JPS6224833Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、トルク伝達に巻締用コイルスプリ
ングを使用する電磁スプリングクラツチに関する
ものである。

周知のように、電磁スプリングクラツチは、入
力回転部材と出力回転部材のいずれか一方、また
は双方を、巻締用コイルスプリングにより巻締め
て一体に連結し、両者を一体に回転させることに
より入力回転部材側から出力回転部材側にトルク
を伝達するクラツチであつて、小形で応答性に優
れているため、各種機器の動力伝達系中に使用さ
れているが、１本の入力軸上に所要数個取付け
て、それぞれ異つた系統へのトルクの同時取出し
を行なうのに適した電磁スプリングクラツチがな
かつた。

そこで、最近、１本の入力軸上に所要数個取付
けて、同時に、あるいは各別に作動させて、異る
系統へのトルク伝達を行なうことができる電磁ス
プリングクラツチの開発が強く望まれてきた。

この考案は、上述の要望に応えた小形で、応答
性に優れた電磁スプリングクラツチを提供するも
ので、中心部に設ける入力回転部材としての管軸
と、この管軸上への空転自在の同心支持とし、管
軸の長さ方向の中間部に設けたボス部に隣在する
ボス部を有してなり、かつ、このボス部の外径を
前記管軸のボス部と同径もしくは僅かに小径とし
てなる出力回転部材と、前記管軸と出力回転部材
におけるボス部の外周面との間に環状空隙を形成
し、かつ、前記管軸と出力回転部材に対して空転
自在に同心支持したスリーブと、前記空隙内に装
入し、管軸のボス部と出力回転部材のボス部の双
方または少なくとも管軸のボス部に対して巻締習
性をもち、かつ、一端を前記出力回転部材に、ま
た、他端を前記スリーブに掛止してなる巻締用コ
イルスプリングと、前記スリーブの端面に形成し
た掛合部に掛合自在の掛合部を有し、前記スリー
ブの端面方向への傾動を自在とした非回動のアー
マチユアと、電磁コイルを内蔵し、前記アーマチ
ユアを、スリーブとの掛合から解放する方向に磁
気吸引自在としたフイールドコアとを有してなる
点に特徴がある。

ついで、この考案の電磁スプリングクラツチを
実施例により図面を参照しながら説明する。

第１図にはこの考案の電磁スプリングクラツチ
の実施例を縦断側面図で示してあり、第２図には
正面図で示してある。図面に示したように、この
考案の電磁スプリングクラツチは、１本の入力軸
Ａへの嵌め合せ固着を自在とした入力回転部材と
しての管軸１を中心にして各部材を組付けてあ
る。

管軸１は長さ方向の中間部にボス部１Ａを有
し、ボス部１Ａに隣在するボス部２Ａをもつた出
力回転部材２を空転自在に同心支持している。

出力回転部材２は第３図に背面図で、また、第
４図に側面図で示すよう、ボス部２Ａとフランジ
部２Ｂとを有し、この実施例では管軸１上に直接
支持してあるが、ベアリングを介して管軸１に支
持することもある。

また、管軸１は、本体部分とボス部とに分けて
形成し、一体に結合してもよい。

出力回転部材２のボス部２Ａの外径は、管軸１
のボス部１Ａの外径と同寸あるいは僅かに小寸に
定めてある。

前記ボス部１Ａと２Ａの外周面との間に環状の
空隙Ｓを形成するスリーブ３を、管軸１と出力回
転部材２に対して、空転自在に同心支持してあ
る。

空隙Ｓ内には巻締用コイルスプリング４を装入
してある。

コイルスプリング４は、管軸１の回転方向の回
動をゆるみ方向とし、ボス部１Ａ及び２Ａへの巻
締習性を有するが、ボス部２Ａの外径をボス部１
Ａの外径よりも僅かに小寸に形成してあるときに
はボス部１Ａのみを巻締めている。

コイルスプリング４は第５図に正面図で、ま
た、第６図に側面図で示してあるように、一方の
端部４Ａを軸線方向外方に折曲げ、他方の端部４
Ｂを半径方向外方に折曲げてあつて、端部４Ａを
出力回転部材２の孔１０に、また、端部４Ｂをス
リーブ３の切欠１１にそれぞれ掛止してある。

スリーブ３は、第７図に背面図で示し、第８図
に側面図で示してあるように、端面３ａに半径方
向の溝からなる掛合部５を１または複数形成して
ある。

一方、前記掛合部５に掛合自在の掛合部６を自
由端側の端部左右中心位置に設けたアーマチユア
７を、電磁コイル８を内蔵したフイールドコア９
の外極部材９Ａに、ピン１２によりヒンジ結合し
てある。

アーマチユア７は、第９図に正面図で示し、第
１０図に縦断側面図で示してあるように、矩形の
励磁可能の金属板製とし、中央部に管軸１を挿通
する孔１３を設け、下端にピン１２を挿通する軸
受部１４，１４を形成してある。

フイールドコア９は、第１１図に正面図で示
し、第１２図に縦断側面図で示してあるように、
外極部材９Ａと内極部材９Ｂを一体結合してあ
り、外極部材９Ａの下端に、ピン１２を挿通する
軸受部１５を形成してある。

電磁コイル８は、フイールドコア９の外極部材
９Ａと内極部材９Ｂを一体に結合する際に、円筒
状とした内極部材９Ｂに組付けるボビン１６に巻
付けてあり、外部電源に接続するようにしてあ
る。

ボビン１６の前面の上部左右側にはばね受部１
７，１７（一方のみ第１図中に示す）を設けてあ
り、一端部を前記ばね受部１７内に当接した弾性
部材として圧縮スプリング１８を、それぞれ前記
アーマチユア７の背面上部に当接させてある。

圧縮スプリング１８は、アーマチユア７に対し
スリーブ３の端面３ａ方向への傾動習性を与える
弾性部材である。

なお、弾性部材は、アーマチユア７に傾動習性
を与える部材であればゴムその他であつてもよ
い。また、先記掛合部５を突起とし、掛合部６を
切欠としてもよい。

その他、図中に仮想線で示す取付板１９は、入
力軸Ａを支持する機器フレームの一部であり、同
じく仮想線で示すプーリ２０は、出力回転部材２
のねじ孔２１を使用してねじ止め固定する出力プ
ーリであり、機器駆動部にベルト掛けにより駆動
源のトルクを伝達する。

上述の構成としたこの考案の電磁スプリングク
ラツチは、１本の入力軸Ａ上に、中心の管軸１を
嵌め合せ、ロツクボルト等により固定して使用す
るが、その際、機器フレームの一部である取付板
１９またはこれに代る固定部材にフイールドコア
９を固定しておく。

前記入力軸Ａが例えば自動販売機内部の主軸で
あれば、この考案の電磁スプリングクラツチを所
要数取付けておき、出力回転部材２にプーリ２０
あるいはこれに代えて、カム、歯車などを取付け
ておくことにより、複数の系統に１本の入力軸Ａ
からトルクを伝達できるものとなる。

動作は、電磁コイル８に電圧を印加すると、フ
イールドコア９からアーマチユア７に亘つて磁束
が生じ、励磁したアーマチユア７がフイールドコ
ア９に磁気吸着する。

これによつてスリーブ３の掛合部５からアーマ
チユア７の掛合部６がはずれ、入力軸Ａと一体に
回転している管軸１と出力回転部材２とスリーブ
３は、スプリング４を介して一体に結合して回転
し、入力軸Ａに固定してある管軸１から出力回転
部材２に取付けてあるプーリ２０等を介し、負荷
側へのトルク伝達が行なわれる。

つぎに、電磁コイル８への電圧印加を停止する
と、解磁状態となつたアーマチユア７は、圧縮ス
プリング１８，１８（一方のみ図示）に押されて
スリーブ３の端面３ａ方向に傾動し、掛合部６が
掛合部５に掛合する。

これによつてスリーブ３は１回転以下の回転範
囲内で回転を阻止されることになり、端部４Ｂを
スリーブ３に掛止しているコイルスプリングが瞬
間的に巻戻され、コイルスプリング４を介して連
結されている出力回転部材２が回転を中止し、負
荷側へのトルク伝達が中断する。入力軸Ａ上に、
この考案の電磁スプリングクラツチを複数取付け
てあるとき、１つの電磁スプリングクラツチがト
ルク伝達を中断しても、他はそれぞれの状態で作
動していて互いに影響を及ぼすことはない。

以上の説明から明らかなように、この考案の電
磁スプリングクラツチは、１本の入力軸上に所要
数を簡単に取付けることができ、複数の系統への
トルク伝達及び中止を各別に自由に操作できるの
で、自動販売機や１本の主軸から多くの系統にト
ルクを取出す機器に使用できるなど優れた利点を
有するものである。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の電磁スプリングクラツチの
実施例を示す縦断側面図、第２図は正面図、第３
図、第４図は出力回転部材を示し、第３図は背面
図、第４図は側面図、第５図、第６図は巻締用コ
イルスプリングを示し、第５図は正面図、第６図
は側面図、第７図、第８図はスリーブを示し、第
７図は背面図、第８図は側面図、第９図、第１０
図はアーマチユアを示し、第９図は正面図、第１
０図は側面図、第１１図、第１２図はフイールド
コアを示し、第１１図は正面図、第１２図は側面
図である。図面において、 Ａ……入力軸、１……管軸、１Ａ……ボス部、
２……出力回転部材、２Ａ……ボス部、３……ス
リーブ、３ａ……端面、４……巻締用コイルスプ
リング、４Ａ，４Ｂ……端部、５，６……掛合
部、７……アーマチユア、８……電磁コイル、９
……フイールドコア、Ｓ……空隙。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 中心部に設ける入力回転部材としての管軸１
   と、この管軸１上への空転自在の同心支持とし、
   管軸１の長さ方向の中間部に設けたボス部１Ａに
   隣在するボス部２Ａを有してなり、かつ、このボ
   ス部２Ａの外径を前記ボス部１Ａと同径もしくは
   僅かに小径としてなる出力回転部材２と、前記ボ
   ス部１Ａと２Ａの外周面との間に環状空隙Ｓを形
   成し、かつ管軸１と出力回転部材２に対して空転
   自在に同心支持したスリーブ３と、前記空隙Ｓ内
   に装入し、前記ボス部１Ａと２Ａのうち少なくと
   も管軸１のボス部１Ａに対して巻締習性をもち、
   かつ、一端部４Ａを出力回転部材２に、また、他
   端部４Ｂをスリーブ３に掛止してなる巻締用コイ
   ルスプリング４と、前記スリーブ３の端面３ａに
   形成した掛合部５に掛合自在の掛合部６を有し、
   前記スリーブ３の端面３ａ方向への傾動を自在と
   した非回動のアーマチユア７と、電磁コイル８を
   内蔵し、前記アーチユア７を、掛合部６と５の掛
   合解放方向に磁気吸引自在としたフイールドコア
   ９とを有してなる電磁スプリングクラツチ。