JPS62178Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案はテレビジヨン受像機等の陰極線管アノ
ードに高電圧を供給するためのフライバツクトラ
ンスに関する。

近来、フライバツクトランスとして、高圧コイ
ルの分布容量を減少させて高次の高調波に対して
同調を容易に行なうために、高圧コイルを数個に
分割して高圧側に位置する高圧コイル部と低圧側
に位置するフオーカスコイル部とに巻回し、分割
したコイル部間にシリコンダイオード等の整流ダ
イオードを接続配置して構成するものが開発され
てきている。そして、このようなフライバツクト
ランスでは、複数の鍔により分割され鍔と鍔の間
に複数の巻線溝が形成された高圧ボビンの巻線溝
に銅線を巻回して高圧コイルを形成し、高圧コイ
ルの各コイル部間に直列に接続されたダイオード
を高圧ボビン上に固定するものである。また、分
割された高圧コイルのうち、一番低圧側に位置す
るフオーカス電圧発生用のフオーカスコイル部に
は、ダイオードを介してフオーカスリード線が接
続されるものである。

従来のフライバツクトランスにおいては、第５
図に示すように、高圧コイル２０を巻回する高圧
ボビン２１の鍔２１Ａと２１Ｂの間で鍔２１Ａの
側面に一対の挟持片２２を設け、フオーカスリー
ド線２３の先端の絶縁被覆層２３Ａを挟持片２２
により挟持して高圧ボビン２１に対しての固定を
行ない、この状態、つまり、フオーカスリード線
２３の先端部分のみを挟持固定した状態でフオー
カスリード線２３を外部に引出してなるものであ
つた。しかしながら、斯かる構成によれば、高圧
ボビン２１に対するフオーカスリード線２３の固
定がフオーカスリード線２３の先端部分一箇所の
みで非常に不安定となり、フライバツクトランス
に樹脂を注入して絶縁モールドし、この樹脂の硬
化前にフオーカスリード線２３に対してフオーカ
ス抵抗（図示せず）を接続固定する場合に、フオ
ーカスリード線２３の位置的移動、つまり、あそ
びが生じて断線が起る虞れがあり、また、フオー
カスリード線２３が高圧ボビン２１の鍔２１Ｂ等
の先端に接触することにより、フオーカスリード
線２３のダイオード接続部２４と高圧コイル２０
間の沿面距離が、樹脂によりモールドした場合で
もフオーカスリード線２３を伝つた長さとなり、
フオーカスリード線２３が鍔２１Ｂ等と接触しな
い場合と比較して著しく減少し、この結果、絶縁
劣化となる危険があつた。

本考案のフライバツクトランスは上記事項に鑑
み成されたもので、高圧コイル部とフオーカスコ
イル部とからなる高圧コイルが巻回される高圧ボ
ビンの最も低圧側に位置する鍔の先端にフオーカ
ス電圧取り出し用のフオーカスリード線を挟持す
る挟持片を突設し、かつ、高圧ボビンに設けたフ
オーカスコイル部と高圧コイル部とを区分する空
間溝を形成する一対の鍔のいずれか一方の先端
に、フオーカスリード線の先端部を保持する保持
片を突設し、保持片にフオーカスリード線の先端
部と高圧コイル部の入力側端部とフオーカスコイ
ル部の出力側に接続されたダイオードのカソード
側とをからげて構成してなるものである。

以下、本考案フライバツクトランスの一実施例
を図面を用いて詳細に説明する。第１図におい
て、高圧ボビン１は複数の鍔２により分割されて
複数の巻線溝３が形成され、巻線溝３には高圧コ
イル４が数個に分割された状態で巻回される。高
圧コイル４は、ボビン１上の一側方（低圧側）に
巻回されたフオーカスコイル部５と、他側方（高
圧側）に巻回された高圧コイル部６とからなり、
フオーカスコイル部５と高圧コイル部６とはダイ
オード７を介して直列に接続される。両コイル部
５，６間に接続されるダイオード７は、フオーカ
スコイル部５と高圧コイル部６をを区分するため
に高圧ボビン１に設けた一対の鍔２Ａ，２Ｂから
なる空間溝８内に配置される。また、ダイオード
７の出力端にはフオーカスコイル部５およびダイ
オード７を経たフオーカス電圧を取り出すため
に、フオーカスリード線９が接続されており、フ
オーカスリード線９は空間溝８から引出されるも
のである。

次に、高圧コイル４が巻回される高圧ボビン１
には、フオーカスコイル部５と高圧コイル部６を
区分する空間溝８を形成する鍔２Ａ，２Ｂのうち
高圧コイル部６側の鍔２Ａの先端にフオーカスリ
ード線９の先端部９ａを保持する保持片１０が突
設され、また、最も低圧側（フオーカスコイル部
５の低圧側）に位置する鍔２Ｃの先端にフオーカ
スリード線９の絶縁被覆９ｂ部分を挟持する挟持
片１１が突設される。斯かる構成の詳細を第２図
乃至第４図に示す。同図において、保持片１０は
鍔２Ａの先端に一体に形成されており、保持片１
０の側面にはフオーカスリード線９の先端部９ａ
を挟持する溝１２が形成されている。そして、フ
オーカスリード線９の先端部９ａは溝１２に嵌入
して保持され、また、保持片１０には、高圧コイ
ル部６の入力側端部（図示せず）と、ダイオード
７のカソード側リード線（図示せず）とが一括し
てからげて接続される。一方、挟持片１１は、鍔
２Ｃの先端に一体に形成されており、対向する一
対の腕１３ａ，１３ｂの先端に球形部１４ａ，１
４ｂが形成され、フオーカスリード線９の絶縁被
覆９ｂを腕１３ａ，１３ｂ間に保持（挟持）す
る。挟持片１１は腕１３ａ，１３ｂによつて弾力
をもつてフオーカスリード線９を保持することが
でき、先端の球形部１４ａ，１４ｂにより開口部
が狭くなつていることから、フオーカスリード線
９が外れることはない。

斯かる構成のフライバツクトランスにおいて、
高圧コイル１のフオーカスコイル部５の出力側に
ダイオード７を介して接続されたフオーカスリー
ド線９は、先端部９ａが保持片１０により保持さ
れ、中間部（絶縁被覆９ｂ）が挟持片１１によつ
て挟持されて、第１図のように、高圧ボビン１を
構成する鍔２の外側に位置して鍔２の先端と接触
することなく配線がなされるものである。

尚、本考案フライバツクトランスの一実施例に
おいては、フオーカスリード線の先端部を保持す
る保持片を高圧ボビンの空間溝を形成する一対の
鍔のうち高圧コイル部側の鍔の先端に位置して設
けたが、フオーカスコイル部側の鍔の先端に位置
して設けても良いものである。また、保持片、挟
持片の形状も実施例のものに限定されず、フオー
カスリード線の先端部、絶縁被覆部が保持（挟
持）固定されるものであれば種々変形できるもの
である。

以上述べたように、本考案のフライバツクトラ
ンスによれば、実用新案登録請求の範囲の如く構
成したもので、フオーカスリード線が高圧ボビン
の鍔の先端上の２箇所で固定されることで、フオ
ーカスリード線は位置的に規制されてあそびがな
くなり変位（移動）が防止され、かつ、高圧ボビ
ンの各鍔の先端から離れた位置に配線されるもの
で、高圧ボビンの鍔と接触して沿面距離が減少す
る虞れはなく、常に良好な絶縁が保たれ、また、
フオーカスリード線の変位に起因するフオーカス
リード線のダイオードと高圧コイル部との接続部
における断線も防止されるものである等種々の効
果を有し、実用上極めて有効である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案フライバツクトランスの一実施
例における要部断面側面図、第２図は同じく平面
図、第３図は同じく保持片を示す拡大平面図、第
４図は同じく挟持片を示す拡大平面図、第５図は
従来のフライバツクトランスの部分断面側面図で
ある。 １……高圧ボビン、２……鍔、３……巻線溝、
４……高圧コイル、５……フオーカスコイル部、
６……高圧コイル部、７……ダイオード、８……
空間溝、９……フオーカスリード線、９ａ……フ
オーカスリード線先端部、１０……保持片、１１
……挟持片。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 高圧コイルを数個に分割して高圧側に位置する
   高圧コイル部と低圧側に位置するフオーカスコイ
   ル部を形成し、該分割されたコイル部間にダイオ
   ードを接続配置し前記フオーカスコイル部の出力
   側からダイオードを介してフオーカス電圧を取り
   出してなる多分割型のフライバツクトランスにお
   いて、前記高圧コイルを複数の鍔により分割され
   複数の巻線溝が形成された高圧ボビンに巻回する
   とともに、該高圧ボビンの最も低圧側に位置する
   鍔の先端に前記フオーカス電圧取り出し用のフオ
   ーカスリード線を挟持する挟持片を突設し、か
   つ、前記高圧ボビンに設けたフオーカスコイル部
   と高圧コイル部とを区分する空間溝を形成する一
   対の鍔のいずれか一方の先端に、前記フオーカス
   リード線の先端部を保持する保持片を突設し、該
   保持片に前記フオーカスリード線の先端部と高圧
   コイル部の入力側端部と前記フオーカスコイル部
   の出力側に接続されたダイオードのカソード側と
   をからげて構成したことを特徴とするフライバツ
   クトランス。