JPS6233291Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、１次コイルボビンと２次コイルボビ
ンとを別々に形成して、絶縁ケースに組込むこと
により、各ボビンに各コイルを容易に自動捲回で
きるようにする種類のトランスに関し、線占率を
高く維持しながらも、各ボビンにピン端子を離脱
しないように確り固定でき、かつ、ピン端子への
結線作業を容易にするようにする事を目的とす
る。

この種類のトランスは、端子がリード線端子に
なつており、ピン端子を用いたものがなかつた。
このリード線端子トランスにおいては、各ボビン
及び絶縁ケースを柔軟な熱可塑性樹脂で薄く形成
することにより、各コイルの線占率を高め、小形
高能力にしていた。

このリード線端子トランスの構造をそのまま利
用して、その各ボビンにピン端子を植立すること
により、ピン端子トランスに造り変えることを本
考案者が考えた。ところが、トランスを製造した
後、ピン端子に電線をハンダ付けするときに、ハ
ンダ付けの高熱でボビンが軟化・溶融し、ピン端
子が抜け出してしまう欠点がある。

この欠点を解消するために、各ボビン及び絶縁
ケースを全て熱硬化性樹脂製にすることを考え
た。が、熱硬化性樹脂は脆いため、破損しないよ
うに厚くする必要があり、絶縁ケースは他物の衝
突に耐え得るように特に厚くする必要がある。こ
のため、コイルの線占率が著しく低下し、トラン
スが大型化小能力化してしまう。

本考案は上記諸欠点を解消するために、各ボビ
ンを熱硬化性合成樹脂製とすることにより、ハン
ダ付け時にピン端子が抜け出す事を無くし、絶縁
ケースを熱可塑性樹脂で薄くても丈夫に形成する
ことにより、コイルの線占率を高め、かつ、下方
のコイルボビンのピン立部を立ち上げ形成して、
このピン立部の上面を上方のコイルボビンのピン
立部の上面と略同じ高さに位置させるとともに、
各ピン立部の上面に各ピン端子を上方に向けて設
けることにより、ピン端子への結線作業を容易に
するものである。

以下本考案の実施例を図に基き説明する。

第１図・第２図に示すように、トランスは絶縁
ケース１に１次コイル２巻装の１次コイルボビン
４と２次コイル３巻装の２次コイルボビン５を挿
入後、この絶縁ケース１の端面部分を絶縁カバー
１８で覆い、これをＥ型鉄心６に装着し、更にこ
のＥ型鉄心６にＩ型鉄心７を組合せて形成され
る。各コイルボビン４，５のピン立部１５，１６
をトランスの同一面に臨ませ、ここにピン端子８
を植立し、又コイル２，３の外周面は絶縁ケース
１等で全面を覆うよう形成する。

第３図に示すように、絶縁ケース１は略コ字状
の側壁１ａと鉄心挿入口９の周りの底壁１ｂ・中
壁１ｃとで形成され、その下段にはその前面を開
口した１次コイルボビン挿入室１０を形成し、上
段には前面と上面を開口した２次コイルボビン挿
入室１１を形成する。

各コイルボビン４，５は、鉄心挿入口１２とな
る角筒状の絶縁壁１３の周囲に上鍔４ａ，５ａと
下鍔４ｂ，５ｂとを一体に形成し、その内部にコ
イル巻溝１４を形成してなる。１次コイルボビン
４の上鍔４ａの上面前端部には高い厚壁状のピン
立部１５を立設し、又２次コイルボビン５の上鍔
５ａの上面後端部には台状のピン立部１６を形成
する。第２図に示すように、組立状態において、
１次コイルボビン４のピン立部１５で２次コイル
ボビン５のコイル巻溝１４の前面を覆うよう形成
し、又両ピン立部１５，１６の上面をトランスの
上面に臨ませて形成し、このピン立部１５，１６
の上面のピン穴１７にピン端子８を垂直に植立
し、両ピン端子８の頂部が同一高さになるように
形成する。絶縁ケース１からのコイルボビン４，
５の脱落を防ぐための絶縁カバー１８は、トラン
スの前端部を外側から覆うよう箱状に形成し、そ
の側壁の上下の止穴１９を２次コイルボビン５の
上鍔５ａ側部の止具２０と絶縁ケース１の底壁１
ｂ側部の止具２１とに嵌合して絶縁ケース１・コ
イルボビン４，５・絶縁カバー１８を一体に組合
せて形成する。尚、ピン端子８に結線の際の入熱
で樹脂が軟化してピン端子８が離脱しないよう
に、コイルボビン４，５は熱硬化性樹脂で成形す
る。又各コイル２，３の線占率を高めるために、
絶縁ケース１・絶縁カバー１８は柔軟で可撓性の
ある熱可塑性樹脂で薄く形成する。

本考案は、以上のようにコイルボビンを熱硬化
性樹脂で製作するので、結線時の入熱で樹脂が溶
融軟化してピン端子が離脱することはないため、
トランスの組立が容易になり、かつ不良品も発生
しない。また絶縁ケースを熱可塑性樹脂で製作す
るので、絶縁ケースを薄く形成することができる
ため、各コイルの線占率を高めて、トランスを高
能力化することができる。

また、下方のコイルボビンのピン立部を立ち上
げ形成して、このピン立部の上面を上方のコイル
ボビンのピン立部の上面と略同じ高さに位置させ
るとともに、各ピン立部の上面に各ピン端子を上
方に向けて設けるので、ピン端子への結線作業や
ピン端子の植立作業が容易になると共に、両ピン
端子を脚としてトランスを取付ける際トランスの
安定性が良い。

【図面の簡単な説明】

図は本考案の実施例を示し、第１図は横断面
図、第２図は縦断面図、第３図は絶縁ケース・コ
イルボビン・絶縁カバーの分解斜視図、 １……絶縁ケース、４……１次コイルボビン、
５……２次コイルボビン、８……ピン端子、１０
……１次コイルボビン挿入室、１１……２次コイ
ルボビン挿入室、１４……コイル巻溝、１５，１
６……ピン立部。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ 熱可塑性樹脂で形成した絶縁ケース１の上下
   に１次コイルボビン挿入室１０と２次コイルボ
   ビン挿入室１１を形成し、１次コイルボビン挿
   入室１０に１次コイルボビン４を、２次コイル
   ボビン挿入室１１に２次コイルボビン５を挿入
   し、各コイルボビン４，５を熱硬化性樹脂で形
   成し、各コイルボビン４，５のうち上方に位置
   するコイルボビン５の端部にピン立部１６を形
   成するとともに、このピン立部１６から遠く離
   した状態で下方に位置するコイルボビン４の端
   部にピン立部１５を形成し、下方のコイルボビ
   ン４のピン立部１５を立ち上げ形成して、この
   ピン立部１５の上面を上方のコイルボビン５の
   ピン立部１６の上面と略同じ高さに位置させ、
   各ピン立部１５，１６の上面に各ピン端子８を
   上方に向けて設けたことを特徴とするトラン
   ス。 ２ 実用新案登録請求の範囲第１項に記載したト
   ランスにおいて、下方のコイルボビン４のピン
   立部１５で上方のコイルボビン５のコイル巻溝
   １４の絶縁ケース１外に臨む面を絶縁状に覆つ
   たもの。