JPS6225843B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、自動車等の車両に搭載したオーバヘ
ツドカム式の内燃機関において、そのシリンダヘ
ツド内における動弁機構に対する潤滑油を、オイ
ルパン内に速みやかに還流するための装置に関す
るものである。

従来、オーバヘツドカム式の内燃機関において
その動弁機構を潤滑したあとの潤滑油は、例えば
実開昭51−151840号公報等に記載されているよう
に、内燃機関におけるシリンダブロツク及びシリ
ンダヘツドに、前記動弁機構を内蔵したシリンダ
ヘツド上面室とクランクケースとを連通するよう
に穿設したベンチレーシヨンホールから、前記ク
ランクケースの下部におけるオイルパンに自然流
下で戻すように構成していることは周知のとおり
である。

しかし、このベンチレーシヨンホール内には、
クランクケース内に漏れたブローバイガスがシリ
ンダヘツド上面室に向うように上向きに流れてい
て、潤滑油はこのブローバイガスの流れに逆つて
流下するので、ベンチレーシヨンホールからの潤
滑油は流下し難くて、シリンダヘツド上面室内に
溜り気味となり、特に、機関の高負荷、高回転域
ではクランクケースからシリンダヘツド上面室に
向うブローバイガスの量が多くなるから、シリン
ダヘツド上面室内における潤滑油の溜り気味の傾
向は増大する（潤滑油が殆んど流れず、溜る一方
になる）ことになる。その結果、シリンダヘツド
上面室内から機関の吸気系又は排気系に抽出する
ブローバイガスに同伴する潤滑油が多くなるか
ら、機関の排気ガス中の有害成分が増大すると共
に、潤滑油の消費量が増大する。

そこでこれを防止するには、前記ベンチレーシ
ヨンホールの断面積を大きくすれば良いが、あま
り断面積の大きな孔をあけたり、多数の孔をあけ
ることは、機関の強度の低下につながり、また、
機関強度を保つたままこのようにすることは機関
自体をそれだけ大きくしなければならず、機関が
大型になるのであつた。

本発明は、真空式制動倍力装置を備えた自動車
等の車両に搭載される機関には、車両における真
空式制動倍力装置の真空源である真空ポンプが附
属され、この真空ポンプは車両の制動を行なわな
いときには空転状態になつていることに鑑み、こ
の真空ポンプにおける空転区間を利用して、前記
シリンダヘツド内に溜る潤滑油を真空ポンプにて
オイルパンに強制的に還流することにより、前記
の不具合を解消したものである。

このため本発明は、シリンダヘツド上面室に動
弁機構を内蔵したオーバヘツドカム式の車両用内
燃機関において、前記シリンダヘツド上面室の底
部にオイル抜きポートを設け、該オイル抜きポー
トからのオイル通路を、車両のブレーキペタルに
関連する真空式制動倍力装置から前記内燃機関に
て駆動される真空ポンプの吸入口への真空通路に
接続し、この接続箇所には、車両の制動操作に関
連して、制動時には前記真空ポンプの吸入口と前
記真空式制動倍力装置とを連通し、非制動時には
前記真空ポンプの吸入口と前記オイル通路とを連
通するように切換えるための切換手段を設ける一
方、前記真空ポンプの吐出口を、前記内燃機関に
おけるクランクケース又はオイルパンに接続した
構成にしたものである。

このように構成すると、車両のブレーキペタル
を踏み込んでの制動時には、真空ポンプの吸入口
には真空式制動倍力装置が連通しているが、ブレ
ーキペタルを踏み込まない非制動時には、オイル
通路が真空ポンプの吸入口に連通することによ
り、シリンダヘツド上面室内の潤滑油は、真空ポ
ンプによつて吸い出されたのち、当該真空ポンプ
の吐出口からクランクケース又はオイルパンに戻
されると言うように、車両の非制動中において、
真空ポンプによつてオイルパンに強制的に還流す
ることができるのである。

以下実施例の図面について説明すると、図にお
いて１は、シリンダブロツク２、シリンダヘツド
３、シリンダヘツドカバー４及びオイルパン５を
有するオーバヘツドカム式の内燃機関を示し、シ
リンダヘツド３の側面には、エアクリーナ６及び
気化器７を有する吸気マニホールド８が取付き、
また、シリンダヘツド３の上面室９内には、吸気
弁、排気弁に対するカム軸１０及び揺動アーム１
１，１２等の動弁機構１３が設けられ、その上面
室９とクランクケース１０内とは、シリンダブロ
ツク２及びシリンダヘツド３を貫通して形成した
ベンチレーシヨンホール１４，１５を介して連通
し、クランクケース１０内に漏れたブローバイガ
スはベンチレーシヨンホール１４，１５を通つて
上面室９に至り、シリンダヘツドカバー４に設け
た気液分離室１６からブローバイ通路１７を介し
て前記エアクリーナ６等の吸気系又は機関の排気
系（図示せず）に排出され燃焼処理される。ま
た、オイルパン５内の潤滑油は機関のクランク軸
１８から駆動される潤滑油ポンプ（図示せず）に
よつて機関の各種摺動又は回転部分に送られたの
ちオイルパン５に還流するようになつており、潤
滑油ポンプからの一部の潤滑油は前記動弁機構１
３に送られる。

１９は機関１のクランク軸１８に連動するか、
或いはクランク軸１８に連動するオルターネータ
（図示せず）に直結した真空ポンプ、２０は車両
におけるブレーキペタル、２１は該ブレーキペタ
ル２０に連動する真空式制動倍力装置、２２は該
制動倍力装置２１に通路２３を介して接続した真
空タンクを各々示し、ブレーキペタル２０を踏め
ば、制御倍力装置２１のブースターがマスターシ
リンダを真空圧で作動することにより、マスター
シリンダから車両の各車輪におけるブレーキ装置
のホイールシリンダに高い圧力の油圧が送られて
制動作用するようになつている。

前記真空ポンプ１９の吐出口２４は通路２５を
介してクランクケース１０又はオイルパン５の上
部に接続される。一方、前記シリンダヘツド３に
はその上面室９内における潤滑油を抽出するため
のオイル抜きポート２６を設け、該ポート２６か
らのオイル通路２７と、前記真空式制動倍力装置
２１への真空通路２８とを、前記真空ポンプ１９
の吸入口２９に接続する箇所には、電磁ソレノイ
ド式等の三方弁３０を設ける、この三方弁３０は
その電磁ソレノイド３１に通電しないときは、真
空通路２８を閉じる一方、オイル通路２７を真空
ポンプ１９に連通しているが、電磁ソレノイド３
１への通電によつて、オイル通路２７を閉じる一
方、真空通路２８を真空ポンプ１９に連通する如
く切換わるようになつており、三方弁３０におけ
る電磁ソレノイド３１とバツテリー３２とをつな
ぐ電気回路３３中に、前記ブレーキペタル２０に
関連し、ブレーキペタル２０を踏めばONになる
スイツチ３３を設けて成るものである。なお、３
４はブレーキペダル２０を踏んだとき点灯するス
トツプランプを示す。

この構成において、ブレーキペダル２０を踏ま
ないと三方弁３０はシリンダヘツド３におけるオ
イル抜きポート２６からのオイル通路２７を真空
ポンプ１９に連通しているから、シリンダヘツド
３の上面室に溜る潤滑油は若干のブローバイガス
と共に、ポート２６及び通路２７を経て真空ポン
プ１９にて吸出されたのち、その吐出通路２５か
らオイルパン５に戻されることになり、上面室９
に溜り気味の潤滑油は真空ポンプ１９によつてオ
イルパン５に強制的に還流され、上面室９内に一
定以上に溜まることが防止される。そして、車両
の制動に際して、ブレーキペダル２０を踏めばス
イツチ３３のONによつて三方弁３０が、真空式
制動倍力装置２１への真空通路２８を真空ポンプ
１９に連通するように切換わるから、前記シリン
ダヘツド３の上面室９からの潤滑油の吸出を停止
すると同時に、制動倍力装置２１に真空ポンプ１
９による真空圧が作用して、車両の制動が真空圧
によつて強力に行なわれるのである。

以上の通り本発明によると、特許請求の範囲に
記載した構成にしたことにより、シリンダヘツド
上面室における潤滑油を、車両の非制動時におい
て車両の真空式倍力装置における真空ポンプを利
用してオイルパンに強制的に還流することができ
るから以下のような効果を奏する。

クランクケースからシリンダヘツド上面室へ
のブローバイガスが、内燃機関の高負荷・高回
転域において多くなることによつてシリンダヘ
ツド上面室に潤滑油が溜り気味になつても、高
負荷・高回転域では車両の制動操作の頻度が少
ないので、シリンダヘツド上面室に潤滑油が溜
り気味になることを確実に解消できる。

その結果、ブローバイガスと一緒に消失する
潤滑油の量を低減できる一方、シリンダヘツド
及びシリンダブロツクに設けられるベンチレー
シヨンホールの断面積を大きくする必要がない
から、内燃機関の小型・軽量化を図ることがで
きる。

車両の非制動時において真空ポンプを経てオ
イルパンに還流する潤滑油によつて、真空ポン
プを同時に潤滑できるから、真空ポンプに対す
る潤滑の手数を省くことができて、構造の簡単
化を達成できる。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明の実施例を示す図である。 １…内燃機関、２…シリンダブロツク、３…シ
リンダヘツド、９…上面室、１３…動弁機構、２
０…ブレーキペダル、２１…真空式制動倍力装
置、１９…真空ポンプ、２８…真空通路、２６…
オイル抜きポート、２７…オイル通路、３０…三
方弁。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ シリンダヘツド上面室に動弁機構を内蔵した
   オーバヘツドカム式の車両用内燃機関において、
   前記シリンダヘツド上面室の底部にオイル抜きポ
   ートを設け、該オイル抜きポートからのオイル通
   路を、車両のブレーキペタルに関連する真空式制
   動倍力装置から前記内燃機関にて駆動される真空
   ポンプの吸入口への真空通路に接続し、この接続
   箇所には、車両の制動操作に関連して、制動時に
   は前記真空ポンプの吸入口と前記真空式制動倍力
   装置とを連通し、非制動時には前記真空ポンプの
   吸入口と前記オイル通路とを連通するように切換
   えるための切換手段を設ける一方、前記真空ポン
   プの吐出口を、前記内燃機関におけるクランクケ
   ース又はオイルパンに接続したことを特徴とする
   内燃機関における潤滑油の還流装置。