JPS6236820Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案はふくら雀帯形や蝶太鼓帯形などの変形
帯結びを容易に結成でき、和服に簡単に着用可能
にした帯保形具に関するものである。

従来から、例えばふくら雀帯形の着付けを行う
場合、帯の手部分で右の羽根を紐を結着しながら
形成したのち、たれを折返して左の羽根を作りな
がら紐をかけて両者を結び付けるようにしている
が、着物に直接このような結び方を行うには極め
て困難で熟練をした人でないと結べないという問
題点がある。

このため、帯結び用の特殊なバンドが考案され
たが、帯結成の一つの補助的な役目を果たせても
着物に直接帯結びを行うことには変らないために
前述同様の問題点を有する。

一方、名古屋帯などにおいては、枠状板に帯締
めを行つたのち、これを和服に着用し得るように
構成した治具が考案されているが、この種の治具
は帯挾持金具や帯の折部固定具などの部材を要し
て帯を損傷させる虞れがあり、又、治具本体や部
材によつて全体の重量が大きくなると共に嵩高く
なり、一般に着用される自然の形態を保持するこ
とができないという欠点があり、さらに、このよ
うな治具では前述したようなふくら雀帯形などの
変形成結びを採用することが困難である。

本考案はこのような問題点をなくするために、
平板状の表裏面からなる保形具主体に一本の帯の
中央部で形成する胴回部を水平方向に挾持させる
ようにすると共に、表面に前記帯の一端部で形成
するふくら雀帯形等の変形帯形部と帯枕とを結着
させる保持板を前記保形具主体の表面板に着脱自
在に係合させるようにし、さらに、前記保形具主
体の裏面板の側端に胴取付ベルト体を取付けて、
必要時に容易に着用し得るようにした帯保形具を
提供するものである。

本考案の実施例を図面について説明すると、１
は厚手の不織布又は柔軟性を有する合成樹脂板状
物その他の適度な腰と柔軟性を有する材料より形
成された保形具主体で、帯ａの巾よりも縦巾、横
巾共に小さい矩形状の表面板２と、この表面板２
よりもやゝ大巾の裏面板とからなり、これ等の表
裏面板２，３を重ね合わせてその上端縁を縫着４
等により一体に固定してあり、対向面における両
側下端隅部には互いに係合可能な雌雄ホツク５，
６を取付けてある。

さらに、表面板２の裏面両側部には縦方向に保
持バンド片７，７を並設し、該バンド片７，７の
上下端部を表面板２の上下端部に縫着等により固
着して表面板２とバンド片７，７間に２つ折りし
た帯部分を挿通、保持可能にしてある。なお、こ
のバンド片７，７の一方の端部を表面板２に適宜
な留具を介して着脱可能にしてもよい。

８，８は裏面板３の両側縁部の中央からやゝ上
部寄りの側端部に縫着等により一体に取付けた胴
取付ベルト体で、帯ａの２分の１の巾よりもやゝ
小巾に形成されてあり、これらのベルト体８，８
の使用時における互いに重合する面にベルベツト
式雌雄フアスナー９，１０を取付けてある。

１１は保形具主体１の表面板２よりも小さい形
状に形成している保持板で、保形具主体１と同一
材料よりなり、その表面中央両側部と上端中央部
とに一条の紐状態１２の挿通環部１３を布片等で
形成、固定していると共に表面両側部に縦方向に
並行させて帯固定バンド片１４，１４の上端部を
縫着等によつて固定し、これらのバンド片１４，
１４の下半部を保持板１１の下端から下方に延出
させてその下端部と前記保形具主体１の表面板２
の表面両側下端部との対向面に互いに係脱可能な
ベルベツト式雌雄フアスナー片１５，１６を取付
けてある。

さらに、表面板２の両側縁上部と保持板１１の
両側縁部との対向面に互いに係脱可能な雌雄ホツ
ク等の適宜な留具１７，１８を取付けてある。

又、保持板１１の両側上端部に円弧状に切欠き
１９，１９を設けて帯ａを装着した場合に保持板
１１が完全に被覆されるようにしてある。

以上のように構成した帯保形具に帯ａを装着す
るには、まず、第３図に示すように、帯ａの一端
から垂れ部（以下、太鼓部ｂとする）の長さ寸法
を残した他の部分を全長に亘つて２つ折りし、そ
の他端手部ｃを保形具主体１の表面板２の裏面に
並設した保持バンド片７，７に一方のバンド片か
ら他方のバンド片に向かつて挿通して適宜長さ水
平方向に延出すると共に一方のバンド片側の２つ
折り帯部を保形具主体１の裏面板３の裏面に折返
して着用者の胴回りに巻装する長さ寸法だけ延出
させたのち再び折返し重合してこの重合部で胴回
部ｄを形成する。さらに、一方のバンド片側に残
つた太鼓部ｂを有する２つ折り帯部を保形具主体
１の表面板２上に重ねて上方に向かつて直角に折
り曲げ（第３，４図）、太鼓部ｂを上方に延出さ
せておく。又、表裏面板２，３をホツク５，６の
係合により完全に固定して２つ折り帯部の所定個
所を挾持する。

次に、帯ａの他端手部ｃの先端部を適宜長さ拡
げて長さ方向に２つ折りしたのち、中央部を圧縮
するように寄せ合わせて左右に羽根ｅ，ｅを形成
したふくら雀帯形ｆとしたのち、該ふくら雀帯形
ｆの中央を適宜な紐状物２０で結着すると共にこ
のふくら雀帯形ｆに帯枕２１を添接して保持板１
１の表面上部に載置し、これ等を紐状物１２によ
つて保持板１１に括り付けて固定する。

次いで、第３，５図に示すように、前述した保
形具主体１の表面板２の裏面から他側方に延出し
た２つ折り帯部を該表面板２上に折り返して前記
太鼓部ｂ側の直角折り曲げ部ｇ上に重ね合わせな
がら同様に上方に向かつて直角に折り曲げ、その
折り曲げ部ｈと前記ふくら雀帯形ｆを設けた保持
板１１間の２つ折り帯部i′を第６図に示すように
長さ方向に２つ折りして折り曲げ部ｈ上に重ね合
わせながら、保持板の下部を太鼓部ｂ側の折り曲
げ部ｇ、即ち、前記第４図に示す折り曲げ部ｇの
折り重ねg′，g′間に挿入し（第７図）、保形具主
体１の表面板２の両側部に保持板１１の裏面両側
部を留具１７，１８によつて互いに係合させるこ
とにより両者を一体に重合、連結させると共に保
持板１１の表面両側部に並設した帯固定バンド片
１４，１４を表面板２上に折り重ねた２つ折り帯
部上の両側部に密接させ、その下端と表面板２の
表面両側下端部とをベルベツト式雌雄フアスナー
片１５，１６によつて係止して折り重ねた２つ折
り帯部を固定する。

しかるのち、太鼓部ｂを下方に折り曲げて表面
板２の表面を完全に被覆するように垂下させるこ
とによりふくら雀帯結びを構成するものである。

第９図は裏面側から見た帯の取付状態図で、こ
れを着用する場合には、保形具主体１の裏面板３
を着物の背部に当てがい、胴取付ベルト体８，８
を胴回りに巻装してベルベツト式雌雄フアスナー
片９，１０により適宜個所で固定し、しかるの
ち、胴回部ｄをベルト体８，８上に巻装、被覆
し、その先端部を前記折り曲げ部ｇ，ｈ間、又
は、表裏面板１，２間に挿入、挾持させたのち、
帯紐（図示せず）で胴回部ｄを固定すると共に帯
枕２１の紐部を胴回りに結着すればよい。

又、着用しない時には、第１１図に示すように
胴回部ｄを保形具主体１の裏面板３に折り畳んで
コンパクトにし、必要時には直ちに着用できる状
態にしてたんす等に収納しておくものである。

なお、以上の実施例においては、ふくら雀帯形
について述べたが、帯ａの端部で形成できるその
他の変形帯結びにも適用できるのは勿論である。

以上のように本考案は、帯の胴回部を水平方向
に保持する平板状の表面板２と裏面板３とからな
る保形具主体１と、表面にふくら雀帯形等の変形
帯形部と帯枕とを結着する紐状物１２を装着した
保持板１１とからなり、この保持板１１の裏面を
前記保形具主体１の表面板２に適宜の留具１７，
１８により着脱自在に係合させると共に保形具主
体１の裏面板３の側端に胴取付ベルト体８，８を
取付けてなる帯保形具に係るものであるから、平
板状の表面板２と裏面板３とからなる保形具主体
１に帯ａを適宜折り曲げながら取付けて太鼓部や
胴回部を簡単に形成でき、しかも表裏面板２，３
間で帯ａの２つ折り部の適所を挾持させて帯を所
定個所に確実に固定できると共に保持板１１にふ
くら雀帯形等の変形帯形部を結着させるものであ
るからその作業が容易且つ正確に行え、その上、
この保持板１１を保形具主体１の表面板２上に適
宜な留具１７，１８により重合、係止させるよう
にしているので、変形帯形部を所定位置に正確に
取付けられるばかりでなく、保形具主体１の表面
板２上に折り畳まれる帯部を該保形具主体１と保
持板１１とで挾持、固定して形崩れを生じさせる
ことなく実際の着付けと同様な状態に保持し得る
ものである。

さらに、このような変形帯結びを行うのに、保
形具主体１や保持板１１に何等の金具も装着して
いないので、帯を損傷させたり部分的な嵩張りを
生じさせたりする虞れもないものである。

又、着用しない場合には、このようにコンパク
トに帯整形を行つた状態で収納しておくことがで
き、使用時には保形具主体１１の裏面板３に取付
けた胴取付ベルト体８，８を胴部に装着すること
によつて一人で簡単に着用でき、しかも圧迫感を
受けることなく安定した状態で着用できるもので
ある。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施例を示すもので、第１図は
斜視図、第２図は表面板を開いた状態の要部の斜
視図、第３図は帯の取付態様を示す全体的な分解
斜視図、第４図乃至第８図は帯取付順序の説明図
第９図は取付けた帯の背面図、第１０図は正面
図、第１１図は胴回部の折畳み状態を示す裏面側
からの斜視図である。 １……保形具主体、２……表面板、３……裏面
板、８，８……胴取付ベルト体、１１……保持
板、１２……紐状物、１７，１８……留具。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 帯の胴回部を水平方向に挾持する平板状の表面
   板２と裏面板３とからなる保形具主体１と、表面
   にふくら雀帯形等の変形帯形部と帯枕とを結着す
   る紐状物１２を装着した保持板１１とからなり、
   この保持板１１の裏面を前記保形具主体１の表面
   板２に適宜の留具１７，１８により着脱自在に係
   合させると共に保形具主体１の裏面板３の側端に
   胴取付ベルト体８，８を取付けてなる帯保形具。