JPS6222602B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明はシートクツシヨンおよびその製造法
に関する。

従来、複雑な外形を具えた座席用クツシヨンを
軟質合成樹脂発泡体を素材として作成するには一
般に発泡成形法によつていた。すなわち、製品の
外形に相応する鋳込み空間を有する発泡成形用型
内に、予め真空成形によつて製品の外形に対応す
る凹凸形状を与えたポリ塩化ビニルレザーのよう
な表面材を配置し、これに発泡硬化性合成樹脂原
液たとえば軟質ポリウレタンフオーム原液を注入
して表面材が付着した発泡成形品を生産する方法
が採られてきた。このような方法は、従来のシー
トクツシヨンの製法のように、クツシヨン材を裁
断したり、形作りを行つたり、表面材を縫合わせ
たりと言つた手工芸的な作用を省略できるので生
産効率は高いが、反面発泡装置や型に多額の費用
を要し、かつ製造技術も熟練を要するため、少量
多品種の生産には向かないので必ずしも経済的な
方法とは言えない。

この発明は、各種のシートクツシヨン中でも改
良された乗物座席用シートクツシヨンおよびその
製造法に係るもので、さらに詳しく言うと、走行
中の急制動や急回転によつて座席からすべり落ち
るおそれがないように、かつ美観を高めるため
に、座部中心に比べて周縁部が著しく隆起したシ
ートクツシヨンを簡単に作成できる方法を提供す
るものである。すなわち、シートクツシヨンの素
材として選定した可撓性合成樹脂フオームの良好
な弾力的変形性を十分に活用し、積層されたフオ
ーム板に押圧刃によるプレス加工を施すことによ
り、一挙に３次元曲面からなる所望外形のシート
クツシヨンを作成するものである。

この発明のシートクツシヨンの特徴は、表面
材、軟質合成樹脂フオーム板、該フオーム板と少
なくとも同等以上の厚みを有する周縁部に配置し
た別体のフオーム板および必要に応じ裏打材を重
ね合わせてこれらを押圧刃によるプレス加工によ
つて貼り合わせ成形したクツシヨン体であつて、
その周縁は前記別体のフオーム板によつて著しく
膨出した縁取部分を形成したこと、この周辺部の
断面がほぼ半円形をしていること、および前記周
辺部にその高さの1/2以下の深さの陥没溝を有す
ることである。

また、上記シートクツシヨンの製法の特徴は、
表面にバインダーを塗布ないし含浸させた上下２
枚の軟質合成樹脂フオーム板の周縁部に前記フオ
ーム板と少くとも同等以上の厚みを有するフオー
ム板を挾み込み、かつ上下両側にそれぞれ表面材
と裏打材を添わせたうえ押圧刃によるプレス加工
を施してこれら各積層材を一体に接合させ、さら
に表面に任意の凹凸模様を顕現させるとともに、
周縁部に配した厚手のフオーム板に断面がほぼ半
円形の丸味をつけること、および上記厚手のフオ
ーム板の部分に“表面材の吊込み加工”を模した
陥没溝部を形成させるため、この部分にフオーム
板を全体の厚さに亘つて圧縮するに足りない深さ
の押圧刃によるプレス加工を施すことにある。以
下この発明を添付の図面によつて具体的に説明す
る。

第１図はこの発明のシートクツシヨンの１例
を、第２図はその−線断面を示したもので、
ａは押圧刃によるプレス加工によつてキルテイン
グ様の装飾を施した着座部位、ｂはその周縁部を
取巻く著しく膨出した縁取り部分であつて、自動
車など乗物のシートである場合には急制動や急回
転時に塔乗車がすべり落ちるおそれをなくすほ
か、美観を呈するのに役立つものである。ｃは周
縁の膨出した縁取り部分に押圧刃によるプレス加
工によつて形成された“表面材の吊込み加工”を
模した陥没溝部で、装飾上のアクセントをなして
いる。

第３図は上記のようなシートクツシヨン製造工
程を示したもので、図において、１および２は表
面にバインダーを塗布ないし含浸させた２枚の可
撓性合成樹脂フオーム板であり、たとえば厚さ１
cmの軟質ポリウレタンフオーム板に湿分硬化性ポ
リウレタンプレポリマーを含浸させたものであ
る。３は２枚のフオーム板１と２の周縁部に挾み
込まれた厚さ10cm程度のフオーム板であり、前記
の薄いフオーム板１，２と同質であつてもよい
し、素材や密度の異る異質のフオーム板であつて
もよい。４はこれらフオーム板群の上側に添えら
れた伸縮性に富む編織布の類からなる表面材であ
り、５は同じく下側に添えられた粗目の布などの
裏打材で、布り代りに金属板が合板その他の粗剛
なシート材あるいは厚板材であつてもよい。６は
押圧刃で、第４図にその刃面６′を示してあり、
これは厚手のフオーム板３の部分に前述の“表面
材の吊込み加工”に似せた陥没溝部ｃを形成させ
るためのものである。通常のキルテイング法であ
れば陥没溝が製品の底部まで達しない溝を形成さ
せることは殆んど不可能であるが、この発明にお
いては、加工される素材が蒲鉾形の半円柱形であ
ることと、素材の表面にバインダーが塗布ないし
含浸されているという２つの条件が合わさつて、
押圧刃によつて圧迫されつつバインダーが硬化し
終つたのちに圧縮状態下で固化し緻密化したフオ
ームの部分が恰も“表面材の吊込み加工”におけ
る“吊込み糸”のように働くために、フオーム板
全体の厚さに達しない深さの陥没溝を固定させる
ことができる。

なお、第３図右端の製品側断面図において、シ
ートクツシヨンの周辺にひれ状片ｄが付いている
が、これはシートクツシヨンを椅子の座板に取付
ける際の張込み部材となるもので、フオーム板２
を十分に厚いものとしたときはこのひれ状片ｄを
付ける必要はない。

この発明によれば、素材であるフオーム板と上
下両表面材とをそれぞれ単純に打抜き加工したう
えバインダーを塗布して重ね合わせ、唯一回のプ
レス処理を施すだけで一挙に所望の複雑な立体形
状をしたシートクツシヨンを得ることができ、従
来の鋳込み発泡成形法のように高価な設備も熟練
した技術も必要がなく、生産コストを格段に低減
することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明シートクツシヨンの斜視図、第
２図はその−線断面図、第３図は本発明シー
トクツシヨンの製造工程図、第４図は本発明に使
用する押圧刃の斜視図である。 １，２……フオーム板、３……厚手のフオーム
板、４……表面材、５……裏打材、６……押圧
刃、ａ……着座部位、ｂ……縁取り部分、ｃ……
陥没溝部。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 表面材、軟質合成樹脂フオーム板、該フオー
   ム板と少なくとも同等以上の厚みを有する周縁部
   に配置した別体のフオーム板および必要に応じ裏
   打材を重ね合わせてこれらを押圧刃によるプレス
   加工によつて貼り合わせ成形したクツシヨン体で
   あつて、その周縁は前記別体のフオーム板によつ
   て著しく膨出した縁取部分を形成して成ることを
   特徴とするシートクツシヨン。 ２ 膨出した縁取り部分の断面がほぼ半円形をし
   ている特許請求の範囲のシートクツシヨン。 ３ 膨出した縁取り部分にその高さの1/2以下の
   深さを有する陥没溝を設けた特許請求の範囲第１
   項または第２項記載のシートクツシヨン。 ４ 表面にバインダーを塗布ないし含浸させた上
   下２枚の軟質合成樹脂フオーム板の周縁部に前記
   フオーム板と少くとも同等以上の厚みを有するフ
   オーム板を挟み込み、かつ上下両側にそれぞれ表
   面材と裏打材を添わせたうえ押圧刃によるプレス
   加工を施してこれら各積層材を一体に結合させ、
   さらに表面に任意の凹凸模様を顕現させるととも
   に、周縁部に配した厚手のフオーム板に断面がほ
   ぼ半円形の丸味を付与することを特徴とするシー
   トクツシヨンの製造法。 ５ 周縁部の厚手のフオーム板にその厚さの全体
   に亘つて圧縮するに足りない深さの押圧刃により
   プレス加工を施して陥没溝を形成させる特許請求
   の範囲第１項記載のシートクツシヨンの製造法。