JP2868988B2 - 螺旋状ホイールの製造方法 - Google Patents

螺旋状ホイールの製造方法

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JP2868988B2 JP5328023A JP32802393A JP2868988B2 JP 2868988 B2 JP2868988 B2 JP 2868988B2 JP 5328023 A JP5328023 A JP 5328023A JP 32802393 A JP32802393 A JP 32802393A JP 2868988 B2 JP2868988 B2 JP 2868988B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は螺旋状ホイールの製造方
法、より詳しくは、アルミナセラミッスの穴研削やカミ
ソリ刃の研削等に使用される、砥石本体部の外周に螺旋
状の砥粒層を有する螺旋状ホイールの製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】かかる螺旋状ホイールとして、例えば、
米国特許第3,461,616号明細書には、GC及び
WA等の一般砥石を対象としたカミソリ刃の刃先研削用
螺旋状ホイールが記載されており、また、実開平4−7
6361号公報には、電着によって台金の外周にスパイ
ラル状の砥石部を形成した螺旋状ホイールが記載されて
いる。
【0003】米国特許第3,461,616号明細書に
記載された螺旋状ホイールは、GCやWAを使用してい
るため、通常のドレッサによって容易に螺旋状の溝をツ
ルーイングすることが可能であるが、反面、超砥粒ホイ
ールに比べて研削能力が劣り、また摩耗が激しく形状保
持能力が低いため、頻繁に砥石の形状修正を行う必要が
ある。
【0004】この対策として、超砥粒を含むメタルボン
ド,レジンボンド,ビトリファイドボンド等を砥粒層と
して使用することも考えられるが、これらの砥粒層は、
耐摩耗性に富む為、形状維持性に優れる反面、逆にツル
ーイングが極めて困難であり、特に円筒状の成形物を螺
旋状に形成することは非常な困難を伴う。
【0005】この点、実開平4−76361号公報に開
示されたように、あらかじめ台金をスパイラル形状に加
工し、この表面に電着によって超砥粒をメッキする方法
によれば、上記したようにツルーイングによる溝加工が
不要となり、耐摩耗性に富む超砥粒の砥粒層を有する螺
旋状ホイールを容易に得ることができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、電着に
よる超砥粒層は、基本的に砥粒一層のみで、かつ一般的
に研削中における砥粒層の目がわりは望めない。したが
って、ホイールには砥粒一層のみ電着するため、砥粒層
厚さは400μmが限度で、厚みのある砥粒層を形成す
ることはできない。このため、電着による超砥粒層を形
成した螺旋状ホイールでは、メッキ層の厚みによってそ
の寿命が左右され、早期に砥粒層部が摩耗して使用不能
となる。
【0007】そこで、本発明において解決すべき課題
は、厚みの在る砥粒層が容易に得られ長時間使用可能な
螺旋状ホイールの製造方法を得ることにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、アルミ,鉄,
超硬等によって形成された砥石本体部の外周に螺旋状の
レジンボンド,メタルボンド,ビトリファイドボンドの
いずれかからなる砥粒層を備えた螺旋状ホイールの製造
方法であって、螺旋状砥粒層からなるリング状の砥粒層
部材を複数個を砥石本体部とは別に準備し、このリング
状の砥粒層部材のそれぞれを切断して螺旋状の一部を構
成する砥粒層部材に変形し、この螺旋状の一部を構成す
る砥粒層部材を砥石本体部に固着することを特徴とす
る。
【0009】ここで、比較的弾力性に富むレジンボンド
においては円形のリング部材の一部をカットして螺旋の
一部を構成するように変形させ、また、弾性に劣るメタ
ルボンド又はビトリファイドボンドにおいては2〜4か
所を切断して前記砥石本体部に固着する。
【0010】また、前記砥石本体部及びリング部材の接
合面には、リング部材の位置決め及び砥石本体部との接
着力を向上させるため嵌合用の凹凸部を形成することも
できる。
【0011】
【作用】本発明においては、螺旋状砥粒層部が本体とは
別に焼成により得られた複数のリング部材によって形成
されるため、砥石本体部にリング部材を固着することに
よって螺旋形状が得られ、ツルーイングによる螺旋形状
形成のように手間を要する溝加工が不要となり、また電
着よりも遙に厚みのある砥粒層を比較的容易に形成する
ことができる。
【0012】
【実施例】以下本発明の特徴を図面に示す実施例に基づ
いて具体的に説明する。
【0013】図1(a)は螺旋状ホイールの正面図、図
1(b)は同断面図、図2は図1に示す螺旋状ホイール
の製造手順を示す説明図である。
【0014】図1を参照して、1はアルミ,鉄,超硬等
によって形成された砥石本体部で、この本体部1の外周
には、砥粒層2嵌合用の凹部1aが螺旋状に形成されて
いる。砥粒層2は本体部1の凹部1aに嵌合可能な凸部
2aを内周面に形成し、超砥粒としてダイヤモンドまた
はCBN、またボンドとして、レジンボンド,メタル
ボンド,ビトリファイドボンドを用い、後述する複数の
リング部材によって構成されている。
【0015】次いで図2を参照して具体的な製造手順に
ついて説明する。
【0016】先ず、図2(a)に示すように、所定の超
砥粒及びボンドを用い、常法に従って混合・成形・焼
結の粉末法によりリング部材P1を形成する。
【0017】次いで、図2(b)に示すように、切断機
を用いてリング部材P1 の一部を切断し、図2(c)に
示すように、切断部の両端部に上下方向の力F1 ,F2
を掛けリング部材P1 を螺旋形状の一部を形成するよう
に変形させる。なお、この場合、比較的弾力性に富むレ
ジンボンドの場合には、切断個所は一個所とし、メタル
ボンド及びビトリファイドボンドの場合は2〜4か所切
断することにより嵌合接着が容易になる。
【0018】この状態で図2(d)に示すように、リン
グ部材P1 を、接着剤としてエポキシ系接着剤を塗布し
た砥石本体部1の螺旋状の凹部1aに嵌め込み固着す
る。
【0019】これを順次繰り返すことによって、図1に
示す螺旋状ホイールを製造する。なお、各リング部材の
接合端面には研削時の被削材に与える研削圧力の変化並
びに衝撃力の緩和のためにエポキシ系接着剤を流入させ
ることにより、各リング部材間のつなぎ目の段差を無く
すことがでできる。
【0020】図3(a)は螺旋状ホイールの他の実施例
を示す正面図、図3(b)は図3(a)に示す螺旋状ホ
イールの断面図で、本実施例においては、砥石本体部1
の外周に螺旋状の突起部1bを形成し、さらにその外周
面に砥粒層嵌合用の凹部1cを形成し、この凹部1cに
砥粒層2を固着している。
【0021】このように、螺旋状の突起部1bを形成す
ることによって、特に米国特許第3,461,616
明細書に示されたような、2枚の螺旋状ホイールの噛み
合わせが可能となる。
【0022】なお、上記実施例では、砥粒層形状をT字
状としているが、無論これに限定されず、図4(a)〜
(f)に示すようなV形状、半円形状、またこれらを組
み合わせた形状とすることができる。図4に示すもの
は、T字状のものに比べ接着に関与する砥粒層の面積を
大きくすることができ、砥粒層の接着強度を増す優れた
性質を有する。
【0023】実験例1 ホイール外径50mm、ホイール厚み50mm、砥粒層
幅5mm、砥粒層ピッチ8mm(3mmの螺旋溝)砥粒
層厚み3mmの螺旋状ホイールを製造するにあたり、従
来の方法により、ダイヤモンド♯140:50重量%、
レジンボンド:50重量%からなる砥粒層で、成形温度
150〜250℃、成形圧力200〜500kgf/c
2 で成形し、ホイールの外径50mm、ホイール厚み
25mm、砥粒層厚み3mmのストレートホイールを2
個成形し、直列に接合(エポキシ系接着剤、又はボルト
を用いて接着する。)して、ホイール外径50mm、ホ
イール厚み50mm、砥粒層厚み3mmのストレートホ
イールを製造した。その後、C80Hビトリファイド砥
石(砥石外径150mm、厚み3mm)を用い、CNC
円筒研削盤を用いて螺旋溝3mm、螺旋溝ピッチ8mm
で溝研削を行い、上記の螺旋状を製造した。
【0024】しかしながら、この方法では、CNC円筒
研削盤等の高価な研削盤が必要であり、またストレート
ホイールに螺旋溝を形成するための除去した砥粒量が全
体の37.5%もあった。
【0025】これに対して、本実施例の方法により、同
組成の砥粒層を同様な成形条件にて成形を行い、外径5
0mm、砥粒層幅5mm、使用可能な砥粒層厚み3m
m、埋め込み部の厚み1mmのリング形状の砥粒層7本
を製造した。その後、螺旋溝(溝幅1mm、溝ピッチ8
mm)を有するアルミ本体に、上記方法によって接着
し、上記螺旋ホイールのを製造した。
【0026】その結果、CNC円筒研削盤等の高価な研
削盤が不要で、しかも廃棄される砥粒量も約1%と非常
に少量であった。
【0027】実験例2 ダイヤモンド♯140:10重量%、メタルボンド:9
0重量%からなる砥粒層を成形温度600〜800℃、
成形圧力200〜500kgf/cm2 にて成形を行
い、上記方法によってホイール外径50mm、ホイール
厚み50mm、砥粒層幅5mm、砥粒層厚み3mm、砥
粒層ピッチ8mm(3mmの螺旋溝)の螺旋状ホイール
を製作し、一方、比較例として、電着によってダイヤモ
ンド♯140からなる同形状の砥粒層厚み150μmの
砥粒層を形成した電着螺旋状ホイールを製作した。
【0028】これを用いて、アルミナセラミックスの穴
研削を実施した。
【0029】結果は、電着により製造した同形状の螺旋
状超砥粒ホイールは3日〜1週間で砥粒層がなくなり、
使用不可能となったが、本実施例品は砥粒層厚み3mm
を有し2〜3月間使用できた。
【0030】実験例3 CBN♯3000:50重量%、レジンボンド:50重
量%からなる砥粒層を成形温度150〜250℃、成形
圧力200〜500kgf/cm2 で成形を行い、上記
方法によって、ホイール外径200mm、ホイール厚み
100mm、砥粒層幅6mm、砥粒層厚み3mm、砥粒
層ピッチ16mm(10mmの螺旋溝)の螺旋状ホイー
ルを製作し、一方比較例として、同じ外形形状の通常の
GC砥石を製作した。
【0031】これによってカミソリ刃の研削を行ったと
ころ、結果は、GC砥石は研削に伴う砥石の形状崩れが
速く、0.5〜1日に1回砥石の形状修正を必要とした
が、本実施例品は形状崩れが少なく、1〜1.5月に1
回のドレッシングで安定して研削可能であった。
【0032】また、電着でCBN♯3000の同形状の
スパイラルホイールを製造したが、次の点で良好な使用
ができなかった。
【0033】(1)電着する前の本体台金の精度(真円
度、外形と内径の同心度等)が1μm程度を必要とする
ために、(電着ホイールはドレッシング、ツルーイング
は行わないため、ホイールの振れを極力少なくするため
に、本体台金の高精度なものが必要)本体台金の製造が
非常に困難であった。
【0034】(2)電着ホーイルは本体に砥粒を電着メ
ッキで付着させるため、ホイール(砥粒層)の弾性率が
高く、弾性率の低いレジンボンドホイールに比べ、面粗
さが荒かった。
【0035】(3)電着ホイールは砥粒一層(砥粒層厚
み6μm)であるため、30分で砥粒層がなくなり使用
不可能になった。
【0036】
【発明の効果】本発明によって以下の効果を奏すること
ができる。
【0037】(1)螺旋状砥粒層部が本体とは別に焼成
により得られた複数のリング部材によって形成されるた
め、砥石本体部にリング部材を固着することによって螺
旋形状が得られ、ツルーイングによる螺旋形状形成のよ
うに手間を要する溝加工が不要となり、また電着よりも
遙に厚みのある砥粒層を比較的容易に形成することがで
きる。
【0038】(2)電着ホイールに比べ、超砥粒層の厚
みを有するため、長時間使用可能となった。
【0039】(3)電着の場合は、微細な砥粒の形成が
困難であるが、本特許では形成可能である。
【0040】(4)WA,GC等の一般砥石と比べ、超
砥粒を使用するため、切れ味、形状保持に優れ、長時間
ドレッシングを行う必要がなく、作業コストの低減が可
能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は螺旋状ホイールの正面図、(b)は同
断面図である。
【図2】図1に示す螺旋状ホイールの製造手順を示す説
明図である。
【図3】(a)は螺旋状ホイールの他の実施例を示す正
面図、(b)は(a)に示す螺旋状ホイールの断面図で
ある。
【図4】他の実施例を示す砥粒層断面図である。
【符号の説明】
1 砥石本体部 1a 凹部 2 砥粒層 2a 凸部 P1 リング部材
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B24D 5/00

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルミ,鉄,超硬等によって形成された
    砥石本体部の外周に螺旋状のレジンボンド,メタルボン
    ド,ビトリファイドボンドのいずれかからなる砥粒層を
    備えた螺旋状ホイールの製造方法であって、螺旋状砥粒層からなるリング状の砥粒層部材を複数個を
    砥石本体部とは別に準備し、 このリング状の砥粒層部材のそれぞれを切断して螺旋状
    の一部を構成する砥粒層部材に変形し、 この螺旋状の一部を構成する砥粒層部材を砥石本体部に
    固着する ことを特徴とする螺旋状ホイールの製造方法。
  2. 【請求項2】 螺旋状の一部を構成する砥粒層部材の砥
    石本体部への固着を、砥石本体部とリング部材との接合
    面に形成した凹凸部同士の嵌合によって行なうことを特
    徴とする請求項1記載の螺旋状ホイールの製造方法。
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