JPS6221087Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案はFMステレオ受信機に関し特に車載
FMステレオ受信機の雑音抑圧装置に関するもの
である。

FM放送波は地形等の影響に大きく左右され易
く電界強度が大幅に変化する。従つて特に車載用
のFMステレオ受信機においてはスキツプノイズ
が発生したりマルチパスの影響をうけよつて特に
弱電界強度ではＳ／Ｎが著しく低下するという欠
点がある。

更には自動車のイグニツシヨン雑音の如きパル
ス性雑音がＳ／Ｎに与える影響も極めて大きく聴
感上不快感を与えている。

かかる雑音を抑圧して聴感上Ｓ／Ｎを良好とす
べく、第１図に示す如きFMステレオ受信機が従
来用いられている。すなわち、IF（中間周波）
アンプ１により増幅されたIF信号のレベルをIF
レベル検出器２において検出し、所定レベル以下
になつたときにモノラル及びステレオモード切換
信号発生回路３によりスイツチング信号を発生せ
しめ、MPX（マルチプレツクス）復調回路４の
動作をステレオモードからモノラルモードへ切換
えて弱入力に対してＳ／Ｎをある程度維持してい
る。一方、IFアンプ１の出力はFM検波器５にお
いてコンポジツト信号に変換されて、次段のパル
ス性雑音除去回路６にてインパルス雑音が抑圧さ
れMPX復調入力となる。当該雑音除去回路６
は、周知のように例えば、コンポジツト信号から
パルス性雑音成分を検出するハイパスフイルタ
と、このフイルタの出力である雑音成分を増幅す
るノイズアンプと、このノイズアンプ出力により
ゲート信号を発生するモノステーブルマルチと、
このゲート信号によりコンポジツト信号のMPX
復調回路への伝送を阻止するゲート回路と、更に
ゲート回路が閉のときにその直前のコンポジツト
信号のレベルをサンプルホールドするホールド回
路とを含むもので、パルス性雑音存在中はゲート
回路によりコンポジツト信号を断としてその間ホ
ールド回路のホールド出力をMPX復調回路へ伝
送する構成である。かかる構成とすることによつ
てイグニツシヨンパルス等のパルス性雑音を除き
Ｓ／Ｎの向上を図つている。

しかしながらこのような第１図に示す雑音抑圧
装置においては、電界の急激な変化により生ずる
ノイズやマルチパスによる歪成分や雑音を完全に
除くことは不可能であり、またマルチパスの影響
や電界強度の急激な変化が頻繁に発生する場合に
はステレオモードとモノラルモードとの切換わり
がその都度生じて、結果として聴取者に違和感を
与えることになり好ましくない。

本考案の目的は、上記欠点を除去してより完全
な雑音の抑圧をなすと共に聴取者に違和感を与え
ることのない車載FMステレオ受信機を提供する
ことである。

本考案の受信機は、電界強度が所定値以下にな
つたときにこの電界強度に応じた第１制御信号を
発生する電界強度検出手段と、FM検波出力中に
含まれる雑音成分を検出してこの雑音成分が所定
値以上になつたときにこの雑音成分レベルに応じ
た第２制御信号を発生する雑音検出手段と、第１
及び第２制御信号の各々により再生信号の両チヤ
ンネル間の分離度を連続的に変化せしめる分離度
制御手段と、第１及び第２制御信号の各々により
再生信号に対する周波数特性が連続的に変化する
トーンコントロール回路とを含むことを特徴とし
ている。

好ましくは雑音成分検出手段の入力であるFM
検波出力として第１図に示したパルス性雑音除去
回路６の出力を用いる。かくすることによりパル
ス性雑音の除去はもとより、マルチパスによる歪
や雑音成分の除去及びステレオモードからモノラ
ルモードへのスムーズな切換わりが可能となるも
のである。

以下本考案について図面を用いて説明する。

第２図は本考案の一実施例を示すブロツク図で
あり、第１図と同等部分は同一符号により示す。
電界強度を検出すべく電界強度検出回路１０が設
けられており、これはIFアンプ１のIF信号レベ
ルが電界強度に比例していることに鑑みIF信号
レベルをIFレベル検出器１１により検出してそ
れに応じた検出出力を発生させ、この出力をDC
アンプ１２において増幅しIFレベルに対応した
制御信号Ａとする。

次にFM検波出力であるコンポジツト信号から
パルス性雑音を除いたパルス性雑音除去回路６の
出力中に含まれる種々の雑音成分を検出すべく雑
音検出回路２０が設けられている。すなわち、パ
ルス雑音が除かれたFM検波出力（コンポジツト
信号）は、サブキヤリアである38KHzをトラツプ
するトラツプ回路２１及びHPF（ハイパスフイ
ルタ）２２によつてステレオ・コンポジツト信号
成分と、パイロツト信号の２次高周波である38K
Hz成分と更にはこの38KHz成分近傍のノイズ成分
とが除かれて次段のノイズアンプ２３において雑
音成分のみが増幅される。この増幅出力からノイ
ズ検出器２４においてそのレベルを検出してピー
クホールド回路２５でそのピーク値を保持しDC
アンプ２６により次段回路を駆動しうるに十分な
大きさにコントロールされて制御信号Ｂとなる。

電界強度検出回路１０の制御信号Ａと雑音成分
検出回路２０の制御信号Ｂとは、それぞれ分離度
制御回路７及びトーンコントロール制御回路８へ
入力される。両制御回路７及び８は両制御信号Ａ
及びＢの各々に対して作動するもので、いわゆる
オアゲート的機能を有する。分離度制御回路７の
出力は両制御信号Ａ及びＢの各々のレベルに対応
した分離度制御信号を発生するよう構成されてお
り、この信号に応じて左右チヤンネル信号間のセ
パレーシヨンをMPX復調回路４内にて変化せし
める。この場合、電界強度が大であるときにノイ
ズ成分が少々大であつてもＳ／Ｎは良好となり、
ノイズ成分がある程度大となるとＳ／Ｎは劣化す
るものであるから、両制御信号Ａ，Ｂのレベルを
相対的に比較してその差に応じて分離度を制御す
るような回路構成が用いられる。

トーンコントロール制御回路８は両制御信号Ａ
及びＢの各々のレベルに対応したトーンコントロ
ール制御信号を発生し、この信号に応じてMPX
復調回路４の出力ラインにそれぞれ挿入されたト
ーンコントロール回路９ａ及び９ｂのトーンコン
トロール特性すなわち再生チヤンネル信号に対す
る周波数特性を連続して制御するように構成す
る。この制御回路８も先の分離度制御回路７と同
様な機能を有するようになされる。

第３図Ａはパルス性雑音除去回路６の出力スペ
クトラム分布を示すもので、15KHzまでの主チヤ
ンネル信号（Ｌ＋Ｒ）と、19KHzのパイロツト信
号と、38KHzのサブキヤリヤをAM変調して両サ
イドバンドとした副チヤンネル信号（Ｌ−Ｒ）と
を有している。そしてパルス性雑音除去回路６に
より約100KHz以上のパルス雑音は抑圧されてい
るから100KHz以下の成分を含むマルチパスによ
る歪成分やそれに伴う雑音、FM特有のFM雑音
等が点線で示すスペクトラムにより表わされてい
る。従つて、雑音検出回路２０は、これら雑音成
分を検出すべく、同図Ｂに示す如き周波数特性を
有し、38KHz及び主及び副チヤンネル信号成分を
除去する38KHzトラツプ２１とHPF（BPFでも
可）２２とを含んでいる。

かゝる構成とすることにより、電界強度がある
程度低下しノイズが目立つようになると、IFレ
ベルが低下しかつFMノイズが増加するので、そ
れに応じたレベルを有する制御信号Ａ及びＢがそ
れぞれ出力され、よつて分離度制御回路７からこ
れら制御信号に応じた分離度制御信号が発生さ
れ、分離度を低下させてモノラルモードに近づけ
る。更に、トーンコントロール制御回路８からこ
れら制御信号に応じたトーンコントロール制御信
号が発生され、トーンコントローロ回路９ａ及び
９ｂの周波数特性を、例えば第４図Ａに示すよう
に高域周波数成分が連続して減少するように変化
せしめる。また高域成分を減少するのみならず、
点線で示すように低域成分をも同様に連続的に減
少させるようにしても良いことは勿論である。

更に好ましくは、第４図Ｂの曲線ｂに示すよう
に分離度の制御を電界強度E₁の点以下から連続
的に減少させるようにした場合、トーンコントロ
ールの制御は曲線ａにて示すように出力レベルが
３dB低下する電界強度よりもやゝ大なる電界強
度E₂の点から連続的に動作させるのがより効果
的である。尚、図中点線はノイズレベルを示して
いる。

電界強度が大でかつマルチパスのない状態にお
いてはIFレベル検出器の出力は高くまたノイズ
レベル検出器の出力は低くなつて分離度制御回路
及びトーンコントロール回路共に通常のセパレー
シヨン回路及びトーンコントロール回路として作
動し、良好な受信状態を維持する。また、平均電
界強度が大であつても、マルチパスの多い場合に
はコンポジツト信号の歪成分等がノイズ検出回路
で検出されるから、それに応じて分離度を減少さ
せ、またトーンコントロール回路で高域成分又は
高域及び低域成分を減少させて、雑音の低減及び
抑圧が可能となる。

以上述べた如く、本考案によれば弱入力時及び
マルチパスによるＳ／Ｎの低下を防ぎかつ聴感上
不快感を与えることのないFMステレオ受信機が
得られ、特に車載用に最適となる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来のFMステレオ受信機の概略図、
第２図は本考案の実施例のブロツク図、第３図Ａ
はコンポジツト信号出力の周波数スペクトラムを
示す図、Ｂは雑音検出回路の検出特性を示す図、
第４図Ａはトーンコントロール回路の制御特性を
示す図、Ｂは電界強度とトーンコントロール回路
及び分離度制御回路の動作を示す図である。 主要部分の符号の説明、５……FM検波回路、
６……パルス性雑音除去回路、１０……電界強度
検出回路、２０……雑音成分検出回路。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 電界強度が所定値以下になつたときにこの電
   界強度に応じた第１制御信号を発生する電界強
   度検出手段と、FM検波出力中に含まれる雑音
   成分を検出してこの雑音成分が所定値以上にな
   つたときに雑音成分レベルに応じた第２制御信
   号を発生する雑音検出手段と、前記第１及び第
   ２制御信号の各々を入力としそれらの信号の一
   方もしくは両方の信号が入力されることによつ
   て作動し、かつ各信号の大きさに応じて再生信
   号の両チヤンネル間の分離度を連続的に変化せ
   しめる分離度制御手段と、前記第１及び第２の
   制御信号の各々を入力としそれらの信号の一方
   もしくは両方の信号が入力されることによつて
   作動し、かつ各信号の大きさに応じて前記再生
   信号に対する周波数特性が連続的に変化するト
   ーンコントロール回路とを含み、前記所定値の
   各々を所望に設定してなることを特徴とする車
   載FMステレオ受信機。 (2) 前記トーンコントロール回路は前記第１及び
   第２の制御信号の各々に応じて少なくとも高域
   周波数成分レベルを連続的に減少させるよう構
   成されていることを特徴とする実用新案登録請
   求の範囲第１項記載の車載FMステレオ受信
   機。