における所定プロフイルを該回転部
材の回転方向と斜交する斜交面上に回転的に投影
して成る所定回転投影プロフイルを有する超硬質
又は硬質材料製のプレートを、該回転部材の周縁
に相互に離隔して夫々前記斜交面内において配設
し合成プロフイルを形成することにより、達成さ
れる。

プレート（即ちプレート状チツプ）は、回転部
材の円周上に所定間隔をおいて配され、工具の回
転により、合成プロフイルは、工具の回転軸を通
る断面上において整形対象（研削砥石）に転写す
べき対応する所定形状のプロフイル（総形）を形
成する。

好ましいプレート配列は、回転部材の外周をと
り巻くラセン（即ちラセン状平面）に沿つて（少
くともその一部に沿つて）プレートを配設するこ
とである。さらに、プレートは、工具回転方向に
対し互いに対称な角度をもつて斜交する平面内に
配することも好ましい。プレートは工具回転方向
に相互に離隔して配され、また、好ましくは工具
回転方向にプレートの端部を少なくとも部分的に
重ね合わせて配列される。なお、一つの斜交面内
において、一又は複数のプレートを配する。

これらのプレートは、回転部材の周縁に相互に
離隔して配された半径方向突起又はセグメントの
胸面（好ましくは工具回転方向前面）に配設され
る。プレートの前方には、研削収容チヤンバを設
けることが好ましい。

かくて合成プロフイルはプレートの所定輪郭を
有するエツジにより構成される。このエツジの回
転方向断面形状は特に限定されず、一例としてプ
レートの前方端（又は後方端）エツジとすればエ
ツジの加工（製作時）又は再研摩（修正時）に工
数を節減できる。また、エツジは所定角度をもつ
た突端とすることもできる。プレートの前方端エ
ツジとした場合、プレートの端面（半径方向外
端）は、回転方向後方へと後退（半径縮小）させ
ることが好ましい。この後退角はプレートエツジ
の回転円接線に対し通例３〜15゜程度とする。

プレートの硬質又は超硬質材料とは、少くとも
整形対象砥石の砥材と同等以上の硬度ないし強靭
性並びに耐摩耗性を有する材料を言う。

プレートの材質は、トルーイング対象の砥石の
砥材（砥粒）に応じて超硬質又は硬質材料から選
択するが、ダイヤモンド（天然、合成）砥粒、
CBN、SiC、WC砥粒等の超砥粒に対しては、合
成多結晶ダイヤモンドが好ましい。超硬材料の発
達に伴い、より強度の高いプレート材料を用いる
ことは当然に好ましい。上記以外の普通砥粒の砥
材（溶融アルミナ等）を用いた砥石に対しては、
超硬合金（例えば、WC、SiC等の炭化物焼結体
等）を用いることもできる。

工具回転方向に対する斜交面にプレートを配す
ることにより、工具回転軸を通る断面内に投影し
て形成されるプロフイルの寸法精度は、特にその
軸方向の寸法精度について、向上する。即ち、こ
の断面内への投影プロフイルの寸法は、斜交面上
の工具回転方向長さを１とするとcosα（α：プ
レートと工具回転軸を通る断面との交角）に縮少
される。この工具回転軸方向の寸法精度は、一度
摩耗によりプレートの当該エツジ部分（回転軸に
直交する面）が後退すると、プレートを交換する
以外に修正不可能であるが、本考案によれば、上
記投影により、プレートのエツジ面の工具回転軸
方向の摩耗の影響は、縮少減殺されるので、所定
精度を充たす耐用期間が延長される。

また、前記断面内の投影プロフイルにおいて所
定の精度を達成するためには、プレートのエツジ
の加工精度は、１／ｃｏｓαだけ粗い精度でよく、特に プレート材料の加工、研摩の困難さを考慮する
と、その効果は甚だ大である。

さらに好ましい態様として、工具回転方向を直
交するプロフイル部分を形成するプレートの数を
他のプロフイル部分のプレートの数よりも多くす
ることにより、さらに工具全体の耐用期間を延長
しかつ、砥石の整形精度を向上できる。

本発明の回転トルーイング工具は、例えばクラ
ンクシヤフトのような段付の部材の研削のための
総形研削用砥石の整形に際して極めて大きな効果
を示す。即ち、回転トルーイング工具は、目的と
する被加工部材の規定寸法、形状を所定精度をも
つて保有する必要があり、特にその軸方向と交わ
るプロフイル面（即ちエツジ面）についての軸方
向における精度は、本考案の工具により、大きく
改善される。

一方、工具回転軸に平行なプロフイル部分（な
いしプロフイル成分）は回転方向に対し斜交して
配されて砥石面（被整形面）の砥粒に対し斜めに
当るため衝突の際の衝撃が緩和され、プレートエ
ツジの摩耗が減少する。

また、摩耗が生じても、プレートのエツジの再
研摩により修正可能であるため、本発明の工具
は、プロフイルのいずれの方向においても精度、
耐用度の高いものが得られる。

さらに、プレートの斜交配列により、トルーイ
ング工具のプレートエツジの砥石面への当接に際
して発生する衝撃が大きく緩和されると共に、回
転振動が軽減され工具の円滑な回転が可能とな
り、砥石被整形面に面精度が向上する。加えて、
回転振動の低減により、工具を軽量・小型化する
ことができる。またプレートの上記の対称的斜交
配列によつて、工具の軸方向スラストがバランス
され、軸方向の振動の緩和により軸方向に安定化
される。

このプレート式回転トルーイング工具のプレー
トエツジの砥石に対する作用は、主として剪断力
により砥粒を脱落又は破砕させるものである。

この工具は、多くの凹凸面を有する複雑形状の
プロフイルの砥石に対して特に有利であり、前述
のクランク軸の外、ねじ等の多溝（又は多山）の
同時研削用砥石等に用いることができ、そのとり
うるプロフイルの形状は、多様である。

研摩工程又はプレート材料の大きさの制約のた
め特に複雑な形状のプロフイルを一つのプレート
により製作することが困難な場合には、一つ又は
複数の斜交面内に部分プロフイルを構成するプレ
ートを配し、互いに合成して一つの全体プロフイ
ルを形成する。

この斜交面における所定プロフイルは、砥石に
転写すべきプロフイル（回転軸を含む断面上のプ
ロフイル）を斜交面に回転投影して形成される。

例えば、上記回転軸を含む断面上の軸と平行な
プロフイルは、斜交面上においては、回転体円周
が斜交面と交わる交線（楕円）として、現われ
る。

その他の任意の形状の斜交面プロフイルを、上
記断面上のプロフイルから回転投影により容易に
形成できる。

なお、本考案の基本的枠内において、一部のプ
レートを工具回転軸と平行な面内に配することも
できるが、但し、工具回転軸と直交するプロフイ
ル部分を有するものは、除く。またプレートの歯
数は１周り寄数枚が好ましいが偶数でもよい。

以下本発明について、実施例を図面に基づき説
明する。なお、下記の実施例は本考案をこれに限
定するものではない。

第５図に本考案の一実施例たるプレート式総形
回転トルーイング工具１の斜視図を示す。軸孔８
をハブ９に有する回転部材（ボデイ）７の外周
に、外周を囲み工具回転方向Ｒに延在する溝６
と、回転方向と斜交し円周方向に分配された凹部
５（研削屑収容チヤンバ）が形成され、隣接凹部
５の間に半径方向突起（セグメント）４が構成さ
れる。

セグメント４の胸面４ａ（回転方向に向つた
面）には、超硬質材料プレート２が固着される。
鋼等の金属製の回転部材に対しては、超硬材料プ
レート２をロウ付け等によつて接合できる。超硬
材料プレート２は回転方向Ｒと斜交する平面をな
す前記胸面４ａにプレートのエツジを外周にわず
か突出させて所定の合成プロフイルを形成するよ
う接合されている。

第１ａ図は、外周に断面短形の溝６を有し、そ
の他の点では第５図と同様に構成した別の実施例
の工具の外周面の展開図である。セグメント４の
胸面４ａは回転軸Ｘと角度αで斜交し、一つの胸
面４ａに、プレート２ａが、隣接の胸面４ａには
プレート２ｂが、互いに一つの合成プロフイルを
その回転によつて形成するよう固着されている。

第１ｂ図の３は、その回転により形成される合
成プロフイルである。第３，４図は第１図の−
、−矢視断面を示し、第１ｃ図のプロフイ
ル部分（軸Ｘと平行）３ｂは、第３図b′（楕円
状）として現われる。かくして、第１ｂ図の転写
すべきプロフイル３は、プレート２ａ、２ｂの第
３，４図プロフイル３a′，３b′の軸Ｘを含む断面
への回転投影（回転方向Ｒ）により、第１ｃ、１
ｄ図に示す合成プロフイル部分３ａ，３ｂを創生
する。

第４図の溝６の巾ｌは、第１ｄ図の投影におい
てlcosαとなる。従つて胸面４ａ上のプレートの
巾は１／ｃｏｓαだけ、投影プロフイル３よりも長く設 定される。

プレート２ａと２ｂは互いにその端部を回転方
向から見て一部重視するように構成してある。入
手しうるプレートが小さい場合、このようにし
て、長い輪郭を有すプロフイルを合成できる。

プレート２の配置の仕方は、例えば第６〜９図
（部分展開図）に示す如く、種々の態様が可能で
ある。第７図は回転軸Ｘと異つた角度方向に交互
に斜交する配列である。第８図の如く回転方向Ｒ
についてプレート２を互いに対称な角度をもつて
回転軸Ｘと斜交する配列とすることは、軸方向の
回転平衡によつて好適である。

第９図は、回転部材の周りに、ラセン状にプレ
ート２を配列したものである。工具の一様な当た
りが可能である。

第３図、第４図は、第１図の−、−矢
視断面を示し、第１ｃ図の（軸Ｘと平行な）プロ
フイル部分３ｂは、第３図３b′（楕円状）として
現われる。かくて第１ｂ図の転写すべきプロフイ
ル３は、軸Ｘを含む断面へ回転投影されて形成さ
れ、第１ｃ、第１ｄ図に示す２a′，２b′（プレー
ト投影）に従い、第１ｂ図３の回転投影プロフイ
ルを生ずる。

回転軸Ｘとプレート２との斜交角は、好ましく
は30〜60゜より好ましくは40〜50゜とするが、工
具の径、巾、回転速度等の条件により定められ
る。しかし本考案の効果はα＝凡そ15゜〜75゜の
範囲で認められる。角度αが余り小の場合、回転
軸Ｘを直交する場合との差がはつきりせず、ま
た、角度αが90゜に近いと、工具製作上の困難が
ある。

第１０〜１２図に、本考案を適用するに適した
プロフイル（回転方向に合成、投影したもの）の
いくつかの例を示す。第１０，１１図のプロフイ
ル部分３ａは、回転軸Ｘと直交する平面を創生す
るが、このようなプロフイル部分を含むプロフイ
ルのトルーイングに、本考案の工具の効果が顕著
に現われる。

【図面の簡単な説明】

第１ａ図は、本考案の一実施例の工具の外周面
の展開図、第１ｂ図は、第１ａ図の工具の回転に
より形成される回転軸Ｘを含む平面における合成
プロフイル、第１ｃ図、第１ｄ図は、夫々第１ａ
図の工具のプレート３ｂ，３ａの回転軸Ｘを含む
断面への回転投影図、第２図は、第１ａ図−
矢視断面の部分断面図、第３図は、第１ａ図−
矢視断面の部分断面図、第４図は、第１ａ図
−矢視断面の部分断面図、第５図は、本考案の
他の一実施例を示す斜視図、第６図〜第９図は、
本考案の他の実施例のプレート配列を示す外周面
展開図、第１０図〜第１２図は、本考案の実施例
の合成プロフイルの回転軸Ｘを含む断面への回転
投影図、を夫々示す。 １……回転トルーイング工具、２，２ａ，２ｂ
……プレート、３，３ａ，３ｂ……合成プロフイ
ル、４……半径方向突起（セグメント）、４ａ…
…胸面、５……凹部、６……溝、７……回転部
材、Ｘ……回転軸、Ｒ……回転方向。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ 回転部材の回転軸を含む断面における所定プ
   ロフイルを該回転部材の回転方向と斜交する斜
   交面上に回転的に投影して成る所定回転投影プ
   ロフイルを有する超硬質又は硬質材料製のプレ
   ートを、該回転部材の周縁に相互に離隔して
   夫々前記斜交面内において配設し合成プロフイ
   ルを形成したことを特徴とする総形回転トルー
   イング工具。 ２ 前記プレートは該回転部材の外周を取り巻く
   ラセンの少くともその一部に沿つて配設される
   請求の範囲第１項に記載の工具。 ３ 前記プレートを該回転方向に対し互いに対称
   な角度をなす斜交面内に配設する請求の範囲第
   １項〜第２項の一に記載の工具。 ４ 前記合成プロフイルは、複数の前記プレート
   を前記回転方向に相互に離隔して配設して形成
   される請求の範囲第１〜３項の一に記載の工
   具。 ５ 前記合成プロフイルは、複数の前記プレート
   を前記回転方向に少くとも部分的に重ね合わせ
   て合成される請求の範囲第４項の工具。 ６ 前記合成プロフイルは、さらに前記斜交面内
   の夫々において配された一又は複数の前記プレ
   ートにより合成される請求の範囲第４項記載の
   工具。 ７ 前記プレートは、回転部材の周縁に相互に離
   隔して配された半径方向突起の胸面に配設され
   る請求の範囲第１項記載の工具。 ８ 前記合成プロフイルは、前記プレートの所定
   輪部を有するエツジにより構成される請求の範
   囲第１項記載の工具。 ９ 前記プレートの前方に研削屑収容チヤンバを
   有する請求の範囲第１項記載の工具。 10 前記合成プロフイルの回転軸に直交するプロ
   フイル部分を形成するプレートの数を、他のプ
   ロフイル部分のプレート数よりも多く配列した
   請求の範囲第１項記載の工具。